side 日向ヒナタ
チャクラ糸での点穴攻撃。柔拳使いじゃなければ大抵の場合は見逃してしまうけれど、チャクラの感知能力が高かったりすると避けられることもままある。そうでなくても戦闘中と言う激しい動きがある中での正確なチャクラコントロールは難しいし、何より相手の動きとチャクラ糸の動きをしっかりと合わせなければ点穴攻撃なんてできはしない。とても難しい。
ただ、私の視界内でかつほとんど動いていない相手であれば百発百中と言えるくらいにはなった。そして一度突き刺せばそこから根を張るようにチャクラ糸を伸ばし、全身の経絡系に私のチャクラ糸を絡めてズタズタに引き裂いたり点穴と言う点穴を突いたり強制的に八門遁甲をさせることができるようにもなった。ただ、八門遁甲をさせると全身の点穴から噴き出すチャクラの圧力に押されて経絡破壊も点穴封じもできなくなってしまう。ナルト君にそれについてどうしようと相談してみたんだけれど、ナルト君の場合チャクラ無しで四紫炎陣を指一本で軽々突き破るという離れ業ができてしまうからあまり考えたことがないらしい。ただ、チャクラの圧縮を上手くすればチャクラの圧力を受け流しながら自在に動かして経絡系をズタズタにできるようになるんじゃないかと言うアドバイスを受けたので再び一億人の私によるチャクラコントロール修行の始まりです(死んだ目)。
目標はチャクラ糸の先端部分でチャクラを纏った苦無を貫通すること。そして貫通させた苦無をそのまま一切動かさずに両断すること。目標は遠い。
「大丈夫、行けるって。俺は毎日一兆体を越える影分身で同じことやってるんだからいけるって」
「えっ……ナルト君、身体は大丈夫なの……?」
「死にはしないし効果も十分ある。ただ副次効果として柔らかな笑みを浮かべながら一瞬でハイライトを滅殺できるようになる」
「ナルト君、それすごく怖い。いつも無表情なナルト君が笑ってるのも怖いけど一切の光を飲み込むようなその眼が凄く怖い」
「嫌だなあ、僕はいつだって人類の平和を願って生きているって言うのに」
「待って待って待って待って待って待って待って待って怖い怖い怖い怖い本当に怖いからそれ本当にやめてお願いだから」
「~♪」(『アンパンマンマーチ』を短調で)
「その顔でその歌は本当に待って怖い!泣くよ!? 子供に聞かせたら多分泣くよ!? と言うか私もちょっと泣きそう!」
「そいつは良くないな。わかったいつも通りにしておく。まさかちょっとしたイメチェンでここまで言われるとは思ってもみなかった」
……ちょっと、言いすぎちゃったかな?
でも、あれは怖い。普段からナルト君に付き合いがあればあるほど怖いと思う。天気が槍になったりしても正直驚かない自信がある。そのくらい怖いしおかしい。絶対おかしい。そして怖い。
もしかして、毎日一兆体の影分身を出して修業なんてことをしていたせいで精神的に不安定なのかな……?
「無いとは言い切れないな」
やっぱり……一億体くらいの私でも正直それを一度やった後は暫く寝込みたいくらいに疲れるのに、その千倍以上を出しているナルト君が疲れないってことは流石に無いんだろう。いくらナルト君でも疲労は感じるよね? ナルト君ってちょっと人間かどうか怪しかったりすることもあるけど、人間じゃないわけじゃないもんね。時々『疲れた』って言ってるし、修業も任務もない時にはよく寝てるし……。
『いーやこいつ人間じゃない』
『どう考えても人間じゃない』
『ひゃくおくほゆずってもにんげん(?)だな』
『……ああ、うん、そのようだ』
なんだかナルト君と繋がっていると聞こえてくるいくつかの声が増えた気がする。最近までは二人……いや、同じ声が二人と違う声が一人だったと思ったけれど、そこにまた誰かが入ってきている。誰だろう? 前に居たのは多分九尾だと思うけれど、じゃあ残りは誰なのか。どうして九尾と同じようになっているのか。ナルト君が前に言っていたから初めに聞いたのは九尾で、中忍試験の後から聞こえ始めたのは一尾なんだと思う。じゃあ今回増えたのと、一番初めからいた九尾と同じ声だけれど別の誰かの声。何が何だかよくわからないけれどきっとナルト君がまた何かしたんだよね?
……一尾と九尾がいる。つまりナルト君の中に封印されているのは尾獣たち。九尾の声が二つある理由はわからないけれど、ナルト君は一尾を半分にして片方だけを請け負ったと言っていた。だとするとナルト君に九尾を封印した四代目様も同じように九尾の半分だけをナルト君に封印して、そしてナルト君が復活させた四代目様から何らかの形で受け取ったんじゃないだろうか。だから九尾の声が二つある。
最近増えた声については、多分風影である我愛羅君が攫われたのと何か関係があるはず。暁と言う組織に攫われたと聞いてるし、暁は尾獣を集めているということも聞いた。つまり、何らかの形で暁が持っていた尾獣をナルト君は奪ってきた?
『大正解』
『この小娘頭の回転が速いのと現状の受け入れ能力が高いよな』
『ちなみにふえたのはしちびだな!』
『どうも、ラッキー7オカブト、または昆虫王者だ』
『……その呼び名、気に入ったのか?』
『ロリ狐よりは』
『『サッカーしようぜ!お前ボールな!』』
なに? 直径18のボールをケツに埋め込まれたいとな?
『『裂けるからやめろ!』』
お仕置きの内容が怖い……と言うか凄い……怖い……。