NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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毎回奇数で終わるのは座りが悪いので今日は三話更新します。
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NARUTO~17

 

 side うずまきナルト

 

 それから俺を含めた第七班は色々な任務をこなしていった。と言っても基本はDランクの大したことのない任務と修業ばかりであまり変わったところのない生活が続いているためわざわざ残すようなこともない。そして今更思い出したんだが、俺が、と言うよりナルトが駄々をこねて難しい任務をしたいと言ってないせいか、波の国編と言われる一連の話は起きていない。そしておそらく波の国への護衛と橋作りの警護は失敗し、依頼人とその家族は死んであの国ではいまだに悪徳海運会社の社長が幅を利かせているのだろう。

 ……そう言えば、ガトーカンパニーの社長であるガトーは世界でも有数の大金持ちであると原作では言われていた。かなりの悪事を働いて金を集めてきたのだろうが、俺に関わりが無ければその金がどんな方法で集められたのかとかはどうでもいい。むしろ俺としては悪い方法で集められた金である方が訴えに出られるようなことが無くて都合がいいまであったりするが……うん、使えるものは手近に置いておきたいよな。

 頂きに行こう。犯罪? 知らんな。

 だが、アリバイが必要だ。影分身ではいろいろと問題が出てくることが考えられるので、影分身ではなく俺本体を物理的に増やす方向で行こう。この『サテライト30』を使って。

 

 と言うことで潜入。波の国までの地図は持ってないが見るだけなら十分できるので方向と距離を理解していれば一跳びで行ける。まあ地図が正しいという前提条件が守られている上での話だが、この世界の正確な地図を出してそれで確認したからまず間違いはないはずだ。

 文字通り一跳びで潜入したは良いが、かなりズタボロだ。作られていただろう橋は途中で放棄されるだけに飽き足らずかなり壊されているし、昼だと言うのに橋を作る人足や大工もいない。これは完全にガトーの思惑通りになってしまっていると言うのが一目瞭然だ。なんとまあわかりやすい。

 潜入するにはまず額当てを外すことが大事だ。そして変化の術で体格その他を誤魔化して周囲に埋没するような没個性な人間を演じることが大切。普通ならそうやって時間をかけて色々と探ったりするんだが、今回は時間があまりないので気配遮断と光学迷彩、電子迷彩の三つを使って正面から攻略しに行く。目的は金庫あるいは金。宝石なんかの貴金属類もターゲットに入れておこう。

 途中で何度か雇っているらしいごろつきを見かけるが、攻撃する気になっていない俺には全く気付くことなく何の意味もない見回りを続けている。いや、身体は避けなければいけないから意味自体はあるのかもしれないが、殆ど無意味と言っていいだろう。実際少し邪魔程度でそれ以上のことは全くないわけだし。

 しかしそう穏やかにもしていられなくなった。どうもこの先で誰かが殺されているらしい。血の匂いに加えて凄まじい湿気、そして下では何も気付かずに見回りをしていた奴らがいたことを考えると……原作で出てくる例の奇人変人とお面君が殺ったんじゃなかろうか。原作においてもなんかしらの目的があって行動していたようだし、そのための金を得るためにガトーを殺したとかそんな感じだと思われる。なんで初めから殺さなかったのかは不思議だが、まあそういうこともあるだろう。例えばお面君のことをとやかく言われてつい殺っちゃったからとんずらこく前に取るものを取っておこうと考えたとかな。

 

 だがそいつは困る。俺が取っていく分が無くなるじゃないか。いやまあ実のところ金でも銀でも大体の物は出せるから金に困るようなことにはならないと思うが、換金の手間とか木の葉でのクソボッタクリ手数料とかを考えるとそういったものが必要ない金ってのは是非とも欲しい。まさか換金手数料に六割持ってくとか足元を見てるとかそういう次元じゃない。いっそ本気で殺してやろうか悩むレベルだ。実際悩んだ。悩んだが偶然にも落ちてきた植木鉢によって頭蓋骨陥没骨折と脳挫傷からの廃人一直線コースを辿ったので心の広い俺は許しはしないが見逃してやることにした死ね。

 おそらく金庫と社長室だろう最上階には霧が立ち込めていた。一応飛べるため足音すら出さずに移動はしているが、これ普通に歩いていたら水面の波紋やら水音やらですぐばれてただろうと思わせる。室内だってのにかなり濃い霧の中での行動を強制されるとは、また面倒なことだ。

 

 ああ、居た居た。

 


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