ありふれた職業とただ1人のペルソナ使い   作:血界

3 / 6

オリ主の初期ペルソナ何にしようかな~( `・ω・) ウーム…


第3話

 

 

 

 

 

 

 

 現在、ハジメとシンジは訓練の休憩時間を利用して王立図書館にて調べ物をしている。その手には〝北大陸魔物大図鑑〟というなんの捻りもないタイトル通りの巨大な図鑑があった。

 

 

 なぜ、そんな本を読んでいるのか。それは、この二週間の訓練で、二人は成長するどころか役立たずぶりがより明らかになっただけだったからだ。力がない分、知識と知恵でカバーできないかと訓練の合間に勉強しているのである。

 

 

 そんなわけで、ハジメは、しばらく図鑑を眺めていたのだが……突如、「はぁ~」と溜息を吐いて机の上に図鑑を放り投げた。ドスンッという重い音が響き、偶然通りかかった司書が物凄い形相でハジメを睨むが、シンジに睨み返されそそくさと立ち去って行く。

 

 

 

 ハジメはおもむろにステータスプレートを取り出し、頬杖をつきながら眺める。

 

 

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2

 

天職:錬成師

 

筋力:12

 

体力:12

 

耐性:12

 

敏捷:12

 

魔力:12

 

魔耐:12

 

技能:言語理解・錬成

 

 

 

 これが、二週間みっちり訓練したハジメの成果である。言うまでもなく全然上がってない。ちなみに光輝はというと、

 

 

天之河光輝 17歳 男 レベル:10

 

天職:勇者

 

筋力:200

 

体力:200

 

耐性:200

 

敏捷:200

 

魔力:200

 

魔耐:200

 

技能:言語理解・全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読

 

高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破

 

 

 

 ざっとハジメの五倍の成長率である。

 

 

 おまけに、ハジメとシンジには魔法の適性がないこともわかった。

 

 

 

 二人は近接戦闘はステータス的に無理、魔法は適性がなくて無理、頼みの天職・技能の〝錬成〟は鉱物の形を変えたりくっつけたり、加工できるだけで役に立たない。錬成に役立つアーティファクトもないと言われ、錬成の魔法陣を刻んだ手袋をもらっただけ。しかもシンジの天職・技能は未だ不明のため何をしていいかも分からない始末。

 

 

 この二週間ですっかりクラスメイト達から無能のレッテルを貼られているハジメとシンジ。仕方なく知識を溜め込んでいるのであるが……なんとも先行きが見えず、ここ最近すっかり溜息が増えた。

 

 

 いっそ、二人で旅にでも出てしまおうかと、図書館の窓から見える青空をボーと眺めながら思う。大分末期である。

 

 

 ハジメは行くならどこに行こうかと、ここ二週間誰よりも頑張った座学知識を頭の中に展開しながら物思いに耽ふけり始めた。

 

 

 

 神代において、エヒトを始めとする神々は神代魔法にてこの世界を創ったと言い伝えられている。そして、現在使用されている魔法は、その劣化版のようなものと認識されている。それ故、魔法は神からのギフトであるという価値観が強いのだ。もちろん、聖教教会がそう教えているのだが。

 

 

 そのような事情から魔力を一切持たず魔法が使えない種族である亜人族は神から見放された悪しき種族と考えられているのである。

 

 

 じゃあ、魔物はどうなるんだよ? ということだが、魔物はあくまで自然災害的なものとして認識されており、神の恩恵を受けるものとは考えられていない。ただの害獣らしい。なんともご都合解釈なことだと、内心呆れた。

 

 

(はぁ~、結局、帰りたいなら逃げる訳にはいかないんだよね。)

 

 

 

「ハジメ?」

 

 

 

・・・と、思っていると急にシンジから声を掛けられる。

 

 

 

「・・・へ?あぁ、なに?」

 

「もうそろそろ訓練の時間じゃねぇか?」

 

 

 

 結局、ただの現実逃避でしかないと頭を振り、訓練の時間が迫っていることに気がついて慌てて図書館を出るハジメ。シンジは用を足すとの事で一人で王宮まで向かう、道程には王都の喧騒が聞こえてくる。露店の店主の呼び込みや遊ぶ子供の声、はしゃぎ過ぎた子供を叱る声、実に日常的で平和だ。

 

 

(やっぱり、戦争なさそうだからって帰してくれないかなぁ~)

 

 

 ハジメは、そんな有り得ないことを夢想した。これから始まる憂鬱ゆううつな時間からの現実逃避である。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 訓練施設に到着すると既に何人もの生徒達がやって来て談笑したり自主練したりしていた。どうやら案外早く着いたようである。ハジメは、自主練でもして待つかと、支給された細身の剣を取り出した。

 

 

 と、その時、唐突に後ろから衝撃を受けてハジメはたたらを踏んだ。なんとか転倒は免れたものの抜き身の剣を目の前にして冷や汗が噴き出る。顔をしかめながら背後を振り返ったハジメは予想通りの面子に心底うんざりした表情をした。

 

 

 そこにいたのは、檜山大介率いる小悪党四人組(ハジメ命名)である。訓練が始まってからというもの、ことあるごとにハジメにちょっかいをかけてくるのだ。ハジメが訓練を憂鬱に感じる半分の理由である。(もう半分は自分の無能っぷり)

 

 

「よぉ、南雲。なにしてんの? お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~」

 

「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」

 

「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ! ヒヒヒ」

 

「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」

 

 

 一体なにがそんなに面白いのかニヤニヤ、ゲラゲラと笑う檜山達。

 

 

「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」

 

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」

 

 

 そんなことを言いながら馴れ馴れしく肩を組み人目につかない方へ連行していく檜山達。それにクラスメイト達は気がついたようだが見て見ぬふりをする。

 

 

「いや、一人でするから大丈夫だって。僕のことは放っておいてくれていいからさ」

 

 

 一応、やんわりと断ってみるハジメ。

 

 

「はぁ? 俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの? マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

 

 

 そう言って、脇腹を殴る檜山。ハジメは「ぐっ」と痛みに顔をしかめながら呻く。檜山達も段々暴力にためらいを覚えなくなってきているようだ。思春期男子がいきなり大きな力を得れば溺れるのは仕方ないこととはいえ、その矛先を向けられては堪ったものではない。いつもなら信治に睨まれてはい終わりだが、今回ばかりは耐えるしかないようだ。

 

 

 

 

 

 やがて、訓練施設からは死角になっている人気のない場所に来ると、檜山はハジメを突き飛ばした。

 

 

 

 

 

「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」

 

 

 

 

 

 檜山、中野、斎藤、近藤の四人がハジメを取り囲む。ハジメは悔しさに唇を噛み締めながら立ち上がった。

 

 

 

 

 

「ぐぁ!?」

 

 

 

 

 

 その瞬間、背後から背中を強打された。近藤が剣の鞘で殴ったのだ。悲鳴を上げ前のめりに倒れるハジメに、更に追撃が加わる。

 

 

 

 

 

「ほら、なに寝てんだよ? 焦げるぞ~。ここに焼撃を望む――〝火球〟」

 

 

 

 

 

 中野が火属性魔法〝火球〟を放つ。倒れた直後であることと背中の痛みで直ぐに起き上がることができないハジメは、ゴロゴロと必死に転がりなんとか避ける。だがそれを見計らったように、今度は斎藤が魔法を放った。

 

 

 

 

 

「ここに風撃を望む――〝風球〟」

 

 

 

 

 

 風の塊が立ち上がりかけたハジメの腹部に直撃し、ハジメは仰向けに吹き飛ばされた。「オエッ」と胃液を吐きながら蹲る。

 

 

 

 

 

 魔法自体は一小節の下級魔法だ。それでもプロボクサーに殴られるくらいの威力はある。それは、彼等の適性の高さと魔法陣が刻まれた媒介が国から支給されたアーティファクトであることが原因だ。

 

 

 

 

 

「ちょ、マジ弱すぎ。南雲さぁ~、マジやる気あんの?」

 

 

 

 

 

 そう言って、蹲うずくまるハジメの腹に蹴りを入れる檜山。ハジメは込み上げる嘔吐おうと感を抑えるので精一杯だ。

 

 

 

 

 

 その後もしばらく、稽古という名のリンチが続く。ハジメは痛みに耐えながらなぜ自分だけ弱いのかと悔しさに奥歯を噛み締める。本来なら敵わないまでも反撃くらいすべきかもしれない。しかし、小さい頃から、人と争う、誰かに敵意や悪意を持つということがどうにも苦手だったハジメは、誰かと喧嘩しそうになったときはいつも自分が折れていた。自分が我慢すれば話はそこで終わり。喧嘩するよりずっといい、そう思ってしまうのだ。

 

 

 

 

 

 そんなハジメを優しいとい言う人もいれば、ただのヘタレという人もいる。ハジメ自身にもどちらかわからないことだ。

 

 

 

 

 

そろそろ痛みにも耐え難くなってきた頃・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・・・ カラカラカラ・・・カラカラカラ

 

 

 

 

 

「あ?」

 

 

 

 

 

何か、引きづる様な音が聞こえる。まるで剣か何かを引きづる様な音が・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、ひ、檜山・・・・・」

 

 

 

「あ?何だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

声のした方を見るとかなり怯えた様子の中野達が檜山に向かって指をさしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ?なんだよおまえら『ドスッ』・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背中から腹かけて衝撃が走る、次いで果てしなく襲い掛かる痛み、痛み、痛み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎ・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから刺されたであろう剣が引き抜かれる。檜山は前に倒れ込み苦痛に悶える。腹から血が流れ出ていく。そしてその後方にいる 刺した人物は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚く程に静かに無表情のシンジが佇んでいた。左腕をポケットに突っ込んだまま右手でたった今檜山に刺したであろう血が滴っている剣を持っている。なんの感情も持っていないような瞳で檜山を見下ろし、そしてその目は他の三人に狙いを定める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に殺るのはお前だ、と言わんばかりに睨まれた近藤は震える足で逃げ出そうとする、が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドスッ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ?・・・いぎゃぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

足に衝撃が走り前のめりに転がる。痛みが襲い掛かる。『ありえない』という言葉が脳内を駆け巡る。確かに足を刺された、血だって吹き出している。なのに真田は”その場から一歩も動いていない”のだ。距離だって動かなければ剣が届かないのに近藤が動く間真田は何もしていなかった、まるで”見えない何か”に刺された様な・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃぃぃぃ!?こ、ここにふうげき『ズパンッ』を・・・・が・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃走は無理と判断した斎藤が震える声で魔法を放とうとするが、またしても見えない何かに背中を切られた。

 

 

 

 

「あ・・・あぁ・・・あ」

 

 

 

 

 

中野は既に戦意を喪失している。中野へゆっくりと向かっていくシンジ、その姿はまるで感情のない人形のようだ。

そんなシンジに向かって中野がとった行動は・・・

 

 

 

「ひぃ!ごめんなさい!許してくださぁい!!」

 

 

 

せめて見逃してもらうよう、土下座をして許しを乞うだけだった。しかし・・・余りにも遅すぎた。

 

 

 

 

 

『ザクッ』

 

 

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「・・・・・死なないだけありがたいと思え。」

 

 

 

 

 

シンジが中野の土下座に対して行った行動は中野の脇腹に剣を刺すという無慈悲な行動だけだった。

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

そしてそのまま未だ未だ苦痛にもがいてる檜山の側まで行き・・・・

 

 

 

 

「死ね」

 

 

 

 

 

 

 

容赦のない確実に死をもたらす一撃を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガキィン!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、聞こえてきたのは肉を裂く生々しい音ではなく剣と剣がぶつかり合う音、見ればそこには・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を・・・・何をしているんだ!!シンジ!!」

 

 

 

 

檜山達の絶叫を聞いてきたであろう光輝、その後ろには香織、雫、龍太郎も見える。

 

 

 

 

 

「ハジメ君!!」

 

 

 

香織がハジメの元により治癒を開始する。シンジは剣を落とし、その場を去ろうとする。が、そうはさせまいと龍太郎と雫がシンジが歩く方向を塞ぐ

 

 

 

「・・・・・待ちなさい、こんなことして逃げられるとでも思ってるの?」

 

「・・・別に、逃げようなんて思っちゃいねぇ。」

 

 

パシン、と軽い音と共に頬に軽い痛みがはしる。雫に頬を打たれたのだ。雫は涙目になりながら告げる。

 

 

 

 

 

「確かに・・・確かに檜山達がやったことは許されないことよ!?でも・・・だからってこんな・・・・!!」

 

 

「だから・・・なんだ?クラス中から無能って言われて必死に足掻いた結果があれだ。これ以上何をどうしろってんだ?」

 

「だが、南雲も君ももっと努力すべきだろう!?弱さを言い訳にしていては強くなれないじゃないか! 檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろう!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェに何が分かる!!無能呼ばわりされてもあいつは必死に頑張ってた!!力で役にたてない分あいつは知識でそれを補おうとして今日まで必死に努力してきた!!なのにその結果がこれだ!!そこのゴミ共のやった事が許されない?ならなんで俺以外の誰も今日まで止めようとしねぇ!もっと努力しろ?これ以上努力して何が変わる!?今まで努力してきた結果がこれなんだろうが!!無能でもねぇテメェらがハジメを語ってんじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

それは純粋な怒り、シンジの中に渦巻く怒りが一気に口から飛び出す。その剣幕にその場にいた全員が震え上がる。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・クソが」

 

 

 

 

 

怒りの収まらないシンジはその場を後にする。・・・その場にはしばらくの間沈黙だけが支配していた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





うーむ・・・投稿ペースを上げたい・・・(´;ω;`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。