個性把握テスト
受験に合格し春休みが終わり、入学の時期を迎える。雄英高校の制服に袖を通し、バッグを持ち。スマホを手に持つ。表示には着信ありの表示があった。頼光はその相手に電話する。
「もしもし?」
『もしもし、頼光か。遅れず起きたみたいだな』
「まぁな。それより、親父と母さんはもう出てるんだな?その時に起こしてくれても良かったんだけどな」
頼光は肩をすくませながら言う。電話の向こうは特に反応は無く。
『母さんは隣で寝ているよ。だからあまり大きい声では話せないが、自分が思うようにやりなさい。仕事で家を殆ど空けることの多いお父さんとお母さんだが、お前を応援している。さぁ、行くんだ。初日から遅刻は許さないぞ?』
「いっけね、じゃあな親父。生活費とか諸々頼んだぞ」
そう言い頼光は通話を切る。イヤホンを耳に入れて曲をかけ、駅に迎え歩き出す。通勤、通学ラッシュなのか、人は多かったが、満員電車という程ではなかった。最寄りの駅で降り、雄英高校まで歩く。道中歩いていると。
「あ、入試の時ウチを助けてくれた人」
「あ?」
背後から声をかけられ頼光は振り向く、そこには頼光が助けた少女がいた。容姿は髪型は短めのボブカットで耳には個性なのかイヤホンのプラグのようなものがある。
「あの時のか、無事に合格していたんだな。そう言えば足は大丈夫だったか?」
「うん。おかげさまで、軽い捻挫みたいなものだったから。大事にならなかったよ。それより、あの時は言いそびれたけど、助けてくれてありがとう」
「どういたしまして。互いに合格出来てよかった。そういや、自己紹介まだだったな、俺は豊穣頼光だ、好きなように呼んでくれたらいいぜ」
「ウチは耳郎響香。これからよろしく豊穣」
「ああ、よろしくな耳郎」
二人は自己紹介を済ませ再び歩き始める。雄英高校に着き門を通り、校舎に近づくと案内板などが置かれていた。そこにはクラス表と教室の場所が書かれていた。
「1-Aか……耳郎は何組だ?」
「ウチはA組。そう言う豊穣は?」
「俺もA組だ。知り合いが居るのは気が楽で助かるな」
「そうだね、知り合いが居るだけでも、気分が楽になるしね。ほら教室行こう」
耳郎に促されるまま教室に向かうため、足を進める。
「(出久や勝己はどのクラスに入っているんだろうな?)」
しばらく歩き進めると、1-Aと書かれた教室に辿り着く。その扉はバリアフリーなのか、とてつもなく大きかった。
「バリアフリーとは言えこれは大きすぎない?」
「異形系の個性持ちのためか?個性は様々だしな。にしてもでけぇ」
そんな事を呟きながら頼光は扉を開ける。大きさに反し扉は重くなかった。中には数人の生徒が座っていた。頼光は耳郎とわかれ自分の席に座ろうとすると
「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ、てめー!どこ中だよ端役が!」
頼光にとって聞き覚えのある声が聞こえる。頼光の前の席の人物に頼光は見覚えしかなかった。
「(勝己も同じクラスか、まぁ予想通りに受かってるわな。もう一人は出久に注意してたやつだったな。結構面白そうなクラスだな)」
面白そうだと考えていた。そんな事を考えていたら、緑谷が来ていて女の子と話していた。頼光はそれを見て後でからかおうと考えて居たところ
「お友達ごっこしたいなら他所へいけ。ここはヒーロー科だぞ」
『(なんかいるぅ~!!)』
寝袋に包まり、携帯栄養食品のゼリーを啜っている明らかにあやしい男が教室の入り口に寝転がっていた。
「はい、静かになるのに8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」
『(先生!!?)』
皆は黙っているが中では似たようなことを考えているようだ。頼光も例に漏れずその一人だ。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
『(担任!!?)』
担任こと相澤先生は寝袋をガサゴソとあさり学校指定の体操服を取り出し
「早速だが、体操服これ着てグラウンドに出ろ」
そして男女で更衣室に分かれ指示通りに体操服に着替え、グランドへ出る。
ーーーーーグラウンドーーーーー
『個性把握テストぉぉぉ!!!?』
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまたしかり。ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈中学の頃からやってるだろ?"個性"禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。まあこれは文部科学省の怠慢だよ」
そんな事を言いながら生徒達を見る。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
相澤先生は爆豪にボールを投げ渡し、続ける
「じゃあ"個性"を使ってやってみろ、円から出なきゃ何をしてもいいよ。思いっきりな」
爆豪は軽くストレッチをした後、振りかぶって
「んじゃまぁ……死ねぇ!!!」
球威に爆風を乗せて投げる。勢いよく飛んでいくボールを眺めながら、緑谷と頼光は
『(……死ね?)』
ヒーローらしからぬ掛け声でボールは投げられた。そしてボールが地面にバウンドし転がる。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
携帯端末には705.2mと表記されていた。
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「705mってマジかよ」
「個性思いっきり使えんだ。さすがヒーロー科!」
「面白そう…か。ヒーローになるための3年間そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」
先ほどまでの気怠げな印象はなくなり、冷たい氷と鋭いナイフを背中に突きつけられているものを感じる。
生徒達も、冷や汗を流し黙り込んでいた。
「よし、8種目トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し除籍処分としよう」
『はああああぁぁぁ!!??』
「生徒の如何は俺たちの"自由"。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
「最下位除籍って……!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても」
「自然災害、大事故、身勝手な敵たち……いつくるかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。こういう理不尽を覆していくのがヒーロー。これから3年間雄英は全力で君達に苦難を与え続ける。更に向こうへ…『PlusUltra』さ。全力で乗り越えてこい。こっから本番だ」
人差し指で挑発するように言う相澤先生。そしてクラスメイトたちの表情も変わる。そんな中個性把握テストが始まる。
第一種目 50m走。
頼光は屈伸をしながら準備をする。今の所最速は飯田の3秒04という記録だ。
「んじゃまぁ、行くか!」
雷を纏い構える。黄色い電光を纏っているようにも見えるそれは、頼光の準備が整っている合図でもある。
『START!』
スタートが告げられ走り出す。バチっという音を立て走り抜ける。
『1秒55』
「すげー記録塗り替えやがった!!」
「超えられてしまったか!」
走り抜けた頼光はフゥと息を吐き、一息をつく。それと同時に電光石火を解く。
第二種目 握力。握力の測定器を右手で軽く握り息を吐き。頼光はそれなりの力を入れて握力測定器を握る。数値は
『850kg』
障子の540kgを上回る記録をたたき出した。
「すげ!あんたゴリラかよ!!ゴリラ以上だよ」
「俺はゴリラじゃねぇよ!」
ゴリラかよという発言にゴリラじゃないと返す頼光。個性を使い力をあげていたのだ。
第三種目、第四種目は目立った記録は出せなかった。第三種目は溶断ブレードを使って飛ぼうと思ったのが、ミスって上に噴射しすぐに落ちてしまった。第四種目はいざ使い出すと以外にうまくいかなかった。そして第五種目ボール投げ
「セイ!!」
緑谷と話してた女子が投げたボールはフワーっと飛んでいく。勢いという勢いは無いが飛んでいき。携帯端末の記録は
「
頼光はそれを見て笑いながら
「マジかよ!?このあとどんな記録出ても霞むじゃねぇか」
自分の番が回ってくるまで待っていた。
言葉と裏腹にその目はやる気があり、腕を回していた。そしてその番が回ってくる
「ぶっ飛べ!!!」
雄叫びと共に投げ出されるボールは勢いよく飛んでいく。個性で強化された純粋な力で投げ飛ばした。記録は
『980m』
「すげぇ!
「才能マンだ才能マン!」
頼光の番が終わり、ボール投げの順番は緑谷の番となったが記録は46m
「(まだ、制御出来ていないのか?そりゃ時間は短いからしかた無いけど、このままだと除籍だぞ!?)」
緑谷の記録に頼光は焦っている表情を浮かべる。緑谷は自身の手を見つめながら
「今確かに使おうって……」
「個性を消した。つくづくあの入試の試験は合理性に欠く。お前みたいな奴も入学できてしまう」
そこで言葉を発したのは相澤先生だった。先程までとは雰囲気が違い、髪が逆立ち、目を見開いて緑谷を見ていた。
「あのゴーグル……そうか、イレイザーヘッド!」
「イレイザー?俺…知らない」
「名前だけは見たことがある!アングラ系ヒーローだよ」
頼光もイレイザーヘッドというヒーロー名に聞き覚えはない。それより緑谷だ。今は指導を受けているみたいだが、見方によれば除籍宣告されているようなものにも見えた。
「個性は戻した…ボール投げは2回だ」
相澤先生は目を閉じ個性を解除する。頼光は飯田の近くに行き聞く
「なぁ、お前は見てたんだろ?入試の時の出久を」
「ああそうだが、俺の名前はお前ではない。俺には飯田天哉という名前があるんだ。……彼は少女を助けるために0P敵に突っ込んで0P敵を殴り倒したんだ!……そのあとは骨が折れて酷い怪我だった」
それを聞いた頼光はなるほどと頷き緑谷の方を見て言う
「そうか、0Pをはねのけるのなら、行けるだろ。あいつだってヒーロー目指しているんだ、この程度の困難超えられないわけがない」
信頼するように言う。そして緑谷もそれに応えるかのように、指先だけに個性を発動させ、ボールを投げる。記録は705mとヒーローらしい記録だ。
「先生……まだ動けます」
腫れ上がった指の痛みを堪えながらも、行動不能になってないと言う緑谷。最小限の負傷で、最大限の力を引き出したのだ。
「やっとヒーローらしい記録出したよー」
「指が腫れ上がっているぞ、入試の時といいおかしな個性だ、ビリビリ君は何か知らないか?」
「ビリビリって俺のことか、俺は豊穣頼光だ、以後よろしくな飯田。そうだな、出久の個性は俺も見たことがあまり無いから詳細なんて俺も知らない」
オールマイトの秘密をいう訳にはいかないし、緑谷の個性についても話すわけに行かないので、ある意味事実な見たことがないと言う。
「どういうことだこらワケを言えデクてめぇ!!」
「うわああ!!!」
爆豪が個性を発動させながら緑谷に突っ込む。がそれは相澤先生の個性と捕縛武器によって阻止される。そして残りの種目の終える。頼光が残りでいい記録を出せたのは持久走がトップで走り抜けた事くらいだ。頼光の結果は第二位にくい込んだ。
「ちなみに除籍は嘘な」
相澤がポツリと衝撃の一言を落とした。理解が追い付かないA組全員が口を開けてポカンとしていた。
「君らの個性を最大限引き出す合理的虚偽」
「はぁああああああああ!?」
みんな驚く中、特に緑谷の驚きっぷりは群を抜いていた、頼光はそれを見て吹き出しそうになった。
「あんなのウソに決まってるじゃない……ちょっと考えればわかりますわ…」
「そゆこと。これにて、終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類があるから戻ったら目を通しておけ。後、緑谷は婆さんの所に行って指を治してもらえ。明日からもっと過酷な試練が目白押しだ」
そう言い、保健室の利用書を緑谷に渡す。そして担任が言い出した個性把握テストは幕を下ろした。そして下校
「豊穣、駅まで一緒に帰ろう」
「いいぜ、せっかくだしな」
頼光と耳郎は駅まで一緒に帰っていた。
「それにしても、いきなり個性把握テストで、最下位は除籍とか勘弁して欲しいよね。ウチ内心怖かったんだから」
「合理的虚偽のおかげで誰も除籍にはならなかったけど、初日にやることじゃねぇよ」
今日の一日について話していた。
「それにしても、豊穣凄いよ。個性把握テストで二位なんて」
「ありがと。まぁ、でも、次は一位とる」
その後も二人は適当な話題で話をしながら帰っていた。
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