呪われた少年の暗殺ライフ   作:楓/雪那

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今回みたいな個別会はやる時とやらない時があります。

それと無事四巻買えました。

小説出るみたいですね、楽しみです。




第16話:仕返しの時間

6月 梅雨の季節

殺せんせーの暗殺期間 残り9ヶ月

 

最近の発見

湿度が高くなると、殺せんせーの頭部が水分を吸いふやけて巨大化する。

その産物として頭頂部にキノコ(本人曰く髪)が生え、それを自分で食ってたのには少し引いた。文字通りの地産地消、自給自足である。

 

そして本日、日曜日。俺が休日に何をしてるかというと…

 

 

「振りが大きい!軸足も揺らいでる!もっと隙を減らさねぇと死ぬぞ!」

「は…はい‼︎」

 

雨の森というクッソ足場の悪い環境で転入生を特訓してます。

 

何故このような状況になったのか…その理由は2日前の金曜日に遡る。

 

 

学校から帰ってリズの散歩して飯作るかとか思ってた時、アポ無しで五条先生…悟さんがウチに来た、いやいた。

 

「お邪魔してるよ、奏。」

「何平然と不法侵入してくれてんすか。」

「そんなこと言うなよ、僕と君の仲じゃないか。」

「本音。」

「学長から合鍵貰ってんの。」

 

父さんコイツ特に渡しちゃいけない人。

 

「それで何の様ですか?」

「まぁまぁそんなに焦らすなよ、飯でも食いながら話そう。ちなみに僕は中華料理の気分だ。」

「お、さてはたかるつもりだなテメー。ちなみに今日の夕飯は唐揚げの予定だ。」

「チッ」

 

家主不在の時に勝手に入ってきた上、飯にケチつけようとしてやがるコイツ。

こんなテキトー極まりない人だが、一応恩人で師匠なんだよなぁ。殺せんせーとは違う意味でめんどくさい。

 

そんなこんなで飯を作り終え、食べ始める。余談だが、俺の料理中あやつは寝転んでテレビを見てやがった。遠慮のなさすぎる客人だ。

 

「はい飯できました。早く本題に入って下さい。」

「お、美味そ。頂くね。…ムネ肉多くない?僕モモ派なんだけど。」

「知るか、俺はムネ派なんだよ。はよ本題に入れ。」

「あっ、梅干しあるならちょうだい。」

「本題に、入れ。」

「味噌汁の具材はジャガイモと小松菜…分かってるね。」

「聞く耳持っとんのかテメー。」

 

仕事の時は優秀なのにプライベートの時はクッソ腹立つ人って君達の知り合いにはいるかな?

 

「さてと、奏が待ちきれない様なので本題に入ります。」

「疲れてんだからさっさと帰って欲しいんだよ。」

「君と入れ替わりに転校してきた子がいてね、その子を君に鍛えてもらいたいんだよね。」

「…はぁ?ふざけんな。」

「拒否権は無いよ?2週間毎に休日1日くらいでいいから。」

「勝手に話進めないで貰えます?大体最強(アンタ)が鍛えた方がいいでしょ。」

「いやぁ僕忙しいし。それに同級生同士で鍛えた方がいい刺激になるだろ?」

「それこそ真希とかパンダで足りるだろ。」

「学生最強に鍛えてもらえばより良い感じにレベルアップできるはずだから。頼むよ一番弟子。」

「チッ…分かったよ。明日高専でいいのな?」

「うん。それとその転入生、特級(君と同じ)だから。」

「…は?」

 

 

そして翌日

 

 

「という訳で、こちらがヤンデレ幼馴染系怨霊に愛されすぎちゃってる転入生の乙骨憂太君でーす‼︎」

「よ…よろしくお願いします。」

「んで憂太、彼が君を鍛えてくれる学生内最強の呪術師、漣奏だよ。」

「……」

 

ヤベェなコイツ…いや、コイツっていうかコイツに憑いてる呪い。確か里香っつたか?呪力の量の底が知れない上に、表に出てきて無いのにもかかわらず感じる威圧感。特級を見るのは初めてってわけじゃないが、過呪怨霊は初なんだよな。

 

「それで俺は何を教えればいいんです?基本的な稽古は真希とかがやってくれてるんでしょ?」

「奏には環境・地形みたいな変わった状況での戦い方を教えてほしい。1年ズの中だと奏が一番実践経験豊富だからね。」

「それで?梅雨の雨でグショグショの森の中で?休日返上して?鍛えろと?」

「そーだよ。」

 

マジでぶっ飛ばしてえコイツ。どうせできないけど

 

「…乙骨、お前武器は何を使っている?」

「あ、はい。刀を使ってます。」

「真希かパンダに勝ったことは?」

「まだ一度も…」

 

昨日の段階で乙骨とコイツに憑いてる里香のことはある程度聞いている。里香を解呪するために刀に呪いをこめている最中らしい。こればっかりは回数を重ねていくしかない。やる気はあんま無かったが、こうなったらミッチリ仕込むか。

 

「真希達とも同じ条件でやってるだろうが、最低でも俺から一本取ってみろ。それくらいしないと解く前に死ぬぞ?ってか殺す。」

「えぇ!?」

「俺もお前やそこの気まぐれ目隠しと同じ特級だ。一級なら2、3人くらい同士に戦闘不能にできる程度の実力がある。つまり俺から生き延び一本取れたなら、まぁ滅多なことじゃ死ななくなる。」

「…そっか。」

「最初はハンデとして術式無しでやってやる。その状態でヤバいと俺が感じたら一つずつ解禁していく。最終的に今ある5つの術式全部を解禁させた上で勝てたら合格だ。たださっき言ったように俺は殺す気でかかる。いいな?」

「…はい、お願いします‼︎」

 

そして丸一日ぶっ続け(休憩は有り)、未だに乙骨は俺に術式を使わせられてない。

 

「律、今の何分持った?」

「15分32秒、前回より28秒延びました!」

「サンキュ。スタミナはついてきたけどまだ立ち位置に慣れてないな。」

「自分の足元意識しながら…相手も見るのは…辛いですって…視界も悪いし…」

「アホか、実践だと足場ぶっ壊してくるのなんざザラにあるからな?せめて術式くらい使わせろ。」

 

凌ぐ時間は延びてきているから見込はあるっちゃあるんだけどな。

 

「そうだ、聞き忘れてた。乙骨、お前何で呪術師になった?」

「え…?里香ちゃんの呪いを解くため…」

「そうじゃねぇよ、その先だ。お前最初は死刑を受け入れるつもりだったんだろ?なのに今は悟さんに引き込まれて呪術界(ここ)にいる。何でだ?」

「……」

「ぶっちゃけ死にたいんなら俺や悟さんで殺さないことはない。まぁあんましやりたくないが、けど死を選ばないなら何故ここにいる?何をしたい?」

「…僕は、居場所が欲しい。誰かと関わって、誰かに必要とされて、自分が生きてていいって自信が欲しい。だからそれが出来る居場所を作るために高専(ここ)で里香ちゃんの呪いを解きます!」

「……!」

 

生きていていいという自信…か。

 

「…ならお前は俺に死ぬ気で喰らいつけ。関わるための居場所も、必要とされる力も、自信も、お前なら全部ここで手に入れられる!俺との特訓で自分の価値を見つけろ‼︎いいな憂太(・・)‼︎」

「…!はい‼︎」

 

俺はお前が羨ましい。俺には居場所も力もある。けれど本来その力は俺のものじゃないし、その居場所は俺なんかには相応しくない。生きてていいなんていう自信なんかとっくの昔に捨てたどころか、今では死ぬ価値を探す始末。価値なんてあるはずないだろう。だから、せめてお前は、お前達は見つけてくれ。

 

 

 

特訓を再開し、昼になって一旦休憩をとっていると殺せんせーからメールが来た。

 

『明日の放課後、前原君を虐めた本校舎のヤツらに仕返しします!是非とも手伝って下さい!』とのことだ。

『OK』とだけ返して、特訓を続けた。

結局この二日間で憂太は俺の術式を1つも解禁させられなかった。まぁ始めてまだ2日だし。

 

 

翌日の放課後

 

「ヌルフフフ、皆さんよく集まってくれました。それでは前原君の報復を始めましょう!」

 

現在、俺たちはあるアパートの一室にいる。

前原の報復というのは、金曜日前原がC組の土屋というヤツと一緒に帰ってたのをA組の瀬尾とかいうヤツに見つかり、E組如きが本校舎の女子と一緒にいるんじゃねぇと暴力を受けたらしい。その上その土屋は前原を庇うどころか助長していたとのこと。

作戦に関しては殺せんせーが考えているらしく、今部屋には俺と殺せんせーの他に連絡担当の杉野、擬装担当の菅谷、狙撃担当の千葉と速水さん、薬剤担当の奥田さん、妨害工作担当の前原に磯貝、岡野さん、倉橋さんがいる。標的は現在この部屋から少し離れたカフェのテラス席にいる。隣の席には撹乱担当の渚と茅野さん(菅谷の擬装済み)がいる。また交渉担当の矢田さんと中村さんがアパートの家主を接待して抑えている。しかし俺と倉橋さんだけ役目を与えられてない。聞いてみると「君達の役目は後で教えます。」と言われた。

 

「すげーな菅谷。本物の老夫婦にしか見えねーな。」

「パーティー用の変装マスクあるだろ。俺がちょいと改造(いじ)ればあの通り。」

「やっぱ菅谷呼んで正解だったな。」

「ヌルフフフ、首尾は上々のようですねぇ。では作戦開始といきましょう。奥田さん、頼んでおいた例の弾は?」

「は、はい。急いで調合してきました。BB弾の形に揃えるのに苦労したけど。」

 

奥田さん手作りのBB弾型の薬を千葉と速水さんが装填し、杉野が渚たちに合図を送る。お婆さん(茅野さん)が席を立ちトイレへ行き、お爺さん(渚)がワザと手を滑らせ食器を落とす。お爺さんの方に2人の視線が行き2人揃ってお爺さんにキレている。弱い者イジメもここまでいくか、真性のクズだなと思うが、その結果生じた隙を狙って射撃成績男女2トップの千葉と速水さんが銃を撃つ。狙いは2人…ではなく2人のコーヒーである。

あの弾の正体は奥田さん特製の超強力下剤「ビクトリア・フォール」といい、市販薬の数倍の刺激を与えるものらしい。ちなみにこの説明をしてる時の奥田さんの顔はカルマのそれと近かった。

コーヒーを啜った2人は共に腹を痛めている。トイレに駆け込もうとするが、唯一の個室は既に茅野さんが占領していて開かない。あの店以外には100m先のコンビニしかなくアイツらはそこに行くしかない。

 

「さてと…前原君たち妨害組は例のポイントで手筈通り待ち構えて下さい。そして漣君と倉橋さん、君達にも役割を与えます‼︎」

「おお、何々先生⁉︎」

「その役割はズバリ……買い出しです‼︎」

 

えぇ〜〜、ただのパシリじゃん。腹が減っては戦は出来ぬって言うけどもう戦終わるじゃん。

 

「ちなみに行ってもらう場所は100m先のコンビニ指定で。」

「あぁ…そういうことね、りょーかい。」

 

 

(ヌルフフフ、トドメの一撃をナチュラルに毒を吐く2人に任せつつ、倉橋さんの為にさりげなくデートの構図を作る。これぞ担任の粋な計らい!全く完璧過ぎて自分が怖いです‼︎)

 

 

「先生、何にやけてんの?」

「ニュヤッ、いえ何も⁈」

 

 

殺せんせーの指示通り俺たち2人はコンビニに向かう。

 

一方標的も現在コンビニに向かってる。そこら辺の民家に借りるって手もあるが、前原曰くプライドが高いからその発想はできないらしい。そうして向かっている最中に妨害組が民家に枝切りを頼み、ピンポイントで枝を切り落とす。コンビニにも個室は1つしかないから、恐らく言い争いになっているところを見て適当に煽ればいいのでしょう。

 

「さーてと、どんな風に煽ろっかなぁ?」

「楽しそうだね、ナミ君…」

「楽しいよ?あんな感じに威張り散らして上に居座ってるヤツらをどん底に叩き落とすのは。」

「強きを挫き弱きを救うってヒーローっぽいのに、なんか悪役みたいな言い方するね。」

「悪役ってのは間違っちゃないよ。負の力を使ってるわけだし。けどさその力って別に使い方は1つじゃないんだよね。俺も最初はこの力は壊すしかできないものだと思ってたけど、守ることもできる。殺せんせーはきっと暗殺の技術をそういう事に使ってほしいから、今回の作戦を決行したんじゃないかな。」

「…ナミ君の力って、何があるの?」

「あー、悪い。教えらんない。少し話過ぎたわ。」

 

 

コンビニに着くと既に標的の2人がいた。予想通りトイレの前で揉めている。

 

「うわ、みっともな。男女がトイレの前で喧嘩してるよ。」

「ホントーだ、醜いね〜。」

「男なんだからさぁ、レディファーストの精神とかないのかよ。あれが最近よく聞くダメンズってヤツ?クズだね〜。」

「女の子の方もだよ。公共の場なのにあそこまで酷い姿晒すなんて〜、もうちょっと周りの目を気にしないと〜。」

「倉…ひなさんのその服も気ぃ使ってんの?よく似合ってるね。」

「フェッ⁉︎そ…そう?ありがと…//ひなさんって、ひなさんって//」

「うんうん、あれとは雲泥の差。」

 

俺らも身バレが困るので変装中。まあ渚たちほどガッツリやってるわけじゃなく、服装や髪型を変えてるくらい。呼び方も擬装のため変えている。

…何で顔真っ赤にしてるんだろ?

 

当然聞こえるように言ってたから、向こうも噛みつかずにはいられない。

 

「何なのよアンタたち‼︎」

「さっきから聞いてりゃ、クズだの醜いだの…」

「何一つ間違えてないでしょ、この状況?店員さんや他のお客さんらにどれだけ迷惑かけてるか分かってる?これだから自己中バカは。」

「何を‼︎」

「君らのその制服、椚ヶ丘学園のだよね。名門進学校の生徒が聞いて呆れるね。この事、先生たちに知られちゃうとどうなるのかなぁ?あ、『進学校の男女、漏らしかけてトイレ前で大喧嘩』ってタイトルでネットに晒そっかなぁ…って、行っちゃった。」

 

ちっ、もうちょっと揺すりたかったのにつまんねぇ。律が証拠動画撮ってないかな?あったら学長に渡しに行こう。

 

「あの、先程のお客様に対応して下さりありがとうございます‼︎」

「いえこちらこそ、ウチのところの同級生が迷惑かけてスンマセン。アイツらなら苦情付けても構いませんので。」

「そんな苦情なんて…お二人の事だけお礼を言わせてもらいます。それと何かお買い上げなさるのなら、こちらの500円引きのクーポンを差し上げます。」

「おっと、ありがとうございます‼︎得したなぁ。」

 

買い出しを終えて、拠点に戻ろうとするとこちらに向かって前原が来た。ちなみに倉橋さんの顔は赤いまんまだ。

 

「あ、漣、倉橋!今日はありがとな。」

「良いって、こっちも多少楽しめたし。」

「多少なのな…俺さ、E組にいなかったら俺もアイツらみたいに弱い者いじめをしてたのかなって思ってたんだ。けど今のみんなを見てて思ったんだ。一見強そうに見えなくても皆どっかに頼れる武器を隠し持ってる。強い弱いは一目じゃ分からないって。だから弱い者イジメは簡単には出来ないな。」

「…そうか、そりゃ何より。ところでこれから打ち上げじゃないのか?」

「あ、それなんだけど俺これから他校の女子と飯食いに行かねーとなんだよ。だから悪いけど出られねぇんだ!じゃあな!」

「お、おう…」

 

そう言って前原は去っていった。ふと横を見ると倉橋さんの表情は険しくなってた。更に後ろから凄まじい怒気を感じ振り向くと、今回のメンバーが同じく険しい顔をしていた。岡野さんの表情なんてライオンも殺せそうな勢いである。

 

「ナミ君、打ち上げやるよ。」

「えっと、倉橋さん?「ひな。」…ひなさん?何をそんなに怒っていらっしゃるの?」

「前ちんにだからナミ君は関係ないよ。」

「「「「うんうん。」」」」

アッハイ

 

 

この後、打ち上げはメチャクチャ荒れた。




五条への敬語は結構適当で使う時と使わない時がごっちゃ

そして奏から倉橋さんへの呼び方が変わる!
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