side うずまきナルト
最初の被害者は穢土転生の二代目水影だった。六道モードになったマダラハゲの黒い球と棒に触れたら穢土転生だろうが何だろうが問答無用で死ぬと伝えておいたはずなんだが、忘れていたのか聞いてなかったのかそれとも嘘か冗談とでも思っていたのか……ともかく一番に脱落したちょび髭の水影の術を解いてこちらで再度呼び出した。
「……俺さ。言わなかったっけ? あの黒い球とか棒とかに触ると術が消えるから穢土転生でも触れるなってさ。言ったと思うんだけどそのあたりどうよ?」
「……ああ、うん、言ってた。思い出した。頭の半分と胴体吹き飛ばされてそれから思い出した。すまん」
「まあ、まだお前さんの触媒も生贄も結構いるからいいけどさ。このままだとお前さんを呼ぶときの生贄がゴキブリになるからそのあたりよく考えて行動してな?」
「おいちょっと待て。ゴキブリで呼べんの!?」
「いける。と言うか行けた。あっち見てみろ。あそこで爆破芸極めようとしている奴の核はそこらへん這いまわってたちっこい百足だったし、あそこでかっこいいポーズを取った自分を彫像として残そうとしている奴の核は確かダンゴムシだったはずだ。ゴキブリでも多分行ける」
「うっそだろオイ……じゃあなんでわざわざ人間を生贄に……?」
「その方がチャクラの節約になるし術の難易度もかなり下がるからだろうな。ほれ、送ってやるからそこ立て」
「あん? ここか?」
「そうそう、そこな……天送の術」
なおこの術は凄まじく頑丈か不死身か傷ついたそばから治せるような奴じゃない限り送られる時の衝撃その他で死ぬそうだ。飛雷神があるならそっちを使うべきだな。ちなみに俺は穢土転生達全員に飛雷神のマーキングを付けてあるから本当はそれで送りつけられたんだが、まあ気にするこたねえわな。どうせ蘇るんだし。
「へぇ……? そんな術まで使えたのね。雲隠れの秘術だったと思うのだけど」
「時空間忍術だし、基礎を覚えればそこから発展させてある程度できるようになるぞ。結局のところ送りつけるだけだしな」
「教えてもらってもいいかしら」
「構わんぞ。ただ、この術は生きている奴を送るには適さない術だ。そこだけ理解した上で使用してくれよ」
……さて、後は無限月読が発動してオカマ丸も喰らってしまうまでこうしてのんびりと話を続けていればいいな。オカマ丸って木の葉の三忍の中で一番の変態だが、同時に木の葉の三忍の中で一番話が通じる相手でもあるんだよな。なにしろ理系だ。賭博狂いの体育会系や色狂いの文系とは大違いと言っていい。感情論で話をされると対話が成り立たなくなることが多いから文系と体育会系を相手にするのは苦手なんだ。嫌いじゃなく苦手って所重要な。嫌いなわけではないから。苦手なだけだから。
ちなみにだが、俺がもしもこの術を本気で使うとしたらまず間違いなく迷宮のトラップとして使う事だろう。生きている人間に使うとまず間違いなく死ぬこの術を迷宮の転移トラップ的な感じに使うことでよりハードな迷宮攻略をお楽しみいただけます。死ねっ。
その他にも忍術って狭い所で使うべきではない術が揃ってるよな。火遁系はほぼ全部そうだし、水遁も規模が大きい奴は排水ができないところでやったら溺れてしまう。迷宮内で使えそうなのは小規模な土遁と風遁、雷遁くらいじゃなかろうか。時空間忍術や結界系は物によっては使った瞬間死ぬ可能性もあったりしそうだが、使ったら死ぬ系の術はままあるから気にするだけ無駄かもな。
特にあれだ、八門遁甲。あれは使ったら力を得る代わりにまず間違いなく死ぬ技。効率は良いのかもしれないが俺はあまり好かん。だってあれチャクラコントロールを極めつくすと八門開いて途中で止めて回復したらまた開いてとかできるのに、そこまでできない奴らが使って死んでいくのを見るのが余りに偲びないからだ。いや本当に。
……それに、そう言う技を使う奴ってのは自己犠牲精神が強い奴がかなり多い。要するに悪い奴じゃ無い事が多いわけだ。まああくまでも統計的な話だが。そしてその統計から外れるようなクソ共はさっさと死ねばいいと思うのも間違いない。そう言う奴に対しては秘孔なり点穴なりを突いて強制的に八門遁甲の死門まで開かせてやりたい。自分の身体の制御も全身に走る激痛に耐えることもできないまま自身の守りたかったものを狂乱のままに破壊しながら死ね……とか思ってしまう。
お、おお、なんか眩しいと思ったら、ようやく来たか。この状態はしばらく続くだろうが、それが終わったら俺も出動だな。できるなら俺の事は誰も知らないでいてくれた方が動きやすいのは間違いないし、できるだけ俺を知る存在に残っていてほしくないんだよ。だから態々こうして無限月読が発動するまで穢土転生なんて術を使って待ってたわけだしな。
Q.天送の術とかどこで見たの?
A.まあ、使ったところだろうね。
Q.ちなみにナルチカは他にどんな悪用方法を思いついた?
A.相手を強制的に『いしのなかにいる』状態に。あるいは直接太陽の中心にポイ。
Q.お前確か八門遁甲使えただろ。なんで嫌いになってんだよ。
A.やろうとすれば止められるという事実を知らないまま使っている奴がいるのがやるせないそうです。