side 日向ヒナタ
突然現れた面の男。そしてすぐさま出てきた巨大な像。多分あれがナルト君の言っていた外道魔像なんだろう。自称マダラの方はどうやらお面を変えたついでに眼も変えたらしい。元から見えていた右目は万華鏡写輪眼だけれど、左目の方はチャクラの感じが違う。前回と同じように、けれど前回とは別人の目を埋め込んでいるのがわかる。そして何よりあれは写輪眼ではなく輪廻眼、ペインの持っていた眼と同じだ。
そしてその周りには六人のペイン。ただ、前回と違うのは片目が写輪眼になっていると言う事で、さらにそのペイン達はそれぞれが恐らく人柱力であると言う事だ。
私は細く鋭く研ぎ澄ませたチャクラ糸を七本伸ばしてペイン達の腹部の中心にある点穴に突き刺した。……あれ、気付かれないの? 使い慣れてないから気付かなかったとか? でも自称マダラの方にも刺さっちゃってるけど……いや、違う。これ刺さってない。細胞と細胞の隙間をすり抜けて点穴に刺せているのは六体のペインだけで、本体の自称マダラには刺せてない。すり抜けられてる。だって糸の先に刺さった感触も突き当たった感触もない。どうやっているのかはわからないけど避けられたのだけは確かだ。
そしてどうやらそのすり抜けはほぼ自動発動だったらしい。樹に着地した瞬間だけチャクラ糸に接触の感覚が返ってきたし、それから宙に浮いている間は感触が無くなった。私の糸は限界まで圧縮することで刺された感触を感じさせずに刺すことができるが、刺した私は刺さった感覚を感じ取れるのだ。
そう考えると、相手のこれは本当にすり抜けているとしか考えられない。自分から何かに触れようとする時だけは接触できるようなのでその瞬間を狙えばいけるかな?
まずは人柱力らしきペイン達の経絡系に私のチャクラ糸を潜り込ませる。体内でチャクラ糸を分割させ、細胞の一つ一つから流れ出るチャクラの経絡に侵入させて待機。こういうのは気付かれてしまうと効果が半減してしまうから、気付いたとしても精々索敵用と思わせておくのが一番。こちら側に近付くにつれて少しずつ分かりやすくしておけば索敵用に伸ばしていると思ってくれるだろう。実際には殲滅用なんだけど。
人柱力たちの方は全身の経絡の乗っ取りをほぼ完了させた。今は自称マダラが操るのに任せて動かしているけれど、自称マダラが間接的にチャクラで動かすよりも私が直接チャクラ糸で操った方が強制力は恐らく強い。問題は尾獣のチャクラを纏った状態になったら全身の経穴からチャクラが噴出するから経絡の中に仕込んでおいたチャクラ糸が圧に負けて消し飛ぶか制御を離れて経絡を内側からズタズタにしてしまうかのどちらかになってしまうと言うところなんだけれど、まあ問題はないはずだ。だって敵だしね。
それに、一応尾獣と意思疎通ができるようになった我愛羅君に衣の状態を見せてもらったけれど、あれの中にチャクラ糸を入れても大丈夫そうだったしね。圧縮率が違いすぎるようで大量のチャクラの奔流の中でも私のチャクラ糸は形を保てるし流れを斬って受け流せる。いきなりじゃなければ、だけど。
それと、ペインと同じように身体に杭を刺して操っているらしいのでその杭に触れないようにしておく。チャクラで触れれば自称マダラの意思どおりに動かなくなってしまうかもしれないし、やるならしっかりと決められるところまで状況を進めてからやるべきだ。骨折り損のくたびれ儲けなんてのは御免だからね。
けれど、どうやらこの戦場では決め手に欠けるらしい。十尾の殻でもある外道魔像は中身が欠けていても十分に強く、多くの忍を蹂躙している。元人柱力たちは尾獣を使ってはいないようだけれど、尾獣のチャクラ性質からくる様々な特殊な術を使っている。これは、もう少し抑えるために色々とやっておいた方がいいかもしれない。
感知班は既に私たちのいる場所にマダラがいるという情報を送ったはずだ。なら後は援軍が来るまで耐えればいい。以前のペインを相手にした時には死体相手に効果的な技を作っていなかったから後れを取ったけれど、今は違う。時間稼ぎなら十分できるはず。
転生眼となった私の眼は、人間の経絡だけではなく大地の経絡をも見抜く。ナルト君曰く『龍脈』と言うらしいけれど、龍脈の流れに乗っての高速移動で仮面を被った自称マダラに隣接する。私の指はマダラをすり抜けるけれど、マダラの攻撃も私をすり抜ける。
話は聞かない。対話はしない。息つく暇なく攻撃を続け、常時私の身体とマダラの身体を重ね続ける。
「五分間……私は貴方の心臓を貫き続ける」
「何……!?」
「重なった部分がどうなるのか……見物だね」
残り、四分三十八秒。
Q.話しないんじゃないの?
A.独り言だからセーフ。
Q.ヘアモンスターかよ……
A.元ネタはそれですからね。