頼光は地下鉄を乗り継ぎ四十分をかけ、雄英高校にたどり着いていた。
「(思ってたよりでかいな……雄英高校。ここで名だたるヒーローが学んだのか……いい経験が出来そうだ。その前に受からないといけないけどな!)」
頼光は闘志を内で燃やしていた。この日が来たと燃えていた。
「それにしても流石に三百倍の倍率は伊達じゃねぇな。一般入試の受験者多すぎだっつーの」
苦笑いしながら周りを見渡す。全国から雄英高校を受験する受験者が集まっている。ヒーローになる為にここに来ている。今この場は皆が皆ライバルなのだ
「まぁ、これぐらい競い合いがないと拍子抜けだよな」
口角を上げ、笑いながら足を進める。そして指定された席に座って、実技の試験の説明を待つ。そして時間が経ち
「今日は俺のライブにようこそ!!エヴィバディセイヘイ!!」
ーーシーン
みんな緊張しているのか、静まり返っている。頼光は落ち着いた様子でその状況を見ている。
「こいつはシヴィーー!!受験生のリスナー!実技試験の概要をプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?YEAHH!!」
返答は再び来ず静まり返る。
「ボイスヒーロー『プレゼント・マイク』だ凄い……!!ラジオ毎週聞いてるよ感激だなあ。雄英の講師は皆プロヒーローなんだ」
緑谷は説明をしてくれているプレゼント・マイクに感激している。爆豪は頼光のとなりで
「うるせえ」
と呟く。頼光は机に肘を立て、手に顔を乗せてそれを見ている。
「入試要項通り!リスナーはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!」
「同校同士で協力はさせねぇってことか」
「そうみたいだな。会場違うみたいだ」
「ホ、ホントだ。受験番号近いのに会場違うね」
三人は各々の受験番号と演習会場を見る。各自違う会場だった
「見んな殺すぞデク。テメェを潰せねぇじゃねぇか」
「落ち着けよ勝己」
「黙っとけビリビリ」
演習場には3種類の"仮想敵ヴィラン"が多数設置されており、それぞれの攻略難易度に応じポイントを設けているらしい。各々なりの個性で"仮想敵"を行動不能にしてポイントを稼ぐそうだ。行動不能つまり動かないようにすればいいということだ、壊さなくともいいと言う。更に、配られたプリントには0ポイントの第4仮想敵ヴィランがギミックとして大暴れすると書かれていた。
「質問よろしいでしょうか!? プリントには4種類目の敵が記載されております!誤載であるなら日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となるヒーローの指導を求めてこの場に座しているのです! ついでにそこの縮れ毛の君!さっきからブツブツと気が散る!物見遊山のつもりなら、即刻この場からさりたまえ!」
眼鏡をかけた少年が、緑谷を注視し睨みつける。緑谷は小さくなり「すいません」と謝る。
「オーケーオーケー受験番号7111君ナイスなお便りサンキューな!4種類目のヴィランは0ポイント!そいつはいわばお邪魔虫!スーパーマリオブラザーズやったことあるか!?あれのドッスンみたいなもんさ!各会場に1体、所狭しと大暴れしているギミックよ!」
「避けて通るステージギミックか」
「ゲームみたいだなこりゃ」
「俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の校訓をプレゼントしようかの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!!更に向こうへ!PlusUltra!! それでは皆、良い受難を」
その後各自それぞれの受験会場に別れる。雄英の演習場は街そのものが出来上がるくらい広かった。しかもこれ規模が他にもあるのだ。
「雄英すげぇな。こんなに敷地があるなんてよ。流石は名だたるヒーロー達の母校ってだけはあるわな」
演習場の入口で準備運動をしながら呟く。頼光に実技試験での緊張なんてものは無く、ただターゲットをぶっ壊すだけと考えていた。他のことを考えるとしたら
「(出久のやつ大丈夫かなぁ……間に合ったんだろうけど、不安だな。勝己は心配する必要性は無いから大丈夫だろうな )」
友人の心配をしていたくらいだ。軽くストレッチをして体をほぐしていると
『ハイスタート!』
プレゼントマイクの突然の実技試験開始の合図が告げられる。
『どうしたどうしたあ!実践じゃあカウントなんざねえんだよ!!走れ走れ!!賽は既に投げられてんぞ!!?』
「そりゃそうだよな!」
反応が少し遅れたが、頼光は飛び出す。形的には先陣を切って走り出す。
『標的捕捉!!ブッ殺ス』
頼光の眼前に仮想敵が現れる。1ポイントのタイプだ。頼光は拳を振りかぶり
「まず1ポイント!」
そのまま拳を振り抜く。仮想敵は拳1発で軽々と破壊する。
「流石は1ポイント、軽くでも軽々と壊せるな。よし、試しはこの程度で……『電光石火』」
バチバチという音が数回なり、雷を纏う。黄色い電気が纏っているように見える。
「……精々楽しませてくれよ?なぁ!」
そして、頼光は演習場を駆け抜ける。
ーーーーモニター室
モニタールームでは各試験の様子が映し出されそれを今回の審査員のプロヒーロー達が見ている。そしてその中の一人スーツを着たネズミ口を開いた
「この入試は受験生にヴィランの総数も配置も伝えていない。限られた時間と広大な敷地、そこからあぶり出されるのさ」
「状況をいち早く把握するための情報力。あらゆる局面に対応する機動力。どんな状況でも冷静でいられる判断力。そして純然たる戦闘力」
「市井の平和を守るための基礎能力がポイント数という形でね」
雄英高校の校長であるこのネズミの言葉に続くように、他の審査員も口を開く。
「今年はなかなか豊作じゃない?」
「まだ分からんよ。真価が問われるのはこれからさ!!」
そう口にしながら、審査員は怪しげなスイッチを押した。そのスイッチは
YARUKISWITCHと書かれていた。
ーーーーーーーーーー
「数え間違いがなければ、50ポイントか、そこそこ稼いだのか?」
3ポイント仮想敵を蹴り砕き、呟く。その声に疲労は無く、余裕さえある。
「さて……時間はまだあるがどうするかな……やばそうなやつの手助けでもするか。まぁ、お節介かもしれないけどな」
そう言いながらながビルを飛び降り、着地と共に再びは電光石火で駆け抜けようとするが轟音が響く、音源の方を見ると、そこには巨大な仮想敵が居た。その近くいた受験者は蜘蛛の子を散らす様に逃げる。仮想敵は頼光の前を歩いていた。さらにその先の進行方向に瓦礫に足を挟まれた少女が居た。頼光はそれが見えた。そして助けるため力を入れる。
「さぁ、行くか!」
纏う電気が一瞬、より激しくなり次の瞬間には巨大仮想敵の先に移動し、少女の近くに立った。
「大丈夫か?」
「ちょっと足を挫いたみたい……」
「そうか、じゃあ少し待ってろ。俺があいつを倒すまでな!!」
腕を回して巨大仮想敵を見上げる頼光。その表情は楽しみにしてたと言わんばかりにやる気に満ち溢れていた。
「まさか、アレを倒すつもり!?」
「勿論そのつもりだ、手応えのない奴ばっかりで困ってたところだからな。せっかく大きいヤツが出て来たんだからな!」
巨大仮想敵は頼光を補足し、殴り掛かる。ビルほどに大きいそれの一撃。土煙が舞い、轟音が響き渡る。少女も目を瞑る。
「何だよこんなもんか。お邪魔は図体がでかいだけじゃねえか」
落胆の声が聞こえた。少女はゆっくり目を開け驚く。頼光は片手でその仮想敵の一撃を受け止めていた。
「んじゃま……倒すとするか」
手を離し、巨大仮想敵の腕めがけて蹴りを放つ。その威力は凄まじく、仮想敵の腕が音を立て壊れる。
「ま、試験にしては思いの外楽しめたぜ。じゃあな!」
指先から青白い閃光が輝いていた。灼熱の雷光。指先から伸びる雷光の溶断ブレードを五本の指から伸ばし、右腕を伸ばしブレードを展開しながら、握るまでも行かず指先の間隔を狭め、仮想敵をバラバラにした。そして溶断ブレードを消し、一息つくのと同時に
『終了ーー‼︎』
プレゼント・マイクによる、実技終了の知らせが響き渡った。
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