side うずまきナルト
影分身を残して移動した場所は、三代目の爺さんが戦っている結界のすぐそば。まだ樹は出ていないが初代と二代目の姿は見えるのでそこそこ話は進んでいるらしい。
「貴様、化け狐のッ!?」
「少し黙れや小物。何もできないまま見ているだけの分際で喚くな鬱陶しい。この程度の結界こうやって指でつつけば簡単に穴開けられるってのにそれもしない役立たず。いや、しないんじゃなくてできないのか。だったらそれこそ無能ってこったな?」
プスプスと結界に指を突きさして穴を開けながら返すと俺に驚愕の目が向けられる。いやこの程度ならできるだろ四赤陽陣じゃあるまいし。いや多分四赤陽陣とか六赤陽陣でも同じようなことできると思うけど。
「ならさっさと結界を開け!」
「なんで? お前火影レベルの争いに巻き込まれて何かできんの? 結界に守られてるのは木の葉の里の方だぞ? なにお前里を滅ぼしたいの? 開けようか? お前らが開けろと命令して上官に従った俺が開けてそれで木の葉が滅んだらお前らの責任な? と言うか屋根に穴開けて下から行けば? 触れた時に燃える結界だったら下から火が出てないってことはそこには結界が無いから通れるって事だろ? まあ入れたとしてもこの結界を破れない程度じゃ邪魔になるだけだろうけどさ」プスプスプスプス
そのあたりの事を一切考えていなかったのか暗部の誰かさんは俺を呆然と見つめている。いや、普通考え付くだろこのくらい……頭固いな。
「おいコラそこのクソちび!なんでお前触って全然平気なんだ!私らがこの結界にどれだけ力割いてるのかわかってんのかアァン!?」
「たかが四紫炎陣だろうが!俺を止めたいなら最低限四赤陽陣持って出直して来やがれ!オラさっさと直さないと俺が通れる穴開けちまうぞ!」プスプスプスプスプスプスプスプス
「……ナルト君。悪いんだけれどそれをしたら木の葉を巻き込むわよ?」
「元から巻き込んでるようなもんだろ何言ってんだ。と言うか正直このくらいの穴が開いてれば入れるけどな。変化で小さくなれば余裕で」
「ナルト!来るでない!」
「入れるってだけで入らないから安心して戦ってくれや三代目の爺さん。ただ穴が開いてれば影分身くらいは送り込めるから初代の方は任せろーばりばり」
「やめろ!かなう相手では」
ドスッ!ドスッ!
「オラッ!オラッ!自分の孫娘を博打狂にした張本人が!オラッ!あのナメクジ女今じゃ借金まみれで忍術を悪用しまくって各国の借金取りから逃げ回ってんだぞ!オラッ!責任取れ!オラッ!」
「……すまん」
「馬鹿な……自我は消したはずなのに!?」
「あ、もしかして殴って頭砕けた時に飛び出てきたこの苦無と札? 悪い破っちゃった」
「ちょっとぉ!?」
「あ、ごめん二代目の方もそんな感じになっちゃった」
「兄者……しばらくそこで大人しく殴られててくれ」
「扉間ぁ!?」
「一応言っとくがもしここで三代目の爺さんが死んだらお前の孫娘が火影になる可能性があるんだぞ!? 三代目の爺さんはエロ蝦蟇仙人を推したいかもしれないが絶対あのエロ蝦蟇仙人は断るだろうから同じ三忍として賭け狂いのくせに運も実力も無いあの女が選ばれる可能性があるんだ!どうしてくれる!?」
「……いや、ほんとすまん……大人しく殴られとく……すまん…………」
「ちょ、ナルト君、君……ええい『解』!」
穢土転生が消えた。俺が持ってるのがなんかどこかで見たことのある男女の死体になってしまった。……あ、思い出した、これ今回の試験に参加してたけど予選でぼろ負けした二人の音忍じゃん。こいつら生贄にされてたのか……そっか。まあ来世があれば幸せに生きろよ。
「じゃ、影分身にできる援護はこのくらいだし、と言うか正直もうすぐ消えるからそこのオカマ丸との決着頑張ってな!」
「……ハハハ!うむ!助かったぞナルト!」
「生きて帰ったら動物性蛋白一切使わないこってりラーメン作ってやっからちゃんと帰ってきてなー……あと、結界の外に待機してる暗部だけどさ、下忍の俺でもこのくらいできんのに何もできずに見てるだけって本当に暗部? コスプレしただけとかそういうオチは無い? あってくれないとこの程度のこともできないくせに精鋭名乗ってるって木の葉のレベルが心配なんだけど……」
「本物じゃよ……暗殺集団じゃからの。正面戦闘が得意なものはあまり居らんのだ」
つっかえ。マジつっかえ。辞めたらこの仕事?
「まあいいや。頑張れ爺さん。応援してるぞー」
はい影分身消滅。そして俺は結界の外で戦いを見守るとしましょうかね。チャクラはまだまだあるが、この際に襲われたら困るからある程度以上残しておかんとな。
Q.ちなみに四紫炎陣と四赤陽陣の強度の差を教えて?
A.ティッシュの二枚重ねの一枚を水で濡らしてぐずぐずにした感じの強度のが四紫炎陣。しっかりと漉かれて密度が高い和紙が四赤陽陣。
Q.ところでナルトのチャクラは神樹のそれより多そうだけど元々全てのチャクラが神樹のだったらそれより多くなるわけないよね?
A.影分身で上限とその中身が増えまくった結果、いつの間にか元々の神樹のそれを越えました。ナルチカさんマジキチ。