マルフォイを問い詰めた一週間後、午前。
「これより、秘密の部屋事件対策会議を始めます!」
私は図書館にハリーたちとゆんゆんを集め、声高らかに宣言した。
「静かにしなよ」
「周り見なよ」
「うるさいわよ」
「めぐみん、その、みんなの邪魔になっちゃうから、ね?」
「なんですかみんなして。そして周りを見るのはあなたです、ロン。ほとんど人なんていないでしょう」
私の言葉の通り、座っている生徒はまばらだった。多分時間帯と、先週のコリンの事件のせいでしょう。あまり気軽に出歩こうとは思えないでしょうし。
「というかみなさん、機嫌悪くないですか?低血圧ですか?」
「朝から図書館まで引っ張ってきておいてよく言うよ」
そう思いながら私が聞くと、ハリーが答えた。なるほど。
「……それはさておき、早速本題に移りましょう」
「今日はもういいけど、次からはやめてね」
「……はい」
集めるのを朝にしたのは図書館が空いてて騒げそうだったからというのは黙っておこう。
「めぐみんが素直に反省してる……!?」
「うるさいですゆんゆん、乳もぎますよ」
「酷くない!?」
何やら喚いてるゆんゆんをスルーして、私は言った。
「さて、皆さんに集まってもらったのは他でもありません。秘密の部屋事件の犯人についてです」
私がそう言うと、みんなは一転して表情を引き締めた。
「めぐみん、何か分かったのかい?」
「まだ具体的にはあまり。ただいくつかはありまして、とりあえず、ドラコは犯人ではありません」
私の言葉に、ハーマイオニーが反応した。
「根拠は?」
「ドラコが言ってました」
「「「は?」」」
「あの、そんな怖い顔しなくても。というかこれは冗談ではないです」
みんなしてそんな目を向けなくても。
ジト目で見てくる三人と三人に乗り遅れてオロオロしてるゆんゆんを尻目に、私は咳払いをして言った。
「んんっ……私が先週職員室周りに大量のトラップを仕掛けたのは知ってますね?あのとき、私はスリザリン寮まで行ってドラコと話してきました。その時、ドラコが私が秘密の部屋の話を切り出す前に向こうから秘密の部屋の怪物について聞いてきたんです。しかもかなりビビりながら。おそらく、ドラコは秘密の部屋について何も知りません。あれは嘘をついている感じではありませんでした。ドラコにあれだけの演技はできません」
変な強がりするくらいにはビビってましたし。演技でそんなことするのは、ドラコ的にはプライドが許さないはず。
「ああ、真面目な話だったんだ。いつもの謎根拠の話かと思ってたよ。でも確かにアイツはめぐみんに弱いところあるし、めぐみんがそう言うなら本当かもしれないな。でもマルフォイだしなあ」
「まあハリーが言うのも分かるよ。マルフォイのやつ、今までめぐみんに勝てたことないし。でもマルフォイだしな」
「そうよね。今回のめぐみんの言葉は割と説得力あるけど、問題はマルフォイがマルフォイだってことよね」
「さすがにマルフォイくんの扱い悪すぎない……?」
私が説明すると、ハリーたちは口々にそんなことを言った。どうやらゆんゆんはマルフォイについてあまり知らないらしい。
「ある意味私たち並みに学年で有名なドラコのことすらろくに把握できていないとか、さすがゆんゆんは人生一人プレイなだけありますね」
「人生一人プレイって何!?」
「そんなゆんゆんはさておき、三人はそんな反応をすると思ってました。なので、証人を用意しておきました。さあ、出番ですアステリア!」
私がそう言うと、ガタリと後ろから音がして一人の生徒が立ち上がった。
「みなさん、おはようございます。そしてはじめましてですよね、アステリア・グリーングラスです」
その生徒──アステリアは私たちのいる机の前に来ると、そう言った。
「はじめまして、僕はハリー・ポッター。君がアステリアか。めぐみんから話を聞いてるよ。マルフォイに惚れちゃってるんだって?君も大変だね」
「僕はロナルド・ウィーズリー。何がどうなってアレに惚れちゃったのか分からないけど、元気出しなよ」
「ハーマイオニー・グレンジャーよ。生きていればいいことはきっとあるから、アレを好きになっちゃったからって自棄になったりしちゃダメよ」
「え、急に酷くないですか?」
登場したアステリアに対して口々に慰めの声をかけるハリーたちと、戸惑ったような声を上げるアステリア。あー、そう言えばハリーたちにはアステリアがドラコを慕っていることを言ってましたね。三人は学校でも特にドラコを嫌ってますし、この反応も致し方なしですか。
「えっと、はじめまして。紅魔ゆんゆんです。あの、めぐみんがいつも迷惑かけてるようで……」
「いえいえ、めぐみんさんにはいつも助けられてますよ」
そんなことを考えていると、ゆんゆんがアステリアと挨拶を交わしていた。ゆんゆんは誰目線ですか、失礼な。
そう思った私はゆんゆんに言った。
「そうですよゆんゆん、私は後輩に認識すらされていないどこぞのぼっちと違い、ちゃんと勉強を教えたり色々としているのです。どこぞのぼっちと違って」
「二回も言わないでよ!というか私だって認識くらいされて!……され……認識くらい……ぐすっ」
弱すぎません?
机に突っ伏すゆんゆんに、アステリアがフォローをするように口を開いた。
「元気出してくださいゆんゆんさん。レイブンクローの友達から、寮に一人が好きらしい頼りになる先輩がモゴッ」
「しっ!この状態のゆんゆんが見てて一番面白いので、しばらく放っておきましょう」
「……めぐみんさんってけっこう悪ガキみたいなところありますよね」
まあいいですけど、とため息をつくアステリア。そしてアステリアはハリーたちの方を向き、言った。
「それでは本題に入りますね。えー、最初の事件は、確かハロウィンパーティーの日ですよね。あの日、ドラコ様は確かに何も怪しげなことをされていませんでした。この目でしっかりと見ていたので、間違いないです。先週も談話室で今日の反省会と称して周囲に当たり散らしていました。夜は流石に知りませんけどね」
「あー、そうなんだ。ちなみにアステリア、君はその当たり散らしているマルフォイを見て、幻滅とかしなかったのかい?」
「いえ、しませんよ?子どもみたいでかわいいではありませんか」
「そ、そう」
アステリアの謎の迫力に押されるハリー。そんなハリーに助け舟を出すように、ハーマイオニーが今の話の要点をまとめようとした。
「な、なるほど。とにかく、事件があった日は両方ともアステリアがあいつと一緒にいたってわけね」
すると、アステリアがそれに答えた。
「いえ、違いますよ?」
「え?」
え?
「あ、言い方が悪かったですかね。残念ながら私はまだドラコ様とそこまで親密になれていないので、今は遠目に見るだけにとどまっているのです。あの日は課題も終わり一日時間があったので、散歩しながらドラコ様の様子をなんとなく見ていたのです」
あれ?
「アステリア、ちょっとタイムです」
「?分かりました」
アステリアの言葉に私はそう言い、ハリーたちを集めた。
「ちょっとめぐみん、話が違うよ。アステリアはドラコ以外はまともだって話だったじゃないか」
「ハーマイオニー、確認したいんだけど女子ってみんなあんな感じだったり」
「するわけないでしょ。あの子は特殊よ」
「ロン、ハーマイオニーに質問するなら私にもしていいんじゃないですか?」
「だって君は女子と呼べるか微妙……違う、違うんだ。僕が言いたかったのは、君は恋なんてしなさそグヘッ」
「どっちにしろ失礼です。そしてハリー、あの子のストー……あれは一応ドラコ関連じゃないですか」
「あの子は多分相手がマルフォイじゃなくてもやるぞ」
「まあ、そうですよね……」
どうしよう。アステリア、思ったよりやばい子だった説が浮上してきてるんですけど。ストーカーて。
「みなさんどうしたんでしょう?私、何か変なこと言ってましたか?」
「ううん、何も変じゃなかったわよ。うん、そうよね。会いに行きたいけど迷惑かもしれないから会いに行けず、偶然会うことを期待してその人がいそうな場所を散歩するのって普通よね!」
「ええ、普通ですよ。めぐみんさんたちは何が引っかかったのでしょう……?」
そう思ってアステリアの方を見ると、いつのまにか復活していたゆんゆんと何やら変なところで意気投合していた。うん、アステリアはやばい子のようですね。
「あー、まあとりあえずグリーングラスさんのヤバさは置いておきましょう。何にせよハリーたち、これでドラコが犯人じゃないことは分かってもらえましたか?グリーングラスさんはやばい子ではありますが、ごく一部を除けば良識のあるとてもいい子です。こういったことに関して嘘をつくことはないと思うのですが」
「えっとめぐみんさん、やばさって何のことですか?というか今私のことを家名で」
「うん、異論ないよ」
「僕も」
「私も」
「はい、というわけでグリーングラスさん、今日はありがとうございました。もう大丈夫ですよ」
「え、ちょっと、なんですか?距離感遠くないですか?めぐみんさん?めぐみんさん!?」
戸惑うアステリアを強引に図書館の外に連れて行き、私は扉を閉めた。ふう、とりあえずはこれでいいでしょうか。……次にアステリアに会うときまでには整理しておきませんとね。まあアステリアは完璧寄りな子でしたし、
「なんにせよ、ドラコが犯人じゃないってことは分かってもらえましたね?というわけでみなさん、ポリジュース薬を作るのはやめておきましょう」
「それが目的か!」
アステリアを追い出し戻ってきてそう言った私に、ロンが言った。
「目的?ちょっと何言ってるか分かんないです。冬休みは私が里帰りするのに三人だけそんな面白そうなことをするなんて許さないとか、そんなことは全然考えてたりしません」
「考えてるじゃん」
ちょっとハリー、冷静に突っ込まないでくださいよ。私がバカみたいじゃないですか。
「でも実際マルフォイの線が薄いなら、かなりの校則を破ってポリジュース薬を作るってのはリスクに割に合わないわよね」
そうしていると、手を口元にやって何やら考えていたハーマイオニーが言った。
「さすがハーマイオニー、そう言うと思っていました!校則バカの名は伊達じゃな……すみません、校則バカは言い過ぎですね、謝ります。だから眼帯に手を伸ばさないでください!」
私がそう言うと、ハーマイオニーは全く、とため息をついて手を引っ込めた。それを見て私は言った。
「そうですよね、ハーマイオニーはせいぜいが校則が服を着た存在……ごめんなさい眼帯は引っ張らないでください!すみませんでした、だからやめっ……ヤメロー!」
そんな私を見て、ハーマイオニーはにっこりと微笑んだ。よかった、許してくれるみたいですね。やっぱりハーマイオニーは優し
「反省しなさい」
「ちょtア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!イイッ↑タイ↓メガァァァ↑」
私は左目を押さえて床を転がりまわった。
「ちょっとハーマイオニー、ひどいじゃないですか!」
「はいはい、そんなことより次に行きましょう。もうポリジュース薬はいいから」
「そんなこと!?」
「もう一回眼帯引っ張った方がいい?」
「さあみなさん、ぐずぐずしてないで次行きますよ、次!」
なんだこいつ、というみんなの目は気にしない。
「全く、この眼帯は我が強大なる魔力を抑えるマジックアイテムだというのに」
「それって私と一緒に新宿に連れて行ってもらったときに東急ハ○ズで買ってもらったやつじゃ」
「ゆんゆん、みんなに話しかけられないからって私にだけ突っかかるのはやめましょう。ぼっちが治りませんよ」
「そそそ、そんなんじゃないし!」
私が言うと、ゆんゆんは焦りながら否定してきた。図星ですか。この春になんで頼ってくれなかったの!とか言ってきたから今日呼んでみましたが、ぼっち改善が先ですかね。
「ゆんゆん、いいですか?ハリーたちはスリザリンでさえなければ、基本偏見の目を向けません。いくらあなたがサボテンやらマンドラゴラやらと友達になろうとする変人だったとしても、彼らは引いたりしま」
「うわああああああ!」
そう思った私がゆんゆんに言おうとすると、ゆんゆんは私に叫びながら掴みかかってきた。
「ちょっとなんですかゆんゆん、急に掴みかからないでくださいよ。言っておきますけど、あなたハリーたちとの初対面の時に既にやらかしてますからね。今更隠したって無駄ですよ」
そんなゆんゆんに私がそういうと、ロンが乗っかってきた。
「そうだよゆんゆん、僕たちは君がトロールと仲良くなるための本を読んでたって気にしないさ!」
「ああああああああ!」
「ちょっとロン、言葉を選びなさいよ!ゆんゆんったら奇声を上げて机に突っ伏しちゃったじゃない。言っておくけど、ぼっちってのは他人からどう思われてるかを過剰に気にするの。別になんとも思ってないのに、異常に自分のことを気にするのよ。今の声だって、ふと我に返って恥ずかしくなってるに決まってるわ!」
「う、うん、ごめんよ。でもハーマイオニー、多分君の言葉の方がダメージ大きかったと思うんだ」
「え?あ、あの、ごめんなさいゆんゆん、そんなつもりはなかったのよ?ただちょっと私、こういう面で口が上手くないというか」
「い、いえ、全然大丈夫です……」
ロンの言う通り、ゆんゆんは突っ伏せたあとハーマイオニーが何か言うたびに顔の赤さを増していた。ハーマイオニー、あなたもぼっちを経験しているのだから少しは手加減してあげてください。
「ま、まあいいや。それでめぐみん、次っていうと怪物の正体とか?」
そうしていると、ハリーが話題を変えるように言ってきた。その横では未だに対人が不得意な元ぼっちと永遠に対人が苦手な名誉ぼっちが話していたがスルーだ。
というか。
「あれ、言ってませんでしたっけ。もう怪物の正体自体は分かってますよ」
「「「え!?」」」
私がそう言うと、みんなは声を上げた。ほう、まだ言ってなかったようですね。ならばここは探偵風にかっこよくいきますか。
「コホン。いやなに、そんなに驚くことではありません。三人が聞いたシュルシュルという息漏れの音、石化という特徴的な被害、そして蛇を象徴に冠するスリザリンの残した秘密の部屋の怪物。これらの情報を組み合わせれば、結論は自ずと見えてくるというものでしょう」
私はそこで一旦言葉を切り、言った。
「秘密の部屋の怪物とは、魔眼と恐ろしき猛毒を併せ持つ大蛇。すなわちバジリスクのことです」
イイッ↑タイ↓メガァァァ↑
今話はめぐみんのこれをループ再生しながら書きました。めぐみんかわいいよめぐみん