side はたけカカシ
俺の前でオビトは死んだ。自分ではもうできることが無いと言い放ち、本物のうちはマダラを呼び出して。
俺にくれた左の写輪眼の代わりに埋め込まれていた輪廻眼は本物のマダラに抉り取られ、虚ろな右目の写輪眼だけがじっと俺を見つめているようだ。
情けない。教え子たちが今も戦っていると言うのに、俺はこうして打ちひしがれる事しかできない。身体を動かし、戦わなければならない時だとわかっているのに、俺の身体は意思に反して動こうとしない。まるで身体と意識の繋がりが完全に断ち切られてしまったかのようだ。
『
……ふと、声が聞こえた気がした。周囲を見渡してみればそこは戦場ではなく、ただ真っ白な空間が広がるばかり。そして俺の目の前に立っているのは―――
「……誰だ?」
『
「……は? オビト? と言うか耳に聞こえてくる音と理解した意味が違いすぎるんだが……と言うか何があったお前。顔面が月面より酷いことになってるぞお前」
『
「あー……リンは怒ると怖かったからな……ボッコボコにされたか」
『
「それで痛くないんだったらそれこそ病院だよお前」
『
「確かに今のお前死んでるが……霊安室直行になるだろうが……」
……何だこれは? 何が起きているんだ? オビトは死んだよな? 俺の前で死んだのを確かに確認したぞ? なんで当たり前のように俺に話しかけてきているんだ? まるで意味が解らない……ナルト案件か?
『
「前祝い……? と言うか、お前謝りに来たんじゃないのか? 忘れて戻って『ちゃんと謝れた?』とか聞かれて忘れてたとか答えたらさらに倍になるくらい殴られるんじゃないか?」
『……
「……ああ」
『
それだけ言って、オビト……オビト……? 多分オビト……? は消えた。そしてオビト……? が消えたと同時に、俺の右目に熱がこもったような感覚があった。
俺の前で倒れているオビトの眼は、既に写輪眼ではなくなっていた。そしてその虚ろな目に映る俺の眼には左右揃った万華鏡写輪眼が開眼されていた。この戦争で使いすぎて掠れていた視界は完全に回復していたし、追いつけそうにないと思っていたマダラの戦闘速度も見切れるようになってもいた。なるほど、オビト、これはこの状況では最高の前祝いだ!
両目の万華鏡写輪眼が揃ったことで須佐能乎を発動し、マダラたちの戦闘に割り込む。神威はあらゆる防御も強度も無視する刃。流石に術そのものをチャクラに還元されて吸収されたらどうしようもないが、それでも不意打ちには非常に長けている。
さらに両目が揃ったことで、完全な神威が使えるようになった。俺自身を相手の攻撃からすり抜けさせながら一方的に攻撃を続ける。神威手裏剣でマダラの完成体須佐能乎を切り裂き、そうしてできた傷からイタチやサスケの須佐能乎の剣がマダラを突き刺さんとする。どうもマダラは攻撃系の能力は非常に高いようだが、防御系の能力は須佐能乎の強度と輪廻眼の他者の術をチャクラに変えて吸い取る術に任せっきりであるようだ。
……よし、ガイの出番だな!
Q.何言ってるかわかんないんですけど……
A.ボッコボコだからね。仕方ないね。
Q.あれ? これだとカカシに写輪眼残る?
A.残ります。片目だけ。