学戦都市アスタリスク ~朝霧海斗のいる六花~   作:みるくぜりぃ

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月1更新といったな……あれは嘘だ。
―――と言いたいのですが次は厳しいと思います。

オーフェリア回です。




六花での日常その1

―――オーフェリアとの出会いから次の日。

未だに毒素のせいか手に痛みがあるが問題ない程度だ。

痛みのせいもあってかいつもより早く目が覚めてしまった。

登校するまでにいつもより時間がある。

どうせなら気になっていたアレをやるか……。

身支度と日課のランニングを済ませてから台所に立つ。

俺がやろうとしているのはエッグベネディクト。

以前本屋で買った料理本の中に載っていたメニューだ。

お湯を沸かし、マフィンをオーブンで焼きながらベーコンを包丁で切る。

本によるとお湯には酢と塩を少し入れるときれいにポーチドエッグを作れるようなので加える。

となりでベーコンを焼きながらお湯をかき混ぜて卵を落とす。

白身がまとまり黄身がピンク色になったらお玉で掬う。

そういえばソースを作っていなかったな。

卵黄にマヨネーズ、レモン汁、溶かしたバターを加え、混ぜ塩コショウで整えたらオランデ―ソースが完成だ。

マフィンにベーコン、ポーチドエッグをのせソースをかければ完成だ。

「完璧な出来栄えだな」

店で出てきてもおかしくない見事な出来栄え。

将来は店を出すか。

自画自賛しながら朝食を食べる。

食後に買っておいた安いインスタントコーヒーを飲む。

なんと優雅な一日だ。

時計を見ると既にいつも登校する時刻だった。

「そろそろ出るか」

ふと台所をみると見事なまでに調理道具が散乱したままだった。

店は出せないな……。

レヴォルフの制服に着て部屋を出る。

なんとなく思い出すのは昨日の夜のこと。オーフェリアと別れた時のことだ。

「そういえばアイツまた今度とか言っていたが……」

あいつの連絡先すら知らないのだがどうするつもりだ?

階段から外を見ると涼しげな格好をした人がいるほど暑い日なのに妙に寒気を感じるな……。

謎の寒気を感じながら階段を降り、外に出ると寒気の正体が分かった―――。

 

「お、おはよう……海斗」

そこには顔を少し赤らませながら俺を見つめる白髪の女、オーフェリアが俺の手を握ってきた。

いや、なんで俺の家知ってんだよ……。

 

 

 

 

―――放課後。

机に突っ伏す俺。まあポーズだけだが。

「ハハハっ、海斗元気出せよ」

豪快に笑い、肩をたたきながら話しかけてくるイレーネ。

 

「お姉ちゃん、一緒に帰ろ―――あれ、海斗さんどうしたんですか?」

そこへプリシラがやってきた。

 

「ん? プリシラは知らんねえの?」

イレーネがプリシラに尋ねるが頭にはてなマークを浮かべている。

 

イレーネが画面を出しプリシラに見せる。

俺は立ち上がり、画面を覗くと中身はレヴォルフの新聞部の記事だった。

俺とオーフェリアが手をつないで登校している写真もご丁寧に添えられていた。

 

「えーと、孤毒の魔女に熱愛発覚……っ!? 相手は……」

とプリシラが眺めていると……

 

「い、いたわ 海斗、行きましょう?」

そう言いながら俺の手を握り、引っ張ってくる。

はじめこそクラスがざわめき立っていたが、休み時間ごとに毎回毎回来ていたのでもはや誰も声を上げない。一人を除いては―――。

 

「えっ、えっーーー!!??」

プリシラが大声を上げたためか、ゴシップ好きの新聞部の連中が集まりだした。

休み時間のたびに奴らは俺たちを探していたが、太郎と次郎が嘘を流し上手く奴らを誘導していたおかげで接触することはなかった。

今度、一応の感謝として自作の微妙にエロく聞こえるけどエロくないシルヴィアボイス集をプレゼントしてやろう。

そんなことを考えていると本格的に人が集まりだした。

「おい、オーフェリア行くぞ」

そう言い俺はオーフェリアの腕を引いて、抱きかかえる。

お姫様抱っこだ。

少しオーフェリアの顔が赤くなっているが気にしない。

そのまま窓から飛び降りる。

≪星脈世代≫ならだれでもできることだ。

飛び降りる際に少し後ろを振り向くとイレーネが笑いながら「頑張れよ」

と言っていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「行っちまったか……ほら、プリシラ帰るぞ」

集まりかけていた新聞部の人間も霧散した後、あたしはプリシラに声をかける。

しかし、返事がない。

「おい、プリシラー?」

反応がまたないので顔を覗くと顔を紅潮させている。

「あ、あわあわわわ……もうお、大人の、か、関係……」

完全にトリップしている。

とりあえず画面をみると映っていた記事の端には『二人は大人の関係!?肉体関係あり!?』と書かれていた。

はっ、こ、こんなことにいちいち……ど、動揺し、しねーし……。

 

顔を真っ赤に染め、うろたえるイレーネ。軽い放心状態にあるなかどこからともなくシャッター音が教室内にこだました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

オーフェリアとレヴォルフを飛び出してきてから繁華街へと向かっている。

流石にお姫様抱っこはしていないが手はいまだにつないでいる。

というのも手を離すと睨んでくる。

―――に、睨むことないやん……。

そういうわけで無言の中、手をつなぎながら二人で歩いている。

まあ、嫌いな時間ではない。

歩いているとすれ違う人間のほとんどが振り向いてくる。

中には顔を青くしてスタスタと去っていく人も少なくない。

仕方ないことだろう。不良校で有名なレヴォルフの制服を着た奴が二人もいるんだからな。ましてや片方は≪王竜星武祭≫を連覇し、六花最強の≪魔女≫と呼ばれるオーフェリアなんだからな。

 

「海斗、どこへ行くのかしら?」

そんなことを考えているとオーフェリアが尋ねてくる。

こいつが手を引っ張って歩いていたのにな。

 

「本屋だ」

昨日で本を読み切ってしまったので新しく仕入れようと考えていた。それに今日の朝は料理をした結果、台所を散らかしてしまった。別に問題はないのだが訓練生時代にルームメイトだった薫に部屋を散らかすと怒られたせいか部屋をきれいにしておくことが体に染みついている。禁止区域にあった住処はお世辞にもきれいと呼べるものではなかったが……。

そういうわけで整理整頓、清掃について学べる本も探したいと考えていた。

 

「そう」

オーフェリアは短く言葉を返す。しばしの沈黙が流れ―――

 

「昨日の……大丈夫だったかしら?」

オーフェリアが再び尋ねてくる。昨日の、ってなんのことだ?

「毒素……≪星辰力≫を出すと毒素が出て強い痛みを感じるから……」

オーフェリアはどこか寂しそうな顔をしている。手に触れていると少し痛むため今でも毒素が出ているのはわかる。多分、無意識のうちに出てしまうのだろう。こいつはもしかしたらこれのせいで人と付き合っていくのが難しかったのかもしれない。どこか禁止区域にいたころの俺、人を敵と認識し、人に触れる温かさ、喜びを知らなかった頃の俺を思い出させる。

「別に問題ない」

だからだろうか。優しい気持ちになるのは。

「本当?」

 

「ああ、多少体は痛いし、握っている手もヒリヒリが問題ない むしろ電気マッサージみたいで気持ちが良い 毒に強い体なんだろうな……だから気にすんな」

親父の地獄の特訓の中にあらゆる薬物に対抗する訓練もあった。もちろん毒物、麻薬の類はすべて試された。その中にオーフェリアの放つ毒素に近い成分があり、抗体ができているのかもしれない。または≪星脈世代≫になったことにより、体内における自浄作用が強くなっているのかもしれない。結論はわからないが問題ないことは自分の体の事なのでよくわかる。

「そう……よかったわ」

オーフェリアはたった一言そう言い、今までよりも強く手を握ってきた。

 

 

 

以前やってきた本屋があるショッピングモール前にやってきた俺たち。

 

「海斗、私は外で待っているわ……」

そう言いオーフェリアは手を放す。オーフェリアの発言に対して思案する。

こいつは優しい。朝も今もできるだけ通行人から距離をとっている。自分から出される毒素に巻き込みたくないんだろう。学校やここに着くまでの間もできるだけ人のいない道を選んで歩いていたからな……。外に出ていることを考えれば近づいただけで死ぬことはないんだろうがそれでも人を避けるのは怖がらせたくないからかもしれない。

「わかった」

俺はそう言い、さっさとショッピングモール内に入っていく。

本屋に行くためではない。

とりあえず目的の場所へ向かってさっさと歩く。

数分で買い物を終え、オーフェリアのもとへ帰ってきた。

 

「海斗、もう買い物は終わったのかしら?」

怪訝な表情を浮かべ、尋ねてくるオーフェリア。

 

「いや、トイレに行ってたらあることを思い出してな……ほれ」

俺はそう言い、オーフェリアに買った適当に見繕った上着とサングラスを手渡す。

顔を隠してもレヴォルフで白髪の女とわかればオーフェリアだと気づかれ、騒ぎになるかもしれないと考えて上着も見繕っていた。

 

「これは……?」

 

「これ着けてついてこい 騒ぎになんなきゃ問題ないだろ それに多少お前が近づいたくらいじゃ死にはしないだろ?」

 

「一応、肌を覆っているだけでも毒素の瘴気は問題ないわ……」

 

「ならこれ着けていくぞ」

 

「海斗……これ、お金は……」

うろたえるオーフェリア。

「気にすんな たまたま上着とサングラスを持ってただけだ」

我ながら苦しい言い訳。サングラスはまだしも男の俺が女物の上着を持ち、それがオーフェリアにぴったりのサイズとか嘘じゃなきゃ変態ストーカー野郎だしな。

オーフェリアもこちらにジト目を向けてくる。

しかし観念したのかただ一言―――

「ありがとう」

蚊の鳴くような小さな声だったがしっかりとこちらをみつめて言い、サングラスと上着を身に着けた。

 

―――べ、別に、あんたのためじゃないんだからね!!

俺は心の中でツンデレをきめながら、気恥ずかしさを感じたので、オーフェリアの手を引きショッピングモールへと入った。

 

 

本を買い、ついでに今日の晩飯も買い終え、二人で俺の家の方に向かって歩いている。

目的の本も買えたし、有意義な一日だった。

ちょうど俺の家、学園、繁華街の間に差し掛かった時にオーフェリアが口を開く。

 

「私の家、このあたりだからこれ、返すわね……」

どこか名残惜しそうな顔を浮かべながら上着とサングラスを差し出す。

 

「もっとけ どうせ今後外を歩くならあった方がいいだろ」

 

「いやでも……これは海斗のものだわ」

 

「いいから」

会話を断ち切るように強めの口調で言い切るとオーフェリアは観念した。

大事そうにぎゅっと上着を抱きかかえた。

 

「あ、そうだ 明日から家の前で待ち伏せはやめてくれ」

こいつが何時から待っていたかわからないが、長い間待たしていたら気が引ける。

 

「だ、駄目かしら……?」

上目遣いで俺を見つめながら言うオーフェリア。

 

「ああ」

俺は短くそう答えるとしゅんとしてオーフェリアは目にみえて落ち込んでしまった。

―――ったく。こういうこと言うのは侑祈のキャラなんだけどな。

心の中で悪態をつく。

なんだかんだ憐桜学園で過ごした一年間も俺を構成する一部なんだな。

昔、人間より人間臭いロボットに言われたようなことを俺も言う。

 

「連絡先教えるから 毎日、お前を待たせるのは悪いだろ 友達なんだからさ……」

どうにも気恥ずかしい。少しオーフェリアから目をそらしてしまう。俺に向かって友達宣言してきたアイツはどうだったんだろうか。

だがオーフェリアがどんな表情をしているか気になって顔を見てしまう。

はっと目を見開いて驚きの表情をしたのもつかの間、表情が変化する。

夕日のせいか、頬を赤くを染めて―――

「……うん、ありがとう……海斗」

お礼を言った

その時のオーフェリアは今までで、俺が生きてきて一番の笑顔を浮かべていた。

―――感情表現豊かじゃねーか。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

オーフェリアと別れて帰宅した俺。

片付け、夕食、身支度も終え本を読んでいると受信が入る。

オーフェリアからだ。

『今日はありがとう 楽しかったわ また明日』

とだけ書かれていた。

とりあえず『ああ』とだけ返す。

そして本に戻ろうかとも考えたが何となくニュースを調べてしまう。

六花内における本日の人気ニュースが掲載されていた。

一位は俺とオーフェリアのニュースだった。

これは見なくていいだろう。

二位のニュースを見る。

星導館学園の公式序列戦において天霧綾斗という特待生の男が序列一位を破ったそうだ。

記事内には匿名で自由に投稿できるコメント欄がある。

その中には今回の対戦に関する様々な意見や感想が書かれていた。画像なんかも貼られているな。

しかしこんな重要なニュースより人の色恋の方が上に来るとは人はゴシップ記事が好きなんだな。

そんなことを考えながら三位の記事を見ると―――

『レヴォルフの暴姫イレーネ・ウルサイス! その中身は意外と初心な乙女!!??』

という記事が顔を真っ赤にしたイレーネとともに掲載されていた。

こ、この記事大丈夫か? イレーネがこのニュースサイトを作っている編集部に殴りこみにいかなきゃいいが……。

 

この時の俺の予感は的中していたらしい。

翌朝、オーフェリアと待ち合わせして登校した。

教室内で記事をみせた奴がいたらしくイレーネは編集部に殴りこみに行こうとし、あの大鎌を出したが、その現場プリシラに見つかりこっぴどく怒られていた。

 




誤字、脱字の指摘や感想、批評お待ちしております。
正直、キャラ萌え書くのが苦手なんでものすごーく不安です。
その辺り指摘ありましたらお願いします。

暁の護衛にて好きな侑祈の友達宣言シーンぽいの入れてみました。
あそこから海斗が変わっていく感じが好きなんです。

次回は次月に出せたらいいなあ……。

※追記
色々と軽く訂正しました。猛省します。
軽く直しただけなので未だ違和感あれば指摘いただけると幸いです。

ヒロインについて

  • シルヴィ
  • オーフェリア
  • シルヴィ、オーフェリアのダブルヒロイン
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  • ハーレム
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