この素晴らしいホグワーツに爆焔を!   作:里江勇二

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この犯人らしきスリザリン寮にカチコミを!

 

「ドラコ!ここにいるのは分かっています!さっさと出てきて秘密の部屋について知ってることを洗いざらい話しなさい!聞いてるんですかドラコ!さっさと出てこないとドラコのこと今度から薄らハゲと」

「あああああ!!そろそろ黙れ!我慢すれば帰ってくだろうと待ってれば、いつまで居座る気だお前!というかなんだ最後のは!僕は禿げてなんかない!」

 

 クィディッチの試合の翌日……つまりコリンが石にされた翌日の朝10時ごろ。私がスリザリン寮の目の前で騒いでいると、ドラコが叫ぶようにして出てきた。

 

「あ、気にしてたんですか。すみませんでした……身体的なコンプレックスのことは言っちゃダメでしたよね」

「憐れむような目で僕の頭を見るなあ!」

 

 出てきたドラコに私が謝ると、ドラコは顔を上気させて言った。やはり気にしてるようだ。そういえばお父さんが男にとっては深刻な問題なんだとか言ってましたね。

 

「というかドラコ、随分と前から私の声に気づいていいたようですね。それでいてすぐには出てこなかったと。ほう、私に喧嘩を売るとはいい度胸ですね」

「お、お前、さんざん寮前で僕の悪口言っておいてそんな態度取れるのか……フ、フン、お前こそここで僕に喧嘩を売るってのがどういうことなのか分かってるのか?ここはスリザリン寮生たる僕の本拠地だぞ。それにいつもならともかく、今回は完全にそっちから吹っ掛けてきた形だ。教師に言えば間違いなく罰はお前が独り占めだぞ、紅魔」

 

 そんなことを考えながら私がいつものように挑発すると、ドラコは少し引き気味に呟いた後ニヤニヤしながら言い返してきた。なるほど。

 

「つまりドラコ、あなたは喧嘩をすること自体には異論はないと」

「えっ」

 

 ドラコの言葉に私がそう言うと、ドラコはにやけ面から一転呆気にとられたような顔をした。

 

「オーケーいいですよ、分かりました。ちなみに多くのスリザリン生は昨日のクィディッチの試合により私に関わりたくないと思っており、また教師陣もさっき私が仕掛けた足止め用のいたずらの解除に忙しいはずなので呼んでもしばらくここには来ないでしょう。さあドラコ、時間の許す限り存分にタイマンといきま」

「悪かった!僕が悪かった!だから杖を下ろせ!なんでお前はすでにやらかしてからここに来てるんだ!実質ノーダメじゃないか!」

 

 私が杖を掲げて呪文を唱えようとすると、ドラコはそう言った。ほほう、あのドラコが謝りますか。なんか気持ちいいですね。でも。

 

「すみません、もう喧嘩の気分になってしまったのでそれはなしです」

「ふざけんな!お前はどれだけ好戦的なんだ!なんだよ喧嘩の気分って」

「冗談です」

「お前が言うと本気に聞こえるからやめてくれ」

 

 私が言うと、ドラコはげんなりした表情で私を見ながらそう言った。別に私としては本気にしてもいいんですよと言おうと思ったが、話が進まなくなるからやめておいた。

 

「まあいいです。それよりドラコ、話があります」

「僕にはないからさっさと帰……おい紅魔、冗談だ。冗談だから杖を下ろせ。話なら聞いてや」

アグアメンティ!

「おま、水責めはシャレになら、ガッ、ゴボ」

 

 話を進めようとしたのにドラコが同じようなネタを繰り返そうとしたのにイラっと来た私は、ドラコに魔法で水を浴びせてしばらく放置した。

 

 

 

「さあ、もうくだらない返しはしないでくださいね?」

 

 ドラコに水を浴びせて五分ほど。口に入った水をあらかた吐き出しゲホゲホ言いつつある程度落ち着いてきたドラコに私は言った。するとドラコはこちらを向き、妙な迫力で言ってきた。

 

「げほ……お前、最初に僕にかける言葉がそれか?建物の中で溺れかけた僕にかける言葉が本当にそれで合ってるのか?本当に僕から話を聞きだす気あるのか?」

「す、すみません、コリンの件でちょっと気が立っていまして」

 

 私がドラコに押されている……だと?

 

 ひそかに動揺していると、ドラコはため息をついた。

 

「まあお前の頭のおかしさは今更か。それで、話ってなんだ」

「おや、やけに素直ですね。どうしたんですか?」

「お前に溺れかけさせられた」

 

 …………………………。

 

「まあそれはいいとして」

「いいわけあるか。後できっちりスネイプ先生に言っておくからな」

「いやホント悪かったんでその話はやめましょう。ちょっとやり過ぎたかなとは思ってるんで」

 

 私がそう言うと、ドラコは引いたような視線でこちらを見ながら「ちょっと……?」と呟いた。思ったよりさっきの水が堪えたらしい。別に口に水を注ぎ続けたりしたわけではないのだが、水量の調整でもミスりましたかね。

 

 そうしていると、ドラコが口を開いた。

 

「それで、なんの話だ?ああ、分かったぞ。さては紅魔、お前もようやく純血主義に興味が出てきのか?それならこの僕がたっぷりと解説を」

「いえ、違いますが」

「……全然?全く興味ない?」

「ええ。欠片も」

「……そうか」

 

 私が返すと、ドラコは心なしか肩を落とした。なんだろう。語りたかったんだろうか、純血主義。そもそも秘密の部屋についての話だと最初に大声で言ってたんですけどね。

 

 そうしていると、ドラコが言ってきた。

 

「じゃあ何なんだよ。正直お前が僕に聞きにくる話なんて見当もつかないが。冷やかしなら帰れよ」

「他寮の冷やかしって何ですか。勝手に拗ねないでくださいよ」

「す、拗ねてない!」

 

 どう見ても拗ねてたと思うんですが。

 

「それでドラコ、話ですが」

「ああそうだ紅魔、こちらもお前に聞きたいことがあったんだ」

 

 そう思いながら本題を切り出そうとすると、ドラコが被せてきた。

 

「聞きたいことですか?あなたが私に?」

「ああ、そうだ。お前ならこういう話にもいち早く首を突っ込んでるだろうと思ってな」

 

 私がいち早く首を突っ込みそうな話ですか。……それだけでは絞り込めませんね。心当たりが多すぎて。

 

 そうしていると、ドラコが切り出した。

 

「あー、その、なんだ。お前のところ(グリフィンドール)のクリービーとかいうのが秘密の部屋の怪物に襲われて石になったそうじゃないか。その石化ってのは治るものなのか……?」

「は?」

 

 ドラコの言葉に、私はそんな声を上げた。

 

「いや、別にビビってるわけじゃないぞ?僕が継承者の敵を狙う奴に襲われるわけなんかないし?むしろ僕が継承者だし?まあでも、一応というかな?他のスリザリン生なんかは怖がってるやつもいるかもしれないし?」

 

 私の反応を何だと思ったのか、自己弁護を始めたドラコ。そんなドラコに私は言った。

 

「そんな見え透いた強がりはどうでもいいです。しかし、え、あなたは秘密の部屋の怪物を動かすのに一枚噛んでるんじゃないんですか?」

「え?」

 

 私が言うと、今度はドラコが戸惑ったような声を出した。

 

「えっと紅魔、なんでそう思った?」

「いやだって、あなたの家の」

「僕の家の?」

「あ、いや、何でもないです」

 

 どうしよう。なんかドラコの反応がガチっぽいんですけど。問い詰めてドラコに白状させればこの事件も終わると思ってたんですが……。

 

「一応石化について話しておくと、死んだりはしないようです。ただ、すぐに治るようなものでもないとマダムポンフリーは言ってました。薬を作るのに時間が要るとか何とかで」

「そうか。いやー、よかった……あ、今のは僕がホッとしたとかでなく他の奴らを心配してだな?」

「もうその強がりはいいですから。それよりドラコ、本当にあなたじゃないんですか?最初に石化事件が起きた時、あなた若干ドヤ顔してましたよね?」

「あの時はテンション上がってたからな」

 

 野次馬ですか。

 

「しかし僕の家、ね。さてはお前、父上のことを疑ってるな?言っておくがな、父上はこんなことしないぞ。なんせ父上はこの学校の理事を務めておられる。父上は自分のテリトリーを自らの手で荒らしたりはしない人だからな!」

 

 そうしていると、ドラコがドヤ顔で言ってきた。この人本当に父上大好きですね。ファザコンってやつですか。

 

「そう言われてもイマイチピンと来ませんね。私たち(紅魔族)なんか、かっこいいかそうでないか以外に領域の区分はありませんし」

「お前……幼稚園児でももう少し考えて区分けするぞ」

「家柄だけで一年の頃から寮の代表面してるドラコには引かれたくないです」

「い、家柄だけじゃない!僕には全身から溢れ出るカリスマ性がだな」

「全身から溢れ出る(笑)カリスマ性(笑)」

「舐めてるのか紅魔ァ!というか代表面に関してはお前には言われたくないんだが!」

 

 私は成果残してますから。

 

 そんなことを考えていると、ドラコが言ってきた。

 

「フ、フン。まあ、わけのわからない迷惑一族には理解できない信条だしな。仕方がないことだ」

 

 ほう?

 

「はあ!?誰がわけのわからない迷惑一族ですか!そっちこそコッテコテの悪役ポジのくせに小悪党なヘタレ一家のくせに!」

「吠えたな紅魔!我が一族の侮辱は許さないぞ!そろそろお前に僕の実力を見せつけてやる!杖を抜け!」

「なるほど、決闘(ケンカ)ですか!いいでしょう、望むところで──」

「ほう、石化事件(クリービーの件)で忙しかった職員室周りに迷惑な罠を仕掛けるに飽き足らず、ここで新しく騒ぎを起こしていたわけか紅魔。実に奔放なことだな、え?」

 

 そこまで言ったところで、ふと私とドラコの間にニュっと黒い影が入ってきた。

 

「ス、スネイプ先生……お疲れ様です」

 

 その影の正体は、頬をピクピクさせイライラを隠そうともしていないスネイプ先生だった。私が少し詰まりながら声をかけると、スネイプ先生は言った。

 

「ああ、そうだ。我輩は実に疲れている。お前のせいでな。そしてこれからも疲れることになるわけだ」

「と、言いますと?」

「お前への罰はお前を最初に見つけた者がすることに決まってな。喜べ紅魔、お前は今から今日一日我輩の薬品及び薬草倉庫の整理の手伝いだ」

「え、ちょ、私にはやることが……襟をつかんで引っ張らないでください!従います!ちゃんと従いますから!……ちなみにその作業、半日になったりとか……ああ、襟はやめてください!一日でいいですから!」

 

 そんな私の抗議をよそに、スネイプ先生は私の襟を掴んだまま歩いていった。

 

 

 

 

 




 父上に信条裏切られてるマルフォイくんかわいそう……
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