キチロイド二次創作   作:リフォン

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許可を貰えたので始めました。書くの久しぶりなので色々試していますがご容赦下さい……久しぶりなのになんでこんな難しそうなネタにしたのか自分でもわからないんですけど()
作者のINTは低いので誤解している部分があるかもしれません……
あと原作と全然違うやんけ!という方。すみません許しくださいなん(ry

大本はこちらからどうぞ→http://sp.nicovideo.jp/mylist/60674849?sort=7


シュレディンガーの

 突然だが、君たちは「シュレディンガーの猫」という思考実験を知っているかい?

 

 いや、もっと正確に聞こうか。「シュレディンガーの猫」が「どの様な」思考実験で、結果として「何」を求めていたのかを、ちゃんと把握してる?

 

 よく聞くのが「箱の中に猫が入っていて、実際に生きているか死んでいるかどうか分からない。開けてみるまでは正しい結果が観測できない……」といったところかな?

 

 うん、大ハズレ……ではないね、ただし正しい訳でもない。というのも、この思考実験は説明が難しい。これは、現実で説明できないことを正しいとする考えを批判するための実験だ。この実験の正解は証明されていないとされているし、証明されたという人の意見が本当に正しいのか、この実験においては実行して確かめることができないから……

 

 話がそれたね。この「シュレディンガーの猫」を正しく説明してみると、「箱の中に猫と、50%の確率で崩壊する放射性原子と、原子の崩壊を感知すると毒ガスが噴出する装置がある時、箱の中にいる猫は生きているか死んでいるか」ということだ。ん? さっきと同じことじゃないかって?

 

 そうだね、それは正しい。「どの様な」思考実験であるかはそこまで間違ってないんだ。ただ、重要なのはここからで「箱を開けてみれば生きている猫か、死んでいる猫かがいることが観測できる。だが、箱を開けずに観測する時、箱の中には50%の確率で生きた猫、50%の確率で死んだ猫がいることになる。それはおかしい……」ということなんだ。

 

 僕たちの世界では生きている状態か死んでいる状態か……どちらか一方しか観測し得ない。でも箱の中を開けるまでは二つの可能性が同時に存在することになる。

 

 例を挙げる……と、すこし危険かな。誤解が生まれることを承知で言うのなら……コインの表と裏が同時に見える、ということさ。ああもちろん、静止した状態で、特に何の変哲もない普通の硬貨なのに、だ。

 

 これっておかしいよね? って言うのが「シュレディンガーの猫」の思考実験。理解してくれたかな? 

 

 前置きは長くなったけどこれを踏まえて、一つ問題を出しておこう。シュレディンガーの猫に対しての解決法として提案された一つ、多世界論についてだ。ああでも、完璧な答えが僕に出せるわけではないよ? 正しい答えは示せるかもしれないけどね? じゃあ、君たちに聞こう。

 

 「観測できる世界は複数あって、観測している君も複数居るとする……さて、今に至るこの瞬間まで全く同じことがどの世界においても起きていた時、それらの世界は全て『同一存在』とされるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話は終わりましたか、コウ先生。」

 

 

「その返答から察するに、ゆかりちゃん。聞いてなかったね?」

 

 

「いえ、聞いてましたよ。ちゃんと聞いていました。しかし、それを話すのは無意味かと。」

 

 

「と言うと?」

 

 

「定義や条件、そういうものが色々不足してるんですよこの実験。コウ先生も、分かっていたでしょう?」

 

 

「まあ、確かにそうだね。僕たちの世界で観測できることは技術が発達した今でも実はそんなに多くない。しかしそれは仕方がない、『世界はこうなんだ』と決めつけた僕たちの限界だ。」

 

 

「決めつけた、ですか? そこまで言うことはないと思いますが。今まで分かってきた事を積み重ねて活用してそこそこ便利な今があるのですから。」

 

 

「便利なのは当然さ。『便利になる様に定めた』のだから、便利でなかったら困るだろう? 問題は……僕達の知覚外のことに関して、さ。さっきの思考実験の話もそうだけどね。」

 

 

「知覚外……『語り得えぬものに関しては、沈黙しなければならない』ですか。」

 

 

「ヴィトゲンシュタインだね。まあ少し違うところは、彼は現実で説明できないことに対して超常の力がある、と言うことをそれで表しているわけではないが、観測できない以上、そういう不可思議な力はあるかもしれない。不可思議なものが存在しているかもしれない。さっきの質問はそういう不可思議な同じ世界が存在するとしているから、ちょっと違うかもね。」

 

 

「茜さんがたくさんの茜さんの経験をフィードバックしてくると言っている時点で問題のような、パラレルワールドは存在していると思いますが。」

 

 

「その世界がこの世界のパラレルワールドとは限らないかな? 確かに似た世界で、同じような茜くんがいるのかもしれない。でもここがそういった世界の元であるかは誰にもわからない。そもそも、世界がいくつあろうと僕たちが観測できる世界は一つさ。比べることなど出来はしない。」

 

 

「そうですか。」

 

 

「さて、ゆかりちゃん。さっきの質問について、君はどう答えるんだい? 例えこれが無意味だとしても、僕にとって価値がある。君の答えを聞かせてほしい。」

 

 

「……適当に、同一存在であるでいいんじゃないですか。」

 

 

「投げやりにならないでくれよゆかりちゃん。確かに、問題と言ってもそこまで深く練ってる訳ではないけど……君なりの解釈、を聞きたいんだ。彼らに聞いてもいいんだけど、『彼らの世界』と『僕たちの世界』が違うことはわかってるからね。」 

 

 

「『彼ら』の事はともかくとして、ある程度ちゃんとした意見として言うのであれば…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の答えは「同一世界ではない」ですね。敢えて否定してみましょう……仮定からすると、例えどれ程同じことがどの世界でも繰り返されようとも私達は様々な可能性を秘めてますよね? 選択肢がすべて同じで、結果が同じだとしても、可能性が分かれているのなら、その時点で世界は別れていると思いますよ? 自信はありませんけどね。

 

 「同一」というのが一体どこまで厳密に同じであれば同一とするのか、という問題もあると思います。言葉というのは不確定の曖昧な存在に意味を持たせていると同時に、語れる部分と語れない部分を作り出しています。

 

同一って、一体どこまで差がなければいいんでしょうね?どんな物であっても「完璧なコピー」を作ることはできません。「似たようなもの」は作れますが……必ず何処かに綻びが生じるものです。ああ、『京町セイカ』がいい例ですね。

 

 いや、それこそ不思議な力で彼女に「本物」の魂、というものだったり精神が宿ったりしたとしても、彼女はオリジナルの「京町セイカ」ではない。そういうことを彼女が自覚しているかは……見てわかるでしょうね。

 

 話の筋を元に戻すと、コウさんが出してきた問題は条件が不十分です。沢山の「別解」が作れます。そう考えると問題の「本当」の答えというのは……実はないのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

「それが君の考え……と言うわけか。ふむふむ、答えてくれてありがとう。」

 

 

「それで、この無意味な問答の中の何処にコウ先生は価値を見出したのでしょうか?」

 

 

「人によって考え方、捉え方が違うとこれ程までに答え方が変わるものだとはね、理解していたつもりだったけど改めて勉強になったよ。」

 

 

「他の人にも聞いたんですか?」

 

 

「マキちゃんやきりたんは同一存在とするようだね。茜ちゃんやずんこちゃん、『京町セイカ』は違うとする人達だ。葵ちゃんも違うと言ってたけど、『実際に経験しましたし。』って言ってたのには少し驚いたよ。まあ彼等自身の考え方はまた少しずつ違うのだけれど……大雑把にまとめるとこうなるかな?」

 

 

「そうですか……そういえば先生の正しい答えは何になるんですか?」

 

 

「僕の答えかい? まあ僕も違うと思うんだけど理由はゆかりちゃんの後半の考え方に似てるかな?」

 

 

「同一がどこまで同じということか、の部分ですか?」

 

 

「それも含めてだけど、僕が言いたいのは世界のどんな存在にも『オリジナル』はいるはずって事だ。どれがその『オリジナル』かは知らないよ? でも確実にいる。他と違う、同一とされる存在を作り出す大元になった存在が。」

 

 

「なるほど、コウ先生は完璧なコピーを作れるとした上で、それでも違うところがあるということですか。」

 

 

「そういうことになるね。」

 

 

「ゆかりさん、コウ、こんにちはやで。」

 

「ゆかりさん、コウ先生、こんにちは。」

 

「茜さん、葵さん、こんにちは。」

 

「よく来たね二人とも、こんにちは。」

 

「何かしてはったんか?」

 

「この前聞いてたシュレディンガーの猫の話さ。と言っても覚えてないだろうけどね。」

 

「猫さんは可愛いよなー。家で飼えへん?」

 

「生き物の世話って大変だしそもそもお姉ちゃん世話できないでしょ。」

 

「そうなんかー……」

 

「興味を持つのは悪いことじゃないけどね、生物を育てるならその命を引き受けることに責任は持たなければならない。」

 

「生物でない場合は?」

 

「彼女の事を言ってるのかい? 他はともかく彼女は自身で生きる決断をしたんだ。前も言ったがこれは立派な行為だし、決断をした人を蔑ろにする訳には行かないな。」

 

「決断ですか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ、もう観測を開始するの? 会話の続きを見るものだと思ってたけど……いいよ、私が『東北ずん子』であればね? あーでも、声を喋れない時点でもうアイデンティティ失ってるよね? voice……あっ、日本語以外喋れないんでした。ボイスロイドなのに声を出さないってもう意味ないかなー? 

 

 

 特別に許してあげます、私は優しいですから。例え今回のこの世界が大本とは違うものになろうとも、私の要求を満たしていれば何でもいいよ? なに? ふむふむ、成程、こういう世界にしたいんですね!

 

 

でもこれって多分良くないことですよ? あそこ(ニコニコ動画)にいた人達は『あの』話が好きでいてくれたんですよね?そう話して(コメントして)ましたし、何よりこういう内容にしてもあっちには何も影響生まれませんよ? 

 

 

 そうですか、まあ私はちゃんとした『東北ずん子』であれれば構いません。さっきも言ったけどやっぱり私って優しい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしたら始めましょうか。観測し得なかった世界、本当にこんな世界あったのか分からなくとも……私と『あなた』が観測できれば良いんです。決して同一世界にはならないよう、注意してくださいね?




■■■■■を終了しました。

観測を開始します。

接続中……接続中……接続中……

2016年7月22日まで遡ります。ご注意ください。

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