NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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NARUTO~68

 

 side うちはサスケ

 

 ナルトは言った。イタチが一族を滅ぼした理由は、一族が木の葉の里に対してクーデターを起こそうとしていたのを根の設立者であるダンゾウ(確認のためか紙を見ながら言っていた)が知ってそれを抑えさせるために皆殺しにしろと言う命令を受けたからだと。しかしイタチは皆殺しと言う命令を受けたにもかかわらず俺を残した。それは間違いなくイタチが俺の事を愛していたという証明なのだと。そして写輪眼が覚醒した万華鏡写輪眼は使えば使うほどに視力が落ちていき、やがては全く見えなくなるがそれを克服するために他人の万華鏡写輪眼を奪って自分の目と入れ替えればそれは永遠のものとなるため、自分を殺してより強くしたかったということ。そして憎めと言った理由は、弱いままでは恐らくダンゾウによって命を狙われるからそれを弾き返せるようになれとそういう理由からだろうとも。

 ナルトが何故それを知っているのかはわからないが、ナルトが真剣に言っている言葉は大抵マジなので今回もマジなんだろう。それに暗部の書類も見せられたが、命令としてイタチに一族の殲滅任務が出されていたことも確認した。殲滅させておきながら、木の葉の上層部の奴等はイタチを里から追い出しやがったのか……ッ!

 

「万華鏡写輪眼の開眼のさせ方教えてやるからまずは落ち着け」

「……ああ、わかった。少し待て、表面上だけでも落ち着いてみせる」

「そうだな、せめて写輪眼くらい引っ込めろよ」

 

 出てたか……なるほど落ち着けと言われるわけだ。俺でも落ち着けと言う。そしてナルトは俺の扱い方をよくわかっている。万華鏡写輪眼、より強い力。それを得るためならば俺はまあ表面上程度なら落ち着いてみせる。

 

「よし落ち着いたように見えるぞ。だがお前写輪眼で俺の行動トレースしてるだろ」

「……わかるか?」

「まあ恰好が全く同じだからな。わかりにくく少し動かしてみたが同じように動かしたし、ガマクやっても真似たし」

「ガマクってなんだ」

「腰の一番細い所。ここの使い方がうまくなると軸足を誤魔化せたりする」

 

 意味あんのかそれ?

 

「『意味あんのかそれ?』って顔をしているな。まあ一発芸には役に立つ。……さてこんな話ができる程度まで落ち着いたようだし、万華鏡写輪眼の開眼条件を教えようか」

「……その前に、なんでうちは一族でもないナルトがそれを知っている?」

「俺も持ってるからな、万華鏡写輪眼」

「は?」

「見るか? 俺の場合は特殊でな。死者蘇生の術は想いや記憶と言った情報を基にチャクラで生きていた頃の身体を作ってそこに降霊術で死者の魂を入れてから身体を動かすためのスターターを特殊な属性のチャクラで代用することで死んだばかりの人間の蘇生のような感じで生き返らせるんだが、それの応用で俺に合った万華鏡写輪眼を俺の情報と万華鏡写輪眼の情報を組み合わせて作った物でな。まあ実際にはその他にも色々組み合わせてたらもう少し上のになったりもしたが、まあ今は無理だから万華鏡の方だけな。ほれ」

 

 そう言って瞼を閉じ、再び開いた時にはナルトの目には奇妙な文様が浮かび上がっていた。ただの写輪眼とは違う、赤い地に黒の五芒星。その中心部には細い線状の赤い円と、それよりほんの僅かに小さい黒い円がある。

 

「ちなみにこの模様は一人一人違うってのと、他者の万華鏡写輪眼を移植して永遠の万華鏡写輪眼に変えた場合にはもともとの柄に取り込んだ相手の万華鏡の模様が混じったような形になるそうだ。俺のは初めから永遠のそれになるよう調整して作ったから変わった経験はないけどな」

「……これが、お前の……どんな能力があるんだ?」

「一言で説明するのは難しいから少々時間を貰うぞ。まず、基本は元々の写輪眼の完全上位互換と考えていい。普通の写輪眼にできて万華鏡写輪眼にできないことはない。ただし、永遠にしていない場合は発動時間に難があるが、それはどんな術でも同じだから割愛な。あと、万華鏡写輪眼の開眼者はそれぞれ固有の術を持つようになる。お前の兄なら左目に炎遁天照、右目に幻術月読と言った具合にだ」

「片目につき一つ、なのか?」

「そうとも限らない。例えば先生いるだろ? あれの元々の持ち主って実はまだ生きてるんだが、そいつの右目の術も先生の左目の術も同じ神威って術だし、お前の兄貴の親友だった奴は両目に別天神(ことあまつかみ)って言う最強級の幻術を持っていた。お前が開眼した場合に片目ずつ違う術になるのかそれとも両目で同じになるのかは現状不明だ。あと、この術は目を移植されても変わらないからそのあたり気をつけてな」

「……お前は、どんな術を持ってるんだ?」

「お前が見事目覚めたら祝いに教えてやるよ。ただ、俺以外だったらクソ使えない術だとだけ言っとく」

 

 クックックと笑って目を閉じ、そして次に開いた時にはナルトの瞳は元の青に戻っていた。

 

「で、肝心の開眼方法だが……多分お前もう開眼できると思うんだよな」

「なんだと? だが……!」

「解ってるよ。多分あれだ、チャクラ不足。チャクラ増やすには身体と精神を両方育てないと増えないからな。千鳥二発でばててるようじゃ難しいだろ」

「そういうお前は?」

「二十四時間千鳥打ちっぱなしでも全く息切れしない程度にチャクラ持ってるぞ」

「……腹の中の尾獣のおかげだろ」

「いーや違うね。九尾のチャクラは俺のチャクラと色が違うからすぐわかる。お前は見てなかったかもしれないが、中忍試験本戦で出した術に使ってた殺意と憎悪をたっぷり混ぜ込んだようなチャクラだ。俺の中の九尾曰く俺のはやばいらしいが」

「なにがそんなやばいんだ?」

「本気でチャクラを練るとその衝撃で大陸が割れかねないからやめろって言われてな。なんでもかつて九尾を含めた尾獣たちのもとになったって言う六道仙人の百倍はあるそうだ」

「お前人間か?」

「え? なに? 万華鏡写輪眼開眼なんてしたくない? そっかーざんねんだなー」

「すまなかった教えてくれ」

「まあともかく、条件だけ教えておこう。万華鏡写輪眼は、親でも家族でも友人でもいいから親しい存在の死を体験してそれに深い悲しみや悔恨を抱えること、だ」

 

 ―――なる、ほど。それは確かに俺は条件を満たしている。だが、ただ出すだけなら大したチャクラは必要ないはずだ。どうして出ない?

 

「それは多分、悲しみや後悔よりも恨みが大きかったからだろうな。基礎の力をつけるためなら恨みの方が燃料にしやすいし、基礎なしで万華鏡写輪眼を開眼してもチャクラ不足でまともに使えないだろうしな。真実を知ってひたすら後悔し、悲しんだ今のお前ならできんじゃね?」

「できると思うか?」

「お前新しいことをやり始めるのにできないと思いながらやんのか? いいからやってみ。ただ、できたとしても瞳術は使うなよ。チャクラの消費が凄いだろうしもし火が出たりしたらそれこそ問題だからな」

「ああ、そうだな。わかった」

 

 ―――こうして俺はこの日、かつての真実を知った。そしてそれと同時、新たな力を手に入れた。

 




Q.サスケ君は開眼できましたか?
A.しました。ここからテコ入れされていきます。

Q.ナルトの万華鏡写輪眼ってそうやって作ってるの?
A.ナルトが作った設定上そう言うことになっています。

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