突如襲来したテーブルゲーム布教おじさん。
 その脅威に一歩も引かない秀知院学園生徒会の五人であったが、テーブルゲーム布教おじさんの力は凄まじく、五人は恐るべき闇のゲームへと誘われる。
 人類史の闇へと消えていった、闇のテーブルゲームの数々。
 果たして白銀達は、無事にこの闇のゲームを突破することができるのか?

 今、真の天才達の頭脳戦が始まる。

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 アニメもやってる上に最近の本誌のかぐや様が最高なので


それはかつて、いつかどこかで伝説の三大○○テーブルゲームと呼ばれたものたち

 その男は突然やって来た。

 

「フハハハ! 我が名はテーブルゲーム布教おじさん!」

 

「テーブルゲーム布教おじさん……まさか、あの!?」

 

「知っているのか藤原書紀!」

 

「はい。通りすがりにテーブルゲームを紹介しやらせていく男……!

 目をつけられた人はそのテーブルゲームをプレイするまで帰ることすらできないという!」

 

「フハハハ、その通り! あと私は29だ。おじさんではない」

 

(結構おじさんだ……)

(ギリギリおじさんだ……)

(普通におじさんだ……)

 

「なんだねその目は、ふははは……」

 

 会長・白銀御行は生徒会室に突然現れた不審者に通報の構えを取った。

 副会長・四宮かぐやは会長の手を引いて逃げようとして思い留まった。

 書紀・藤原千花は伝説の登場に驚愕を隠さなかった。

 会計・石上優は「やべーやつがきた」と戦慄していた。

 会計監査・伊井野ミコは三下の如くうろたえていた。

 

 唯一テーブルゲーム布教おじさんについての情報を持つ、テーブルゲーム部所属の藤原のみが有用な情報源であった。

 この場で最も信頼できない者が唯一の情報源となったことに、白銀達は恐れおののく。

 大丈夫なんだろうか、と。

 

「テーブルゲーム布教おじさんは今では絶版になったレア物も用いるらしいですよ?」

 

「流石にテーブルゲームのことは藤原さんが詳しいわね……でも、ゲームでしょ?

 所詮ゲーム。レアだとか逃げられないだとか馬鹿馬鹿しいわ。

 ……あら? ドアが開かない? あれ? 窓も? ……え、ちょっと待って何これ」

 

「かぐやさん、テーブルゲーム布教おじさんを甘く見ちゃ駄目です。

 彼はマイナーテーブルゲームを布教するために不思議な力を使うという噂なんですよ」

 

「フハハハ! その通り!」

 

「その能力をもうちょっと別のことに使う気は無かったんですか?」

 

 藤原の解説が加われば加わるほどに、この妖怪なのか超能力者なのかよく分からないものへの戦慄が増していく実感が、かぐやの内に生まれていた。

 

「人によっては心に一生消えない傷を付けられた人もいるらしいですよ……」

 

「なんだそれは怖すぎないか。おいちょっと俺怖くなってきたぞ」

 

 明らかにビビらせようとしている藤原の語り口だが、普段そういうものをハイハイと流せる白銀も、明確な怪異を目の前にしては信じざるを得ない。

 

「っていうかですね、僕はゲームやらせるだけでどうやってそんな傷生んでんだよと……」

 

「フハハハ! 早く席につきたまえ!」

 

 石神のぼやきのような発言を遮り、テーブルゲーム布教おじさんが五人をテーブル前の席に座らせていく。

 特に不思議な力は使われなかったが、こんなことに必死になる大人(超越者)の姿にどこか哀れみを覚えた五人は、素直に席につくのであった。

 

「ええと、質問いいでしょうか。あ、私は伊井野と申します」

 

「いいぞイイノちゃん」

 

「ダジャレやめてください……ええと、私達は何をすればいいんでしょうか」

 

「フハハハ、ここに三枚の伏せ札がある。

 裏にはそれぞれ別々のゲーム名が書いてある。

 君達はこの中から一つを選んで引き、それをプレイしてくれればいいのだ」

 

「なるほど。簡単そうです」

 

「ちょっといいだろうか。ああ、俺は白銀という」

 

「フハハハ、どうぞ」

 

「その伏せ札の中身のヒントをくれないだろうか。

 俺達も運任せじゃなく、ある程度は自分達の意志でゲームを選びたい」

 

「うーむ……フハハハ、いいだろう」

 

 そう、それは知略。

 "できる限り無難なゲームをやりたい"という、自己保身と生徒会の仲間を守ろうという気持ちが合わさった強い気持ちが生んだ機転!

 白銀御行、やはり凡人ではない。

 この状況でゲームマスターたるテーブルゲーム布教おじさんに対し、自分達が有利になる交渉を開始するというその勇気!

 それが、テーブルゲーム布教おじさんの譲歩を生んだ。

 白銀御行、窮地に奇跡のファインプレー!

 

「ではこの三枚の伏せ札の内、二枚の内容を解説してやろう。フハハハ」

 

「ありがたい」

 

 しかも引き出せた譲歩は、三枚の内二枚の開示。

 しからば開示された二種のゲームを選ぶか、その二種を除いた最後の一つを選ぶか。

 この時点で『運任せ』ではなく『三択』の権利を得たことになる。

 白銀の提案は、この事態を無難に終わらせるための最良の結果を引き寄せたと言っても過言ではないだろう。

 

「まずはこの伏せられた右端のカード。

 これは『Busen Memo』というドイツの神経衰弱ゲームでな」

 

「ふむ」

 

「カードにプリントされた実写のおっぱいの右乳と左乳を当てるタイプの神経衰弱だ」

 

「は?」

「は?」

「は?」

 

 相手がテーブルゲーム布教おじさんでなければ、間違いなく白銀はMVPであった。

 

「この右乳首はこの左乳首と似てるか?

 この乳首の型崩れ具合からしてもう片方は?

 この乳首に付いてる装飾品は、他に同じのがあったような?

 巨乳の右乳は巨乳の左乳、貧乳の右乳は貧乳の左乳に対応……

 そんな乳首丸出しのR18神経衰弱カードゲームである、フハハハ」

 

「待って待って待って」

 

「気を付けるがいい。

 全てのカードが右乳と左乳でセットになっているとは限らぬ。

 両乳首が写っているカードと乳房が写っているカードも特例のセットだ。

 更に言えば、女のおっぱいが左右で同じ形と大きさなのはエロマンガの世界のみよ。

 このゲームにおいては実際に、片方の乳だけが垂れ乳のようになっているひっかけも……」

 

「会長! 別のにしましょう!」

「最っ低!」

「これ以下のテーブルゲームは流石に無いと思います!」

 

「お、おう」

 

 会長が二枚情報開示権を得ていなければ、どうなっていたことか。

 皆が戦慄し、皆が白銀に感謝していた。

 ありがとう白銀会長。

 フォーエバー白銀会長。

 

「では左端だ。

 お、『Fiese Freunde Fette Feten』だな、フハハハ。

 邦題は『むかつく友達、いきたくないパーティ』だぞ」

 

「タイトルの時点で酷いな……」

 

「喫煙、飲酒、麻薬、現金、病気、肥満、哀悲、宗教、勤勉、SEX……

 それらのステータスを操り、積み上げ、減らし、人生の目的を達成するのだ。フハハハ」

 

「へー……ん? 今なんかとんでもないものが入ってたような」

 

「我輩のオススメは高校時代からセックス漬けで娼館行きか、麻薬中毒のセックス漬けである」

 

「!?」

 

 そう、これは、R18気味の要素ありの16歳以下はプレイしちゃいけない人生ゲーム!

 

「そこの胸だけ太ってる君。

 このゲームでは太ってる女性は自分の体を売れないルールだから気を付けなさい。

 デブは魅力がないから誰も買ってくれないというルールなのだ、フハハハ!」

 

「な、な、なっ」

 

「そこの何か間違えたら出来ちゃった婚しそうなカグヤさんとかいう君。

 このゲームでは知力を上げすぎると出来ちゃった婚ができない仕様だからな。

 バカじゃないと出来ちゃった婚なんてしねーよというシステムなのだ、フハハハ」

 

「ゲームでも現実でもしません!」

 

「フハハハ! イイノちゃん、ここに置いたこのカード!

 これが何を意味するか分かるかね!

 名前も知らない男とのセックス回数表示ではないぞ、それはこっちだ!

 特定対象とのホモレックスやレズセックスの場合こっちへのカウントだぞ!

 これは『初体験の時にゴムも使わず中出しをキメて出来ちゃった婚した女』という意味だ!」

 

「解説いりません!」

 

「そこな陰気な少年よ。

 フラれたりした時もこのゲームなら安心だ。

 好きな女を取られたりフラれたりしたら失恋ポエムを読めばよいぞ」

 

「なんで僕見てそんなこと言い始めるんだよ……」

 

 あ、これさっきのよりやべーやつかも、と皆が感じていた。

 

「寝取り寝取られも完備。

 PCもNPCもある程度の制限もあるが自由自在さ、フハハハ!

 例えばそこの。胸だけ太ってる子とシロガネくんとカグヤちゃん。

 シロガネくんとカグヤちゃんが結婚したとしよう。

 そこから胸だけ太ってる子が寝取って、離婚させて、シロガネくんと再婚できるのだ」

 

「へー」

「へー……って私にその呼び方はやめてください」

 

 四宮かぐやの目から数秒、光が消えた。

 かぐやからの無言の圧力が白銀にのしかかる。

 

「会長、このゲームだけはやめましょう」

 

「あ、ああ。となると開示されてない最後の一つしかないわけだが……」

 

 ふと、白銀は気付いた。

 この男は……テーブルゲーム布教おじさんは、白銀御行にヒントを求められた時から、この展開を想定していたのではないかと。

 だから、二つのゲームの情報開示をしたのではないか、と。

 

 つまり、最初はこのテーブルゲーム布教おじさんは三つのゲームのどれをやってもらおうがよかった。

 三つのゲームはそれぞれ似たようなものだった。

 だが、白銀御行の提案に乗る形で二つのゲームの情報を出し、その二つのゲームを避けさせれば……『一番やらせて面白くなりそうなゲーム』をやらせることができる。

 しかも、『テーブルゲーム布教おじさんに押し付けられた』という形ではなく、『自分達で選んだ』という形で。

 

 そう、これは既に頭脳戦。天才達の頭脳戦だ。

 乳首もろ出しおっぱい神経衰弱を選ぶか。

 白銀がかぐやと結婚したものの藤原に寝取られる可能性がある人生ゲームか。

 まだ見ぬ三つ目か。

 選択肢は生徒会長の白銀御行に委ねられたと言っていい。

 

(だが、俺にはもう選択権などない)

 

 女子三人の圧力を前にしてこの二つのどちらかを()()()()()()()()ことなど、許されることではなかった。

 開示された二つを選べば、『白銀会長がそのゲームを選んだせいで私達はこんな辱めを』という視線が女子から飛んでくることは必定。

 

 何故ならば、テーブルゲーム布教おじさんが情報を開示した時点で、『運悪くそのゲームの札を引いた』という言い訳ができる余地が激減しているからだ。

 仮に白銀が、乳首丸出しおっぱい神経衰弱を選んだとすると、かぐやの反応はどうなるか?

 

―――そんなに私達とおっぱい神経衰弱がしたかったんですか? お可愛いこと……

 

 白銀からすれば、それはノウ。絶対にノウ!

 明日から生徒会室に来ることができるかどうかさえ怪しい!

 白銀は最後に残った一つを選ぶしかない。

 "こんなゲームだとは思わなかった"と言い訳できるそれを選ぶしかない。

 

 たとえ、それがテーブルゲーム布教おじさんに誘導されたものだと分かっていても。

 それを選ぶしかなかったのだ。

 

「フハハハ! よくぞ選んだ。

 このゲームは映画を撮るテーブルゲームだ。まあアクタージュみたいなものだな」

 

「あ、よかった。それならテーブルゲーム部でやったことあるかも……」

 

「まあアダルトビデオなんだがな、フハハハ」

 

「えっ」

「えっ」

「えっ」

 

「『Project Pornstar』!

 トランプのようにカードを出し合って、AVを作るゲームだ!

 仕組みは簡単、だが奥深い!

 俳優カード、アクションカード、大人の玩具カードを駆使して存分に争え!

 目指すは『より高い評価のAVの完成』だ!

 あ、もうこれを選んだ以上はたっぷりこれで遊んでもらうぞ。フハハハ!」

 

「どうすんですか会長、僕が思うにこれ一番やべーやつですよ」

 

「……俺が知るか!」

 

 地獄の宴が始まった。

 

「あ、僕撮影前の伊井野の俳優にエイズカード使います。

 これで伊井野の撮影中のAVは撮影中止ですね、はい」

 

「ああああああ! 石上! あんた最っ悪!」

 

「ゲームなんかで熱くなっちゃってどーすんの」

 

「ああ、そういう使い方するんですね。

 私、会長にエイズカード使います! エイズになっちゃえ!」

 

「怖いぞ藤原……コンドームで防御だ」

 

「藤原さんを見てると私も含めて皆染まってきてるのが怖いんですよ、会長……」

 

「やめろ四宮。俺はただでさえその日の発言を後日後悔するタイプなんだぞ……」

 

「……あ、いいの引いた!

 『クソ映画レッテル』カード!

 批評家によって石上の映画にクソ映画のレッテルが貼られる! 評価が下がるわ!」

 

「おっまえマジでふざけんなよ! 最高のAV出来かけてたのに!」

 

「ゲームなんかで熱くなっちゃってどうするの、でしょ? ざまぁないわね!」

 

「あーもう使っちまうからな!

 『映画の早バレ流出』カード!

 伊井野のAVの早バレがハッカーの手でネットに流出し、作品を客が見に来なくなる!」

 

「あー!」

 

「かぐやさんの映画に『クソ映画監督』を送り込みます!

 この監督は無駄にAVに芸術的要素を取り入れようとしているため、エロさ半減!

 かぐやさんのAVの出来と評価が下がりますよ!」

 

「ああああ! 藤原さんなんてことを!」

 

「ふふふ……これで私と会長だけですね、作品完成が近いのは」

 

「そうだな、藤原」

 

「会長は男三人に女一人……おそらくは輪姦コンボ狙い」

 

「そう言う藤原がは男二人女二人、乱交コンボ狙いだな

 

 今、天才達の頭脳戦が進化する。

 

「会長の現場に犬を送りつけて獣姦AVに!」

 

「俺の映画にオナニー用キュウリカードを追加!」

 

「盗むのカード! 会長のコンドームを盗みます!」

 

「俺は俺の映画の巨乳ブサイク女優の顔に紙袋を装備!

 ブサイクというマイナス要素が紙袋カードの効果で相殺、映画評価は上昇する!」

 

「私の映画に大型オナニーバイブを追加!」

 

 白熱するポルノ映画撮影テーブルゲーム。

 

 どんどん正気度を失っていく生徒会メンバーを見て、テーブルゲーム布教おじさんはどこか満足げな表情をしていた。

 

 

 

 

 

 本日の勝敗

 

 テーブルゲーム布教おじさんの勝利

 

 

 




 Busen Memoは片乳だけ型崩れしたおっぱいは判別しづらく、汚らしい真っ黒乳首は見分け付きやすい、小学生も遊べはする、そんなオススメゲームです

 まっくろくろすけでておいでー! でないと乳首が揃わんぞー!


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