side うずまきナルト
写輪眼って結構簡単に開眼するものなんすね(白目)。
昨日の今日でサルケが写輪眼開いてきた。原作では確か小さい頃に一回兄に襲われた時に写輪眼のおたまじゃくし一個版を出してた描写があった気もするが、だからってこんな簡単に意識的に使えるようになるものか? うちわの家系は天才が多いってよく聞くが、実際の所サルケって天才集団の中でもかなり上の方の天才なんじゃなかろうか。馬鹿だが。
ともかくカラシの野郎が中忍選抜試験に出しても大丈夫そうな状況が整ってしまったから仕方なく俺も行くことにする。まあ、自分の身くらい自分で守ってもらいたいが、相手が相手だし難しいだろうな。十束の剣で封印するか……いや、だめだな。ここで消えられるとまた面倒なことになりそうだ。
ともかく受験だが、バクラが自分から受ける気にならないとスリーマンセル組めないから返されるだろうし、自信を持たせるために幻術を堂々と解かせたりしてなんとか願書提出から会場までの道を通過。第一試験会場に到着した。
……が、人数多すぎて気分悪い。ついでにキバの所の犬に死ぬほど怯えられて若干へこむ。
「なあキバ。なんで俺そいつにそんな怖がられてんだ?」
「こいつはチャクラ量とかを感じて強い弱いを教えてくれたりするんだが……なあナルト、おまえチャクラめっちゃ多いとかあるか?」
「ああ、それなら納得だわ。俺多分チャクラ量だけならここにいる誰より何より多いわ。それこそ砂の古狸より多い自信があるわ」
チャクラ量だったらまず間違いなくこの場にいる俺以外の全員の量を合計しても俺のチャクラ量の百分の一以下だろうし、怯える理由もまあわかった。
あとはあれだな、俺は人間的に割と歪んでるからそのあたりがチャクラに出るんだろうな。多分。なんか最近、と言うか輪廻写輪眼を使えるようになってからまたチャクラ増えたっぽいし。パワーインフレ激しい世界ってこれだから……。
まあそれはともかく、売られた喧嘩は買うことにしている。殺気を向けられたらまあ、殺気で返すとしようか。
side うちはサスケ
死んだ、と思った。
俺が死んだ。突然に、何が起きたのかもわからないまま殺された、と思った。
サクラが死んだ。何もできないままに殺された、と思った。
空気が死んだ。死ぬはずがない、命すらないはずのものですら死んだと、そう思わされた。
息ができない。瞬き一つできない。息をしたら殺されると思うとか心音一つで殺されると思うとか、そんなレベルじゃない。既に殺されていると身体が勝手に判断してしまうほどに濃厚な殺気がこの場所を包んでいた。
偶然に視界に入っていた時計の秒針は、感覚的に数十秒、あるいは数分過ぎていると言うのにピクリともしないまま。死の直前に意識が圧縮されて一瞬が何十秒にも感じるということがあるとは聞いていたが、まさかそんなものが本当にあるとは思ってもみなかった。これはそれこそ、写輪眼を使っている時よりも物が遅く見えてしまう。あらゆるものがほぼ完全に動きを止めて、まるで凍り付いたようだ。
このままこの世界に居たら、頭がおかしくなってしまう。だが身体は言うことを聞こうとしない。ガタガタと震えることすらできず、ただただ死の世界をただひたすらに沈んでいく事しかできない。
「―――」
不意に死が薄くなり、ようやく時間が流れ始める。誰かの声が聞こえているような気がしたが、一瞬で消費されきった酸素を取り込むためにゼイゼイと荒い息を繰り返すのに精いっぱいで気を失うことすらできない。
だが、それでもまだましな方だったらしい。泣いているだけなら大したことじゃない。気絶している奴等も多い。だがそれ以上に多くの者たちがズボンを濡らしてしまっていた。一部の奴は尻の部分が盛り上がり、異様な臭いをさせていることから漏らしたのが小の方だけではないと察せてしまった。
特に何も感じていないようにしているのは、草隠の長髪の奴と砂隠の砂漠の我愛羅、そして―――ナルトと、木の葉の額当てを持った黒い髪の女だけだった。
「―――なんか今、空気が重かったな。あれだ、最近少しお腹周りを気にしだした女性に『太った? なんか腹回りが』とか言った時の空気を一億倍に濃縮した感じの重さがあったんだが」
「お、まえ、いまの、感じなかった、のかよ……!?」
「あ? この程度のは慣れたわ。こちとら里一番の嫌われ者なもんでね。ちょくちょく本気の殺気ぶつけてくる奴とか、手を出したら罪になるからと周囲を囲ってひたすら威圧しようとしてくる奴らを相手にしてたんだ。悪意もなく憎悪もない単なる殺気程度にどうこうされるほど弱かねぇよ」
「あ、あははは……」
ナルトの傍にいつの間にか立っていた黒い髪の女が、ナルトの言葉に苦笑を浮かべる。今の殺気をこの程度と言い切れる奴と、そう言い切ったナルトの隣に平然と立てるこの女……一体何者だ!?
「俺は俺だ。それ以外の何者でもないさ……いや、んなこと無いか。少なくともうずまきナルトでなかった頃もあったわけだし」
「な、にを、いって……」
「なに、気にする事は無い。単なる戯言、何の意味もない物語さ」
そう言いながら、ナルトは今まで見たことがない笑顔を浮かべた。