そのあと、散った敵はヒーロー達に回収された。そして無事警察に届けられた。緑谷と頼光はヒーロー達にものすごく怒られた。
「君達が危険を冒す必要は全く無かったんだ!!そして金髪の君だ‼︎無許可で個性を使ったらダメだと知ってるだろ!?」
人質解放した頼光はただ黙って怒られた。非常時とは言え許可なく個性を使用したのだ。怒られることくらい覚悟の上での行動だったのだ。後悔は無いが反省はするどの道を選んでも怒られただろうと、頼光は内心そう思ってた。逆に助けられた勝己は称賛されていた。
「すごいタフネスだ!それにその個性!!プロになったら是非事務所の相棒に!!」
だが、その爆豪の表情は浮かないものであった。時間が経ち日が傾き、夕方に差し掛かる。緑谷と頼光はヒーローの説教を終え二人で帰っていた。
「本当驚いたぜ、まさか俺より先に出久が飛び出すなんてな。驚いて足が止まったっての」
「ははは……でも僕一人じゃどうにもならなかったよ、助けてくれてありがとう豊穣君」
「気にすんな、友達二人を見捨てることを思えば、説教されても安いもんだぜ」
手をひらひらとして、気にするなと言う頼光。すると
「デク!!!ビリビリ!!!」
声に反応して後ろを見ると、そこには爆豪が居た。拳を握りしめ、俯きながら、言う
「俺は……テメェらに助けなんか求めてねぇぞ……!救けられてもねぇ!!あ!?なあ!?一人でやれたんだ。見下してんかねぇぞ俺を!!クソが!!」
言うだけ言って、踵を返し帰っていく。その光景を見て緑谷と頼光の思ったことは
「「(タフネス……!)」」
同じことだった。二人が帰ろと足を動かそうとした瞬間
「私が来た!!」
前の曲がり角からオールマイトが出てくる、緑谷と頼光はそれに驚きビクってなる。
「オールマイト!?何でここに……」
「さっきまで取材陣に囲まれてたんじゃねえのか?」
そう頼光が言うのに、オールマイトはさっきまで取材陣に囲まれていたのだ。
「抜けるぐらいワケないさ!!何故なら私はオールマゲボォッ!!!」
オールマイトは吐血しムキムキからガリガリになってしまう。緑谷はわー!!と慌てる。頼光は目を見張り驚く
「なっ……!?オールマイトがガリガリ!?」
「あっ!?」
そう、オールマイトの秘密を知っている人物は少数だ。知られては行けない秘密ではある。とある事で緑谷はそのことを知ったのだ。だが、頼光はその事を知らない。驚くのも無理はない。
「おっと、説明はあとにしたいのだ。先に話をさせてくれるかな?」
オールマイトは口元の血を拭い、話を進める。
「話だが、少年。礼と訂正……そして提案をしに来たんだ」
「へ?」
オールマイトが口にしたのは礼と訂正と提案と言ったのだ。緑谷はキョトンとする。
「君がいなければ…君の身の上を聞いていなければ、口先だけのニセ筋となるところだった!!ありがとう!!」
「そんな…いやそもそも僕が悪いです!仕事の邪魔をして…"無個性"のくせに生意気なこと言って……」
言葉が続く度、緑谷は顔を逸らした。頼光はそれを見ているしかない。だがオールマイトの言葉は
「そうさ!!あの場の誰でもない小心者で"無個性"の君だったから!!!私は動かされた!!トップヒーローは学生時代から逸話を残してきている……彼らの多くが話をこう結ぶ。『考えるより先に体が動いていた』と!!」
その言葉を聞いて緑谷は俯く。胸を抑え、涙を零す。緑谷の頭の中では母の言葉が流れていた。
『ごめんねぇ出久ごめんね……!!』
謝る母の言葉。
「君もそうだったんだろう!?」
「……うん……」
涙を零しながら、泣き崩れる緑谷。緑谷出久が望んだ言葉は謝罪では無く違う言葉だった。それは
「君はヒーローになれる」
No.1ヒーローの言葉。そして緑谷出久が最も言って欲しかった言葉だった。オールマイト話はここからだった。
「君なら私の"力"受け継ぐに値する!!」
そう本題は、オールマイトの個性の話だった。写真週刊誌などは幾度も怪力やブーストなど書かれインタビューでは爆笑ジョークで茶を濁してきたオールマイトの個性。それは聖火の如く引き継がれてきたものだった。オールマイトの個性は個性を譲渡する個性。その名は
『ワン・フォー・オール』それは救いを求める声と義勇の心が紡いできた力の結晶。オールマイトがこれを緑谷に託すのは、"無個性"でただのヒーロー好きな緑谷があの場では誰よりもヒーローだったからだ。
「まぁしかし君次第だけどさ!どうする?」
「出久こんなチャンス逃すわけないよな?」
頼光は確認するかのように緑谷に質問する。緑谷が涙を拭い
「お願い…します」
その言葉を聞いてオールマイトは笑いながら
「即答。そう来てくれると思ったぜ」
そして頼光もオールマイトの現状をそのあとで聞いた。五年前に敵の襲撃を受けて、前のようなヒーローとしての活動は一日三時間まで短縮されたことを知った。
「そんな事になってたなんてな。オールマイト」
「この事は他言無用で頼むよ少年!」
「おう、俺もバカじゃねぇ。そんなことするメリットが無いしな。その代わり出久を頼んだぜ?オールマイト」
「勿論そのためのトレーニングは積ませるさ」
そう会話をして頼光は「任せるぜ」と言い立ち去る。その間際に
「出久、必ず物にしろよ。そして雄英高校行こうぜ」
「うん豊穣君!」
手を振り、帰宅するのであった。帰ってからする事は、トレーニングも大事だが、勉強もしなければならない。豊穣頼光の模試の判定はB判定。雄英高校を受けるにはA判定にしておきたいのが頼光の心情だ。
「あー。一緒に行こうと言ったが、勉強がこのザマなら少し危ういなぁ。普段なら勝己に頼ったらいいんだが、雄英目指している以上首を縦に振るわけねえか」
平時のテストとかは爆豪などに聞いて乗り越えてきたが、今回はそう言う訳にも行かない。頼光は溜息をつきながら、黙々と勉強をする事にした。個性については、どうすることも無い。加減して出す方法を慎重に繰り返し、精密に充電を出来るようになってるし。大出力を出す方が個人的に簡単なのだ頼光的には。そんなこんなんで、月日が進み夏休み。動ける服装で海浜公園に行くと。緑谷が泳いでそれをオールマイトが見ていた。
「オールマイト」
「うん?やあ久しぶりじゃないか豊穣少年!元気にしてたかな?」
「まぁな。勉強が少し嫌になって、体を動かしている所だ。体作りは基本だからな」
そう言い緑谷の方を見てみる。彼は必死に泳いで頑張っているのが伝わって来る。夏休みが入る前から、オールマイトのトレーニングが始まったであろう時期から授業中寝てしまう事があったり、走り込みしてるのを通りすがりで見たりと、並々ならぬ努力をしているのが分かる。頼光はフゥと溜息をつき。
「じゃあ俺はこの辺で、出久に負けたくないし俺も仕上げていかないと行けないからな」
「緑谷少年に伝えておくよ」
「しなくていいっての!」
笑いながら頼光は言い再び走り出す。
そして、自宅に戻り、個性練習部屋に行き個性を発動させ、雷を体全身に流す。ビリビリと言う違和感の後にその違和感が消えた。
「……雷光にはまだ遠い、だけど、これでトレーニングだな」
そう呟き、ストレッチを中心にトレーニングをし動き回る。縦横無尽に壁や天井を飛び回り、さらに出力を上げる
「さっきより段違い、だけどこれじゃあダメだ。まだ行ける」
先ほどと同じようにトレーニングをする。そして、ピタリと止まり、個性を発動をやめる。
「……ここでの練習はここまでだな。これ以上出力を上げるわけに行かねぇな。この部屋どころか、家ごと壊しかねねぇしな」
汗をタオルで拭い大きく息を吐き、椅子に座る。
「半年近くある……まだ出来ることはあるよな……出久だって頑張ってるんだろうし、俺が足踏みしてるわけには行かないよな」
そう言い再び体を動かし個性を使う。そしてあっという間に時が流れ。二月二十六日。受験の日を迎える。