NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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NARUTO~幕間の物語7

 

 side うずまきナルト

 

 腹が減っては戦はできぬという格言があるが、これはごく当たり前のことだ。人間腹が減れば動けなくなるし、動けたとしてもパフォーマンスは悪くなる。何かを食って、そして動く。それこそが人間という物だ。

 つまり、腹が減った時に食える物の準備はちゃんとしておかないと戦う前に腹減らして死んでしまうぞ、と言う事だ。特に燃費が多少改善されたとは言っても未だによくはないヒナちゃんはちゃんと用意しておかないといけない。本人も理解していて仙豆をいつでもいくつか持っているから問題ないとは思うが……。

 まあ、兎にも角にも飯にすることにした。木の葉の里にこっそりとたてられた親父とかーちゃんのいる俺の家。サルケの両親も同居している広い家だが、元々サルケが過ごしていた名家のような広さは無い。正確には内部の広さ自体そこらの家の数百万倍はあるが、その大半がモンハン的な野生動物の闊歩する不思議な世界になっているため生活空間としては使えないというのが正しい。

 実質的に木の葉の里を抜けてからは一度も来ていなかった家に久々に行ってみると、かーちゃんが凄まじい勢いで抱き着いてきた。吹き飛んで後頭部をドアに打つかと思うくらいの勢いで抱き着いてきた。やっぱり何も言わずに実質里抜けはまずかったかと思いつつ、少し痩せた感じのするかーちゃんを抱きしめ返した。

 

 ……その後三十分くらい放してもらえなかったがまあそれは置いておくとして、ともかく俺はもう暫くこの家には戻らないことと、かーちゃんと親父が九喇嘛と一緒に居た時間が結構あるからもしかして九喇嘛のチャクラを使えたりすると俺の代わりに狙われてしまうかもしれないと言う事を伝えつつチャーハンを作っていた。ちなみに今日の客はこの家に暮らすかーちゃんとサルケの両親、そしてサルケを除いて二人。ヒナちゃんとバクラだけだ。親父? なんか最近忙しく働いているらしいが細かいことはよく知らん。なんか昔の教え子に飛雷神の術を教えているとか何とか言っていたが、これはカラシの強化フラグかもしれないな。あとかーちゃんは九喇嘛のチャクラは使えないそうだ。

 

 それはそれとして今日作るのは麻婆豆腐。辛いのが苦手な奴のために辛さは何段階にも変えていくつも用意してみたが、どれも結構好評だ。一つを除いて。

 泰山麻婆。まあ、某聖杯を求めて七騎の英霊を呼び出して戦う世界で愉悦神父が一押ししていた物だが、この麻婆は尋常じゃないほどに辛い。美味いは美味いし深みやコクも素晴らしい。栄養も十分だし。ついでに言えば薬膳効果もあって冷え性なんかにはよく効く。しかしそれらの効果を鑑みてもなお敬遠されるほどに辛いのだ。俺はまあ食えないこともないが、基本的に面倒臭がりで眠たがりの俺はあまりそう言うのは食べる機会が無い。あれば食べる程度だ。

 ついでに豆知識だが、女の方が冷え性が多いって言う話があるが統計的に事実であり、同時に冷え性の奴は辛い物を食べたがることが多いらしい。つまり、今回俺が作った麻婆豆腐は結構な人気でどんどん無くなってるわけだが、サスケは甘い物は苦手でも辛い物が得意と言う訳ではなかったようであまり進んでいない。少し手を加えてトマトや白菜などをかなり多く使った野菜麻婆も作ってあったが、女性陣の前にあっという間に駆逐されてしまった。女って時々驚くくらい食う奴がいるけど……いや、男でも驚くくらい食う奴はいるんだが、男と女だとどうも女の方が激辛とかに強いイメージがある。気のせいかどうかは知らんがね。

 

「……美味いな、トマト麻婆」

「……カツオの削り節で出汁を取ってみた。好きだったろ? おかか」

「ああ。……お前そんなものまで考えてたのか」

「いくつか当人の好きな味にしようとして作ったんだよ。辛さを控えて梅干し入れた奴とか、甘くはないが小豆たっぷりに餅も少々入れた善哉風とか、豆腐を麺にして入れた塩ラーメン風とかな」

「ほー……その結果がこれか」

「凄まじい速度で消えてったな」

 

 結構量を作ったつもりだったんだがな……残ったら混ぜるなり薄めるなりして何か別の料理に再生させるつもりが、まさかのほぼ全滅。一人前以上残っているのは泰山麻婆くらいという、まさに惨憺たる結果。それだけ喜んでくれたと言う事だからまあいいとして……親父の分はどうするかね? 親父は好きな物がかーちゃんの手料理ってなってたから好みがよくわからん。愛情を味覚で感じるとかそんな感じの特殊能力でも持ってたりするのか?

 仕方ないから親父のを俺が作ると大概オーソドックスな物になるんだが、好みをちゃんと教えてくれない親父が悪い。俺は悪くない。

 

「……そう言えばお前の兄は昆布の握り飯とキャベツが好きだったな」

「そうなのか?」

「本人に聞いたからな。まああいつは嘘吐きだから嘘の可能性もあるが」

 

 ……いや、マジでな。あいつの嘘はかなりわかりづらい。そして面倒臭い。

 




Q.泰山麻婆なんて作れんの?
A.泰山麻婆を出すことができます(作っているとは言ってない)

Q.善哉風……豆麻婆でよくね?
A.書き終わってから自分でそう思った。

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