NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜   作:真暇 日間

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ここから幕間物語。現状四話のみ


NARUTO~幕間の物語1

 

 side うずまきナルト

 

 木の葉に親父とかーちゃんを連れて戻った時、本当に驚かれた。里の人間たちの俺への対応が思っていた物の-10倍は酷かったらしい。まあ全体的にあの戦犯のせいなんだが、態々それを伝えたところでどうにもならないので流すことにした。

 俺の周りにはいつでも見張りがついている。しかしその見張りは俺が何をされても手を出してくる事は無い、本当にただの見張りでしかない。俺が頑丈でなければとっくに壊れていただろうが、その時には九喇嘛が解き放たれて木の葉は今度こそ崩壊していただろうな。運のいい奴らだ。

 それでも俺は毎日をこの里で暮らしている。普通ならば耐えられない程度に厳しいらしいこの状況にも慣れてしまった。そのせいか今の俺はかつての世界にいた最凶最悪の過負荷と同じような雰囲気があるらしい。まともな人間には嫌われるが、俺と同じような存在には好まれる。排斥されたもの、置いて行かれたもの、そう言った存在に対しては非常に好かれるようになった。まあ例外は多々あるようだが、俺にあのマジキチ手ブラジーンズ先輩のような真似を期待されても困る。なんだよ現実を虚構に変えるとか頭おかしいんじゃないか?

 まあともかく、そうやって普通に暮らしていたら親父とかーちゃんから話があると言われてしまった。

 

「ナルト。君は木の葉を恨んでいるかい?」

「好きか嫌いかで言えば嫌いだし守りたいか否かで言えば守りたくない。滅んだとしても悲しくはないしむしろ俺の知らないところで俺の知らない間にいつの間にか勝手に滅んでいてほしいくらいに思ってるけど別に恨んではない」

「それぜったい恨んでる奴の言い分だってばね……」

「ん? 三代目の爺さんと約束したから例え俺が手を出しさえしなければあと一歩のところでギリギリ耐えられるって時に手を出して崩壊させたりしないぞ? まあ同時に俺が手を貸せばギリギリ存続できるって時にも手は貸さないようにするつもりだし、木の葉が総力を挙げて潰しに来たらこっちも総力を挙げて潰しに行く予定だけども。」

「ん!大体わかったよ。ナルトは自覚してるかどうかわからないけれどねじ曲がりながらまっすぐ育ってるんだね」

「自覚はあるよ。じゃなかったらいつでも報復できるように塵遁結界なんて敷いておきながら平然と暮らしてたりしないだろうし」

「待って!? 塵遁結界って何!? どこに敷いたの!?」

「俺が暮らしてた家の家具に仕込んでおいた。外出する度盗まれるから報復してやろうと思ってね。壊れると半径5mくらいを飲み込む原界剥離が発動されるようになってて、もう何個か発動してる。行方不明者も出てるみたいだね」

「……なるほど。うん。ナルトにとっては木の葉は敵かい?」

「一部除いて仮想敵って認識だね。流石に罵倒するくらいでそう思いはしないけども手裏剣投げてくる奴は完全に敵、忍術使ってくる奴は即座に事故にあってもらってる」

「事故?」

「事故。まあそんな感じで悪意にも殺しにも慣れててね。実力的にできるかどうかはともかく、親父もかーちゃんも殺せると思うよ。三代目の爺さんが教えてくれたんだ。『木の葉に住む者は皆家族』って。家族ってのは悪罵し、殺意を向け、武器と術を向けてくる相手の事を言うんだと一時期本気で思ってたし」

 

 俺の言葉に親父は頭を抱え、かーちゃんは涙を流しながら俺を抱きかかえた。俺はこの人生で愛と言う物を向けられることは殆ど無かった。産まれてすぐに両親から向けられたものと、つい最近まで三代目の爺さんから向けられていた物。それくらいだ。イルカ先生は……あれは多分愛なんだろうな。俺の知る愛のどれとも違うから良くわからないんだが、師弟愛とでもいうのだろうか。多分そんな感じだ。多分な。

 ……しかし、俺に向けられる愛ってのはどいつも歪んでるのばっかりだな。

 親愛と性愛が混じり合ったもの。同じく依存と恋愛と欲が混じった物であったり、あるいは所有物に向けるような愛であったり、同族との傷の舐め合いのような、ぬるま湯に浸かって腐り堕ちていくような。そんな物ばかりだ。

 この世界に来てからもあまり変わらない。だが、そんな汚泥の中にあるからこそ純粋な愛と言うのは尊い物なのだと生まれ変わる度に思わされる。

 

 まあ、俺はまだ愛情と殺意が直結してたりするキチガイではない。愛することと殺すことを同等に見てはいないし、あらゆる事が殺人に繋がるわけでもない。まあ精神的にそこそこ頑丈なだけの一般人だと言える。

 それに、笑いたい時には笑えるからな、俺は。まだまだ平気だ。

 




Q.黒っ!?
A.こんなことを考えて木の葉で生活しています。

Q.なんでこんな黒いの?
A.英霊は冠位召喚ではない形で召喚される時にはクラスに当て嵌められ、そのクラスで持っていない物に関しては削ぎ落されます。大抵のナルチカ君はもっと明るいことが多いのですが、今回のナルチカ君はこういう黒い所が多めに集まっています。それに伴って明るい所は当然少なめ。仕方ないね。

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