呪われた少年の暗殺ライフ   作:楓/雪那

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1学期
第3話:登校の時間


…何故俺は初登校日にハイキングをしているんだろう?

 

そもそも国家機密の超生物を教師として雇い、生徒たちに暗殺させるなんてどんな学校だよって感じた俺は昨日ちょっぴり調べてみた。

 

椚ヶ丘学園。

中高一貫の名門進学校で中学の平均偏差値は66とハイレベル、部活動もあらゆる部が優秀な結果を残している、まさに文武両道というべき学校とのこと。しかしそれは本校舎の生徒だけ。成績不振や素行不良な生徒が落とされる場所が特別強化クラス3-E、通称「エンドのE組」。本校舎からおよそ1km離れた山奥の隔離校舎での生活を余儀なくさせ、「学業に専念させるため」部活動なども禁止、常に他の組より優先順位が低くさせられるらしい。

 

要するに、差別意識と危機感を持たせてるわけだ。自分より下の存在を作ることで優越感を持たせる一方、「E組には落とされたくない」という意識を植え付けることでより一層努力をさせる。まさしく実力主義。俺個人としては反吐が出そうだが、客観的に見ると「合理的」だ。一応優良な成績を修めた生徒は本校舎に復帰できると言ってるが、あの環境じゃなかなか上手くいかないだろう。そんな場所があるから暗殺場として提供できるんだろう。

 

俺は高専で鍛えてるからこの登下校はそこまで苦じゃないが、夏場とか地獄みたいなのでしょう?

 

「学校案内の理事長、人柄は良さそうなんだけどねぇ…」

 

そうボヤきつつ山道を歩き続けて数十分、ようやく目的地である旧校舎が見えてきた。そして入口の前に見覚えのあるタコ一匹…。

…うん、生で見るのは初めてだけどやっぱふざけた造形してんな。

俺に気づいたタコが近寄ってくる。…結構デカイね。

 

「君が転校生の漣奏君ですね?」

「ええ、会ってますよ先生。これから一年間お世話になります。」

「ヌルフフフフ、こちらこそよろしくお願いします。私のことはどうぞ殺せんせーと呼んでください。」

 

…殺せんせーねぇ、殺せない先生だからかな?マッハ20って聞いてるし。

 

「ではこれから出席を取りますので、終わって呼んだら入ってきてください。」

「分かりました。」

 

そう言って殺せんせーは教室に入っていき、出席を取り始める。

 

「全員出席、遅刻0…っと、素晴らしいです!それでは最後に転校生を紹介します。漣君、どうぞ。」

「はい、えっと漣奏です。一年間お世話になります。よろしくお願いします。」

 

殺せんせーに呼ばれ俺は自己紹介をする。といってもあまり語ることがないから軽い挨拶程度だけど。そしてこの挨拶に最初に反応したのは

 

「こちらこそよろしくね〜、ナミ君!」

「おや、倉橋さんと漣君は知り合いだったんですか?」

「ええ、一昨日ちょっと縁あって。」

「ナンパしてきた人から助けてもらったの〜。」

「ほっほ〜う…?」

 

何故か先生の顔がピンク色になる。どういうことですか?

 

「まぁそれは置いときましょう。それでは漣君に質問がある人…「はい!」では前原君。」

「俺、前原陽人!よろしくな!それで漣は殺し屋なのか?」

 

金髪の男子…前原君が質問してきた。状況が状況だから質問の意図が分かるけど、ブッ込んでくるなぁ。

 

「いや、俺は殺し屋じゃないよ?単純に本校舎に行く前に問題起こしちゃっただけ。」

 

嘘です。そういう体です。

 

「じゃあ次の質問いいか?俺は磯貝悠馬。漣は何をやらかしたんだ?」

「暴力沙汰。訳あって喧嘩した相手がA組ってとこのやつだった。」

 

黒髪アホ毛の生徒…磯貝君の質問にも嘘で答える。俺が呪術師ということはバレて欲しくないから、あらかじめ烏間先生に頼んで口裏を合わせてもらっている。当然殺せんせーにも知られていない。

 

「私からもいいかな?私、片岡メグね。漣君はどこから転校してきたの?」

「ん〜、ちょっと特殊な学校。キリシタン学校とかあるでしょ?あれの仏教系に通ってた。けど普通の授業も受けてたよ。」

 

銀髪を一つに束ねた生徒…片岡さんからの質問への答えは殆ど本当。呪術高専は表向きは宗教学校として通ってる。公にも出てないからこの答え方では気づかれないはず。

とはいえほぼ全員が今の回答に興味を持ってしまったみたいだ。転校生ってだけでも注目されやすいってのに、勘弁してくれ。この辺で切り上げさせてもらおう。

 

「とりあえず質問はこんなところでいい?それじゃ改めてよろしく。」

 

そう言うと同時に制服の裾に隠し持っていたエアガンを殺せんせーに向かって撃つ…が予想通り避けられる。

 

「ヌルフフフフ、登校初日から不意打ちでの射撃。殺る気満々ですねぇ漣君。積極的に来てくれて先生嬉しいです。」

「そりゃよかった。けど今のは先生のスピードがどんなものか見るためのものだから。」

「なるほど、様子見ですか。けど殺意が分かりやすいし、発砲のタイミングもあまり良くありません。」

「言ってくれますね。けど生憎時間はたっぷりある。卒業までには仕留めてみせますよ?」

「ええ、いつでも殺しに来てください、楽しみにしてますよ。ただし授業中の暗殺は禁止です。あと漣君の席はあそこ…奥田さんの後ろです。」

「はいよ〜」

 

…マッハ20って聞いてたけど、狭い室内だとせいぜい2くらいか。見切れない速さじゃないな。以外とどうにかなりそうだけど、まだ観察する必要があるね。

 

 

そんなことを考えながら、クラスメイトの視線を気にせず俺は自分の席に着いた。




修学旅行前にはオリジナル回やるつもりなんです!
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