本編でちゃんと出番が回ってこなくてイラついてる神無だよ〜。
作者はね、二つの理由で投稿が遅れたんだって。
一つは模試がここ数日連続してあったから
もう一つはシャニマス でブライダル夏葉引くためにトゥルー回収に時間かけてたから、だって。
私も読者の皆の気持ちを代弁して作者に怒っといたよ〜。
まあそんなこんなで本編スタート!
あ、ちなみに夏葉は引けてもブライダルフレデリカちゃんは引けなかったって。哀れだね。
奏は倒れた陽菜乃を支えて、彼女の身体を横にする。
今はまだ安らかな寝顔を眺めながら八咫烏に問う。
「…ひーちゃんは耐えられると思う?」
『普通に考えれば無理であろうな。だがそれはただの貴様の願望だろう?』
「……」
『貴様が大切な人間の心を折ろうとするほどだからなぁ。だが9年前の時も小娘は想定外の事態を起こした。その事を忘れるな。』
奏はまるで何かに縋っているような顔で陽菜乃を見続けた。
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「……ん、ここは…?」
目覚めた陽菜乃が見たものは、大きな木造の屋敷内のベビーベッドで眠る赤ん坊とその子を愛しそうに見る大人達だった。
すぐに陽菜乃はその赤ん坊が奏であると気づいた。
「わ〜〜…可愛いなぁ、生まれたばかりのかーくん…」
写真を撮ることが出来ないのを心底悔しがりながらも、頰は完全に緩み切っていた。今から自分の目の前でこの幸せそうな光景が壊されることも忘れるほどに。
そのまま時間は進む。
地獄が始まるのは奏が5歳の時であり生まれた直後からその時まではとても長いはずなのに、何故かとても早く感じた。それが術の影響なのかそれとも奏を延々と見ているだけで楽しいと感じているからなのか、どっちなのこは陽菜乃も知らない。
そして遂にその日が来た。尤も陽菜乃は忘れていたが。
あの地獄が起こる数時間前、今までとは違う出来事を陽菜乃は目撃した。
深夜2時、所謂丑三つ時に一人の女が寝ている奏の部屋に入って来た。
その女を陽菜乃は知らない。視点が固定されてるとはいえ、5年分の光景を見ていれば流石に使用人の顔くらいは覚えていた。だがその女は見たことがない。しかし一方で何処かで会っている気がすると陽菜乃は思った。
女が入って来たことに奏も奏の両親も気づいていない。まるで幽霊みたいに現れた。
女は少し悲しそうな顔を浮かべ、奏の胸にそっと手を当てる。
しばらく何かを唱えていたが、やがて手を退けてまた幽霊のように部屋から出て行った。
そして幸せは崩れ去る。
身体を乗っ取られて家族を惨殺する奏
それを知らぬ間に行っていた事に絶望する奏
自らを殺そうとする者たちを殺し返す奏
自ら命を断とうとするも蘇ってしまう奏
2年、この時間が果たして長いのか短いのかは分からない。
だがこの時間–最愛の人が絶望し続けた時間–が陽菜乃も絶望させるのは火を見るより明らかである。
「もう嫌……もう…やめて……」
陽菜乃の心はとっくに折れていた。
否、陽菜乃で無くとも一般人が耐えられるはずが無い。
そう、耐えられるはずが無かったのだ。
過去の奏と同じく、絶望仕切っていた陽菜乃が次に見た光景は幼い自分が奏と出会った時のものだった。
八咫烏に身体を支配されかけながらも陽菜乃を殺させまいと必死に抵抗する奏、その時幼い自分は彼を抱いて言った。
『大丈夫だよ。かーくんの側には私がいるよ。だから大丈夫だよ。』
その言葉を聞いた陽菜乃の心の中に一筋の光が見えた。
(…私の心はどうして折れたの?覚悟が甘かった?かーくんの過去を受け止めることが簡単だとでも思ってた?死ぬのが怖い?……ううん、違う。焦ってるんだ。かーくんがどっか遠くに消えちゃいそうで、小夜ちゃんに居場所を取られそうで、その焦りと恐怖にこのショックが加わって耐えられなくなっちゃったんだ。)
(もう一度考えよう……私は、どうしたい?)
(……そうだ、私はずっとそう思ってきたじゃない。かーくんをずっと隣で支えられるようになりたいって、これまでも、これからも。ただそれだけの…簡単な願い。)
(簡単だけど、とても怖くて厳しい道で……けどあなたが側にいるなら…!)
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陽菜乃が意識を失って約二時間後、陽菜乃は目覚めた。
汗をかき呼吸は荒い。が、その眼には昨日より遥かに固い意志を感じる。
対して奏は当然驚いていた。思考はフリーズして言葉も出ない。しかし陽菜乃が自分の方を見て
「ただいま。」
と言うと、ハッと我に返り、呆れたようにため息を吐くと、苦笑しながら
「お帰り。」
と返した。
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「……まーさか、本当に帰ってくるとは。」
「うん、私もびっくりしてる。一度心折れちゃったもん。」
陽菜乃は少しバツが悪そうに笑うと、真剣な顔をして向き合う。
「かーくん、改めて聞いて欲しいんだ、私の決意。」
「…おう。」
「私本当はね、少し嘘をついていたんだ。もちろんかーくんを隣で支えたいっていうのは本当だよ?けどね、もう一つの理由は小夜ちゃんに嫉妬してたからなの。」
「嫉妬?」
「うん。殺せんせーの暗殺に成功したらかーくんは高専に戻っちゃって離れ離れ。けど殺せんせーの暗殺では小夜ちゃんとコンビ組むことが多くなってきているよね。それがとても悔しいの。かーくんの隣は私の場所なのにーって。だからあの場所を取り返すには私が強くならなきゃいけない。けどただナイフの腕上げるとかじゃダメ。」
「だから呪術を、か…」
「焦りと恐怖と嫉妬と……色んな良くない感情を抱いてる中、あの記憶を見たら、一回ダメになっちゃった。けどね…昔の私が教えてくれたんだ。私の思いは今も昔も、そしてこれからも変わらない。ただかーくんを一番近くで支えていたい。嫉妬とか焦りとかは全部あそこに置いてきた!…だから、改めて私に呪術を教えて下さい‼︎」
「……正直に教えてくれてありがとう。だから俺も正直に向き合う。大切な人を死地に置くのは本当に怖い。自分が守ってるだけで良いって思ってた。けどそれじゃ…ダメだよね。お互いに支え合う、それが一番良い関係なんだって分かった。だから教えるよ、呪術。」
奏はニヤリと笑い、陽菜乃はパァっと表情を輝かせた。
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直ぐに擬似「精神と時の部屋」にて奏による呪術講義が始まった。
だが奏の最初の一言は陽菜乃にショックを与えた。
「まず最初に言っとくよ。……ひーちゃんは呪術は使えても術式は使えません。」
「えぇぇ〜〜〜‼︎⁉︎」
術式というものは基本的に生まれつき身体に刻まれているものである。故に呪術師は才能がほとんどと言われている。
「俺の血は呪力しか渡せないからね。奪った術式を渡すことは出来ないんだよ。」
「そんなぁ…」
「だからこれから教えるのは呪力出力の調整、その後は呪力による身体能力の強化…が、一番オーソドックスなんだけど…」
「けど…?」
「ひーちゃんはカルマとか片岡さんみたいな近接戦闘タイプじゃないでしょ?呪力で強化ができるようになっても、元々があまり得意じゃなかったらイマイチだもの。」
「じゃあ何するの?術式は出来ないんでしょ?」
「まぁ焦るな。ひーちゃんには
そう言い奏は何枚かの紙を取り出した。