NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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NARUTO~143

 

 side 日向ヒナタ

 

 余裕が出てきたので私はチャクラで繋がった人柱力から封印されている尾獣たちの所にまで意識のおよそ三割を接続させた。私は人柱力ではないから表層のところまでしか行けないけれど、それでも同時に顔合わせするくらいならできる。

 ……猫耳に長靴の女の子。なんだか縛られている大きな亀。赤銅色の毛皮の大猿。イルカの頭を持つ人型。犬耳の付いたちょっとぽっちゃり気味の女の子。千切られた薄手の二枚の翼。……あれ、最後の本体じゃないね? 間違いなく羽だけだよね? そしてあの羽、まず間違いなくナルト君の中に放し飼いにされている昆虫王者さんのだよね?

 ともかくそんな彼らが大きな鎖に囚われ、胸を錨のようなものに貫かれているのは見ていて痛々しい。胸じゃなくて首を貫かれているのもいて中々ひどい。

 

「あぁん!? あの面野郎に続いて今度はお前か!俺の力を取ろうってのは!」

「え、いや別にいらないけど……」

「ハァ!? じゃあ何でこんな所に居んだよ!」

「あなたが囚われていると戦いの邪魔にしかならないから、さっさと解放して居なくなってもらおうかなと」

 

 転生眼で大猿を縛り上げている鎖からチャクラを抜いて行く。大猿以外の他の尾獣たちを縛る鎖からも同じようにしていくけれど、やっぱりこの大猿が一番五月蠅い。そして多分この大猿が一番人間嫌いなんだと思う。……本当は尾獣は全員人間嫌いなんだろうけど。

 ともかく外道の鎖からチャクラを引き抜き続けていると、鎖はみるみる細くなっていく。そしてついに一か所が切れると、全体が私の中に引きずり込まれていく。あ、尾獣はいらないから一回ストップ。錨を引き抜いてから再開。よし。

 

「これで動けるでしょ?」

「……お前、何だ? 六道の爺とは違うようだが……」

「それを気にしている暇があるならまず出て欲しいなって思うんだけど」

「……まだ無理だ。あの人柱力の体の胸の所に黒い棒みたいなもんが刺さってる。それが俺達をこの身体に繋ぎ止める楔みたいなものでな。あれがある限り俺達は出られない。……本当なら外道魔像に縛られてるこっちの方が面倒だったはずだってのに、よく抜けたな」

「チャクラの細かい操作と小手先の技は得意なので。じゃあ、直接戦っている人に頼んで抜いてもらいますから暫くは大人しくしていてくださいね」

 

 とりあえず言うべきことは言った。あとは直接戦っている人たちに人柱力の胸のあたりに刺さっている黒い棒を引き抜けば無力化できることを伝えて……あ、でもそれをやったら多分尾獣たちはその場に出てくるからそのことも一緒に伝えて、そうすれば多分あの外道魔像って言うのも中身が無くなって動かなくなるはず……。

 まあ、その前にこっちの決着がつきそうだけどね。

 

 振るう武器を二本の指で挟んで止め、足の指で点穴を突く。すり抜けられるけれど初めからそうなると思っている以上何も問題はない。気を付けるべきは一つ、相手の目を攻撃しない事だ。相手の目が向こう側に行ってしまったらナルト君の影分身が相手の視界に入る。そうなれば何が起きているのかが簡単にわかってしまうだろう。それは避けたい。まあ実際にはバレたところで何があるわけでもないけれど、多分彼との決着はカカシ先生が付けたいだろうから止めを刺しきりたくないんだよね。だから今こうしてうだうだとやってるわけだし。

 ……まあ、攻め切れないのもまた事実ではある。私はナルト君のように空間を砕いて相手に拳を直撃させるとかそんな技は持っていないので、避けに徹されると当てられないのだ。相手が攻撃してくるのに合わせてチャクラ糸で刻めば行けるかもしれないけれど、それをやったら間違いなく死んじゃうからできない。カカシ先生早く来てくれないかな……。

 

 待っている間に尾獣たち、と言うか人柱力たちの方はなんとかしておいた。突き刺しておいたチャクラ糸を太くして鎖に変え、チャクラを封じつつ人柱力たちに尾獣を縫い付けている黒い棒を引き抜いてもらう。それから誰もいない方に人柱力たちを走らせて、そこで尾獣たちを解放した。

 これで囚われていた尾獣たちは解放し終えた。そろそろ相手も後がなくなってきたんじゃないかな? 捕らえていた尾獣は全て逃がされ、簡単に勝てると思っていた戦争も今やジリ貧。何か切り札が無いんだったらこのまま終わらせちゃおっかなー、とか考えているんだけれど。

 外道魔像も中身が無くなって……あ、いや違う。まだ何か残ってる。尾獣たちは出したはずなんだけど、一体何が残ってるんだろう?

 

 転生眼でじっと見つめる。ひたすら見つめる。……蛸足が一本と虫の羽根が二枚、結構な大きさの砂山が一つ。なるほど出ていくのは本人たちの意思に任せたけれど元から意思が無ければそりゃそうなるか。できることならさっさと終わらせたいけれど、サスケ君は物理的な破壊をもたらす術は得意だけれど封印とか小手先の技はあんまり得意じゃないんだよね。できなくはないけど。

 私たちの中で一番小手先が上手い、よく言えば器用なのはサクラちゃんだけれど、サクラちゃんは今医療部隊で怪我人の治療中のはず。こうなったら私が引っこ抜くしかないかな。

 

『……おい、お前』

『なんですか水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖さん』

『そこまで知ってるなら名前で呼べよ』

『残念ながらそこまで知っているけれど名前を知らないんです。教えてくれた人が他人の名前を五年とか十年とかかけないと覚えられない人で……聞いた名前は確か……孫……ゴテンクスさん?』

『孫悟空だ!なんだゴテンクスって!?』

『私に聞かれても……その人がそうやって間違えて「まず間違いだからこれで呼ぶなよ」って言ってたことくらいしか』

『間違いだって自覚はあるのな……』

『なんと言うか、ごめんなさい。とてもとても良い人とは言えないんですけど、悪い人ではないんですよ?』

『フン……お前に良い物をくれてやる。多分役に立つだろうよ』

 

 そう言って水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖改め孫悟空は、私にチャクラの糸を通して自分のチャクラを少しだけ分け与えてくれた。

 ……何に使えと?

 




Q.ヒナタが六道仙人化していく気がするんだけど気のせい?
A.いいえ、気のせいではありません。ちなみにこの後他の尾獣たちのチャクラも貰っています。

Q.足で点穴って突けるの?
A.手の指と同じことが足の指でできればできるはず。
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