申し訳ございません。すっごく遅れました(´;ω;`)
「・・・・・・・はぁ」
これで何度目のため息だろうか、シンジは今訓練をサボって絶賛ハジメとの共同部屋に引きこもり中である。理由は訓練前にあんなことををしてしまったからである。と言っても訓練ももうそろそろ終わる時間帯なのでハジメも帰ってくるが。
ガチャ
噂をすれば、である。扉の方を見やると少々困り顔のハジメが部屋に入ってくる。
「あ・・・シンジ」
「・・・・おう」
謝ろうと思ったが言葉が頭の中を駆け巡るだけで口から出ていかない。気まずい雰囲気が流れる。するとそこへ
「おう、やっぱりここにいたか」
「・・・メルド団長?」
扉を豪快に開け放ちメルド団長が入ってきた。
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「聞いたぞ?お前が訓練をサボった理由」
現在、シンジはメルド団長と共にベンチに座っている。まぁ、そんなとこだろうなとシンジも思った。いくら一悶着あったとはいえサボりはサボり。どんなペナルティでも我慢するか、とシンジも腹を括る。
「あー・・・すんませんでした」
言い訳をする気もないので取り敢えず謝る。拳骨でも飛んでくるかと思いきや何故かメルド団長も頭を下げている。
「いや、謝罪を求めてる訳じゃない。寧ろ俺の監督不届きでもある、こちらこそすまんかったな。」
「いや、あんたのせいじゃ・・・・」
「いや、お前とハジメのことを気づいてやれなかった俺にも責任はある。本当に済まなかった。」
メルド団長が深々と頭を下げる。この人いい人すぎやしないか?と思ってしまう。まぁ、実際かなりいい人なのだが。
「・・・取り敢えず、俺もハジメももう気にしてないっスから頭、上げてください。」
「そうか・・・よし!湿っぽいのはこれで終わりだ!」
メルド団長はいつもの調子に戻った。やはりこういう時の明るい人というのは心の助けになるものだ。などと思っていると・・・
「あぁ、もう一つお前に用があってな。まぁこっちが本題みたいなもんだが。」
「なんすか?」
こっちが本題というのはどういうことだろうか、メルド団長は「ついて来い」と言うとズンズン歩いていく。黙ってついて行った先には・・・
「・・・此処は?」
そこは王宮の地下にある部屋、随分と物々しい扉がある。メルド団長が”ギィィィィィ・・・”という音と共に扉を開けるとそこには・・・
「こいつぁ・・・武器庫っすか?」
「あぁ、明日から実践訓練の一環でオルクス大迷宮に遠征に行くことは知ってるな?お前の場合天職も技能も分からんからな、他人で選ぶよりも自分で使いやすい武器を選んだほうがいいだろ?この中から好きな武器を選ぶといい。」
そこはアーティファクトの宝物庫だった。シンジはまだ天職も技能も判明していないので他の人間達もどんなアーティファクトにするか悩んでいたため、”自分で決めさせれば良いんじゃない?”というなんとも自分にとってはありがたい提案だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
武器を一つ一つ見ていく。と言ってもシンジはお綺麗な剣術が使えるわけでもないし、ステゴロをする気もないので、ハンマーの様な鈍器がいいなと思い探していると・・・
「・・・おぉ、あったあった」
「ほぅ、戦鎚か・・・」
そこにあったのは、戦闘のためだけに作られたハンマー、先端部分もかなり尖っておりまさに戦鎚と呼ぶに相応しい造形をしていた。重さは自分のステータスに合わせて軽めのものを選んだので殺傷力は落ちるがそれでも無いよりかはマシだと思いつつ、メルド団長と宝物庫で別れ、部屋に戻る。
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シンジ達は、メルド団長率いる騎士団員複数名と共に、【オルクス大迷宮】へ挑戦する冒険者達のための宿場町【ホルアド】に到着した。新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、そこに泊まる。
久しぶりに普通の部屋を見た気がするハジメはベッドにダイブし「ふぅ~」と気を緩め、シンジはベッドに座って欠伸をする。明日から早速、迷宮に挑戦だ。今回は行っても二十階層までらしい。
しばらく、借りてきた迷宮低層の魔物図鑑を読んでいた二人だが、少しでも体を休めておこうと少し早いが眠りに入ることにした。しかし、二人がウトウトとまどろみ始めたその時、睡眠を邪魔するように扉をノックする音が響いた。深夜にあたる時間。怪しげな深夜の訪問者に、誰だ?と顔を合わせる二人。
「南雲くん、起きてる? 白崎です。ちょっと、いいかな?」
なんですと? と、一瞬硬直するも、ハジメが慌てて扉に向かう。そして、鍵を外して扉を開けると、そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織が立っていた。ハジメは、慌てて気を取り直すと、なるべく香織を見ないように用件を聞く。いくらリアルに興味が薄いとはいえ、ハジメも立派な思春期男子。今の香織の格好は少々刺激が強すぎる。
「・・・・あ・・・」
「・・・・・」
そこで香織はようやくシンジに気が付いたのか、少し怪訝そうな表情になる。大方あの訓練前の惨劇を思い出しているのだろう。
「・・・あー、悪いなハジメ。少し夜風に当たってくる」
「え?あぁ、うん」
そう言って部屋を後にする、白崎が終始無言で此方を見ていたがとくに話すこともないのでそのままホルアドを少し散歩しながら公園を見つけたので公園の一角にあるベンチに腰を下ろしぼーっと月を見ながらいつの間にか手には(ポケットにいつも入れていた)S.E.E.Sというロゴが刻まれた玩具の拳銃を握っている。
この拳銃は亡き親の形見らしいのだが、親はシンジがまだ3歳の時に死んだらしく、シンジは親の顔すら知らないのである(といっても中学2年の時に記憶を失ってしまっているので思い出そうにも思いだせないのだが。
ちなみに元の世界日本では親戚の家を転々として行き今はゲーム会社で働いている、
暫くそのまま座り込んでいるとこちらに近づいてくる足音が聞こえてくる。見やるとそこには・・・
「こんな時間に何してるの?」
「・・・・八重樫?」
もう深夜だというのに八重樫はここで何をしているのだろうか?”刀”を帯刀して。
「こんな遅せぇ時間に何してんだ?もう寝る時間過ぎてんぞ?」
「貴方こそこんな時間に何してるのよ?お月見ってわけでもないでしょう?」
「・・・・寝ようとしたら白崎がアポ無し訪問してきたんでな・・・やっこさん、部屋にはハジメしか居ないとでも思ったらしい。まぁ、要するに居心地悪くなってでできただけだ。」
「・・・あー、またあの子は・・・・」
八重樫は頭に手を当てて”やれやれ”といったポーズをする、そういえば二人は同室だったか?などとどうでもいいことを思う。
「・・・・で?お前さんはこんな時間になんか用か。帯刀してんだ、録な用事でもねぇんだろ?」
「それは貴方も同じでしょ?・・・・へぇ~・・・それが自分で選んだっていう武器かぁ・・・」
そう、武器を持って出歩いているのは何も八重樫だけではない。シンジも何かと物騒だしなと思い自身の武器となった戦鎚を持ち歩いているのである。(寧ろ周りから物騒だと思われていることは気にしてはいけない)
「まぁな、切るだの、魔法使うだのは無理だし、剣術を知ってるわけでもねぇ。」
「!!・・・・・」
「・・・・・あ」
無言になる八重樫に対しシンジは”やっちまった”と思い天を仰ぐ、実は記憶が無くなる以前の話シンジは親戚の家をその頃から転々としていたらしく、八重樫家もその親戚の家の一つなので住んでいたときがあったらしい。しかも住んでいた時間としては一番長いらしく八重樫家の剣術も習っていたらしい。
また、光輝や龍太郎、白崎、雫とは八重樫家の元で暮らしていた頃に仲良くなったらしく高校で再開するのだがその時には既に記憶喪失だったため、四人はショックを受ける、中でも八重樫はかなりショックだったらしくその場で泣き崩れてしまった。
「・・・・あー・・・悪い、まだお前らのこと思い出せそうにねぇ・・・」
「・・・ううん、こちらこそごめんなさい。」
・・・妙な空気が流れる、かなり気まずい。何を話そうかと思っていると
「・・・よし!ねぇ、模擬戦しない?」
「何がよしかわからねぇが、模擬戦だと?なんでまた・・・」
「いいじゃない二人とも丁度武器があるんだし。それにこないだの訓練のこと、チャラにしてあげてもいいわよ?」
「・・・ステータス最底辺の奴に何を望んでるのかねぇ・・・まぁ、チャラにして貰えるんならいいか・・・」
仕方なしに、戦鎚を構える、見ると向こうは刀を正面に構えて準備万端である。
「・・・・行くわよ」
「・・・・来い」
八重樫が一瞬で目の前に現れる、”縮地”を使ったのだ。それを右に体を反らして紙一重で躱す。すると今度は振り向き際に刀を横一線に放つ。当然躱すのは無理なので戦鎚で防御する。が、流石に勇者パーティ一行の一人のステータスと役立たずのステータスでは天と地の差があり、鍔迫り合いは八重樫の勝利となる。
「チィッ!」
八重樫が放つ攻撃を右へ左へ交わし戦鎚で受け止める。がそれも押し切られる。
「躱すだけかしらッ!!」
「クソッ!」
まだ戦鎚の戦い方に慣れていないせいか100%の力を出し切れていない。途中で反撃してみるものの余裕で躱されてしまう。
「その程度かしらッ!!」
「・・・オォッ!!」
戦鎚を振り抜くがまたしても躱される。このままではジリ貧だしいっそ降参でもしようかと考えていると・・・
「・・・・ねぇ、やっぱり明日の迷宮には行くの?」
「・・・・あ?あぁ、行くけど・・・」
「・・・やっぱり貴方は街で待っていて貰えないかしら?」
「・・・・は?」
そんな突拍子もないことを八重樫が言い出す。
「それは、役立たずで無能だから・・・か?」
「違うわ!そうじゃない・・・・」
八重樫の顔を見る。八重樫はどこか悲しい表情をして語る。
「私は、誰一人欠けることなく日本へ帰りたい!!迷宮は魔物の巣窟よ。もし貴方やハジメ君が一人で取り残されたりでもしてしまったら・・・・」
それ以上は言わずに八重樫は俯いてしまう。言いたいことはわかる、少しでも死ぬ確率を減らそうと彼女も必死なのだ。だが、だからといってここで彼女の言葉を受け入れてしまえば今度こそクラスから王国から何をされるかわかったものでは無い。だから俺は彼女の言葉を・・・
「八重樫・・・・構えろ」
「・・・・え?」
彼女がこちらを見る前に戦鎚を振り下ろした。当てる気はないので戦鎚わ彼女の目の前に振り下ろされ、ドグシャアッ!!という音をたてる。彼女が驚いた様子で見ている。
「真田・・・・君?」
「八重樫・・・俺もハジメも降りる気はねぇ」
「!!」
「お前がすべきことは何だ八重樫?クラスメイト全員連れて帰ることだろう?だったら俺一人になんてかまけている暇はねぇはずだ」
「・・・私は・・・」
「・・・なぁ八重樫、もしもの時はお前が守ってくれなんて、無理難題を言う気はねぇ。お前は最前線で戦うんだからな。けどよ・・・守るはずのクラスメイトがあんな強い奴らばっか何だ、死ぬなんて思うか?」
「でも・・・」
「俺が言えたことじゃねぇが・・・・・俺もできる限り足掻く、だから俺もお前もできる限りのことをしてみようぜ?」
八重樫が俯いたまま、何かを考えている。やがて顔を上げるともうそこにはさっきまでの暗い表情は無くなっており。何処か吹っ切れた表情だ。
「うん、ありがと。吹っ切れたわ」
「そうかい・・・・ならいい」
「それで・・・まだ続ける?」
八重樫が刀を見せる。といってももう二人とも戦う気力も起きないのだが。
「いや、もういいだろ。明日は迷宮何だ、さっさと寝ようぜ?」
「ふふっそうね♪」
彼女は何処か楽しそうである。彼女がこちらを振り向いて・・・・
「今日は引きわけ見たいになったけど次は勝つわよ?」
「・・・・・ははっ、次があったらな」
こうして二人の夜は過ぎていった・・・・
次回、真田死す!デュエルスタンバイ!(死にません)