NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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NARUTO~22

 

 side うずまきナルト

 

 中忍選抜試験に集まった色々な奴から色々な物が漏れ出してしまった結果、開始時間がしばらく遅れてしまった。まあいくら優秀な中忍達でも糞便の匂い漂う中で集中して行動とか絶対嫌だろうしな。必要ならそれでもやるだろうが、別に今回は必要と言う訳でもないだろうし。

 そうしてできたおよそ一時間の間に、俺は久し振りに会った彼女にいつもの通りに餌付けをしていた。実のところ俺は彼女の名前を憶えていないが、一度だけ聞いた彼女の名前を覚える努力は続けている。多分あと一年か二年もあれば覚えられるだろう。

 

 今日は大切な日だから、かなりいい物を用意した。あの食材世界には記憶力が良くなる食べ物ってのがそれなり以上にあったりするが、大抵の場合特殊な調理が必要だったりあるいは味が悪い意味ですさまじかったりするのでパス。今回の食材は極楽米と完美牛のロース、バラ、ハラミなどなど各部位。ソースなどは無しで塩で。

 あと、彼女に食べさせる量はかなり抑えてきたし厳選もしてきたんだが、やっぱりと言うかなんというかグルメ細胞が身体に取り込まれてしまったようだ。なので今回以降、食べる量については解禁します。そう無言のまま伝えると彼女はとても嬉しそうな顔で俺を見た。口の端から涎が垂れてなかったら見惚れても良かったんだがな。なんと言うか残念だ。

 それと、すぐ近くでこの料理に手を出そうとしている自称ぽっちゃり系がいるが、絶対やらん。と言うかあの世界の食材を食わせる相手はこの世界では一人だけと決めている。これ以上増やすつもりは無いし、たとえ彼女が死んだとしたら俺以外に食う奴がいなくなるというだけだ。

 まあ、あの世界産じゃない奴だったら普通に食わせてやるんだが、今回のは絶対駄目。他の奴等も腹鳴らしても絶対駄目。涎垂らしても上目遣いしても駄目。飯テロ受けて集中できずに落ちろ。試験官もこっち見ててもくれてやる物は無い。瞬身で持ってこうとかしても殴り返すからなこの野郎。いい感じに焼けたのを持っていくとかそれ犯罪だから。木の葉の警察機構は基本的に俺には悪い方にしか働かないけどそれでも三代目の爺さんだけはそれなり以上にまともに話を聞いてくれるからそこに直接持ってくぞこの野郎。それはそれとしてはいあーん。

 彼女はとても美味しそうに、幸せそうに食事を食べる。正直俺が木の葉の里を崩壊させてない理由の四割くらいはこの顔をまた見たいからだ。残りの六割くらいのうち三割くらいは三代目の爺さんがいるからで、さらに残りの三割はいるかてんてーがいるからだな。まあ、木の葉を滅ぼさない理由であるだけで死にそうになった時に助けるつもりは現状ないんだけども。

 彼女に食べさせつつ俺も食べる。横から持っていこうとする奴らは顎打ち抜いたりして足腰立たなくさせてやった。強盗未遂だからね。仕方ないね。打ち抜かれるのが頭じゃなくてよかったと思ってもらおう。試験は……まあ頑張って。あと第二試験官の人に報告しておかないと、第一の試験が終わったとたんに窓を破って突入してくるようなタイプだと試験開始と共に突入してくる可能性があるからやっといた方がいいんじゃね? 万が一そんなことになったらあまりにも痛すぎるから。可哀そうすぎるから。具体的にどのくらい可哀そうかは置いといて、それにつけても可哀そうだから一応ね。やるやらないは試験官の匙加減だけど、もしそれで酷いことになったら大笑いしそうだ。ナルトになってしばらくしてから表情筋が固まって基本仏頂面になったんだよな。原因は何となくわかるが。

 

 とにかく肉を焼いて、ご飯と合わせて食べさせて、また肉を焼く。この肉の香りはついさっきまで精神崩壊を起こしそうだった様々な奴を立ち直らせるくらいの威力がある。ただし、精神崩壊を起こしたあるいは起こしそうだった原因についての記憶は消え去ることになるけどな。

 ……肉と穀物ばっかりじゃバランスが悪いな。第一の試験が終わったら美味い野菜でも食わせてやるか。天空の野菜をな。

 


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