side うずまきナルト
三代目の爺さんは火影の座を降り、のんびりと隠居している。俺は時々そこに行っては約束通りラーメンを作ったり変な術を思いついたと言って遺品に宿る残留思念を呼び起こして一時的に会話させる術などを披露して白目を剥かせたり、三代目の爺さんの孫の木っ端丸と知り合って俺に向けられた悪戯に百万倍で返してみたりしていたら何故か懐かれたりしていた。
本当だったら隠居したとはいえ長いこと火影として木の葉の里を治めていた三代目の爺さんはもっと忙しいはずなんだが、爺さんをあまり里の運営に関わらせたくない一派がいるらしい。まあどこかは少し考えればすぐわかるな。無能老人一派と、やることなすこと裏目に出る自業自得爺の一派だ。
そう言う訳で割と強制的に里の運営から離されている三代目の爺さんだが、今回は五代目火影、つまりナメクジ女が色々と意見を聞きに来ているようだった。ナメクジ女は火影歴短いし、長くやってきた先達に意見を聞きたいと思っても何もおかしくはない。実際そういう理由で来ているようだしな。
それとそのナメクジ女だが、非常に楽しそうに人生を送っている。俺の手によってではあるが好いた男と愛する弟の二人が蘇り、見た目だけならまだまだ若いナメクジ女は三十年ほど遅い青春を謳歌しているようでもあった。まあ、その青春も恐らく長くは続かないけどな。
なにしろ三十年近い時が流れている。それは転生を繰り返している俺からすれば大した年月でもないが、普通に生きる人間にとっては結構な年月だ。若さが足りないこともあるだろう。
「そんなわけで五代目のばーちゃん、若返ってみない?」
「ばーちゃんはよせと言っただろう。……まあ、お前の事だしできるんだろうが……副作用は?」
「一時的に代謝が無茶苦茶上がるから終わったら風呂に入ることを推奨する。全身垢とフケまみれになること間違いないからね。あとは……多分暫く身体が動かしにくくなると思う。何しろ若返るとなると筋肉とかのバランスも崩れるだろうし。それくらい? 寿命は普通に伸びると思うよ」
「ならばなぜそれを三代目にしない?」
「若返りたい?」
「いや、儂はこのままでよい。もう儂の時代は終わった。これからはただ見守るのみよ」
「大体そんな感じの答えになると思ってた。まあそう言うことだね。で、どうする? 身体だけでも本当に恋人さんと同じくらいになりたくない?」
「なりたい」
「弟さんを置いて寿命で三十年以上早く死にたい?」
「死にたくない」
「あなたは若返りの秘術を受け?」
「る」
「じゃあ俺の事を拘束しようとか傷つけようとか封印しようとかそう言う奴等は止めといてね? まあ止めなかった場合実行直前に死体が沢山出てくるだけだと思うけど」
「ナルト。お前は何をしようとしておる?」
「大丈夫だよ爺さん。俺は基本的に面倒臭がりだ。どこかの誰かさんみたいに木の葉崩しとか企んだりはしてないよ。もしやるつもりがあるんだったら俺はもっと明るい感じで生きてるね。その方が木の葉を潰そうと考えてるとか思われないだろうし……まあ死ねばいいのにと思う奴が何人もいるのは否定しないけども」
「そこに私は入っていないだろうな?」
「入るとしたら火影の仕事として俺を監禁するという決定を出したりした後だな。痛みなくあの世に送ってやるよ」
「抜かせ」
しかしここ凄いな。三代目火影、初代火影の孫にして五代目火影、四代目火影の子供にして九尾の人柱力。なんとも凄まじい面々だ。笑いがこみあげてくる。
そしてそんな中で行われているのが雑談と質問と若返りの秘術。ギャップが色々な意味で酷すぎる。
「ところで何歳くらいまで若返りたい? 理論上赤子は難しいにしても十代半ばくらいまでは若返れると思うけど」
「25で頼む」
「恋人さんより二歳若い年齢か。見栄っ張り」
「見栄くらい張るさ、乙女だからな」
「……。ところでさ、オカマ丸に初めてできた弟子が夜中にオカマ丸に連れられてやってきて月の物の事について聞かれて説明したって本当?」
「……本人には言ってやるなよ」
「半年ほど遅いぞその台詞。もう言った」
「言ったのか!?」
「中忍試験の本戦、各国の大名や忍頭なんかも含まれる大勢の観客の目の前で思いっきり」
ナメクジ女の視線に哀れみが混じった。まあ頑張れのりまきショウユ……団子っぽい名前だから多分こんな名前だったよな? 忘れたけど。
Q.若返りまでできんの?
A.可能です。便利だね。
Q.ここまで火影を挑発して大丈夫?
A.実力勝負でナルトに勝てる奴が今現在木の葉にいるわけないだろいい加減にしろ!(ナルトに対して)