side うずまきナルト
死者は敵のみ、参加者は全員無事。今回の任務は大成功と言えるだろう。問題があるとすれば、がらがらどんがまたも俺に救われたと思ってかなりべったりになっていることだが、まあ放置でいいだろう。あっちもあっちでどういう対応をするべきなのか測りかねてるようだしな。
まあだがここはとりあえず、こう言っておくべきなんだろう。
「生還おめでとう」
「……ああ、ありがとう、ナルト」
side うちはイタチ
突然の事だった。一尾の封印中に突然結界が粉砕され、現れた九尾の人柱力、うずまきナルト。封印がまだ終わっていなかった一尾の人柱力を奪い返し、その場に存在していなかった俺達を殴りつけ、その場にいたサソリとデイダラを殺害、死体を指輪ごと持ち去っていった。それだけではなく既に封印されていた七尾の殆どを魔像から抜かれ、暁の計画は大きく後退したと言わざるを得ない。そしてその光景を目の前で見せられた暁の構成員である俺たちは秘かに集まり、これからの方針について会議を開いていた。
『……単刀直入に言う。あの九尾の人柱力のおかげで計画に狂いが生じた。まさか封印に乱入して封印されていくチャクラを逆流させるなどと言うことができるとは……』
『おいおい、じゃあどうすんだ? 一尾だけじゃなく封印が終わっていた七尾まで持っていかれちまってよ』
『そのことだが、一尾と七尾が抜かれた時、一尾は一尾の人柱力の中に戻っていったのを確認したが、七尾の方は恐らく九尾の人柱力の方が吸収したと思われる。九尾と七尾が同時に同じ人柱力の中にいると言うのは……選択的に尾獣を封印すると言うのは可能なのか?』
『問題ない。だがそれよりも封印の際に意識があると最悪それまで封印していた全ての尾獣を持っていかれると言うことが問題だ……』
『……殺して中身を別の奴に入れ替えるか、あるいはそのまま入れちまえばいい』
『ふむ、だが奴の中には二匹いる。ゼツの報告が正しければ九尾の人柱力はデイダラとサソリを同時に相手にした上で無傷で勝利したそうだぞ? 例え奴に勝てたとして、そのまま九尾と七尾を同時に相手にできるのか?』
『なあに、それなら人柱力を殺すのは飛段さんにお任せするとして、九尾と七尾は私とイタチさんが相手すればいい。それに飛段さんを無力化するなら封印する必要がある。封印される前に妨害し、そして飛段さんの儀式で殺してしまえばいいでしょう』
『無力化って言うならイタチの幻術でもいいんじゃないかなぁ?』
『無理だ。あの時に一応かけてはみたが無視された……と言うよりそもそもかける対象が見当たらなかった』
『それはどういうことだ?』
『チャクラが流れていなかった。突然挨拶をしてきた時に目を合わせたが効果が出なかったから確認した。あの時うずまきナルトはチャクラを一切使っていなかった』
『…………本当に人間か?』
あたりが沈黙に包まれる。それはそうだ、自分達を退け、更にはメンバーであったデイダラとサソリを殺した相手が全く本気ではない……それこそ殻だけを失って薄皮のみに包まれた生卵を割らないように持ち上げるような加減をしていたと聞かされればそういう反応にもなる。
しかしその沈黙は突然に、そして劇的に破られた。
「俺は人間だパーンチ!」
『『『『『『ぐぼへぇぁっ!?』』』』』』
「つーか首飛ばされても死ななかったりそもそも人間として作られてない奴らに人間じゃないだろとか言われたくねえよキーック!」
『『『『『『ごっぼぉぉ!!?』』』』』』
み……鳩尾……と言うかなんでここに……!?
「なんか気配がしたから追っかけてきたぞ!あとそこのブラコン!お前の弟にお前がかつて受けた木の葉からの特別任務の内容を洗いざらいぶちまけたからなざまあ見やがれ!」
『お前……うずまき、ナルトォ……!』
「うわ何お前なんかチャクラが無いと人間と樹の間に凄まじい拒絶反応が生まれて即死しそうな顔してるんだけど大丈夫? 死ね? 間違えた、死ぬよ?」
『お前……どうやってこの場所が……』
「うわ何その眼キモッ!なんか年季の入ったクレイジーサイコホモの気配がするんだけどその眼キモッ!」
突然絶対に隠しておかなければいけなかったことを弟にばらされていたと聞かされた兄は俺だ。写輪眼持ちなのに白目剥きそう。と言うか既にきつい……!
「よーしとりあえず大体の居場所はわかった!もう二度と俺の前に顔見せんなよ!じゃあな!」
それだけ言い残してうずまきナルトは煙を残してその場から消えた。……影分身だったのか、それとも指輪を使ったのか……。
『……暫く、俺はあれに近づきたくはない』
『イタチさんに同じく。できることなら九尾と七尾以外の尾獣を全て集め終えてから暁の総力を挙げて戦う必要があると思いますねぇ?』
……だが、それでもいずれ会わなければならな(カサッ)ん? これは……?
Q.どうやって入ったの?
A.人探しには抜群に便利な武装錬金があるじゃないですか。
Q.ナルトの言ったことについての言及は?
A.いった直後に殴っていったお陰で一種のセクシーコマンドー的な物と思われ黙殺されました。