NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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NARUTO~25

 

 side うずまきナルト

 

 蛇の気配がする。今日の晩飯は決まったな。蛇肉って鶏肉と味が似てるとよく言われるが、骨の多さとか鱗と皮の処理の面倒さからしてあまり好まれないことが多い。人肉料理の後の隠蔽工作とか法的な処理をかいくぐる方法とかと比べれば遥かに楽だからそのあたりは気にしないでいい。ちなみにこれは俺が生きていたころの日本での話であってこの世界の事ではない。この世界だったら適当に貧乏な小国の裏路地にうずくまってる子供を処理してやればだれも気にしない。まったく物騒な世の中になったもんだ。

 だがまあこれもまた経験。ちょっとあの蛇野郎を相手にしててもらうか。呪印が刻まれる前には戻るつもりだが、蛇の解体で遅れたらすまんな。ここはやっぱり影分身解体企業を設立するべきか? 社長俺、理事長俺、理事俺、社員俺、現場監督俺、実働俺、要するに全部俺のやつ。

 いや、チャクラは十分あるんだ。考える前にやっちまえ。蛇狩りだ。

 

 

 

 

 side うちはサスケ

 

 ナルトの奴が『飯取ってくる』と言って居なくなろうとして、その場で合言葉を決めた。単純な物の方がいいかもしれないが、明らかに他の誰かが聞いていたのがわかったからあえてかなり長い奴にしたんだが、ナルトもそれには気付いているようで意味深な視線を向けてから瞬身の術で消えた。

 その動きを俺は目で追うことができなかった。一瞬にして完全に姿も気配も消え、どこにいるかもわからなくなった。まるで、さっきまで俺の傍にいたナルトと言う存在がただの幻覚だったかのように。

 

 そもそもあいつは何なんだ。俺と同じように里の奴等から排斥されていたのは知っている。俺と違って暴力を受けていたことも。

 だってのにあいつの瞳には欠片の憎悪も存在しない。ただ全てを受け入れ、達観しているかのような目だ。

 木の葉の里の嫌われ者として、悪意には慣れていると言ったあいつはいったいどんな人生を送ってきたんだ? 一体どうすればあいつのように強くなれる?

 俺も気付かなかった距離の忍びに気付いて捕まえ、顔色を全く変えないままに拷問を始めたあいつ。苦無で皮膚を剥がして肉を削ぎ落とし、骨をがりがりと削りながら淡々と質問を続けるその姿は、まるであの時のイタチのように凍てついた視線を向けていた。

 ……いや、凍てついた視線だというのは今気付いただけかもしれない。まったく変わっていない顔色と同じように、今まで俺たちに向けられていた視線も凍てついていたがそれに全く気付かなかっただけなのかもしれない。

 それに、第一試験開始前のあの殺気。あの場のほとんどの人間が固まってしまっていた中でナルトが言った言葉は―――慣れた、だった。あんな殺気の中で当然のように動くことができる。それはつまり、あの程度の殺気はナルトにとっては立ち上がって歩くような、あるいは息を吸って吐くような、できて当然のことでしかないと言うことか!?

 それに、あれだけの殺気が放たれたと言うのにあの後入ってきた試験官たちはその場の状態に驚いていた。つまり、部屋の外にはあの殺気はほんの僅かも漏れ出ていなかったと言うことだろう。

 

 ナルト……お前はいったい何なんだ!? なぜ俺の前に立つ!? なぜ俺はお前に届かない!? なぜ―――

 

 なぜ、俺はこんなにも弱い!?

 

 ギリィと歯が軋みを上げる。悔しさと無力感が内側から身体を突き破って噴き出しそうなほどだ。今が命懸けの試験中でなければ、そして人の目がない場所であったなら、年端もいかぬ子供のように泣きわめいて地を転げまわっていただろう。だがそんな無様なことはできないししたくない。俺はうちはだ。うちはサスケだ。あいつを、兄を、イタチを殺すまで、絶対に諦めてなどやるものか!

 

 そして気付く。周囲があまりに静かすぎると。俺にはわからない、何かが起きていると。

 苦無を掴んで立ち上がり、周囲を警戒する。ナルトなら、こんな風にはならない。あいつはよく動物と触れ合っていたし、一部の相手の強さを測れる特殊な動物以外はナルトに怯えるようなことはなかったはずだ。つまり、俺にも気配を悟らせないような、しかし間違いなく邪悪と言われる類の何かが近くにいるってことだ。

 サクラに声をかけて警戒させる。あまり意味があるとも思えないが無いよりはましだ。

 

「そう、ちゃんと警戒しているのね……偉いわぁ」

「キモい」

「ブベェッ!?」

 

 …………なんか、ナルトに殴り飛ばされて消えてった。なんだったんだ今のは……?

 




Q.え、ちょっと待ってこれどうなるの? 呪印は?
A.見たままです。刻まれません。

Q.え、じゃあサスケ抜けないんじゃないの?
A.キャラが勝手に動くんだってばよ……。

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