side うずまきナルト
オカマ丸とカブタックの二人との商談を終えたが、実はこっそりと契約術式を仕込んである。契約内容に関しては簡単だ。俺との取引の事と、そもそも俺とこの時に出会ったと言う事実を他人に知られることができなくなるという、ただそれだけの物。他人に伝えるだけではなく知られることで伝わる契約なので、知った相手にも同じ契約が結ばれる。無論それを知らせてしまった者は経絡系を魂ごと砕かれて死ぬことになる。これによって相手が穢土転生された場合には魂が砕かれて術ごと消滅するし、死因が契約違反だった場合にはそもそも穢土転生されることも輪廻天生されることもなくなる。実に便利な契約だ。
なお、こういった便利な契約には当然穴がある。知られてしまった時点でそいつは死ぬが、知られてしまったと言う事実には変わりないわけだ。要するに誰かが自分の命を犠牲にしてそれを伝えたり、書面に残してそれを誰かに見られてしまってもそれを止める手段は俺には無い。それくらいだ。
と言っても、こっちだってそれに対するカウンターくらいは用意してある。かつて人間の総体とも言える意識の中で飼っていた、夕焼けよりも赤い空を自由自在に飛び回る鳥。ちなみに番だ。殺しても蘇るしたまに卵も産む。そしてそれで作ったスカーレットフライドチキンは非常に美味い。ともかく、その認識の鳥に感染させることで知ったら狂死する。まあテロだな。世界を本当に滅ぼしたいと思っているのなら是非ともやってみるといい。
ちなみに鳥を呼ぶにはこの言葉を口に出して唱えるんだ。
赤時化 柳下 緋色の鳥よ 九叉食み寝食み 卦を伸ばせ
七都 光刺す 緋色の鳥よ 戸掻き夜魔掻き 名を屠れ
皇たる 名執 緋色の鳥よ 日食い黄泉食い 関徹れ
煌々たる紅々荒野に食みし御遣いの目に病みし闇視たる矢見しけるを何となる
口角は降下し功過をも砕きたる所業こそ何たるや
其は言之葉に非ず其は奇怪也
カシコミ カシコミ 敬い奉り御気性穏やかなるを願いけれ
紅星たる星眼たる眼瘴たる瘴気たる気薬たる薬毒たる毒畜たる畜生たる生神たる我らが御主の御遣いや
今こそ来たらん我が脳漿の民へ
今こそ来たらん我が世の常闇へ
今こそ来たらん我が檻の赫灼ヘ
緋色の鳥よ 今こそ発ちぬ
『おいナルト。今突然なんか赤い鳥が現れたんだが』
おっと、来たか。そいつは俺のペットだ。昔飼ってたんだが呼んだら来た。と言うか読んだら来た。まあ気にする事は無い……のは、俺だけか。そいつに食われないように気をつけな。食われても死にはしないが思考力が下がるし強迫観念に苛まれることになるからな。
『なんつーモンを飼っとるんだお前は』
勝手に懐かれたんだよ。最初は俺を餌と思って来たんだろうが、何億回か殴り潰したら大人しくなってな。
『億』
億。ともかく安全だ。ちなみにそいつ、死んでも復活する特性から夢の中から現実に持ってきてフライドチキンにしたら精神汚染を引き起こすほどの人気商品になってな。まあその時の謳い文句のせいだって話もあるが……。
気にするな。気にしたら精神汚染されるぞ。
『なにそれこっわ……ちかよらんどこ……』
ちなみに逃げる奴を追う習性もあるから見かけたからって即座に逃げようとはしない方がいいぞ。
さて、精神汚染がこの世界に広がらないように願いつつ……スカーレットフライドチキンでも食べるとしようかね。
ちなみに、その世界では俺もそいつの同類だった。クラスはEuclid。『常に健康な男』と言う名前だったが、その世界ではただひたすらに健康であり続けた結果そうなった。と言うかそれ以外のをほぼ全て封じて健康にだけ振り切った結果、マジで健康でしかいられなくなった世界だった。怪我をするのは健康ではないから怪我はしない。病気にかかるのは健康ではないから病気にもかからない。老化するのも健康ではないから老化しない。死ぬのは健康ではないから死なない。ミーム汚染は健康ではないからされない。収容は『肉体的・精神的・社会的に良好である状態』の社会的の部分に引っかかるせいか収容もされない。それはもう仕方ないから財団で働いてたよね。収容ではなく雇用と言う形だったが、まあ実質的には収容と変わらない。割と自由にさせてもらってたから中々いい世界だったね。認識の鳥は夢の世界だとわかってたからブチコロがしたけども。
Q.お前SCPだったのか……。
A.しかも健康に全振りした結果存在そのものがやばいことになりました。
Q.フライドチキンになんの? マジで?
A.チキンを買え。食え。クーポンもあるぞ!