「案の定初撃で氷来たか!そっちは大丈夫か?」
「ああ、読んでいたおかげでなんとかなった!」
二人は間一髪凍結に巻き込まれることなく回避に成功した
「この部屋だけじゃなくこの速さなら、建物全体だろうな!」
轟の凍結を警戒していた、いたのだが、あまりにも早く建物全体を凍らせるなんて予想外だった。
「この部屋の状態は悪いな、尾白もう一度飛んでくれ」
そう言うと頼光は雷を迸らせる。その雷は部屋全体の氷を砕く。
「ありがとう豊穣。これで動けるようになったぞ!」
「ああ、あとは手はず通りに、俺は轟の迎撃に行く。核の防衛頼んだぞ!」
そういい頼光は轟を迎え撃つため、核の部屋から出る。一方、モニター前のオールマイトとクラスメイトは轟が建物を凍らせた影響で寒さに震えながら轟を賞賛していた。音声はオールマイトにしか聞こえていないが、モニターには訓練している四人がモニタリングされている
「仲間を巻き込まず核兵器にもダメージを与えず尚且つ敵も弱体化、敵チームが予測して回避しなかったら、決着はついていたかもね!」
「最強じゃねぇか!!俺は氷を無理に引きはがすことは出来なくはないが、瀬呂はどうだ?」
「俺は無理かも」
オールマイトの言葉に切島と瀬呂のコンビは難しいそうに考える。他のコンビもどう切り抜けるか考えてみるが、難しい顔をする。
「見たまえ!轟少年と豊穣少年がぶつかるぞ!」
「氷対雷!昨日のテスト三位と二位の戦いだ!熱くないわけないぞ!」
モニター前はざわざわと騒ぎ出す。注目の一戦が始まるのだから。
3階のに登る階段で頼光は仁王立ちし2階から上がってくる轟を待ち構えていた。だがそこには障子の姿は見えなかった。
「どうやって切り抜けたか知らねぇが、あっさりといやがるな」
「切り抜け方は案外力技だぜ?読んでいたが、注意し始めた瞬間にくるもんだから焦ったぜ」
ヒヤヒヤしたと手をぶらぶらとする頼光。
「こちら轟と会敵。今から戦闘に入る、だが障子の姿は見れない、注意されたし」
通信機からは『了解、轟は頼んだぞ』と尾白から返ってくる。轟は右手から冷気を出し、頼光は全身から電気を迸らせる
「…行くぞ」
「おう、いっちょやろうか」
先手を仕掛けたのは轟だった。右足からノーモーションでの冷気の放出し攻撃をする。頼光は左腕に雷を纏いそれを放つ。両者の攻撃はぶつかり合い、相殺され、爆発し煙で視界が塞がる。轟は舌打ちをして警戒する。が
「いつまで階段見てんだよ!」
轟は引っ張られ、二階の通路めがけて投げ飛ばされる
「くっ!?」
轟は凄まじい勢いで投げ飛ばされるも、受け身を取り階段と通路の繋がる道を見る。煙の中から、電気を纏った頼光が現れる。
「階段の踊り場もいいけど、やっぱり少し広い通路の方がいいよな」
右手の指先からバチバチと音を立て青白い閃光が輝いていた。長さは二十センチ程伸ばし、轟に迫る。轟は右手を振るい氷を出す。今度は先程よりも強めだ。頼光も溶断ブレードをぶつける。拮抗するが物量で勝る轟が徐々に押し始める。
「はっ!そう来なくちゃなぁ!!オラァ!!」
意気揚々と叫ぶ頼光。それに呼応するかのように溶断ブレードが膨張する。それは氷を溶かしながら貫通し、轟に迫る。轟は舌打ちをしながら、転がるようにして曲がり角に避ける
「(あれだけの威力の物を出すには、それなりのリスクもあるはずだ。だが、見た感じそれが分からないな。それに、あれが伸びる距離が奴の射程距離のはず。今がもし最大じゃないとすると厄介の一言に尽きるな)」
曲がり角に入るのを見て、頼光は溶断ブレードを20センチまで縮小させる
「(やっぱり閉鎖空間じゃ前後にしか使えねぇ。接近戦に持ち込む方が手っ取り早そうだ。氷ならいくらでも避けようがある)」
そう考え、頼光は走り出す。行き先は勿論轟のいる曲がり角だ。轟も来ることはわかっているため、飛び出し、攻撃に移る。足から手で出した威力を上回る氷を放つ。
「ッ!」
頼光は咄嗟に溶断ブレードを消し、雷をまとわせ、それを殴りつける。その衝撃は二人を吹き飛ばす。蒸気の煙でモニターは見えなくなる。
「轟の奴すげーな、あのブレードにビビることなく的確に対処して、自分から正面に立って、氷を出すなんてよ!!」
「それに咄嗟に対応する豊穣君も凄いよ!」
「(あのブレード、あの時より短い……まだ手の内を隠しているな豊穣は)」
クラスメイトはモニターを熱心に見つめ、時にコンビや友達と議論を交わす。耳郎はブレードを見て入試の時を思い出していた。
やがて煙は晴れ二人の姿が、はっきりと映し出される。互いに距離は離れているものの、頼光の右拳は完全に氷に覆われていた。轟は体に霜がおり尚且つ、腹部を抑えていた。
「……ハッハハハハハ!!!あーやられたぜちくしょう。右は使い物にならねぇな。無理に使えば一生モノだな」
高笑いし、楽しそうに頼光は言う。しかし真剣な表情になり
「轟、なんで左を使わねぇんだ?熱も出せば手札が増えるだろうによ。今思い出したんだが、轟と言えば、No.2ヒーローエンデヴァーの本名じゃねぇか。つまり、左は炎か」
「…黙れ、俺が誰の子供だろうとお前には関係ないだろう。俺は戦闘で左は絶対に使わねぇ。お前は…右だけで倒す」
エンデヴァーの話題を出した瞬間、轟の機嫌は目に見えて悪くなった。その言葉に頼光は眉をひそめる
「つまり、轟は炎を絶対に使わないという解釈でいいんだな?」
「ああ、それで俺はあいつを全部否定する」
頼光には轟の言うあいつというのが誰かとは分かった、それで何かしらの因縁めいたものもあることが分かった。頼光は溜息を付き言う
「はぁ……まぁ、仕方ないよな。何があったかまでは知り得ないし、それなりの覚悟を持ってやっているのも分かる……分かるけどよ……」
纏う雷光が一瞬強くなると同時に、轟の後ろを取った。轟はその速さに反応出来なかった。
「萎えた、今のお前じゃこれ以上の経験値を得ることはできそうにもねえ、早々に落ちやがれ」
真後ろから大きく振りあげた足で、轟の側頭部を薙ぎ払った。その強打と共に轟の意識が完全に断たれたのは誰が見ても明らかだった。一瞬の出来事だった。一呼吸の間に一蹴りで仕留めて見せた。
「こちら豊穣、轟を確保した。すぐにそっちに向かうぜ、腕の氷を何とかしたら行くぜ」
『ああ、頼んだ!出来るだけ早く来てくれ』
頼光は「ああ」と返事をし、左手で溶断ブレードを出し、右手の解凍を始める。
「蹴り倒したのは不味かったか……まぁ後でリカバリーガールのところ行くしかねぇな」
腕の氷を溶かしたところで
『ヒーローチーム、WIN!』
オールマイトの声が建物全体に響き渡り……頼光と尾白チームが敗北した。
頼光は尾白と合流し話す。
「すまない、障子に捕まって、核を回収された」
「気にするな、俺も片腕凍傷寸前だ。それにしても、階段付近は俺と轟が戦っていて、少なくとも注意はしていたんだがな。どこから登ったんだ?」
「最上階に行く手段は階段だけではない、と言う事だ」
障子が言葉を発する。しかし口からではなく、腕に作られた口からであった。
『さぁ、3人ともモニタールームに戻ってきてくれ。講評の時間だ!』
轟は気絶しているため、ロボットで保健室に運ばれた。そしてモニタールームにて
「今回のベストは障子少年だ。理由は核を回収しただけではなく、個性を利用し索敵をし、階段付近がダメと分かると外からの侵入を試みる決断力。情報共有も素晴らしかったぞ。尾白少年も豊穣少年と役割を決め果たそうとしていたし、障子少年から核をしっかし守っていたナイスファイトだったぞ!」
「はい!ありがとうございます!」
モニタールームでオールマイトは障子と尾白で褒める。障子は無言ながらも深々と頭を下げた。尾白は嬉しそうに返事をした。
「うむ!では改めて第2戦を振り返っていこう!」
その後、第2戦の講評は滞りなく終わる。もう少し二人の間の連絡が大事だと頼光と尾白は思った。四戦目が終わる頃に轟が保健室から帰ってきて、それからの五戦目も終わった。
「お疲れさん!緑谷少年以外は大きな怪我も無し!しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!はいこれ、豊穣少年は後でリカバリーガールのところへ行き、右手の処置を受けるんだよ」
オールマイトは頼光に保健室の利用書を渡し
「それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば。皆は着替えて教室にお戻り!」
オールマイトはそう言い残して急ぐように走り去っていった。頼光も腕の事があるので、リカバリーガールのとこに行き、処置を受け授業に出た。そして放課後。
「なぁ!放課後に今回の訓練の反省会しようぜ!」
「あ、それいいじゃん!やろうやろう!」
「お、いいねぇ。参加するぜ」
「あ、俺も」
そう言い出したのは切島だ。その呼び掛けに芦戸が手を挙げ参加する意思を表明しそれを皮切りに多くが参加することになった。爆豪は緑谷に負けたことを引きずってか、無言で帰り、轟も用事があるらしく帰った。
「なぁ!豊穣はどうだ?」
「勿論いいぜ?特に予定とかないしな」
頼光は断る理由もないから誘いを受ける。
「よし!じゃあ今回オールマイトに言われた事を踏まえて話し合っておきたくてな。自分では知り得なかった新しい発見とかあるかもだしよ。全員が全員言葉を交わしたわけでも無いだろうしな交流会も交えながら行こうぜ!」
切島の言葉から反省会は始まった。傍目から見たら騒いでいるように見えるが、内容はしっかりと訓練の振り返りをしていた。
「それにしても第1戦と第2戦が特に凄かったよな!何喋ってんのか分かんなかったけどよ!」
「緑谷はまだ保健室だしな。大丈夫かよアイツ……」
緑谷は爆豪との一戦から保健室に行き帰ってきていない。右腕は自身の個性でボロボロとなり、もう片腕は爆豪の爆破を受け酷い火傷を負っていた。クラスメイトとなり日は浅いが緑谷を心配している生徒は多かった。
「戻ってこなかったら後で保健室に見舞いに行こうぜ!第二戦だが尾白と障子には悪いけど、豊穣と轟の一戦が凄かったよな!」
「マジでそれな!最後はあっという間に終わっちまったけど凄かった!豊穣の個性はなんなんだ?」
上鳴の言葉で頼光に注目が集まる。頼光はそれに驚きながらも答える
「俺の個性か?俺の個性は『トール』だ」
『トール』と言う言葉に馴染みないのか大半の生徒は頭をかしげる。しかし、
「『トール』聞き覚えがありますわ。確か北欧神話に出てくる雷神のはずですわ。まさかその『トール』なのですか?」
そう言ったのは八百万だった。頼光はそれに驚き
「ああ、そうだ。北欧神話のNo.2の神様『トール』と同じ名前の個性だ」
教室が静まり返り
「マジかよ!?神様と同じ名前の個性か!すげーかっけぇええ!!」
「そりゃつえぇわけだ!!」
そのあとは少し盛り上がり、ギプスをつけた緑谷が戻ってきて、直ぐに爆豪を追いかけて行った。緑谷の無事も確認でき、反省会もある程度終わり、少しの雑談をし終えて解散となった。頼光は右手の包帯を見て、轟との一戦を頭に再生しながら、帰路についた。その表情はどこか面白そうに笑う笑があった。