呪われた少年の暗殺ライフ   作:楓/雪那

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親友(マイフレンド)→大親友(マイベストフレンド)→超親友(ブラザー)の流れ好き


第14話:転校生の時間

修学旅行が終わって次の週から通常授業。

その前日に烏間先生から一斉送信メールが来た。

 

『明日から転校生が一人加わる。多少外見で驚くだろうが、あまり騒がす接して欲しい。』

 

とのこと。文面からして暗殺者なのだろう。もちろんどんな殺し方をするのか気にはなるが、外見で騒ぐなとは…喋るパンダみたいなのが来たらどうしよう。なんて思ってた矢先に岡島が顔写真はないのかと聞いたらしい。結果ピンク髪の女の子の顔写真が来た。一応人間なのは安心…ってか普通に接することができる。別にパンダやメカ丸と接しづらい訳じゃないよ?ただ出落ち感がすごいからさ。

 

「おはよ、ナミ君!」

「おはよう、倉橋さん。転校生のこと、どう思う?」

「うーん、やっぱり暗殺者だよね?」

「俺もそう思う。」

「…ナミ君と同じ呪術師っていう可能性は?」

「ありえないと思う。他の術師を寄越すんなら俺に何らかの連絡が来るはずだし、そもそもこんな顔のやつ知らん。」

「そっかぁ…」

「…それと二人きりとはいえ外で呪術師の話をするのは控えてくれない?本来なら倉橋さんにも知られるわけにはいかなかったし。」

「あ、そうだったね。ゴメン。」

「いや、気をつけてくれればいいから。」

 

そんな話をしつつ教室に入ろうとすると、渚と杉野、岡島が入口を塞いでいる。

 

「おはよ…何でそんなところで立ち止まっているの?」

「あ、漣君に倉橋さん。おはよう。」

「あれ見ろよ…。」

 

杉野が指差した先…俺の席の2つ隣の位置に黒くてデカい箱?端末?みたいのが置かれていた。

 

「「…何あれ?」」

「よく見てろ…」

 

そう言われ箱をジッと見ると正面の上の画面に顔が表示される。あ、烏間先生から送られてきた顔だ。ってことはさ…

 

「おはようございます。今日から転校してきました“自律思考固定砲台”と申します。よろしくお願いします。」

「「「「「………」」」」」

 

自己紹介を終えると画面が消えた。

 

 

……そう来たか〜〜〜。

生物ですらね〜〜〜。

 

 

 

 

「皆知ってると思うが、転校生を紹介する。ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ。」

「よろしくお願いします。」

 

ホームルームに烏間先生が改めて紹介する。その顔はなんとも言えない。

あの人胃に負担かかり過ぎじゃない?もっと上司は優しくしてあげて?

 

「プークスクスクス。」

 

あ、烏間先生の胃に負担かけてるヤツ一号が笑ってる。同じイロモノのクセに。二号は誰かって?ビッチ先生に決まっているだろ?

 

「言っておくが「彼女」は思考能力(AI)と顔を持ち、れっきとした生徒として登録されている。あの場所からずっとお前に銃口を向けるが、お前は彼女に反撃できない。『生徒に危害を加える事は許されない』。それがお前の教師としての契約だからな。」

「……なるほどねぇ。契約を逆手に取って、なりふり構わず機会を生徒に仕立てたと。いいでしょう、自律思考固定砲台さん。あなたをE組に歓迎します!」

 

殺せんせーの言葉に砲台さん(長いから仮称)は何も言わない。

 

 

そして1時間目の国語の授業中に彼女の暗殺が始まった。

殺せんせーが黒板に相関図を書こうと背を向けた時、箱の側面から左右2つずつ銃火器が展開された。数名「カッケェ‼︎」とか言ってるがそれはどうでもいいな。砲台さんは殺せんせーに向けて射撃を始める。が、連射されたBB弾を殺せんせーは躱したり、チョークで弾いて防ぐ。

 

「ショットガン4門に機関銃2門。濃密な弾幕ですが、ここの生徒は当たり前にやってますよ。それと授業中の発砲は禁止ですよ。」

 

砲台さんは射撃を中止して銃を中にしまう。割と物分かりいいじゃない。

 

「気をつけます。続けて攻撃に移ります。」

 

砲台さんが再び銃火器を展開し撃ち始める。前言撤回、全然物分かり良くないわ。何が気をつけますだよ。

 

さっきと同じ弾幕を殺せんせーは舐めきったシマシマ顔で同じように回避する。そしてさっきと同じようにチョークで弾を弾いた時、チョークを持っていた触手が弾け飛んだ。

 

…なるほど、隠し弾(ブラインド)か。最初と同じ射撃に隠れて見えないように一発追加したってことね。

 

「右指先破壊、増設した副砲の効果を確認しました。次の射撃で殺せる確率0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確率0.003%未満。卒業までに殺せる確率90%以上。」

 

殺せんせーの動き方を分析して防御パターンを学習、それに合わせて武装とプログラムを改良し続け確実に堅実に詰めていく。まさに自律思考というわけか。

 

「よろしくお願いします、殺せんせー。続けて攻撃に移ります。」

 

その後一日中、機械仕掛けの転校生の暗殺は続いた。

授業?まともに出来たわけないだろ?殺せんせーは避けるのにだんだん精一杯になってくるし、前側の生徒は常に身を守ってないといけなかったし、常にドンパチやってて煩いし。おまけに撃った弾は片さない。そういうところに思考能力を割いてくれよ。

 

 

翌日

 

 

「朝8時半、システムを全面起動。今日の予定、6時間目までに215通りの射撃を実行。引き続き殺せんせーの回避パターンを分析…⁉︎」

 

砲台さんは昨日と同じように射撃を始めようとするが、全身をガムテープで縛られ動けない。後さりげなく215回射撃するっつったね今?勘弁してくれ。

 

「…殺せんせー、これでは銃を展開できません。拘束を解いて下さい。」

「…うーん、そう言われましてもねぇ。」

「この拘束はあなたの仕業ですか?明らかに生徒(わたし)に対する加害であり、それは契約で禁じられているはずですが。」

「ちげーよ、俺だよ。どー考えたって邪魔だろーが。常識くらい身につけてから殺しに来いよ、ポンコツ。」

 

ナイスだ寺坂。だが果たしてお前にも言うほどの常識はあるのか?

 

「…ま、分かんないよ。機械に常識はさ。」

「授業終わったらちゃんと解いてあげるから。」

 

砲台さんの手前の席の菅谷と原さんが気休めにそう言うが、やはり砲台さんはだんまりである。その日は当然だが一度も攻撃してこなかった。

 

 

 

さらに翌日

 

 

今朝も倉橋さんと登校。最近…倉橋さんが呪いに巻き込まれてからその頻度が増えている気がするけど多分気のせい。

 

「やっぱり今日もいるのかな〜?」

「恐らくね。今さらだけど最前列は一昨日大変だったでしょ?」

「うん、ずっと教科書でガードしてた。」

「真横は被害ゼロだったから良かったけど、威圧感みたいのがあるんだよなぁ…」

 

転校生の話をしながら何時ものように教室に入る。今日は珍しく俺らが一番乗りらしい。

…ん?

 

「なぁ、砲台さんの体積増えてない?」

「うん…画面もあんなだっけ…。」

 

その時黒い箱の前面がフルスクリーンで(・・・・・・・・)起動する。そこには顔だけでなく首からつま先まで映った砲台さんがいて、俺らは硬直する。何もフルスクリーンに驚いているわけじゃない。砲台さんの表情に驚いているのだ。昨日までの作り笑顔ではなく(今のもプログラムで作られたわけなのだろうが)、すごく自然な爽やかな表情をしている。

 

「おはようございます‼︎漣さん、倉橋さん‼︎今日は素晴らしい天気ですね‼︎こんな日を皆さんと過ごせて嬉しいです‼︎」

「「」」

「どうかしましたか、お二人とも?」

「えっと…固定砲台さんだよね?」

「はい‼︎固定砲台です‼︎」

 

…Who?What?Why?

俺らが目の前の変わり果てた砲台さんに唖然としていると、後ろから殺せんせーがやってきた。

 

「親近感を出すための全身表示液晶と体・制服のモデリングソフト、全て自作で8万円‼︎豊かな表情と明るい会話術、それらを操る膨大なソフトと追加メモリ、同じく12万円‼︎」

 

どうやら砲台さんのこの(おかしな)変わり様は殺せんせーの改造の賜物らしいです。総額40万とかめっちゃ出費するね。生活大丈夫なの?

 

「そして先生の財布の残高…5円‼︎」

「「…ドンマイ?」」

 

ダメみたいです。裏山の野草でも食って凌いで下さい。

 

 

 

 

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