404 in Yharnam   作:瑞狐仙

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眠り、そして目覚め

 カリカリとペンを走らせる音だけが響く指揮官室。

 そこに突然、ブリーチングするかのような勢いで扉が開かれ、見知った顔が突入してくる。

 

「指揮官様! 緊急事態です!」

「んぉあ、カリーナか。今までどこにいたんだ? 報告書はもう書きあがったのか? ならば追加で」

「それどころではないんですよ!」

 

 彼女の焦り様にようやく顔を上げ、視界の中央に彼女を捉える。

 

「鉄血の連中が現れたか?」

「いえ、ヤツらではないんです」

 

 他にはないだろうと、そう予想したが、どうやら違うらしい。いや、そうであれば既に警報が鳴っていておかしくはないか。

 一度呼吸を整えて、カリーナが口を開いた。

 

「404小隊が、目覚めないんです」

「目覚めない? どういう事だ?」

 

 G11ならいつも寝ているだろうが、まさか416やUMPまでもがか?

 疑問に答えるように彼女が続ける。

 

「次の作戦のブリーフィングに、いつまで経っても404小隊の面々が現れなかったので、宿舎に訪れたんです」

「そしたら皆、電源が落ちたようにベッドで目を閉じていて」

「ふむ、確かに異常事態だな。修復室には送ったのか?」

「はい、すでに手配済みです」

 

 流石だ。

 

「とりあえずこの眼で確認したい。今すぐ向かおう」

「了解しました」

 

 

 

 

「ふーむ、こりゃどうなっているんだ?」

「どれだけ声をかけても全く反応がないらしいんです」

 

 カリーナと共に404小隊の元へ到着した。

 何度か呼び掛けたり、揺すってみるが、いずれも反応が無い。

 これには首を傾げざるを得ない。

 

「……416は白か」

「指揮官様!」

 

 おっと、傾げすぎてしまった。

 首を位置を戻していると、背後から扉が開き、誰かが入ってきた。

 

「指揮官、ウェルロッドマークⅡです。報告があります」

「おお、ウェルロッドか いつもご苦労様」

「恐縮です」

 

 相も変わらず背筋の良い彼女は、それが生来の気質なのだろう。

 副官としての経験もある程度有していて、よく仕事を手伝ってもらっている。

 

 そして今もなおベッドで目を開かない人形達に視線を促しつつ、ウェルロッドに聞く。

 

「ところで、報告というのは彼女たちの事か?」

「はい。先ほど404小隊のメンタルデータが測定出来たのですが」

「ふむ」

「それによると、全員、目覚めているときと同様のパターンを示しているのです」

「ふむ?」

 

 ますます意味が解らなくなってきた。

 

「ただG11だけは、時折睡眠時と同様のパターンを示してはいますが」

 

 目を覚まさず、まるで何かを見ているようにメンタルが反応している……

 それではまるで……

 

「信じがたいですが……404小隊は、夢……を見ていると推測、されます」

「夢……人形が……」

 

 聞いた事が無い。確かに眠る人形はいるが、夢を見たという話は今までに聞いたことが無い。

 

「人形が夢を見るのですか? 私は聞いたことありませんよ、指揮官様」

「俺もだ、それに夢を見ているにしても全く目覚めないのはおかしいだろう」

 

 カリーナも同じ考えのようだった。夢を見る人形。

 思考を巡らせていると、ウェルロッドから質問があった。

 

「あの、指揮官、質問があるのですが」

「なんだ? ウェルロッド」

「夢を見る、とはどのようなものなのでしょうか」

 

 意外な質問だった。

 経験豊富な人形であるが、それでも知らない事は知らないか。

 

「そうだな……実際に説明するとなると難しいな」

「夢を見ている時は、大体の場合それが夢とは気づかないし、いつもの日常を見ることもあれば、実際にはありえない光景を見ることもある。例えば416とM16が一緒に同衾しているとかな」

「不思議な感覚ですよねー。朝起きて時計をみて、遅刻した! って跳び起きたら、それが夢で、逆にいつもより早い時間に目が覚めた、なんて事もありますし」

 

 俺とカリーナの話に、珍しく興味深く聞き入っているウェルロッドが新鮮に見えた。

 こんな表情もするんだな。

 

「なるほど、ありがとうございます」

「いや、うまく説明できなくてすまん」

「大丈夫です。それは私は引き続き彼女たちの様子を見ておきます」

 

 失礼します。とウェルロッドは部屋を後にした。

 

「夢……見てみたいです……」

 

 去り際に何かつぶやいていたようだが、よく聞こえなかった。

 さてどうしようか。

 

「このままここにいても、私たちにできることはなさそうですし、一度戻りましょうか? 指揮官様」

「そうしよう。次の作戦も立て直さないとな」

 

 俺たちも指揮官室に戻ることにした。

 404がどのような夢を見ているのか、考えながら。

 

 

 

 

 ぱちくりと、唐突に目が覚めた。

 身体が妙に重い。まるでずっとその態勢でいたかのように。

 

「ん、少し休みすぎたかしら」

「45、今何時?」

 

 既に準備をすませ、そこにいるであろう隊長に問いかけながら身体を起こし、

 

 

 そこでようやく、異常に気付いた。

 

「なによココ……」

 

 視界にあったのは、薄暗く知らない場所だった。

 明らかに自分がいた宿舎ではなく、それどころかこんな部屋はグリフィンでは見たことが無かった。

 現状に戸惑っていると、 

 

 ゴッ

 

「キャッ」

 

 自分が寝ていたベッドの真下すぐ右で鈍い音がして、驚いてしまった。

 それはG11だった。

 

「もう、驚かさないでよ……ほら起きなさい」

 

 ゴッ

 

「ぷぎゃっ だから蹴らないでって言ってるじゃん……」

「忘れてなかったらそうするわ。それより寝ている場合じゃないわよ」

「んんぅ……あれ、ここどこ?」

「わからないわ、とにかく45と9は……」

 

「ここにいるよー」

 

 部屋の暗がりからニュッと9の姿が現れる。

 続いてその後ろから9と瓜二つの顔も現れた。

 

「キャッ だってさ9、聞いた?」

「もちろん! 不安だったんだねぇ」

「あんたたち……」

「え、416がそんな声出してたの? 聞きたかったな~」

「聞かなくていい!」

 

 迂闊だった、と同時にニヨニヨしているUMP姉妹に怒りが湧く。

 しかし状況があまりに不明な今、それどころではないのが救いだった。じゃないと忘れてくれなさそうだったから。

 

「……ハァ。とにかくそんなことよりも何がどうなっているの、45」

「どうなっているんだろうね~」

「…………」

「まぁまぁ、45姉でも解らないみたいだし、とりあえず外に出てみない?」

 

 妥当な提案だった。しかし45でも把握しきれていない事にやや不安を覚えた。

 

「じゃあ、私はここで待ってるね、416」

「寝ないの、あんたも来るの」

「えぇ~」

 

 

 

 




この先、未定。
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