読者の皆さま、いつも読んでくださりありがとうございます。度々起こる誤字については本当にすみません。誤字報告を入れてくださる方々、毎度毎度本当にありがとうございます。助かってます。
拙い文章ではありますが、今後ともよろしくお願いします。
六月の今日、私は寮の部屋でパーバティたちと試験の答え合わせをしていた。
「うーん、どうやら魔法史で一部の事件の年号を間違えてしまったようですね。これは実技試験でいい点を取ってないとハーマイオニーに勝てなさそうです」
「あなたはいいわね、学年一位かどうかの心配ができて。というかあなたの実技試験は誰がどう見ても超高得点じゃない。どうやったら一年生でネズミを宝石がたくさん付いた豪華な嗅ぎタバコ入れに変えられるのよ。フリットウィック先生なんかもう大喜びだったじゃない」
「それに変身術の紙を金属にする魔法でなんで金なんか作れるのよ。そんなのもう錬金術の領域じゃない。あたしなんか鉄よ?しかも紙の形そのままじゃなくて鉄屑。もう嫌になっちゃうわ」
私の呟きに、パーバティとラベンダーはそう言ってきた。どうやら試験のせいで少し気が立ってるようで、そのセリフは投げやりだった。
「二人だって別に悪いわけじゃないのでしょう?ならいいじゃないですか」
「私の呪文学の試験で作った嗅ぎタバコ入れはしっぽとヒゲが生えてたわ……何か言ってよ」
「いえ、その……すみません、ラベンダー」
「謝らないでよ!」
そんなことを言っていると、ふと窓からハリーにロン、ハーマイオニーの三人が大急ぎでハグリッドの小屋に向かっているのが見えた。あの慌てようはテストではありませんね。おそらく賢者の石のことでしょう。
「用事を思い出しました。ちょっと出かけてきます」
「いってらっしゃい」
私はそう言って、ハグリッドの小屋へと向かった。
「三人とも、そんな深刻そうな顔してどうしたんですか?」
私が玄関ホールに着くと、すでに三人は小屋から城に帰ってきていた。
「ああ、めぐみんか。めぐみん、落ち着いて聞いてほしい。ハグリッドがドラゴンの卵を手に入れたときに、卵をくれた人間にフラッフィーの攻略法を教えちゃったみたいなんだ」
「なっ!……それは本当ですか?」
「残念ながら本当よ。それより早く、ダンブルドアのところに行かなくちゃ」
「ハグリッドが怪しいやつにフラッフィーの手懐け方を教えちゃった……その怪しいやつはヴォルデモートかスネイプだったんだ。ハグリッドを酔わせちゃえばあとは簡単だったに違いないよ」
私の質問に、三人は口々にそう答えた。ハグリッド、なんて迂闊なことを……。
「それは大変です。今すぐ校長を探しましょう。それとハリー、一つ訂正があります。賢者の石の盗人はスネイプ先生ではなくクィレル先生です」
私はそう言ってセドリックやゆんゆんから聞いた話を三人に話したが、三人は取り合わなかった。
「そんなわけないじゃない。絶対にスネイプよ。というかそんなの誰でもいいからダンブルドアを探すわよ。ああ、校長室への案内とかないかしら」
ハーマイオニーのその一言で議論よりも校長を探すのが先決となった。とその時、マクゴナガル先生が近くを通った。
「そこの四人、こんなところで何をしているのですか?」
「マクゴナガル先生!ちょうどいいところに来ました、ダンブルドア校長先生にお会いできませんか?」
マクゴナガル先生にそう言うと、先生は怪訝な顔でこちらを見てきた。明らかに私たちを怪しんでいる。
「校長にお会いしたい、ですか。理由は?」
そして先生は私にそう聞いてきた。うーん、どう答えましょうか。
「……先生、秘密の一つや二つあってこその乙女だと私は思」
「紅魔、先生をからかうようなら5点減点ですよ」
「なんでもありません」
「よろしい」
マクゴナガル先生はそう言ってため息をついた。むう、会おうとするくらい別にいいじゃないですか。狭量ですね。
そんなことを考えていると、マクゴナガル先生は言った。
「四人とも、変なことを考えるのはやめなさい。それにダンブルドア先生は今魔法省に出向いてらっしゃるのでどうせ会えませんよ」
「先生がいらっしゃらない!?この大事な時に!?」
マクゴナガル先生の言葉に、私たちは大いに慌てた。
「みなさん、先生は偉大な魔法使いであるからして大変ご多忙でいらっしゃるのです」
「でもとても、本当にとても重大なことなんです」
「紅魔、魔法省の件よりあなたの要件の方が重要だと言うんですか?」
魔法省の件が新たな闇の帝王の誕生でない限りこちらの方が重要だろうが、どう言えばいいだろうか。
そうしていると、ハリーが慎重さをかなぐり捨てて言った。
「実は先生、『賢者の石』の件なんです」
この答えだけは流石のマクゴナガル先生にも予想外だったようで、先生は持っていた本をバラバラと落とした。
「なぜそれを……?」
「先生、僕の考えでは……いえ、僕は知っています。誰かが『石』を盗もうとしてます。どうしてもダンブルドア先生にお話ししなくてはいけないんです!」
マクゴナガル先生は驚きと疑いの入り混じった目をハリーに向けていたが、しばらくしてやっと口を開いた。
「ダンブルドア先生は明日お帰りになります。どうやってあなたたちが『石』のことを知ったのか分かりませんが、安心なさい。『石』の守りは盤石ですから」
「でも先生」
「二度同じことを私は言いたくありません」
先生はきっぱりと言った。
「四人とも外に行きなさい。せっかくのよい天気ですよ」
先生は落とした本を拾い、そこを去った。私たちは一旦談話室へ行って作戦会議をすることにした。そしてスネイプ先生(と私の希望でクィレル先生)を見張る、四階の廊下にいるなどの計画を練ったが、いずれも失敗した。特に廊下の方はひどかった。マクゴナガル先生にすごい剣幕で怒られたのだ。久しぶりに先生のガチギレを見た。
「こうなったら、僕が今夜『石』を先に手に入れる」
先生の説教を受けて談話室に帰ってきたあと、ハリーはそう言った。ロンとハーマイオニーは反対したが、ハリーの意思は固かった。
「めぐみん、君も何か言ってくれよ」
「いえ、私はハリーに賛成です。ハリー、よく言いました。ヴォルデモートが復活するのは何としても阻止しなければいけません。何、お化けの成りかけを本物のお化けにするだけです。簡単でしょう?」
ロンとハーマイオニーは私の顔とハリーの顔を見つめ、ため息をついた。
「そうね、よく考えたら行く他ないものね」
「僕たちも行くからな。行くなら四人でだ」
「ええ、言うまでもありませんが私たちも行きますよ、ハリー」
そんな私たちにハリーは確認するように言ってきた。
「もし捕まったら君達も退校になるよ。さっきマグゴナガル先生が言ってたろ」
「ふっ、この学校が稀代の天才たるこの私を退校にするわけないでしょう。なんでも宝石付きの嗅ぎタバコ入れを一年生の試験で作り出したのは先生の知る限り私が初めてだったそうです」
「私もね、フリットウィック先生の試験で百点満点中百二十点だったそうよ。先生が教えてくれたわ。これじゃ、私を退校にはしないわ」
私たちの自信満々のそんな態度に、テストの出来がよくなかったらしいロンとハリーはものすごく微妙な顔になっていた。
その日の夜、私たちは談話室から人がいなくなるまでずっと談話室の隅で待っていた。その間ハリーはなぜか戻ってきていたらしい透明マントを取りに行き、ハーマイオニーは本を読んで何か役に立ちそうなものを探していた。そして私は空間圧縮ポーチにあるものを入れ、時を待っていた。
「行く前に一回マントを着てみようよ。四人全員隠れられるかどうかさ。もし足がはみ出したまま歩き回ってるのをフィルチにでも見つかったら……」
「君たち、何してるの?」
そしてみんなが談話室から出て行き、四階の廊下へ行く前にそんなことを話していると部屋の隅から声が聞こえた。そちらを見ていると、椅子の陰から手に逃亡生活を終えたペットのヒキガエルを持ったネビルが現れた。
「なんでもないよ、ネビル。なんでもない」
「君たちが集まってなんでもないわけがない。また外に出るんだろ」
マントを体の後ろに隠してそう言うハリーに、ネビルは言った。ば、バレてる。
「外に出ちゃいけない。また見つかったら、グリフィンドールはもっと大変なことになる」
「ネビル、あなたに言うことはできませんがこれはとても大事なことなんです。ことは魔法界全体に関わります。そこを退いてくれませんか?」
「僕はバカだけど、めぐみんのいつもの大言壮語を信じるほどじゃない」
私の言葉にネビルはそう返してきた。イラっと来たが、私は言い返すのをやめた。……別に何も言えなかったわけじゃないですからね。私が大人だから言い返さなかっただけですからね。
「行かせるもんか……僕、僕は、僕は君たちと戦う!」
「ネビル!そこを退け!バカなことはよすんだ!」
「もうこれ以上規則を破ってはいけない!君たちは恐れずに立ち向かえって僕に言ってくれたじゃないか!」
キレた様子のロンにも一歩も怯まずに言い返すネビル。普段なら勇気を出してるネビルを褒めるところだが、タイミングが悪い。なぜ今覚醒したんですかネビル。
……仕方がない。私は杖を懐から取り出した。
「ネビル、すみません──スレプト!」
私がそう呟くと杖の先から出た閃光がネビルに当たり、ネビルはその場に崩れ落ちた。
「めぐみん、今のは何をしたの」
「ちょっと眠らせただけです。特に害はありません」
私は強めに聞いてきたハリーにそう答えつつ、床に倒れているネビルにブランケットをかけた。もう夏ですし、これで風邪を引くこともないでしょう。
「それでは行きましょうか」
そうして、私たちは『賢者の石』を巡る事件の最終幕へと繰り出していった。