学戦都市アスタリスク ~朝霧海斗のいる六花~ 作:みるくぜりぃ
レヴォルフの内情はネットで軽く調べた限りあまりわからなかったのでオリジナル要素は入っています。こちらも注意してください。
学院内に入り、職員室で簡単な最終入学手続きを済ませた俺はこれから過ごすクラスの担任に連れられクラスの前までやってきた。担任の教師が先に教室に入っていき、俺は待っておくように言われる。
―――しかし実際に学園を歩くとここの生徒が本でのレヴォルフのイメージと少し違うな。
レヴォルフといえば校則がなく、決闘を推奨し、また不意打ち、乱闘は当たり前といった不良校のイメージがあるが学院内ではそうではない。
おっさんの話によれば確かに決闘も推奨しているし不意打ち、乱闘も禁止していない。それは学院内でもそうだ。世間からみれば明らかに不良校でこそあり、普通に考えれば授業が成り立たなく、学院としての体を保てないように感じるだろう。そこでレヴォルフではすべての学部に≪冒頭の十二人≫の下位並みの強さを持つ生徒指導担当教師を配置することによって不良生徒を学園としての機能が維持できるように抑圧しているらしい。といってもあくまで強さは≪冒頭の十二人≫下位クラスだ。勝てるやつもいる。おっさんはわざと生徒指導担当教師の強さをその程度とし、それ以上の強さを持つ生徒にはすべての自由を認めさせているらしい。さすがは個人主義、実力主義の学院だな。
「―――朝霧君、入ってきなさい」
担任から声を掛けられ教室に入る。クラスの面々をみるにモヒカン頭といったいかにも不良な格好をしているやつが7割、制服を着崩したちょいワル風な奴らが2割、残りが普通の生徒っていったところか……まさか普通の生徒もいるとは思わなかったな。
「朝霧君、自己紹介を―――」
教師が俺に促す。
よし、俺の完璧な自己紹介を決めてやる。
「俺の名前は朝霧海斗 特技はピッキングだ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時は昼休み。俺の完璧な自己紹介にも関わらず話しかけてくる奴が皆無だ。
というより群れたりしているやつがほとんどいない。このあたりも校風の個人主義が強く出ているのか……。窓際の席だったのも影響しているのかもしれないな。唯一の隣のやつは今日はいねえみてえだし。
とりあえず誰でもいいから話しかけてみるか……。
と、ちょうどいいところにモヒカン頭の男双子がいたので声をかけることにした。
「おい、そこのモヒカン頭1号、2号」
「あ? 失せろ!」
―――と、1号が声を荒げて言ってきた。
「ま、まあそういうなよ……特別にお前らに俺の焼きそばパンを買ってくる権利を与えよう」
「あん? 失せろっつんだろ!」
と、2号が蹴りを入れてきた。
蹴ることないやん……。
「ま、まあそういうな 世間話をしよう そうだな、好きな女のタイプとかあるか?」
本で女の話には大抵の男が乗ると書いてあったので振ってみる。まじめな尊もなんだかんだで女の話には乗ってきたしな。
「へへっ、あんたも女には目がないのかよ……いいぜ、教えてやるよ レヴォルフとは仲がよくねえが俺たちはクイーンズヴェール女学院の生徒会長で世界の歌姫のシルヴィア・リューネハイムがタイプだ」
―――と1号が答えると
「そうそう、あの声がたまんねえよな あの声で毎日このモヒカン頭を褒められてぇぜ」
2号がそう言う。
「―――そうか」
大げさに神妙な顔をしながら俺は答える。
「なんだよ、なんか文句あっか?」
と1号がいうので俺は二人に声を小さくし、近づくように指示してから―――
「実はな……俺はあのシルヴィア・リューネハイムと知り合いなんだ」
―――まあ嘘だが。
「ほ、本当かよ……」
と2号が言う。
「もしお前たちが焼きそばパンを買ってきてくれたらモヒカンを褒めてくれるように頼もうと思ったのだがな……」
いかにも残念そうな顔をしておく。
「ほ、本当だな 嘘じゃないよな?」
「大丈夫だ 取引で嘘をつくほど愚かじゃねえよ」
―――まあ、嘘だが。
「ただし録音になるけどそれでも構わねえか?」
と俺が聞くと
「構わねえよ! おい、次郎!! 焼きそばパン買いにいくぞ!!」
1号が答える。
「わかりやした、太郎の兄貴!! おい、お前約束守れよ ちゃんと『あなたのモヒカン今日も最高だね!』って言ってもらっとけよ!!」
―――と、言い残し二人は急いで廊下を走っていく、焼きそばパンを買いに行ったのだろう。
しかし俺の演技力もなかなかだな。
イケメン俳優として活動として活動していけるな。なんて考えていると―――
「おい、お前 今の話本当か?」
俺の後ろには胸を強調するためなのか制服を肩に羽織っている赤髪の女が立っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「おいおい、≪吸血暴姫≫が娑婆に出てきたぞ!」
「懲罰教室から出てきたのか!?」
と、周りが騒ぎ出すが―――。
「うるせえ! 見世物じゃねーんだぞ!」
と赤髪の女が言うと周りの奴らが一斉に消える。相当な実力者なのだろう。やべえな……。
―――よし、俺も消えよう。
俺も群衆に紛れて消えようとすると―――
「お前は消えんじゃねえよ」
と睨みを聞かせてきて俺は―――
「は、はい すんましぇん……」
蛇に睨まれた蛙状態だった。
「―――で、お前は本当にあの歌姫と知り合いなのか?」
「いや知り合いじゃないが」
正直に答える。
「は??? お前バカか? 嘘がばれたらあいつらお前にお礼参りにくるぞ!?」
赤髪の女は声を荒げる。なんだかんだ心配しているらしいな。
「まあ大丈夫だって、心配するな」
赤髪の女に向かっていう。赤髪の女はまだ『いやでもな……』とか言って心配している。悪そうな見た目からは想像できないが親切な女だな。
とりあえず女の声をシャットアウトして発声練習をする。そして―――
『私、シルヴィア・リューネハイム 好きなものは男、毎日男をとっかえひっかえしているの! きゃぴっ☆』
とシルヴィアの声を出す。
「お前すげえな!? お前もしかして≪魔術師≫か!?」
赤髪の女は目を見開いて驚く。
「いや≪星辰力≫は使ってないし≪魔術師≫でもねえよ」
「確かに≪星辰力≫は感じなかったな……ってことは素でやったのか!?」
「ああ、俺の特技の声帯模写だ」
「いやあ お前すげえな こんなところこないでそれで飯食っていけるぞ……」
確かにこれで飯を食っていける自信はあるな。
とりあえず俺に関心している女に対して
「ところでお前はだれだ?」
気になっていた質問をする。
「おいおいまじか あたしの名前知らねえのかよ―――ん? もしかしてお前が今日来た特待生ってやつか?」
「ああ、そうだ 俺の名前は朝霧海斗 特技はピッキングだ」
「ははは、なかなかユニークな特技じゃねえか あたしはイレーネ・ウルサイス レヴォルフ学院の序列3位だ」
―――へえ、この女が序列3位か……確かに強そうだ。
イレーネが手を出してきたので俺も手を出し握手に応じる。
「ところで朝霧、お前は特待生なんだから強いんだろう? どうだい、あたしと戦ってみねえか?」
と俺に向かって戦いを申し込んでくる。レヴォルフの生徒だけあって喧嘩っ早いな。
するとイレーネの手から鎌のような武器が展開される。これが≪煌式武装≫ってやつか……いや、序列3位なら≪純星煌式武装≫かもしれねえな。
―――なかなか面白そうだ。
「いいぜ」
と俺は握りこぶしを作り、ファイティングポーズしながらそう言うが―――
「……お前、手、震えてるぞ」
「……手の準備運動ってやつだ」
「足も震えているぞ……」
「武者震いってやつだ」
―――べ、別に序列3位なんて、こ、怖くないんだからねっ! 勘違いしないでねっ!
心のなかで意味もなくツンデレの真似をしていると―――
「でも隙がねえ 戦い慣れてるのがわかる」
とイレーネが答える。
決闘前に学友の隙なんて探してんじゃねえよ。
「俺ほどのイケメン平和主義者はいないぜ?」
「どこがだよ…… 握りこぶしを作ったときのお前の手、それは日常的にボクシングをやっていたか喧嘩をしていたやつの手だ さすがにわかるんだよ」
―――意外と目ざといやつだ。
女が睨んでくるので俺も睨み返す。静寂の中どれほど睨みあっていたのか、緊張が高まる。しかしその緊張は意外な形で崩される。
「こらー!! お姉ちゃん!また勝手に喧嘩して、もう」
赤髪の優等生っぽい女がこちらに向かってそう言った。
「げぇっ!? プ、プリシラ!?」
―――イレーネがそう言い、焦りながら武器をしまう。
俺たちの間にあった緊張が解ける。
「お姉ちゃん、喧嘩したらダメって言っているでしょ!」
「わ、わかっているよ……」
妹には逆らえないようだ。
「すいません、私の姉が迷惑かけて……」
イレーネの妹は姉の頭を無理やり下げさせている。
「いや、別に構わねえよ」
実際まだ何にもされてねえしな。
「お姉ちゃん、何かいうことあるでしょ?」
「あたしは別にまだ何もしてねえよ、そうだよな朝霧? なっ、なっ?」
食い気味に聞いてくるイレーネ。とりあえず同調してやるか―――。
「そうだ、俺たちは仲良しだ 仲良しを通り越してもうズッコンバッコンするような関係だ」
「―――ちょっ!?」
イレーネが顔を赤くして驚く。
こいつの妹に至っては『ず、ズッコンバッコン……お姉ちゃんが……あわあわわ……』と言って顔を赤くしながら軽くトリップしている。
「お前、妹に適当な嘘ついてんじゃねえ!!」
―――蹴りを入れてくる。 いてえ。
「後で妹の誤解を解けよ」
「解くのはいいが、俺からも一ついいか?」
―――なんだよ、とイレーネは悪態をつきながら答える。
「俺のことは海斗って呼んでくれ、苗字が嫌いなんだよ」
「別にいいぜ あたしのこともイレーネって呼んでくれ」
気持ちのいい笑顔を浮かべてそう言ってきた。
「ああ、わかった イレーネ」
こうして六花に来てから初めて知り合いができた―――。
先ほどの会話から数分後、イレーネは突然少しモジモジしながら用事を思い出したといって教室を出ていった。トイレか?などと無粋なことは聞かない。
残ったのはトリップしているあいつの妹。
―――お、トリップから帰ってきた。
とりあえずさっきのことは嘘でただの知り合いだと告げるとホッとした表情を浮かべていた。
「あ、あの! お姉ちゃ、姉のことは嫌いにならないでくださいね! ちょっと気が短くて少し乱暴ですけど本当はすっごく、すっごーく優しいんですよ!!」
やや興奮気味に姉のことを褒める妹。それほど好きなんだろうな。
「別に嫌いにならねえよ」
―――実際俺の心配をしていたぐらいだ。悪い奴にはみえねえ。
そういうとホッした表情を浮かべていた。
「そういえば自己紹介がまだでしたね 私はプリシラ・ウルサイス イレーネ・ウルサイスの妹です よろしくお願いします えーとお名前を聞いてもいいですか?」
「俺の名前は昆布豆豆太郎だ 気軽にお豆さんと呼んでくれ」
―――今、思いついた適当なあいさつで返す。
「は、はあ……お豆さん? ―――って豆太郎なんて名前の人いないですよね?」
プリシラはジト目を俺に向けてくる。
「誰がいないと決めた? いるかもしれないだろ? この世に0と100はない ほら全国の豆太郎さんに謝るんだ」
さも当然といった顔をしながら言う。すると俺の勢いに押されたのかプリシラは―――
「全国の豆太郎さんすみません……」
といって頭を下げた
「それでいい 反省することは大切だ」
と言いながら俺は頷いておく。正義はなされたぞ、全国の豆太郎さん。
一人でさも正論をかざして悪を倒したような気持ちに浸っていると
「おい、人の妹に嘘教えてんじゃねえよ、海斗」
トイレから帰ってきたイレーネがいた。もちろん鬼の形相をしていた。
その後、俺は人生最速で土下座をした。
―――数分後。
「朝霧さんって面白い人なんですね」
プリシラは笑顔でそう言う。
「あー、お前も海斗って呼んでくれ 苗字は嫌いなんだ」
クソ親父と同じなのが気に入ってないからな。
そう伝えると―――
「わかりました、海斗さん これからよろしくお願いします 私のこともプリシラって呼んでください」
手を差し出してくるプリシラ。それに対して俺はああ、と一言返事をして握手をした。
昼休みが終わりに近づきプリシラは自分のクラスへと帰っていった。
イレーネは自分の席へと向かっていった―――って、俺のとなりかよ。
俺も自分の席に座る。
暇だったので太郎と次郎のためにシルヴィア・リューネハイムの声で『あなたのモヒカン、今日も最高だね』と録音しておく。まだあったこともない世界の歌姫シルヴィア・リューネハイム。すまん、許せ。
どこからともなく『海斗君なら仕方ないよ』とシルヴィア・リューネハイムの声が聞こえた気がした。よし問題ないな。
しかしもう授業開始5分前なのにまだクラスの奴らはかえって来ない。
イレーネを恐れてか、はたまた不良校なんで始業ギリギリに飛び込んでくるのが当たり前なのか……。そんなことを考えていると―――
「そういや海斗 言い忘れてたけど、放課後生徒会室に来な 生徒会長―――ディルクの野郎が呼んでいる」
―――俺の転入初日に安息はないらしいな。
一方そのころ太郎と次郎は学食にない焼きそばパンを買いに市街地まで出かけたことにより授業に遅刻し、生徒指導担当の教師にぼこぼこにされたらしい。
後日懲罰教室に入れられたが不思議なことに幸せそうな顔をしていたという。
感想、批評、誤字、脱字、文法ミスなどお待ちしております。
出来るだけ修正できるところはしていくつもりではあります。
モブキャラは罪深き終末論において裏ルートで海斗の部下になった太郎と次郎をモチーフにしました。まったく面影ありませんけど。
後、レミニセンスの恭一ネタがあるのは個人的に好きだからです。あまり気にしないでください。
もちろん次話も時期未定です。
ヒロインについて
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シルヴィ、オーフェリアのダブルヒロイン
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