side うずまきナルト
死んだ。多くの奴らが死んだ。俺を傷つけようとしてできなかった暗部の盆暗共が死んだ。俺を傷つけようとして反撃喰らって泣き寝入りしたゴミのような無能共が死んだ。ひたすらに俺を無視し続けた奴らが死んだ。顔も知らない人間達が死んだ。男であっても女であっても関係なく死んだ。大人も子供も老人も赤子も関係なく死んだ。
木っ端丸が死んだ。地獄道を相手に戦い、捕まり、俺の事を話さず死んだ。
カラシが死んだ。天道と修羅道を相手にして死んだ。
イルカ先生が死んだ。天道の吹き飛ばした瓦礫に圧殺された。
親父が死んだ。腹の中の九喇嘛の半分はこっちで受け取ったが、腹を貫かれ地に磔にされて死んだ。
ヒナタが死んだ。餓鬼道にチャクラを奪われながら人間道に魂を奪われて死んだ。
サルケが死んだ。須佐能乎の中にも通る万象天引と神羅天征を身体の左右に同時に受け真っ二つになって死んだ。
今の木の葉で生きているのは、俺と根腐れ、そしてようやく正気を取り戻し始めた尾獣たちくらいだ。
俺はサルケに根腐れ野郎の事は任せた。だから俺はサルケにあれを殺させなければならない。
俺はヒナタに約束をした。ヒナタが俺の敵になるまでは飯を食わせてやると。だから俺はヒナタに飯を食わせなければならない。
そして、木の葉の里のほぼ全てが無くなってから気付いたことだが……嫌いな所ばかりが目立っていた木の葉の里にも気に入っている場所があった。
一楽のラーメン屋。店主もその娘も避難した先の洞窟が天道の神羅天征で崩落して死んだ。
歴代火影の顔岩の上。これも同じく神羅天征で飛び散った瓦礫で崩壊している。
三代目の爺さんとよく会っていた火影の執務室。ぐっしゃぐしゃに崩壊している。
三代目の爺さんが眠る墓。見るも無残な状態だ。
俺は、木の葉には何の未練も無いと思っていたが……俺の場合、本当に何の未練も無かったら木の葉の里にいつまでも残っているわけがないし、そもそも木の葉の里がいつまでも残っているわけがないんだよな。今更だが。
だから、どうせ誰一人聞く者のいないこの場所で、最初で最後に本音を出してみようか。
「嫌いだ」
「木の葉が嫌いだ」
「俺を無視する木の葉が嫌いだ」
「俺に暴力を振るう木の葉が嫌いだ」
「俺を傷つけようとする木の葉が嫌いだ」
「大嫌いだ」
「木の葉が大嫌いだ」
「俺を殺そうとする木の葉が大嫌いだ」
「誰もが俺を疎ましく思う木の葉が大嫌いだ」
「疎ましい」
「憎らしい」
「殺したい」
「壊したい」
「滅ぼしたい」
「狂わせたい」
「発狂させたい」
「すべて」
「なにもかも」
「眠れるルルイエの支配者を見て」
「吹き荒ぶ風を纏う黄衣の王を眺め」
「悪意に塗れた燃える三眼と視線を絡め」
「貪食する炎の花弁と目を合わせ」
「戦争なんてする余裕もなく」
「戦いなど起こる余地もなく」
「ただひたすらに一方的に滅びてしまえばいい」
「忍術の実験中に核の炎を呼び出して中性子線で焼き払われればいい」
「濃厚な放射能の中で誰もが奇形に生まれて死ねばいい」
「月が衝突して地殻津波で国も大陸も星も滅べばいい」
「月の内部から現れた奴に全てのチャクラを奪われ失意のままに死ねばいい」
「だが」
「それでも」
「生きていてほしい奴もいた」
「兄のように思えた人がいた」
「祖父のように思えた人がいた」
「弟のように思えた奴がいた」
「妹のように思える奴がいた」
「出来の悪い弟子のような奴がいた」
「不器用だと今でも思う親父がいた」
「歪んだ愛しか持たない俺をそれでも愛そうとした母親がいた」
「木の葉の里は今でも嫌いだ」
「木の葉の里なんて守りたくはない」
「だが」
「そいつらの居場所なら、守ってやってもいいかもしれない」
……ああ、全く、言葉に出してみるってのはやっぱり結構重要なことなんだな。昔から知っていたつもりではいたが、自分の本音なんてのはこんな時でもないとぶちまけられるもんじゃない。特にこんな真っ黒い内容は。
三代目の爺さん。奇しくもあんたの最後の願いを叶える時が来たようだ。
周囲には誰もいない。みんな死んだ。親父が逃がそうとしたバクラも死んだ。だからこそ丁度いい。
誰も見ていないなら、俺は自由だ。死者を蘇らせる術があろうが記憶の全てを焼き払ってしまえば結局のところ何も残らない。全てをやろう。
三代目の爺さん。今、俺はそんな気分になったよ。
Q.結局守るのね
A.一回だけね。
Q.クー子「ニャルラトホテプ、ハスター、クトゥルフと並んでなぜ私がいないのか。訴訟」
A.尾獣達のSAN値がピンチだから(遅い)