呪われた少年の暗殺ライフ   作:楓/雪那

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前半は別にふざけているわけじゃありません。大真面目です。


投稿後すぐにちょっぴり修正しました


第24話:狂気の時間

-本日も始まりました、「教えて!夏油さん‼︎」。皆さんが思っているだろう疑問に夏油傑さんが答えてくださいます。ではよろしくお願いします、夏油さん。

 

「ええ、こちらこそよろしく。」

 

-それではまず本日のテーマである少年、「漣奏」君について夏油さんはどう思っていますか?

 

「奏は素晴らしい呪術師だよ。実力もそうだが例え自分がどうなろうとも構わない精神で仲間を守り抜く慈しみ、それが奏の何よりの魅力で何よりイカれている点だ。」

 

-イカれている…と言いますと?

 

「彼にとって何より大切なのが仲間、彼の言葉で言うと『身内』さ。そしてそれ以外の人間は自分も含めた上で心底どうでもいい、奏はそう考えているんだよ。極端な例だけど身内が100人いるとしよう。奏にとってその100人の身内の命はそれ以外の72億人の人間の命より重くなる。100人で72億人以上じゃないよ。100人の中の一人一人が72億人より重いんだ。」

 

-…実際『身内』が傷つくとどうなるのでしょうか?

 

「死ぬか死が救いになるような地獄を味わうことになるかのいずれかだね。実は5年程前に一度試してみたんだよ、奏がキレたらどうなるか。」

 

-いったい何をしたのですか?

 

「私がある村から依頼された呪いを祓う任務に彼を同行させた。村に着くと村人達は私を救世主としてもてなした。だがそこの村人達は高専に保護される前の奏を知っていてね、悪魔だの化け物だの罵り、石を投げてきたんだ。私は奏を庇って傷をうけた時にそれ(・・)は起こった。」

 

「奏は自分に憑いてる八咫烏と肉体だけでなく心まで一体化した、村人を殺すためにね。あまりにも一瞬の出来事だったよ。1時間も経たないうちに村は消滅した。誰一人逃さないどころか村そのものが無くなった。それが終わると私に抱きつき「ごめんなさい…ごめんなさい…」と繰り返していた。」

 

-凄まじいですね…しかし高専はよく彼を手元に置いておけますね。

 

「そうだねぇ、保守的な高専にしてはまずおかしい。けれど彼が八咫烏と完全に一つになるのは彼が望んだ時のみなんだよ。」

 

-それはどういう?

 

「彼が八咫烏をどうやって抑えているのか?何故八咫烏がおとなしく彼に従っているのか?奏は八咫烏とどんな縛りを課したのか?これらは本人以外誰も知らない。しかし事実、奏は八咫烏を完全に抑え、必要な時のみその力を利用している。つまり奏の逆鱗に触れない限り、高専が保護する前みたいに暴走することはありえないのさ。」

 

-その逆鱗が、『身内』…

 

「そういうこと。だから高専の奴らは奏の『身内』が傷つかないよう警戒して、奏が持つ数々の術式と八咫烏の力を利用している。更に言えば奏は自分が生きているという事に疑問に思っているからね、必要が無くなって死刑を命じれば確実に受け入れるはずなんだよ。」

 

「ああ、もう一つ触れてはいけないのが過去の事だね。彼の『身内』はほとんど知っているけれど、それでも迂闊に彼の過去に触れてはいけない、暗黙のルールがある。部外者が触れようものならば容赦はしないね。」

 

「まあいずれにせよその2点に留意すれば、奏は使い勝手の良い駒となる。だから高専に限らず御三家や呪術連も今はまだ彼に死刑を言い渡さない。徹底的に使い潰してから処分しようと思ってるんだろう。」

 

-では夏油さんは彼にどうしてほしいと願っていますか?

 

「当然私の家族に加わってほしいさ。何とか彼は生き長らえているが、その先に幸せはない。どうなろうが行き着く先は破滅だ。そして恐らく奏自身、己の立場を自覚している。最初に言ったが彼は素晴らしい呪術師だ、八咫烏の事を抜きにしてもね。だが高専に所属している以上、非術師(サル)なんかの為に動かず、自分の大切な物の為に動いてほしい。師匠として私は彼を幸せにしたい。」

 

-なるほど、夏油さんの彼に対する想い、しかと伝わりました。では漣奏君を客観的に見て一言で表すと、どんな人物でしょうか。

 

「そうだねぇ。…彼の身内たちはほとんど私と同じで、優しいとか優秀だと感じているだろうが、客観的にか…

 

 

 

ふむ、「『(わざわい)』という文字が人の形を成したもの」、これが部外者から見た奏を的確に表現した言葉だね。敵と味方の区別が異常なレベルで明確に分けられているんだもの。」

 

 

 

-以上「教えて!夏油さん‼︎」でした。

 

 

 

 

===================

 

 

 

「テメェ…何で生きてる⁉︎」

 

数分前に撃ち殺されていた人間が目の前に立っている。そんなオカルト現象を目にして最初に疑問を口にしたのは鷹岡だ。奏に抑えられている手を振りほどこうとするが、強力な力をかけられ抜け出せない。

 

「…ホントに…漣なのか?」

「あれ…流血が治ってない?」

「穴も塞がってるぞ。」

「マジでどうなってんだ…?」

 

皆奏の状態を不思議に思うが、奏はまるで聞こえてないのかジッと鷹岡を見ている。その様子に業を煮やした鷹岡はさっきより強い口調で尋ねる。

 

「おい、聞こえてんのか⁉︎どうやって生き返った‼︎」

 

 

その質問に奏は答えない。代わりに別の言葉を言う。

 

 

 

 

『吹き飛べ。』

 

 

 

それと同時に爆風を受けたかのように、鷹岡の身体が森の方へ吹き飛び消えていく。全員が唖然とするが、奏は気にせずに鷹岡を追って森に入っていく。

 

 

「…っ‼︎まずい‼︎」

「烏間先生⁉︎いったい何がまずいのですか‼︎」

「説明は後だ!今の彼は鷹岡を躊躇なく殺す‼︎」

「「「…なっ⁉︎」」」

「俺とお前、二人掛かりでも止められるかは分からん。だが…」

「ええ、もちろん。私達の生徒です!止めに行きますよ、烏間先生‼︎」

 

烏間と殺せんせーは共に後を追って森に入る。

生徒たちも二人に続いて森に入ろうとするが、二人の教師と生徒たちとの間に突如として氷の壁が出現し、生徒たちの行く手を阻む。

 

「氷の…壁⁉︎」

「今は7月だぞ⁉︎何でこんなものが…?」

「どっから出てきたんだよ、これ!」

 

教師たちも振り返るが、生徒たちがひとまず無事であると確認し奏の止めると告げ、奥に行く。

 

 

 

 

 

 

「…クソッ、あの化け物…俺をこんな目に合わせやがって…!絶対に殺してやる…‼︎」

 

森の奥深くに飛ばされた鷹岡はさらに憎悪を高め、奏を殺そうと息巻く。

 

しかしその殺意はすぐに恐怖へと変わった。

 

自分が飛ばされてきた方向からゆっくりと奏が向かってきた。

 

それはもはや「化け物」などではなく、人間が一般的に思い描く「禍」、「呪い」そのものを表しているようだと鷹岡は感じる。

 

戦ったら…いや、早く逃げないと殺される。本能的にそう感じた鷹岡は逃げ出そうとする。しかし、

 

 

『動くな』

 

 

奏の一言で鷹岡はその場に縛りつけられたかのように動かなくなる。

 

奏は鷹岡の肩にポンと手を置き20秒ほどそのままにする。やがて手をどけると右の手のひらをくいと上に曲げる。それに合わせて鷹岡の身体が宙に浮く。直立不動の姿勢のまま身体は空中に固定される。

 

「お…おい…何をすんだ…やめろ…やめてください…お願いですから…」

 

鷹岡は今にも泣きそうな表情で懇願する。その姿に先程までの威勢の良さはなく、肉食獣に怯える小動物のようである。しかしやはり奏は何も言わずにまるで空っぽのような、無機質な瞳で鷹岡を見ている。

そして奏は自分の右手をゆっくりと右の方へ動かす。その動きに同調するように鷹岡の左腕がゆっくりと引っ張られる。ブチブチという音が少しした後、ついに左腕が鷹岡の身体から引き千切られた。

 

鷹岡は悲鳴を上げるが、

 

『喚くな』

 

という奏の言葉で声を出せなくなる。

 

奏は鷹岡の左腕の付け根から血がボタボタと流れているのを見て、そこに向けて左手を前に出し呪いを込める。すると流血部分が瞬時に凍りつく。

 

次に左手を右脚の方へ向ける。今度は右脚が付け根のところまで一気に凍りつく。そして奏が左の指でパチンと音を鳴らすと凍りついた右脚がパキンと弾け飛んだ。

 

鷹岡は苦痛と絶望にまみれた表情をして、何か言いたげだが声が出せず、もがこうとするが瞼すら動かせない。

 

奏は次に左目に右手を向けるが

 

「何をしているんですか、漣君‼︎」

 

殺せんせーに呼び止められ動きを止める。振り向くと殺せんせーの横には烏間もいる。

 

「……‼︎これは…!」

「…やり過ぎだ。もう止めなさい‼︎」

 

二人が奏に言うが、奏は何も言わず少し二人を見てから再び鷹岡に向き直る。殺せんせーはまだ続けるのかと思い、止めようと動くが

 

 

 

いつのまにか殺せんせーの隣に動いていた奏は、殺せんせーに一言告げる。

 

 

『弾けろ』

 

 

すると殺せんせーの触手が何本か弾け飛ぶ。

 

 

あまりにも急な事態に殺せんせーも烏間も驚く。その結果殺せんせーは次の奏の行動に対応できず、さらに一言発せられてしまう。

 

 

 

『吹き飛べ』

 

 

そして殺せんせーは鷹岡と同じように、グラウンドの方向へ吹き飛んでゆく。鷹岡に興味を失ったのか奏は殺せんせーを追撃する。

 

 

残された烏間は二人を目で追うが、優先すべきは鷹岡の方だと思い振り返る。しかしさっきまで鷹岡のいた場所には誰もいなかった。鷹岡自身も、鷹岡の千切れた左腕も。あの状態でまともに動けるはずがない、烏間はそう思うが辺りを見渡しても鷹岡の姿は見えなかった。

 

 

 

 

一方グラウンドでは生徒たちが奏と先生たちが戻って来るのを待っていた。突然鷹岡のものと思われる悲鳴がして、その少し後に再び爆発音のような音が聞こえた。生徒たちは森の前に現れた氷の壁に警戒する。そして急にその壁が崩壊する。何故それがいきなり無くなったのかは分からないが彼らは殺せんせーたちを追いかけようと森に入ろうとする。だが壁が崩れた直後、森の中から殺せんせーは吹き飛んで来た。

 

「「「殺せんせー⁉︎」」」

「皆さん、離れて‼︎」

 

殺せんせーが切羽詰まった様子で皆に言う。すると殺せんせーの後から奏が現れる。その顔の左半分には今まで無かった刺青があり、服装は何故かとてつもない禍々しさを感じる真っ黒のコートに変わっていた。




書いてて表現がくどくないかなぁって思うことが、ここ最近何度もある。直したくても代わりの言葉が中々出てこない。
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