ヒロアカ 個性『トール』雷神の名を冠する者   作:皐月の王

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最終種目 第二回戦

第二回戦は緑谷と轟の一戦からスタートした。因みに、二回戦が始まる前に、切島と鉄哲の腕相撲は切島の勝利に終わり、二回戦での爆豪の相手は切島となっていた。

 

《二回戦第一試合!今回の体育祭両者トップクラスの成績!緑谷対轟!!スタート!!》

 

プレゼントマイクの開始宣言と共に轟は氷結攻撃を仕掛ける。緑谷は指を犠牲にした迎撃をする。生半可な調整では轟の氷結攻撃は防げないと判断しての迎撃だ。その衝撃は凄まじいもので轟が後ろに氷を出して壁を作り出すほどである。再度轟は氷結攻撃を仕掛け、それを指を犠牲にして迎撃する緑谷。気がつけば、右手の残弾が底をついていた。もう自損覚悟の打ち消しは行えない。

 

だからと言って手を緩める轟では無い。さらなる追撃を仕掛ける。ついには足を捕まえることに成功したのだが、左腕を100%の力を使い放った。指よりも凄まじい威力で轟を突き放す。しかし、場外には届かずフィールド内にとどまってしまう轟。

 

トドメを刺そうと轟は氷結攻撃だすが、思いもしなかった衝撃が再度襲いかかる。それはA組のみならず見ている人を驚愕させるものでもある。

 

「あ、出久のやつ!壊れた指でやるかよ!」

 

「何でそこまで……」

 

フィールドにいる轟ですらそう呟く。壊れた指で行使したため指がさらに悪化し痛々しい色に変色をする。それでも、その指ごと右手を握りしめ叫ぶ。

 

「全力でかかって来い!!」

 

轟の表情が変わる。明らかに苛立ちを感じている。そしてトドメをさすべく近距離戦を仕掛けるが、緑谷も突っ込んでいた。そのタイミングで頼光は気づいた

 

(氷を使い続けると身体能力下がってるな。左使えばすぐに解決できるだろうに。轟の奴まだ使わない気かよ)

 

思わずため息を漏らす豊穣。そんな溜息に反応して

 

「どうしたんだよ豊穣?溜息なんてついて、今緑谷と轟が戦っているだぜ!?」

 

切島が尋ねてきた。豊穣は二人が戦う姿を見ながら

 

「最初の実技で轟と戦っただろ?俺」

 

「そういえばそうだったな。でも、それがどうかしたのか?」

 

「今のままの轟と戦っても何の経験値も得られないだろうなぁとな。前回と変わってなければ、得られるものなんてないからな。そりゃ溜息の一つも出るってもんだ。まぁ、俺の話は置いておいて続きみようぜ」

 

豊穣は話を切り上げて試合を再度見る。轟は緑谷の気迫と攻めで押されている形になっていた。しかし、緑谷の両腕は悲惨なものであり押していると言い難い状況だ。しかし、緑谷が轟にダメージを与えているのは事実である。

 

そして訴える様に緑谷は叫んだ

 

「君の!力じゃないか!」

 

緑谷が轟に言い放つ。すると、轟の身体からすさまじい量の炎が一気に放出される。誰も見たことの無い左の炎

 

「これが、轟の炎か!」

 

観客席まで届く熱、そして緑谷と轟は何かを話す。言葉は多くなく、すぐに決着をつけるべく攻撃の態勢へと移る。轟は炎を出しながら氷結攻撃を行う。それを緑谷は個性を発動させた跳躍で回避して轟との距離を詰める。迎え撃つべく炎を構える轟と渾身の一撃を以て勝とうとする緑谷。

 

二人の大技が激突し……

 

ドォォォォォン!!!

 

轟音を響かせ、衝撃を撒き散らした。迫り来る爆風に耐え、収まると同時にフィールドに目を向けると、場外で倒れている緑谷とフィールド上で立っている轟がいた。決着は着いた

 

「み、緑谷君場外。轟君三回戦進出!!」

 

轟の勝利として

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二回戦第二試合は塩崎VS飯田だった。飯田は得意の機動力を使い、塩崎の後ろを取りそのまま押し出して勝利を掴んだ。そして二回戦第三試合。豊穣VS常闇。両者がプレゼントマイクのアナウンスの中フィールドに入場し向かい合う。

 

(先の騎馬戦でダークシャドウの弱点をさらけ出してしまっている。豊穣の個性は『トール』雷神と同じ名前を持つ個性、雷光で対策されたら厄介だ。そうならないために速攻しかない!)

 

常闇が豊穣に勝つ為に算段をつけている。豊穣は豊穣で緑谷と轟の戦いが脳裏に焼き付いていた。

 

(あんな全力を出す戦いしてみたいもんだな。来いよ、常闇ちゃん俺を楽しませてくれよ?)

 

(っ!?何という重圧!)

 

《二回戦第三試合スタート!!!》

 

試合開始の宣言がなされる。常闇は頭を振り、すぐさまダークシャドウを出し豊穣に攻撃を仕掛ける。

 

「行け!ダークシャドウ!!」

 

『あいよ!』

 

迫り来るダークシャドウ。眼前まで迫り、ダークシャドウは対象を打ち倒すべくその腕を振るう。が、

 

「何!?」

 

ダークシャドウの攻撃は豊穣の両手で止められていた。ダークシャドウの両手を自身の両手で掴んで止めているのだ。

 

「攻撃能力は知っている、八百万との試合での速攻も見ていた。弱点も騎馬戦で共有したよな?」

 

そのまま膝でダークシャドウの頭をかち上げ、手を離し、ダークシャドウの頭を掴み地面に叩きつける。ダークシャドウの半身をフィールドに突き刺す形になっている。

 

「なっ!ダークシャドウ!?」

 

《あーーっと!!ダークシャドウを正面からねじ伏せてフィールドに埋めたぞ!?どう言う力してんだ!?》

 

ダークシャドウは両腕を使い何とか抜け出す。ダメージは無いようだ。

 

「ダメージは無いようだな。脳無殴っているより手応えが無いか?効かねぇなら、本人を狙いしかないようだな!」

 

「相手は目の前だダークシャドウ!!!」

 

『アイヨ!』

 

再びダークシャドウが豊穣に襲いかかるが、

 

「遅いぜ!」

 

伸びてくる腕よりも早くダークシャドウ顎に蹴りを入れ、カカト落としで再度地面に埋め、姿勢を低くし一気に常闇の懐に入る。

 

「なっ!」

 

「ダークシャドウは攻守、射程に優れているよな。それは絶対的なアドバンテージだぜ、けど俺みたいな懐に突っ込んでくるやつ相手に懐に潜られたら、どうしようもねぇよな!」

 

そのまま腹部に拳を叩きつける。常闇の体はくの字に折れる。

 

《豊穣のボディーが常闇にささるゥゥゥ!!!思わずく身体がくの字に折れる!!!》

 

「ガハッ!!……つ、掴め…ダークシャドウ……!」

 

腹を抑え片膝をつきながらもダークシャドウに指示を飛ばす。しかし最低限の動きで回避される。豊穣は手に雷を集約させ、

 

「良いもんあげるぜ!ダークシャドウ!!」

 

ダークシャドウにぶつける。凄まじい雷が迸り、雷光がダークシャドウを弱らせる。

 

(弱点が知られているとは言え……なんという差だ……たった一撃で足がまともに動かないとは……!)

 

ダークシャドウは光が弱点であり、それ以外はさほど効果は無い。が、今の雷光で弱り、常闇自身も豊穣の一撃を貰いしんどい状況である。

 

「攻めろ!ダークシャドウ!!!」

 

ダークシャドウは豊穣を何度も攻め立てる。しかし触れる直前で雷の光で迎撃される。ダークシャドウの体力も確実に削られる。豊穣は足に雷を纏い、ダークシャドウを踏みつけ、一気に常闇との距離を詰める。

 

「いい経験が出来たぜ、常闇ちゃんサンキューな……!」

 

「しまっ―――――!?」

 

雷を纏った一撃を常闇に叩き込む。衝撃は後ろに貫通し、常闇は勢いよく吹き飛びフィールドの外の壁に激突する。

 

「常闇君場外!豊穣君三回戦進出!」

 

ミッドナイトの宣言に右手を上げる豊穣。

 

そして二回戦第四試合は爆豪VS切島の試合が行われた。序盤は切島が硬化を用いて攻め立てていた。試合が長引けば不利になると分かっているのかは分からないが速攻を仕掛けていた。爆豪の爆発でもよろける所か微動だにせず攻撃してくる。爆豪が防戦一方に見えるが、硬さに綻びが生じ始めた。それを見逃す爆豪では無かった。爆豪の猛攻が爆発する。連打で徹底的に叩く。そして最後の一撃をくらい切島はダウンする。

 

「まァ俺と持久戦やらねえってのもわかるけどな」

 

これで準決勝のカードは出揃った。一年生最強の座も四人まで絞られた。それぞれの思いを胸に対戦カードが出揃った。第一試合は轟VS飯田に決まり、第二試合は豊穣VS爆豪に決まった。

 

「思ったより早かったな……ビリビリ!」

 

「ああ、こっちのセリフだぜ!爆豪ちゃん!」

 

一二を争う好戦的な二人、小学から中学・高校まで一緒だった二人の激突が、試合が始まる前から燃え上がっていた。

 




公式キャラクターブック2買ってステータスを作ってみました。
もしも見たいという声があれば次回の後書きに、簡単にのせます!

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