ぶく茶がエンリ?   作:嵐山

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1話

 

数日前にメールが送られてきた。

 

数年前に辞めてしまったゲーム『ユグドラシル』

ギルド・マスターの、モモンガさんから送られてきていた。

以前給料のほとんどを課金したり、寝る間も惜しんで夢中になっていたゲーム、

それが終わる知らせ。最終日、都合が合えばメンバーで集まらないかという内容だった。

 

何とかインしたい思いがあって、終了30分前だけどインできそうだった。

顔見世程度の挨拶ぐらいしか出来そうもないけど、懐かしいメンバーに会うのもいいと思った。

ずいぶん前の事でパスワードがわからない、時間も無い焦る‥‥

電話で、弟に急いで聞いてみたら覚えててくれた。

いけない事だけど、私より長くやっていて、私のIDでなりすまし悪戯をしていたらしい。

弟は行けそうもないからみんなに『ヨロシク言っといて』だってさ‥‥

 

IDは『分福茶釜』からモジったんだ、パスワードは本家だ。

 

九階層、円卓の間にインしたけど

 

 

「誰もいないじゃない・・」

 

 

(アバター冷静に今見ると卑猥すぎー)

 

 

こんなことしている場合じゃない、みんなどこにいるんだろう?

(解散しちゃったのかな?)

玉座の間に居るのかもしれない、場所覚えているか不安だけど。考えるより行動。

 

 

「わ~~もう時間が無いよ‥」

 

 

こんな時に限ってPCが落ちるとかありえない・・・

こんな事なら実家のゲーミングPC持って来ておけばよかった。

確かにスペックが少し足りないけど、話すぐらいは出来ると思っていたから。

 

間に合わないかもしれないけど、すぐにサーバーダウンにならない事を祈っている。

 

 

 

 

 

入れた、でもさっきと違う。光で何も見えない。

そばで女性の声が聞こえる。

 

 

「エンリ、ネムと一緒に水を汲んできてくれるかい?」

「は~い」

 

 

幼い声も聞こえた。辺りが見えるようになると、そこには見たことも無い人がいた。

(なにこれ?エンリ?ネム?水汲み?え!何の事?)

 

 

「エンリなに『ぼぉーっと』しているんだい」

 

 

私は自分を、指さして確認してみた。

 

 

「そうよ、あなたに決まってるじゃない」

「お姉ちゃんどうしたの?」

 

 

(えっえ~やっぱり私なの?何が何だかわからないよ!!)

訳が分からないまま、ちびっ子に手を引かれ井戸まで連れていかれてた。

 

 

「お姉ちゃん早く水くんでよ」

「え~~~」

 

 

(井戸なんて使ったこともないし、わからないよ。どうしよう・・)

行動に移さない私を見て、じれったくなったのか教えてくれた。

 

 

「お姉ちゃんは引き上げてよ」

「は・はい、このロープを引けばいいのね」

「今日のお姉ちゃん変なの~」

 

 

水を汲み終わると運ぶのだけど、水って重い、こんなのやった事無い。

いつもなら蛇口をひねれば水は出る。

 

戻る時、周りを見て見た。やっぱり見たことも無い場所。

リアルよりも、ユグドラシルよりも、ずっとずっと古い時代。

 

今までに把握した事、私は名がエンリ、ちびっ子は妹でネム、それと両親らしい人がいる事。

姿もリアルの私ではない、アバターぶくぶく茶釜でもない。

幼いがリアルの私より胸は大きい、凹む。

 

ゲームの中という感じはしない。つねってみると痛いし、おなかも減る。

ご飯は美味しいものではなかった。

(どうなってるんだろう‥‥いつ元に戻れるのかな‥‥ここはどこなのよ)

 

色々な可能性を考えたけど、思い当たることはない。

リアルの世界では考えられない、外に居ても平気、環境汚染とは無縁の世界。

昼間は太陽が出ていてポカポカする。夜には星も見えて綺麗。

 

この数日間は、おもに家の手伝いなどをしている、リアルでは出来ない畑仕事、太陽の下での作業、大変だけど新鮮でいい経験になる

あと忘れてはいけない、状況確認をしてた。

 

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