この素晴らしいホグワーツに爆焔を!   作:里江勇二

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今回から再びホグワーツです。


このぼっちな友人に情報を!

 冬休みが開けてからも、私たちはニコラス・フラメルに関する情報を探していた。近代魔法史に関する本はあらかた漁ったが、何もそれらしきものは出てこなかった。

 

「ナイトをここに。ほら、次はめぐみんの番だよ」

「くっ、まさかロンがここまでチェスに強かったなんて。仕方がありません。眼帯に封印されし我が邪眼を開放してあげましょう。未来視の魔眼よ、私に最善の手を!……フフフ、これであなたの勝ち目は消えました。ここにビショップです」

「ここにクイーンで詰みだね」

 

 ……………………。

 

「というかそれ、魔眼なの?見たところ普通の目っぽいけど」

「うるさいですね。誰が何と言おうとこの目は石化の魔眼なんです」

「さっきから変わってるじゃん」

 

 チェスをしながらそんなことをロンと話していると、クィディッチの練習からハリーが何か考え込むような表情で談話室に帰ってきた。

 

「ハリー、どうしたんですか?いつになく頭を使ってるような顔ですが」

「それどういう意味?僕だって宿題とかの勉強でちゃんと頭使ってるんだけど」

「そうは言ってもあなたたち、宿題は基本私かめぐみん頼りじゃない」

 

 ハリーの言葉にため息をつきそう言うハーマイオニー。私はいいと思うんですけどね。別に落第というほどでもないですし、時間の使い方は人それぞれですから。

 

「それでハリーはどうしたの?クィディッチの練習で何かあったのかしら」

 

 ハーマイオニーがそう聞くと、ハリーは少し迷いながら答えた。

 

「次のクィディッチの試合、審判がスネイプなんだ。どうすればいいと思う?」

「休め」

「休むべきだわ」

 

 そんなハリーにロンとハーマイオニーは即答した。まあ妥当ですね。流石に審判を邪魔しに行くのは骨が折れますし。

 

「私も休むべきだと思います。骨が折れたと嘘をつくか、なんなら本当に折りますか?」

「い、いや、遠慮しとくよ。そうじゃなくてさ、僕はクィディッチには出たいんだよ。もしこれで出なかったらスリザリンにバカにされそうだし」

「今度こそ箒から落ちた方がバカにされると思うわ」

 

 ハリーの言葉にハーマイオニーは痛切な切り返しをした。

 しかしどうすべきですかね。ハリーのやりたいっていう気持ちも分かりますし、ハーマイオニーやロンの危険だってい考えももちろん分かります。

 

「……審判なら観客席よりも人の目に付きやすいでしょう。そう簡単に呪いをかけたりできないと思います」

 

 少し考えた上で、私はハリーの味方をすることにした。危険に怯えて何かをしないのは紅魔的にちょっとナシだ。

 

「めぐみん、でもあのスネイプだぜ?絶対に何かしてくるって」

「ええ、その可能性ももちろんあります。なので、私とハーマイオニーで呪文破りをハリーに教えましょう。完全に防げるとは到底思えませんが、一度妨害できれば次はしにくいでしょう。それと試合前に私たちが呪文防止の魔法をかけます。これで、一発KOはなくなるでしょう。そうすれば後はどうにかなります」

 

 私がそう言うと、ハーマイオニーとロンは渋々といった様子で分かったと言った。

 

「ありがとう、めぐみん」

「いえいえ。私たちはグリフィンドール、勇気の寮ですから。恐怖に屈してはならないのですよ」

 

 そのあとロンの五連勝を阻止すべくハーマイオニーとハリーの観戦の中チェスをしていると、パーバティがやってきた。

 

「めぐみん、ゆんゆんって子があなたを呼んでたわよ」

「ゆんゆんが?いえ、そうですか。ありがとうございます、パーバティ。というわけで私はちょっと出掛けてきますね。まだ勝負は決してないので今回は引き分けということで。いやー、ロンの連勝を止めることができてよかったです」

「詰みまであと10手くらいなのが分かっててよくそんなこと言えるね」

 

 ロンの声を後ろに聞きつつ寮から出ると、果たして我が友人はとても居心地が悪そうにキョロキョロしていた。

 

「ゆんゆん、私はあなたが知らない人に声をかけられるようになってとても嬉しいです。それで何の用ですか?」

「あ、めぐみん!ちょっと知らせたいことがあって。それといくら私だってそれくらいできるわよ」

 

 ゆんゆんは私を見つけてホッと安堵の表情を見せたあとにそんなことを言ってきた。

 

「知らせたいことって何ですか?」

「めぐみんが紅魔の里で聞いてきたニコラス・フラメルって人が誰だか分かったの」

 

 私が聞くと、ゆんゆんはそんなことを言ってきた。

 

「本当ですか!?あ、ちょっと待っててください。そうですね、ゆんゆんは先に図書館に行っておいてください。私は三人を呼んできます」

「うん、分かった」

 

 私はそう言うと、すぐに談話室に向かった。まさかゆんゆんが見つけてくれるとは。これは相当に嬉しい誤算ですね。

 

 

 

「それで、ニコラス・フラメルについて何が分かったのですか?」

 

 図書館の少しなら会話できるスペースに私たちはいた。ゆんゆんはコンパートメント以来久しぶりに顔を突き合わせる三人に少し気後れしながら言った。

 

「あのね、この本の作者がニコラス・フラメルだったの。今月になってお姉さんが貸してくれたけどよく分からないから何言ってるのか教えてって同室のパドマ・パチルって子がこの本を渡してくれて」

 

 そう言ってゆんゆんは分厚い一冊の本を見せてきた。その表紙には確かに、アブラハムの書:ニコラス・フラメル著と書いてあった。それは数ヶ月前にパーバティが読んでいた本だった。

 

「どこかで聞いた名前とは思ってましたが、そうでした。アブラハムの書の作者でした」

 

 しかしまさかこんなところで繋がっていたとは。ゆんゆんの同室にパーバティの双子の妹がいて、その子経由でゆんゆんにニコラス・フラメルの本が伝わったのですね。

 

「それでそれはどんな本なの?」

「えっと、ジャンル的には錬金術にあたる本で、ニコラス・フラメルの成した偉業のために必要だった基礎に関して書かれてました」

 

 ハリーが聞くと、ゆんゆんは本をパラパラとめくりながらそう言った。そしてパタリと本を閉じ、ポケットから少し大きめのメモを取り出した。

 

「それで私、ニコラス・フラメルについて纏めてみたから見てほしいんです」

 

 ゆんゆんは少しニヤケながらそう言い換えてメモを私たちの前に広げた。

 

 1300年代生まれ。錬金術──いかなる金属をも黄金に変える力を持ち、飲めば不老不死になるという『命の水』の源でもある伝説の物質、賢者の石を創造することに関する古代の学問──の第一人者にして、賢者の石の創造に成功した唯一の人物。現在665歳であり、妻とイングランドのデボン州に住んでいる。ホグワーツとの関わりとしては、ダンブルドア校長との友人関係がある。

 

「色んな本を探したけど、ニコラス・フラメルの情報はこれくらいしかありませんでした」

 

 ゆんゆんはメモを見る私たちを見ながらそう言った。全く、この子は何を言ってるんでしょうか。

 

「いえ、十分すぎるほどです。自分のこともあっただろうに、これだけのものを集めてくれてありがとうございます」

「ううん、宿題以外やることなかったし別に。友達と話すこととかも、しない……し……」

 

 そんなことを言いながら俯いていくゆんゆん。なんでこの子は流れるように自爆していくんでしょうか。

 

「はぁ……そうですね。ゆんゆん、今度どこかへ遊びに行きましょうか。そのときに私の友達も何人か紹介しましょう」

「え!?いいの!?」

「普通の遊びの誘いでそんな反応しないでくださいよ」

 

 あまりの勢いにハリーたちが引いてるじゃないですか。

 

「だって誰かと遊びに行くなんてなかなかないんだもん。仕方ないじゃない」

「あの、どこか行きたかったら言ってくれれば付き合いますから、男の人とかに遊びに誘われても何も考えずにほいほい着いて行ったりしないでくださいね?」

「流石にそれくらい分かってるわよ」

 

 私には「俺たち友達だよな」と言われていいように使われるゆんゆんが簡単に想像できてしまうのですが。

 

「私だってここに来る前にも、めぐみん以外にマンドラゴラとか喋り草みたいな友達がいたんだから!こっちに来てからは『トロールとの仲の深め方』だって読んでるし、他にも」

「ゆんゆん、三人が引いてるのでやめてください」

「え?」

 

 私の言葉にピタリと口を止めたゆんゆん。ゆんゆんが私から視線を外して三人の方を見ると、三人はものすごく微妙な表情になっていた。少しずつ顔を赤くしていくゆんゆんに、ハーマイオニーが話しかけた。

 

「だ、大丈夫よ。私たちはトロールと友達になろうとしてる人がいても別に頭は大丈夫なのかななんて思ったりしな」

「うわぁぁぁぁ!」

 

 しかしそのフォローは逆効果だったみたいで、ゆんゆんは真っ赤になった顔を両手で隠しながら器用にもうるさくならないように叫んで駆けていった。

 

「……言い方が悪かったかしら」

「間違いなく悪かっただろう。元ぼっちのくせに分からなかったのかい?」

「うるさいわね。ねえめぐみん、今の子にお礼と……そうね、友達になりましょうってことを伝えておいてくれないかしら。言われて思い出したけど、独りはつらいものね」

「分かりました、今度言っておきます。それでは寮に帰りましょうか」

 

 その言葉をきっかけに、私たちは図書館を出ていった。何にせよ、私たちはようやくニコラス・フラメルの情報を得ることができた。これでやっとスネイプ先生かクィレル先生、あるいはその両方に一泡吹かせられるかもしれないと私は思っていた。

 

 

 

 

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