この素晴らしいホグワーツに爆焔を!   作:里江勇二

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この騒がしい歓迎パーティーに組分けを!(2)

(私に四つの寮全ての素質がある、というのは?)

 

 私は組分け帽子に聞き返した。自分が天才だということは知ってたが、まさか四寮全てとは。いやでも、案外よくあることなのかもしれない。

 

──君には分からないと思うがこれは間違いなく異常事態でね。普通の生徒は一つの寮の素質だけで、二つあったとしても片方が弱かったりするんだ。今年で他にこの異常が起こりうるとすればあのポッター家の子くらいと言えるほどに、君は普通じゃない。

 

 そんな私の考えを帽子はすぐさま否定してきた。そうですかそうですか。うんうん、さすがは私。天才の中の天才、正しく麒麟児ですね。

 

──……君は少々自信過剰ではないかな?

(うるさいですね。それより、その素質というのは具体的にはどんなものなんですか?)

 

 少し気になり質問してみると、帽子は答えた。

 

──君はひどく仲間思いで、世間に背いてでも友達を信じて守り抜くほどの気概が感じる。これはハッフルパフの素質。

 そして同じように、君は何やら大いなる魔法に対して並々ならぬ情熱を持ってるね。これはレイブンクローの素質。

 そして、どう言えばいいか分からないが君は間違いなくスリザリンで上手くやっていける。

 そして最後に、君は勇敢で誇り高く、英雄に憧れている。これこそはグリフィンドールの素質だ。

(……特に特別な要素は見えなかったように思えますが)

 

 ハッフルパフの素質は人として当然だし、ここに来てる人の半分以上は魔法に対して意欲的だろう。スリザリンだけはよく分からないが、グリフィンドールに関しては誰だって英雄願望を持ってるはずだ。

 そんなことを考えていると、帽子は言った。

 

─いや、私が素質と言い切るのは人より圧倒的にそれが大きい場合のみだ。つまり、君は全寮において成功する未来が存在する。この場合、選択権は君にある。君が強く願えば、私はそれに呼応しよう。

 

 私はそれを聞いて、少しだけ考えた。ハッフルパフの誠実さ、レイブンクローの知識の探求、スリザリンの目的への強力な意識。だが、それは本当に少しの間だった。全ての寮が選べるなら、答えは一つだけだ。

 

──そうだね、君ならそう言うと思ってたよ……「グリフィンドール!!!

 

 その瞬間、私の頭は再び現実世界へと戻ってきた。

 

 広間を見れば、一番横の緑地に獅子の描かれた旗が翻っているテーブルが沸き立っていた。そこへと歩いていってハーマイオニーの隣に座ると、上級生たちから歓迎とお祝いの言葉をかけられた。

 

「入学とグリフィンドール入寮おめでとう!」

「君は運がいい、ここは最高の寮なんだ」

「これからよろしくね」

「ロリっ子キター!」

 

 おい、最後の。

 

 辺りを見回してみたが、最後の失礼な言葉をかけてきた輩は見当たらなかった。見つけたら泣いて謝るまでボコってやることを誓った。

 

「紅魔ゆんゆん」

「レイブンクロー!」

「えぇ!?」

 

 組分け帽子に視線を戻すと、私の次に呼ばれたゆんゆんがレイブンクローと言われて涙目になってるのが見えた。こちらへの視線を見るに、私のいるグリフィンドールに入りたかったらしい。ぼっちでも頑張ってください、ゆんゆん。

 

「ロングボトル・ネビル」

「グリフィンドール!」

 

「マルフォイ・ドラコ」

「スリザリン!」

 

「ポッター・ハリー」

「グリフィンドール!」

 

「ウィーズリー・ロナルド」

「グリフィンドール!」

 

 組分けの儀式はサクサクと進んで行き、とうとう全員の分が終わった。どうやら新入生は百数十人ほどのようで、各寮にはだいたい三、四十人ごとに振り分けられたようだった。

 

 食事が来るのを今か今かと待っていると、教職員の机にいた白ヒゲのメガネのおじいさんが立ち上がった。

 

「新入生諸君、入学おめでとう!歓迎会を始める前に、二言三言ほど言わせていただきたい。では行きますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

 

 あの人は頭がおかしいんじゃないだろうか。そしてあの人に拍手喝采しているここの生徒たちも頭がおかしいんじゃないだろうか。

 

「すみません、今の頭がおかしなおじいさんは誰ですか?」

 

 近くに座っていたロンのお兄さんのパーシーにそう聞くと、パーシーは目を丸くした。

 

「え、君もしかしてダンブルドアを知らないのかい?あの人はホグワーツ現校長、世界一の魔法使いであるダンブルドア先生だよ!」

「なるほど、あの人がダンブルドアでしたか。確かに賢者感が凄いですね……でも今の言葉には間違いがありますよ。彼は世界二位です。世界一の天才は私なので」

「君は頭がおかしいのかい?」

 

 私が言うと、パーシーは心底心配そうな顔でこちらを見てきた。失礼な。でもこれ以上言うと本当に頭のおかしな子認定されそうだったので私はいつのまにか現れていた食事の方に視線を移した。

 

 目の前に並ぶご馳走の数々。こんなの、我が家はおろか紅魔の集まりでも見たことがない。

 

「いただきます!!!」

 

 私はそう叫んで、何の遠慮もなく食事にかぶりついていった。

 

 

 

 

「はっ!ここはどこですか」

「寮の部屋よ」

 

 気づけば、私は寮の部屋にいた。

 

 いや、待ってほしい。私はさっきまで歓迎会で滅多にないご馳走を体いっぱいに詰め込んでいたはずだ。

 

「私はどうやってここに?」

 

 とりあえず隣にいたハーマイオニーに聞くと、後ろから声がした。

 

「食べ過ぎて倒れたのを私たちが運んできたのよ。うわ言でタッパーにまだ詰め込んでないのにと言ってるあなたを運ぶのは少し疲れたわ……あなた、食いしん坊過ぎない?そんなに体が小さいのに」

 

 振り向くと、そこには綺麗な黒髪の少し大人びた少女がベッドに腰掛けていた。

 

「それはそれは。迷惑をかけたみたいですね、すみませんでした。あんなご馳走を目にする機会が今までなかったので、つい……それで、あの、あなたは?」

「女の子なんだから少しは自重しなさい。私はパーバティ・パチルよ。インドから来たわ。よろしく」

 

 パーバティが自己紹介をすると、部屋にいたもう一人の金髪の女の子も話に入ってきた。

 

「私はラベンダー・ブラウン。七年間よろしくね」

「私も同じ部屋よ、めぐみん。今後ともよろしく」

 

 どうやら彼女らは私のルームメイトとなるらしい。ならば私も自己紹介をしなければ。

 

 そう思い、私はベッドからぴょんと飛び降りた。

 

 そしてローブを翻そうとしてすでにローブを脱いでいることに気がついた。

 

「……あの、私のローブは?」

「運ぶ時に脱がしたわ。それとめぐみん、私たちは今日はもう疲れてるからあの名乗りは省略してくれると助かるんだけど」

 

 どうやらハーマイオニーに先手を取られていたようだ。

 

「そうですか。それなら仕方ないですね。私は紅魔めぐみんです。日本から来ました。私は天才なので、じゃんじゃん頼ってくれていいです。これから七年間、よろしくお願いしますね」

「……そういうのは明日の授業とかが終わってから言えるものだと思うんだけど。あなた、変わってるわね」

「まあまあパーバティ。私は面白そうな子でいいと思うな。じゃあめぐみん、宿題困ったら教えてね!」

「もちろんですとも」

 

 この感じだと、ルームメイトたちとは仲良くやれそうですね。ゆんゆんが魔法使いだったのにはビックリしましたが、今日は概ねいい日でした。

 

 それから私たち四人はベッドに横になりながら少しの間しゃべっていた。そして間もなくして、それぞれ眠りの世界へと落ちていったのだった。

 

 

 

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