side うずまきナルト
木の葉の里は俺にとってはほぼ敵地。そんな中で動き回るには変化が必須になる訳だが、今回変化した俺に物凄い勢いで釣られた奴がいた。それについて俺は呆れると同時に世界の修正力は凄いもんだと感心してしまった。
そう、釣られた相手とは木の葉の三忍と名高いオープンドスケベ、エロ仙人。よくよく思い出してみたら原作でもナルトのお色気の術で現れた姿に『超好み』と言うコメントを残していたし、釣られるのはおかしくはない……のか?まあどちらにしろ男に釣られたと言う事実は変わらないが。
で、釣られてしまったエロ仙人だが俺は相手のことを知らない体で、つまり女として接しているためにやにやとなんとも言えないだらしない顔をしている。まあ好みらしいし仕方ないんじゃないかね。知らんが。しかしなんか騙しているような気分だ。狐は化かすものだから間違ってないかもしれないが。
しかし、こういう風に女の身体で男に対応しているとうずまきナルトとして男に生まれて本当に良かったと思う。もしもうずまきナルトが本当に女として生まれていたとしたら、まず間違いなくそっちの意味で襲われていただろうからだ。四代目火影に似た姿の美女。俺が言うのもあれだがこの身体はかなりの美人だし、九尾の狐は傾国の象徴でもある。もしかしたら本当に傾国の存在になっていたかもしれない。俺が俺である限りはならなかっただろうが、男の身体でも襲ってきた変態が居たくらいだからな。流石に見ず知らずの男相手に抱かれたくなかったから霧の中で発狂死してもらったが、そのことに関しては一切の後悔をしていない。木の葉って所はどうせこんなところだと思い始めたのもそのころからだったな。思い出したくもないが。
「どうかしたかのぉ?」
「あ、あはは……少し、嫌なことを思い出してしまって」
この身体になってからあまり動かなくなった表情だが、変化している間は素直に動いてくれる。そして乗せる必要のない感情まで表情や目に乗せてしまう。
サルケやバクラには体裁上無いと言ったが、無いわけがない。憎悪。嫌悪。赫怒。過去のことなど思い出したところで尻を拭いた後の紙より使い道がない、そう思って気にしないようにしていただけでそれらの感情が無くなったわけではない。性格上気にしないようにしたら本当に気にしないようにできるだけで、澱のように溜まった感情については俺はしつこい方だ。報復するまでは絶対に忘れないし、報復については二回目以降が絶対に起きないようにする方だ。蛇のように、あるいは蠍のように。誰かにはっきりと聞かれない限りは俺から話すことはないだろうし、聞かれたとしてもできる限りはすっとぼけることだろう。話したところで意味なんぞないのだから。
原作におけるサスケは自身を復讐者だと言った。だが恐らくこの世界では精神的には俺の方がよほど復讐者に近いだろう。ただ俺は、復讐者と言うには少々面倒臭がりすぎるだけだ。
瞳に闇を映した俺に何を見たのか。エロ仙人は表情を真剣なものに変えて俺を見つめた。
「……話ぐらいなら聞いてやれるが、どうかの?」
「結構です。聞くも語るも気分のいい話ではないので」
特に、木の葉の里を愛している人間には気分の良くない話だろう。俺を嫌う者にとっても、そうでない者にとっても。
しかしエロ仙人は真剣な顔で俺の手を取って引き留める。良くない予感でも感じたのか、それとも俺の中に燻る悪意でも見たのか。正直、オカマ丸辺りに勧誘されたらホイホイついていきたくなる程度にはこの里の事は好いていない。その程度の事を感じ取るとは思えないが、まあいいか。エロ仙人がどう思ったとしても俺には関係ない。
「……この姿は変化で俺は男なんだけども、それでも話聞く気ある?」
「おお、あるとも。親身になる気は若干失せたが、あんな目を見せられちゃあのぉ」
「女好きだねぇ……話の間はこの姿でいるから目の保養にでもしてくれや。可愛いだろ?」
「超好みじゃ」
「エロ仙人」
「否定はせん。だができれば蝦蟇仙人と呼んでくれ」
「エロ蝦蟇仙人」
「ぐぬぬ……まあほれ、話してみろ」
お望みどおりに話してみることにしようか。それで一体どんな反応が返ってくるかは知らないが、最悪全てを塵遁で消し飛ばしてさっさと逃げればいいし、そうして滅んだあとは月に行ってアンダーグラウンドサーチライトを出してその中に空気を作り、死ぬまで生活していけばいい。そうすれば九尾のチャクラが本当に集まる事は無くなるだろうから無限月読も何もかも完成しなくなるだろうしな。
俺は嘘は言わんぞ? 社交辞令と嘘ではないが紛らわしい事は言うけどな。
Q.この蝦蟇仙人仲良くなるの?
A.基本的にナルトは自分に害を与えない存在には寛容です
Q.これからマジで蝦蟇仙人の前でお色気状態?
A.全裸ではないし普通の服ですがそうです。