呪われた少年の暗殺ライフ   作:楓/雪那

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前回の奏、三輪、東堂に対する女子達の共通評価

奏…キレたら訓練の時より圧倒的に動きが速くなる。一番怒らせちゃいけない人。
三輪…カッコいい剣士のお姉さん
東堂…不良達壁にめり込んでたけど、喧嘩強い人なら誰でもできるのかと思えてきた。カルマとか。


全く関係ないけど、デレステの新キャラによる新曲「fascinate」がめちゃくちゃ良かったです。賛否両論ありますが、ちとせと千夜もよかったです。みんなも聴こ?


第13話:恋バナの時間

2日目夜 旅館

 

夕食と入浴も終わり、今は一階のゲーセンでゲームをしたり卓球したりとみんな自由に過ごしている。

 

俺はというと、何処にも混じらずコーヒー牛乳を飲みながら二階のベランダで夜景を眺めている。ホテルほどの高さはないが別に高層ビル群がある訳でもないから、京都の古い町並みを観るにはこれくらいがちょうどいい。高すぎるのも怖いし。

 

 

夜風が心地いいなぁ、なんて思ってると真下から何かが出てきた。なんか黄色くてデカイウネウネした…

 

「おーい、殺せんせー。何やってんのー。」

「にゅ?漣君ですか。」

 

何となく気になって声をかけてみた次の瞬間、殺せんせーは横にいた。

 

「漣君、改めて今日はありがとうございます。君のおかげで倉橋さんたちを無事に助けだせました。」

「別にいーよ。友達助けんのは当たり前だし。それに、殺せんせー1人でもどうにかなった事でしょ?」

「いいえ、磯貝君や渚君にしおりの事を教え、先生にすぐに連絡して探す場所を分担する。君の的確な状況判断と迅速な対応は素晴らしいものです。もし君の指示が無かったのなら先生が探す時間が増え、彼女たちは無事ではすまなかったかもしれない。決して先生1人ではどうにかできなかったです。」

「…仮定の話をするなら、俺の不祥事も浮かんできますけど。神崎さんがしおりをなくしたことからあんな事態が想定できたかもしれないし、京都に何度か行ったことのある俺がみんなに危ない場所を教えたくこともできたはず。しおりには事後対応ばっか書いてあったけど、事前対策だってできたんじゃないの?」

「それならそもそも先生の不祥事でしょう。先生は生徒を守る義務があります。みなさんが暴力を受け、誘拐された。それへの対策は教えておきましたが、本来起こさないようにすべきです。君がその責任を感じる必要はありません。」

「……」

「君は私の観察がメインの任務で来たから暗殺にはあまり積極的ではないと言っていましたね。けれど、暗殺とは別に彼らと壁を作っていませんか?」

「…気のせいだよー。ただ距離感があんま掴めないだけよー。俺としてはみんなと仲良くしたいしー。」

「ヌルフフフ、それなら問題ありませんよ。このクラスは既に君を受け入れていますよ。」

 

殺せんせー、やっぱり鋭いなぁ。俺、このクラスに来て嘘吐くの何回目だろ。

 

 

ところでずっと気になってるんだけど…

 

 

「それより殺せんせー、その身体に付いてるの、何?」

 

現在殺せんせーの胴体は巨大なナタデココみたいなものに包まれている。いつもの服は見えないし、帽子も被ってない。

 

「これですか?これ男湯のお風呂です。粘液で固めています。」

「…泡立ってんのは?ここ入浴剤禁止でしょ?」

「それも先生の粘液です。泡立ち良い上、ミクロの汚れも浮かせて落とせます。」

「便利っすね、ホントに。つーか服着ないで外歩くって変態?」

「ニュヤッ⁈違いますよ⁉︎中村さんたちが服の下はどうなってるのか覗いてきて…!」

「それで裸を見せないようにお湯を固めて、窓から外に脱出したと…。」

 

 

裸で外を闊歩するのと、生徒の前で裸を見せる教師、どっちがヤバイのかなぁ。

 

「…ん〜。殺せんせー、ちょっと待ってて。」

「にゅ?」

「誰も呼ばないから安心して〜。」

 

そう言うと俺は一階に行って、あるものを買って戻ってきた。

殺せんせーはいつのまにか浴衣に着替えていた。流石早いな、マッハ20。

 

「ホイっと。」

「これは…コーヒー牛乳ですか。」

「そうだよ〜。風呂上がりにはコーヒー牛乳って相場が決まってるんでね。それともフルーツ牛乳の方が良かった?」

「いえいえ、先生もコーヒー牛乳派ですねぇ。ありがたく頂きます。」

 

その後二人で乾杯をして殺せんせーは部屋に戻り、俺はまだしばらく外を眺めていた。

 

 

少し経った後、大部屋に戻ろうとした時カルマを見つける。

 

「おっ漣、これから部屋戻んの?」

「ああ、一緒に戻るか。…お前それ好きだな、煮オレ。美味いの?」

「美味いよー。」

 

そんなことを話しつつ部屋に行くと、みんなで何かアンケートみたいなことをやってた。気になる女子ランキング…なぁにそれ?

 

「お、何か面白そうなことやってんじゃん。」

「カルマに漣、良いところに来た。」

「お前らクラスで気になる娘、いる?」

「皆言ってんだ。逃げらんねーぞ。」

「…うーん、奥田さんかな。」

「お、意外。なんで?」

「だって彼女、怪しげな薬とかクロロホルムとか作れそーだし、俺のイタズラの幅が広がるじゃん。」

「…絶対くっつかせたくない二人だな。」

 

うーん、端的に言ってヤバそう。カルマのヤバさは今更感があるけど、奥田さんも潜在的なヤバさがあるんだよなぁ。本人はオドオドしてるから絶対自覚無いだろうけど。

 

「それで漣は?やっぱり倉橋か?」

「⁇なんで?」

「なんでって…クラス内の女子とだと一番仲良いだろ?」

「そうだけど…それで⁇」

「…漣さぁ、そもそもこのアンケートの意味分かってる?」

「そうなんだよね〜。気になるってどういうこと?俺以外お互いのこと結構知ってるはずなのに今更何が気になんの?」

「「「「( ゚д゚)」」」」

 

男子一同ありえないものを見る目を俺に向けてきています。カルマだけが呆れた顔をしています。何故でしょうか。

 

「…吉田、村松。時間稼ぎを任せた。」

「お…おう。」

「…ちっ、しゃーねーな。」

「なぁ漣、京都のおすすめの土産教えてくれや。」

「別に八ツ橋とか定番のものでいいと思うけど。」

「バッカオメェ、メーカーとかあるだろ。」

「まぁそうね…OK、下の売店行こうか。」

 

 

 

奏視点out

 

三人称視点in

 

 

吉田と村松が奏を誘導して部屋から出た後、残った男子達全員で会議が始まった。

 

「…どうする?あそこまで鈍いってか疎いなんて予想外だぞ。」

「平然とおんぶとかしてたけど、意識以前の問題だったとは…。」

「このままだと倉橋が報われねーぞ。」

 

なんと本人を除いた男子一同にまで奏への好意を知られていた倉橋であった。

 

「…いままでの様子を見る限り、ストレートに告白しても友達としてとしか受け取れなさそうだよなぁ。」

「逆杉野状態だな。」

「すげー不満なんだけど納得せざるを得ない…。」

「何か案があるやつ、いないか?」

「「「「……」」」」

「そもそもの認識を変えていくしかないんじゃないの?」

「カルマ君の言う通りだと思うな。この前英語の勉強してた時、漣君がlikeとloveの違いを聞いてきたんだけど、けっこうしっかり教えたつもりだったんだけど首90度くらい傾けてた。」

「もうあいつ重症だな。」

「女子の方とも協力頼んでみるか。」

「あの二人には早くくっついてほしいですからねぇ」

「確かにな〜。今の倉橋はいたたまれないし。」

「くっつけば漣イジるネタになるし。」

「ブレねーな、カルマ。」

「俺の事も心配してほしいんだけど?」

「杉野はまぁ仕方ない。」

「おい⁉︎」

 

男子の中で大まかな方針が決まり磯貝が片岡に相談メールを送った時、奏達が戻ってきた。

 

「ただいま〜。これ俺からの奢りのウサギ饅頭、みんなで食べよー。」

「お、サンキュ漣。」

「あれ、殺せんせーも交えて何の話してたの?」

「「「え?」」」

 

奏の一言を聞き振り返ると、殺せんせーがニヤケ顔でアンケートをメモっていた。書き終えるとマッハでその場から去っていく。

 

「メモって逃げやがった‼︎」

「殺せ‼︎」

「待てやこのタコ‼︎」

「生徒のプライバシーを侵しやがって‼︎」

「ヌルフフフ、先生の超スピードはこういう情報を知るためにあるんですよ。」

 

全員が殺せんせーを殺しに廊下に出て行き、奏とカルマだけが部屋に残された。

 

「…ねぇカルマ、結局何の話してたの?」

「内緒。」

 

 

 

 

一方時は少し遡って、女子部屋でも気になる男子アンケートが行われていた。全員の集計を取り終えた時、イリーナが部屋に入ってきた。

 

「ほらガキ共ー。そろそろ就寝時間よ。って言ってもどうせあんた達はこのままくっちゃべるんでしょ?騒がしくしないなら目を瞑るわ。」

「さすがビッチ先生!解ってるね。」

 

教師としてはどうなのかと思うが、彼女のこういうフランクなところが生徒に好かれてるから仕方ない。

 

「ん?気になる男子ランキング…面白いことしてるわねってほとんどカラスマじゃないの。こういうのはクラスの男子だけで決めるものでしょ。」

 

イリーナは呆れながら再集計を行う。

 

「さてと結果は……やっぱ一位は最優良物件の磯貝が4票ね…次点で前原3票、カルマと渚が2票ずつで…へぇ、漣にも1票入ってるじゃない。」

「詮索はダメだよ、ビッチ先生。私達だってバレないようにやってるんだから。」

「何言ってんのメグ。漣に入れたのなんて誰か分かりきってるでしょ?」

「「「「…確かに。」」」」

 

ビッチ先生の暴論に近い正論に納得した全員がある人物を見る。その娘は顔を真っ赤にして俯く。

 

「やり直し前から漣に1票入れたのもアンタでしょ、陽菜乃?」

「……うん。」

「はぁ〜〜。どうせここにいるのは既に全員気づいてるんだから、今更何を…。」

「だってぇ、改めて言うのは恥ずかしいし…」

「初々しいねぇ倉橋ちゃん。」

「いい、陽菜乃?私の経験則から言わせてもらうと、漣はカラスマと同じレベルの堅物…いいえ、鈍感よ。アンタだって薄々気づいているでしょ?ああいうのはね、少しずつ段階上げてっても意識しないわ。ストレートに言うしかないのよ。」

「…ビッチ先生がまともなアドバイスしてる〜。」

「何か生意気〜。」

「やかましいわ‼︎とにかくアンタはもっと大胆に行きなさい。今回班に誘ったのはアンタなんでしょ。その勢いで更にやっていくべきよ。」

「うぅぅ〜〜〜……」

 

顔を赤くしたまま倉橋が悶えていると、片岡に磯貝から相談…いや、SOSが着た。その内容を見て片岡の表情が固まる。

 

「…みんな、ちょっとこれ見て。」

「ん、なになに?」

 

片岡に届いたメールの内容を見た全員も同じように固まる。そこには先ほどの男子部屋での漣の発言と日頃から分かる漣の恋愛観のヤバさが書いてあった。

 

「…これは。」

「重症だね…。」

「前途多難どころじゃないね。」

「ってか本人以外全員が気づいているのか…。」

「杉野の逆パターンじゃん。」

「なんで杉野君なの?」

「神崎さんは知らなくていいよ。」

「陽菜ちゃん…大丈夫?」

「恥ずかしくて死にそう…」

 

哀れ杉野、こちらでも全く同じ扱いだった。

 

「ま、まぁ今これ以上この話続けるのはやめよう。倉橋さんのライフはもうゼロだし…」

「そうだね…じゃあビッチ先生がオトしてきた男の話聞かせてよ。」

 

片岡が話を切り上げ、矢田が話題を振る。

 

「フフ、いいわよ。子供には刺激ぐ強いから覚悟しなさい。例えばあれは17の時……

 

 

っておいそこぉ‼︎」

 

イリーナが話始めようとするが、その前にある一点を指差した。そこには数分前に男子達に追いかけられ始めた殺せんせーがいた。

 

「さりげなく紛れ込むな、女の園に‼︎」

「いいじゃないですか。私もイリーナ先生の色恋の話、聞きたいです。あ、それとも倉橋さんの思いの続きでも構いませんよ。」

「わ、私の思いって…いつからいたの、殺せんせー⁉︎」

「えーと、イリーナ先生が漣君は烏間先生と同じくらい鈍感と分析したあたりですかねぇ。」

「割と最初じゃん‼︎」

 

一旦落ち着いていた倉橋は、再度顔を真っ赤にしてオーバーヒートしてしまう。

 

「ってかそーゆー殺せんせーはどーなのよ?自分のプライベートはちっとも見せないくせに。」

「そーだよ、人のばっかずるい‼︎」

「先生は恋話とか無いわけ?」

「そーよ!巨乳好きだし片思いぐらい絶対あるでしょ?」

「にゅ、ニュヤァ…」

 

中村の言葉を切り口にして皆が殺せんせーに問い詰める。殺せんせーは大量の汗を流し少し悩む素ぶりを見せると、マッハでその場から去っていった。

 

「逃げやがった‼︎」

「アンタ達、捕らえて吐かせて殺すなよ‼︎」

 

ビッチ先生が先導し、各々武器を構え廊下に出る。殺せんせーは普段の余裕がなく焦っていた。更に

 

「いたぞ、こっちだ‼︎」

「ニュヤッ、しまった!男女の挟み撃ちに‼︎」

 

 

女子部屋には完全にショートしてしまった倉橋と、その介抱をしている矢田が残された。

 

「…頑張ってね、陽菜ちゃん。」

 

意識が飛んでしまった倉橋に矢田はそっとエールを送る。

 

 

その夜、旅館では殺せんせーと生徒たちの乱闘が体力の尽きるまで続き、参加してなかった奏、カルマ、倉橋、矢田以外の全員が貸切とは言え騒がしい、と烏間先生に叱られたのは言うまでもない。

 

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