それから数日たったある日。ロンとチェスの勝負(現在八連敗中)をしていると、談話室の扉が開きネビルがうさぎ跳びをして入ってきてそのまま倒れ込んだ。
「ちょ、どうしたんですかネビル」
「図書館の前で、マルフォイに出くわして、呪文を、試したいからって」
「フィニート・インカンターテム!」
みんながネビルの姿に笑う中、私はネビルに駆け寄って掛けられていた呪文を解除した。ネビルは息を切らしてハアハア言いながら自由になった足を確かめた。
「マルフォイにやられたのか、ネビル。先生に言いつけてやれよ。これは立派な校則違反だ」
「いいよ。事を大きくしたくないし」
近づいてきてそう言ったロンに、ネビルは俯きながらそう言った。これは少しまずいですね。ネビルの考え方が典型的ないじめられっ子のものになってしまっています。それとロン、校則違反に関してはあなたが言えたことじゃないと思います。
「それに僕が言ったって先生たちにもまたかって顔されるだけだよ。みんな知ってるから。僕になんの価値もないって。マルフォイに言われたんだ」
そうしていると、ネビルが拗ねたようにそう言った。もう、あなたはまたすぐにそう言うことを。
「ネビル、君はマルフォイの何十倍も価値があるよ。なんたって君はグリフィンドールなんだから」
「ハリーの言う通りですよ。なんであなたはそんなに流れるように卑屈になるんですか。あなたは、少なくとも何回失敗しても気力を失わずに挑戦してる立派なグリフィンドール生です。スリザリンである意味を履き違えてる失敗スリザリンに何を言われようが、あなたが気にする必要なんてありません」
ハリーと私がそう言うと、談話室の隅の方からパラパラと拍手が上がった。
「いやあ、素晴らしい。その通りだ」
「あの金髪には一回お灸を据えてやらなきゃな」
拍手をしてそう言いながら話しかけてきたのは、ロンによく似た赤毛の二人組だった。
「フレッドにジョージでしたよね。ロンにはお世話になってます」
「よせよせ、弟の方が世話になってるに決まってるだろ?」
「なんたって聞くところによれば我らが恐怖の具現、例のヴォル何ちゃら様のことを馬鹿にするほどの肝っ玉。弟にそんな人材によくしてやる器量はないさ」
「兄さん、それはどっちかって言うとめぐみんがおかしいんだよ。ついでに言えば兄さんたちも」
どうやらこの二人組はあのヴォルデモートとかいう人を特に怖がってないらしい。魔法界にいながらそうできるということに、私は二人に対して元々高かった好感度を更に上げた。
「確かあなた方にはまだ正式に名乗っていませんでしたね」
そんな二人の前で私はグリフィンドールのローブをばさりと翻した。ハリーにロン、ハーマイオニーはまたかという目で、他の人たちは何をするのか少し興味があるような目で私を見た。
「我が名はめぐみん!紅魔家一の天才魔法使いにして、いずれ世界に名を轟かす者!今後ともよろしくお願いします」
そんな中私がそう言うと、談話室は一度シーンとなった。そしてそのすぐ後に、フレッドとジョージが手を叩きながら笑い始めた。
「ハハ、そりゃいいや!」
「変に謙遜したりするよりずっといいな」
「「俺たちも次からこれやるか!」」
そう言うと、フレッドとジョージは談話室の真ん中に立った。
「我が名はフレッド!ウィーズリーの悪戯ツインズの片割れにして、全力でこの世を面白おかしく過ごす者!」
「我が名はジョージ!ウィーズリーの悪戯ツインズの片割れにして、全力で大人たちを茶化す者!」
そんな二人に小さく沸き立つ談話室。二人を指差して笑うみんなをよそに、私は二人に軽く感激していた。この名乗りを紅魔の外の人が理解してくれるなんて……!
「どうやらあなた方とは仲良くできそうです」
「それはこちらのセリフさ」
「これなら初対面の人に強烈な印象を残せそうだしね」
私たちの名乗りの本質である「かっこいい」を感じ取ったわけではなさそうだが、使ってくれるというだけで仲間のような感じがする。
「ところで天才魔法使いさん、少し話があるんだが」
「俺たちの悪戯に一枚噛まないかい?青白坊やに一泡吹かせられるいい考えがあるんだが」
「詳しく」
イタズラっぽい笑顔で手招きする二人に私は付いていくことにした。
「というわけでロン、今回は引き分けということで」
「君ってば毎回そうじゃないか!」
「それで、どんな悪戯なんですか?場合によりはしますが、基本的に全力で協力しましょう」
「まあまあ、そう慌てなさんな」
「こういうのは雰囲気が大事だ。知ってるだろ?」
ここはグリフィンドール寮から少し離れたとある空き部屋。悪戯チームが見つけた部屋で、いつも会合をしてる部屋の一つらしい。
「まずはもう一人のメンバーも呼ばなきゃな。そろそろ来るだろう」
「呼んだかい?」
ジョージがそう言うと、その直後にドアを開けて黒いドレッドヘアーの男子生徒が入ってきた。
「紹介しよう。我らがイタズラ仲間、リー・ジョーダンだ」
「やあ、めぐみんだね。話は聞いてるよ。クィディッチを観戦してるスネイプにドロップキックをお見舞いしたんだって?俺の名前はリー・ジョーダン。よろしく」
「クィディッチの実況の方ですよね。いつも楽しんで聞いてます」
「そいつはありがたいや」
グリフィンドール寄りすぎて時々大丈夫かと思うこともあるが、解任されないうちはそんなことを考えなくてもいいだろう。
「それで、めぐみんを呼んだということはアレを実行するのかい?」
「ああそうさ。やっと目処が立ったからな。めぐみんがいれば問題ない」
そんなことを考えていると、リーの質問にジョージがそう返していた。ほほう、なるほど。
「つまり悪戯の実行にはホグワーツ一の天才こと私の存在が必要だったわけですね?」
「全然」
……………………。
「じゃあ今の思わせぶりなセリフは何だったんですか!」
「いや、君が重要なのに間違いはないさ。ただ重要なのは君の魔法の腕ではなく君の人脈でね」
「今回の計画においてはあるものをスリザリンのフォイ助くんに食べてもらわねばならない。が、俺たちが送っても絶対に食べないし、匿名なら尚更だ」
「そこで君には父上大好きドラコくんがそれを食べるような仕込みをしてほしい。君には各寮隔たりなく友達がいると聞く。同じ寮の女子から渡されればアレも流石に食べるだろうさ」
つまり私はただの橋渡し役で、直接イタズラに関わることはないと。なるほどなるほど、そういうことですか。
「……あからさまに嫌な顔してるね。やることが少ないのが嫌なら安心してくれていい。君にやって欲しいことは他にもあ」
「やります!」
「……早いね」
「うん、これは逸材だ」
話を聞けば、どうやら贈るお菓子に入れる薬がまだ完成してないからよかったら手伝わないかとのこと。フッフッフ、そうならそうと早く言ってくれればよかったのに。
「もちろんやりますとも。ぜひ手伝わせてください」
「よく言った」
「それでこそ一緒にイタズラをやれるってもんだ」
「よろしくな、めぐみん」
そう言って手を差し出してきた三人と私は固く握手を交わした。こうして私は今後も時々イタズラに加わることになり、私の魔法使いとしての歴史にグリフィンドールのイタズラチーム所属が加わった。