NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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NARUTO~144

 

 side うちはサスケ

 

 外道魔像の動きが弱くなった。つまり、ヒナタが外道魔像から尾獣を引っこ抜くのに成功したと言う事だろう。通常の須佐能乎だったらともかく、完成体の須佐能乎を使い続けるには俺のチャクラは潤沢とは言えない。ナルトとは違うんだナルトとは。

 だが、動きが完全に止まるわけではない。これは恐らく中にまだ何かが残っているということだろう。以前ナルトに尾獣の封印式に割り込まれて一体持って行かれたことから色々と考えたんだろう。万が一同じように抜かれても致命傷にならないようにいくつか残しておいたに違いない。相手もそこそこやるものだ。

 

 それはそうと外道魔像に卍固めをかけて動きを封じておく。しっかりと決めれば予想以上に動けなくなるからな。ソースはナルトに一度かけられて無理に動こうとして筋肉の断裂の衝撃と共に消え去った影分身の俺。正直涙が止まらなかった。関節技とか千鳥流しや須佐能乎でどうにでもなると思っていたが、相手がナルトになると全く効果が無くて草すら生えない。

 これでまあ動きは封じることができただろう。そう思いながらナルトから借りている月の光の懐中電灯を自分に当ててチャクラと体力の回復をしておく。いつどこから攻撃が来るかわからないってのはナルトにさんざん体に叩き込まれたからな。いや、本当に意味わからないことが結構起きたからな。なんだよ須佐能乎で防御してたら防御の中に現れてシュールストレミング缶に威力の低い起爆札くっつけて消えるって。あれは本気でトラウマになったぞ俺は。臭いを選択的に防御して空気は通すって修行だったが、いくらなんでもあれを使うことは無かっただろう……?

 まあお陰で須佐能乎の操作性は向上したから何も言えないんだがな。俺にできるのは死んだ目のまま礼を言うくらいの事だ。

 

 外道魔像がこの体勢に慣れてきたようなので技を変える。足を払い引き倒し、腕を取って逆関節に引く。腕拉ぎ十字固めと呼ばれる技だが、身体の固めはほぼできなくなるので再び変える。腕を取ったまま背に回り関節を破壊しつつ首を絞める。まあ呼吸もしていなければ血も巡っていないので絞める意味は抑え込み以外には無いんだが、形としてはこれで正しい。

 こうして外道魔像が関節技に慣れる度にこちらもかける技を変える。お互いの身体が大きいせいもあって周囲への被害がかなりの物になってしまうが、まあ尾獣たちが尾獣玉をぶっぱなし合うよりはよほど被害は小さいだろうから諦めてもらおうか。それにナルトが全力で……訂正する。ナルトが全力で暴れたら被害の事を考える間もなくこの星ごと崩壊するだろうから、大分手加減しながらも周りへの被害を考えないで暴れまわったら、尾獣玉よりも凄まじい被害が出るだろう。尾獣玉を撃つより殴った方が早くて強いとか、あれは本当になんなんだろうな。人間じゃないと言う事だけはわかるんだが、人間じゃないなら何だと言われると非常に困る。解らないからだ。

 外道魔像をアルゼンチンバックブリーカーに固めながら時を待つ。尾獣は既に放たれた。今の外道魔像は尾獣の一部で何とか保っている程度で、俺からすれば脅威ではない。しかし流石は十尾の外骨格のような物だけあって非常に頑丈だ。壊せる気がしない。頑丈すぎる。

 だが、動きを抑え続けることならできる。殴り合いをしたらわからないが、こうして抑え込める程度には俺の方が技術は上だ。正確にはこいつではなくこいつを動かしている術者と俺との比較だが、まあ変わらないな。俺の方が上だ。

 

 ……しかし、長いな。いつになったらヒナタは止めを刺すんだ? こいつが弱体化したと言う事は殆どの尾獣は抜いたはず。あとは殺せば済むと思うんだが……ああ、あれか。カカシに決着を付けさせたいのか。カカシの奴本当に引きずってたからな。解らないでもない。それにこの戦争を吹っかけてきたのはあっちからだ。こちらが勝ったら間違いなくあいつは処刑されるだろう。チャンスは今しかないわけだ。

 そうなると俺も流石に文句を言う訳にはいかなくなるな。カカシには大分世話になったし、恩もある。ついでに言うなら六代目の火影が内定もしている。形として敬うくらいはしてもいい。

 そうなると、俺のこれはまだしばらく続く感じか。ヒナタの仙豆と違って空腹は紛れないが、月の光の懐中電灯があって本当に良かった。耐久戦には必須だな。

 


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