「痴漢っているだろ」
「いるな」
「周囲にバレたら自分の痴態が広まってしまう状況への恐怖。自分が許したものでもないのに体に触れられる嫌悪感。良くないな」
「良くないな」
「しかし、それが同意のもとに行われるプレイであったのならば……なんか凄いワクワクしてきた」
「周囲のやつに気付かれたら空気が死ぬからやめとけ。マジで」
side うずまきナルト
暇潰しも兼ねて観光をしていったわけなんだが、どうやらこの世界は本当に原作の世界に近いらしい。七代目火影はナルトだし、サスケは近くにいないようだし、イタチも死んでいるようだし、うちは一族の残りもそういないようだし、サクラもチャクラの容量が特に大きくはなっていないみたいだし、ついでに言えばこの世界のナルトは右腕が義手のようだし。あとナルトは化物ではなく英雄として扱われているらしい。何とも面倒臭そうな人生を歩んでいるようだな、この世界の俺は。
……ちょっとこの世界で金を使ったんだが、ほんの僅かではあるがインフレとかデフレとか考えた方がいいだろうか。一応適当に同額を悪っぽい奴らから無断で拝借させてもらってから帰ることにするつもりだが……まあ、いいか。ある意味じゃ今更だし。
あと、いくら火影っぽいとは言っても明らかに若い奇妙な奴がいるのに周囲が全く気付いた様子を見せないってのはいくらなんでも平和ボケが過ぎるような気もするが……まあ、いいか。俺はその方が楽だし。
ちょっと顔岩の上に座って弁当をつついてみたが、やっぱり違うな。大分近代化はしているが俺が作った会社とかによる様々な形のオーバーテクノロジーが無い分遅れている。俺の知る木の葉では空を走る車とかも作られていたし、もう完全に近未来都市だった。近未来で空を走る車なんてものができるのかは知らんが。
歩いている途中で適当に飛雷神の術式を刻んできたが、全く感知される気配がない。木の葉の里では感知結界を常時張っているはずだからわからないわけがないと思うんだが……確か口寄せなどの時空間忍術で直接呼ばれたらわからないんだったか。つまり俺が今こうしているのもわからなくても仕方が無い事か。なるほど。
そう言えば俺が見つけた術式はどうやらこの世界の親父が残した術式らしい。一度刻んだ術式は消えないと言っていたが、まさか本人が死んでも消えないとは思わんよな。だがいつまでも残り続ける術式だと今のように見ず知らずの奴に逆利用されてしまう可能性もあるから気を付けてな。聞こえんだろうが。
弁当も無くなりそうなので味の濃いおかずを集めて酒の肴にすることにした。牛蒡のきんぴらとかだな。ちなみに俺は酒を好むわけではないが、あれば飲む。嫌いと言う訳ではないが無ければ無いで構わない。そのくらいの酒好きだな。
トリコ世界で酒と言えば出てくるのは二人。ハンサムと聞き違えることの多い所長と、狼王に育てられたノッキングマスター。そのうちのノッキングマスターの方のフルコースから『ドッハムの湧き酒』を出して適当に呑んでいたら、後ろに誰かが来たのがわかった。が、俺に対しての悪意はないようだし力もそこまで強くはなさそうだから放置。
「……親父?」
「あん?」
……なるほど、この世界でもナルトとヒナちゃんがくっついたんだったらボルトがいてもおかしくはないか。世界ってのはそう言うところで辻褄を合わせようとしてくるものだし。
「なんで親父がここに居んだよ」
「俺がどこに居ようと俺の自由だ」
「仕事は」
「終わったから酒飲んでんだよ。お前こそペンキなんて持ってどうした」
「うっ……親父には、関係ねえだろ」
「お前の親父が七代目火影なんてものをやっている以上、関係ないって事は無いと思うがな」
「……親父、だよな?」
「そうだが違うぞ」
即座に離れようとするボルトをのんびりと見送る。まあ別にここで何かされても一切の被害なく鎮圧できるだろうし、やろうとすればそもそも暴れさせないことも可能と言えば可能だ。ただ、ここは俺の世界ではない以上日本人的な感覚で旅行者として振舞うつもりでいるが。別の国では旅行者とスパイがほぼ等号で結ばれたりもするらしいが、流石にそこまではなぁ……と言うか、ここをスパイしたところで特に何かがあるわけでもないし。
だが、武器まで向けられるのは許容しない。まあこの世界において生身ほど恐ろしい武器は早々なかったりするんだがな。俺も最強の武器は生身だし。
そう言う訳で出された武器を回収。……量産品だな。しかも手入れが甘いから切れ味もあまりよくないようだ。まあ苦無なんてのは基本的に消耗品だから俺としては別に構わんが、俺のようにいつでもいくらでも質のいい武器を取り出せないなら最低限先端だけは研ぎあげておくべきじゃないかと思うんだが……。
「敵対の意思がない相手に武器を向けるな。会話をするにしても敵対するにしてもあまりいい手とは言えないぞ」
「……何者だ、あんた」
「うずまきナルトだよ。まあ、お前の父親と被って呼びにくいってんなら『ナルチカ』とでも呼べばいい」
俺は最後の一杯になった酒を飲みほして、俺を見つめる少年に向けてそう言った。
Q.ナルチカ呼びが本編に……!?
A.ついに本編まで出てきました。
Q.飛雷神って自分で覚えてなかった?
A.多少の改悪があったのでそのあたりを習いました。喜んで教えてくれたようです。