番外編・ブラコン劇場
三「おや、メール?誰からでしょう?……奏君!?何の用でしょうか!?ハッ‼︎まさか会いたいメール……」
奏『彼女出来ました』(写真付き)
三「」
西「あれ?どーしたの霞ちゃん?」
加「…クラスメイトと和解…奏に彼女?」
真「…なんかようやくって感じなんだけど。彼モテそうじゃない、スペック高いし?」
メ「まあ奏があまり他人と深く関わろうとしないからナ。そうなるとこの彼女がどんなのか気になるナ。」
西「確かにね〜。やっぱブラコンとしては悲しいk(バタン!)…え?」
三輪 白目剥いて気絶
西「霞ちゃん!?」
「ひーちゃん、今週末空いてる?」
「えっ、空いてるけど…」
「じゃあデート行かない?動物園とか。」
俺とひーちゃんが付き合い始めて数日後の昼休み、俺がこんな事を言うと教室が静まった。何故?
「今まで一緒に出かけたこととか無いし、せっかくだからどうかなって思ったんだけど…」
「うん、嬉しい…嬉しい!行こう‼︎」
「OK、駅前集合でいいかな?」
「うん!」
「奏も随分積極的に行くねぇ。」
「そうか?普通だと思うけど…」
「普通下世話なヤツが多いこのクラスで、皆の前でデートの約束しようとは思わねーよ。」
「ま、まぁ奏君だし…」
「???」
カルマがいつもの悪魔的スマイルでなんか言ってくるが、そんな変か?
あ、後あの日以来「漣」じゃなくて「奏」ってほとんどの人に呼んでもらってます。名字で呼ばれ慣れてないんだよね、高専だと基本名前呼び捨てだし。
「……よーし、じゃあ尾行班結成するかー。」
「二、三人一組で追跡だな。」
「律、連絡サポート頼んだぞ。」
「了解です。」
あそこは何計画してんだろーね。
ロクでもないことなんだろうけどさ。
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デート当日
椚ヶ丘駅前
目的地までそれなりに距離があるしひーちゃんが色々回りたがってるから、朝9時半集合になった。
今9時15分、既に俺は駅前。
誘ったんだから当然なんだけど、やはり楽しみです。
そしてなんか凄い視線を感じる。
あぁ、どこに誰がいるかは大体分かるよ。何人じゃなくて誰が、ね。
斜め左のマックに渚と茅野さん、杉野で
右裏のスタバに磯貝、前原、片岡さん、岡野さん。
駅構内の柱の裏に矢田さん、岡島、菅谷。
それに向かいの本屋に不破さん、中村さん、三村か。
…ん?斜め右手前のビルの4階カフェに千葉と速水さんか?
ほとんどいんじゃん。暇人かよ。
そして、俺のすぐ近くでポケットティッシュ配ってる担任。
鬱陶しいね。
けどその程度で俺を尾行できると思うなよ?
「あれ!?消えた‼︎」
「どこ行った!?」
『禍促術式』を自分に発動!高速移動で逃げるぜ!
殺せんせーのマッハ移動と違って自分にかかる時の速さを変える術式だからな、追跡されづらいだろう。
そして向かう先は椚ヶ丘駅から二つ先の駅。
改札を通り、ジャストで着た電車に乗る。
「あ、かーくん!おは〜」
「おはよ、予定通り撒いてきたよ。」
そう、実はあの後メールで予定を決める際にひーちゃんが
『皆絶対後つけてくるよ〜!恥ずかしい!』
と言ってきた。
別に俺は全然恥ずかしくなかったのだが、またあのキス写真(あの後クラスのグループラインに晒された)みたいな事になるよ、と言われた。それは流石に恥ずいので集合場所を
それでも俺が最初に決めた駅から乗るとついてくる可能性があるから、術式使って二駅先から乗ることにしたのだ。
え?呪いをそんなことに使うな?別にいいだろ、ひーちゃんの為だし。
「…服、夏っぽいね。似合ってるよ。」
「…あ、ありがとう。//」
デートの際に服装を褒めるのは基本らしい。似合ってるって思ったのは本心だけど、こういうのは直接言わないといけないんだって。
「かーくんのも…似合ってるよ。カッコいい。」
「ん、サンキュ。」
「けどさ……暑くないの、長袖?」
そう、真夏だというのに俺は長袖長ズボン。上に関してはさらにジーンズのジャケットを着ている。しかもアームウォーマー着用中。まあ暑そうだよね。
「実はね〜、『氷淵呪法』で身体を少し冷やしてんの。ほら、俺って刺青凄いからさ、あんま肌出せないの。」
「そっか…でもガッツリ防御し過ぎじゃない?女子でもここまで紫外線気にした服装しないよ?」
「あはは、確かに。」
自覚してるけどかなり奇妙だよねー、夏場のアームウォーマー。昔から黒色の使ってるけど今度肌色のとか探してみるか?
とか思ってるとひーちゃんがなんだか腕をモジモジさせてる。
「…どうかした?」
「え?いや、その、えっと…手繋ぎたいな〜なんて思ったり…//」
「そんなこと?それくらい…」
ああなるほど、そういうことか。
「(アームウォーマー取って)はい、これがお望みかな?」
「‼︎…うん//」
なんで分かったのみたいな顔してたけど、話の流れとアームウォーマーへの視線で分かっちゃうんだよなぁ。そういうところで悩むのも、手握ったらご機嫌になるのも可愛い。
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電車に乗って数十分
「ん〜〜、着いたー!初めて来た感想はどう、かーくん?」
「おう…予想してたけど、やっぱ人多いな…」
「そりゃあ休日だもん。」
今回デートの場所として決めたのは上野動物園。日本一の来場者数を誇る動物園である。ひーちゃんは三回程行ったことがあるみたいなのだが、実は俺は一回も無い。というよりこういう娯楽施設にあまり縁が無かったのだ。プライベートで行ったのは小さい時霞姉と二回程小さな動物園にくらいで、後は任務、しかも廃園とかがほとんど。だから入る前なのだがかなり感激してる。とは言ってもガッツリはしゃぐタイプじゃないけどね。
「つか俺から言ってなんだけど、本当にここで良かった?行ったことあるんでしょ?」
「む〜、分かってないなぁ。私は生き物が好きだから何度行っても飽きないし、かーくんと初めて一緒にデ、デートする所だから余計楽しみなの!」
「そ、そっか。」
「よし!じゃあいこー‼︎」
俺は手をひーちゃんに引っ張られながら園に入る。
俺らは西園の池之端門から入ったからまずアフリカやオーストラリア出身の動物コーナーから見ていく。
「すご…オカピとかハシビロコウとかもいんの…」
「上野動物園といえばパンダだけど、あの辺りもレアだよね〜。」
「サイとかキリンはのんびりしてる方が鉄板だよなー。」
「そうだよね〜。テレビの衝撃映像!みたいのだと激しい戦いのシーンが多いけど、こういうゆったりしてる方が落ち着くな〜。」
「はー、上の階と下の階で昼夜逆転させてるんだ。」
「ちっちゃくて可愛い〜!ミーアキャットとか良いよね〜!」
「確かに。…あ、ムササビだ。小さい頃はお世話になりました。」
「えっ…お世話になりましたって……」
「……この話はやめようか。」
「カンガルー、フラミンゴの近くにペンギンの池って場違いじゃない?ホッキョクグマの所に置くのもアレだけどさ。」
「あはは…確かに少し浮いてるね。」
「キリンとかサイの所でも思ったけどさ、本来の生息地の再現度がスゴいよね〜。」
「そうだよな。しかも両性類と爬虫類の所って結構な頻度で特設展とかやってんだろ?毎度毎度セッティングするのって絶対難しいよな。」
「あ、ワニだ〜!こっちおいで〜!」
「…ひーちゃんって猛獣もいけるんだ。」
「うん!こういう生き物の眼って大抵クリクリしてて可愛いんだ!」
「あー…言われてみれば確かに。」
「へー、アイアイって上野動物園にしか居ないのか。知らんかった。」
「小さい頃にさ〜、アイアイとかが歩いてるあの細い足場を歩いてみたいとか思ってたんだよね〜。」
「マジでやめとけ。人間は下手に物理的に高い所に行かなくていいんだ。」
「……もしかしてかーくん、高所恐怖症?」
「おう、あんな手すりも無い場所なんか命綱があっても行きたくない。」
「そこまで!?」
「冬場は渡り鳥が見れるようにしてるのか。やっぱ発想がすげーな。鷲もいんじゃん。」
「鷲好きなの?」
「動物全体だと犬に続いて鳥類はけっこう好きなんだよね。ひーちゃんが言ってたみたいにクリクリした眼もいいんだけど、ああいうキリッとした眼の方がより好きなんだよ。」
「かーくんもそんな眼してるよ?」
「だからこのあだ名になったんでしょ(笑)」
「やっぱ触れ合いスペースは王道かー」
「きゃー!ウサギさんの方から寄ってきた〜!可愛い…ッ!?」
「」←何匹ものウサギに全身纏わりつかれて茶色い塊になってる奏
「どーしたのかーくん!?」
「いやさぁ、体質なのか知らんけどこういう触れ合い場所みたいなとこ来るとさ、必ずこんなことになるんだよね。」
「来て1分足らずでそうはならないよ!?」
「とりあえず助けて?」
「いやー危なかった。百々目鬼使ってなかったら方向感覚失って倒れてたわ。」
「いくら私でもあんな姿になるレベルでは懐かれたくないよ…」
「だろうね。噛んだりしない分まだいいけど、今俺コロコロでめっちゃ毛取ってるし。」
こんな感じで西園を回り終えて、今は不忍池近くのテラスで一休みしている。
「かーくん、そろそろお昼食べない?」
「いいよー。じゃあそこの売店で何か買ってきますか…」
「あ、待って!実はね……ジャン‼︎」
「え、弁当?作ってきたの?」
「そうだよ!一緒に食べよ!」
ひーちゃんはカバンから少し大きめの弁当箱を出した。
なんか荷物が大きいなって思ったらこういうことか。
割り箸を貰ってまずは卵焼きから頂く。
「…美味いな!」
フワッとしていてそれでいて型崩れもしない程よい強度、甘すぎない絶妙なバランス。めちゃくちゃ美味いです。
「マジで美味いよ。味とか硬さとか全部ちょうどいい具合になってる。」
「ホント!?良かった〜‼︎」
「なによりひーちゃんの気持ちが良く分かるよ。」
「…‼︎いきなりそういう事言うの反則〜〜//」
「…ふぅ、ご馳走さまでした。」
「お粗末さまでした。喜んでくれてよかったよ〜」
「そりゃあ勿論。」
「そう言えばさ、かーくんもいつもお弁当だよね。」
「料理は割と好きな方なんだよ……今度は俺が作ろうか?スイーツとかでもいいぞ。」
「スイーツも作れるの!?」
「和菓子系統に限るけどね。」
なんか知らないけど昔から仕込まれてたんだよね、和食・和菓子作りの腕。なんでだろうかとか思ってたけど、最近は悟さんが脳を活性化させる為にやらせたってのが理由の一つって気づいたわ。あの目隠しめ、今度塩と砂糖わざと入れ間違えたる。
「苦手なものとかってあるか?アレルギーとかさ。」
「ううん、無いよ!…じゃあ楽しみにしてるね?」
「おう、任せとけ。」
そして昼飯食べて、東園に移動。
東園は鳥類や猿・ゴリラ、トラなどがいる。
そしてこの動物園の人気者、(ちゃんとした)パンダがいる。
「どう回ってく?」
「う〜ん、パンダからにしない?」
「OK」
というわけでサル山やゾウを通り過ぎて、表門近くのパンダ舎に行く。
パンダ舎は五つの室内(客から見えるのは四つだが)と屋外放飼場に分かれている。
室内は木製ベッドやプールなどがあり、床暖まで設備されてる快適仕様。いざ野生に返されたら生きていけないのではと思うレベルの待遇だ。でも野生のパンダって怠け者みたいらしいし、案外生きていけるのかもしれない。
屋外には小さな池や木製の台が手前半分にあり、奥の方は竹林で生い茂っている。
「えっ!?見て見てかーくん‼︎」
「どったの、ひーちゃん?…『現在期間限定でパンダ舎には四匹のパンダがいます。』…へー、一匹多いんだ。」
「びっくりだね!どんな子なんだろ〜!」
ひーちゃんめっちゃはしゃいでるな〜、可愛いけど落ち着こう。
しかしひーちゃんが最後に来たのは小学校6年生の時らしく、最近生まれた
「あ!今外にいるみたい!早く行こう‼︎」
「ちょっ、落ち着け!」
入園前より強い勢いで引っ張られ、屋外放飼場を見に行く。
「ひーちゃん、どの子か分かるかい?」
「うーん、多分あの子じゃないかな?」
「分かるんかい。なんで?」
「えっとね、他の三匹はあの台の近くに集まってるじゃん。けどあの子だけ少し離れた奥の方にいるよね。人見知りなんだよ、きっと!」
「…なるほど。」
人見知りってかパンダ見知りなのか?どれくらいいるのか分からないけどその内あの三匹の中に入れるのかね、あの子は。
あ、飼育係の人が餌持って出てきた。
……ん?あの飼育係、夏場なのになんでネックウォーマー着けてんだ?俺が言えた口じゃないけど暑くね?
……ってかあの金髪、見覚えあるんだけど。
……あれもしかして、棘じゃね?
……え、なんで棘が上野動物園の飼育係やってんの?
……ん!?!?
あの奥の新入りパンダ…
上野動物園に作者は長らく行ってないのでほぼ全く覚えてないです。
上野動物園のホームページを見ながら書きました。