SCP-444-jp-j
by locker
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……もう少し前に出せよと言われそうな気がする。
side うちはサスケ
人は言う。俺は天才だと。うちはサスケは天才だと、多くの人が言う。
人は言う。うちはイタチに劣らない、うちは史上に残る天才だと。
人は言う。俺ならば、誰よりも強くなれると。
―――そんな言葉はまやかしだ。俺にそういう言葉を向けた者の誰もが、うずまきナルトと言う存在の本気を知らない。
天才。なんとも陳腐な言葉だ。天の才、天から与えられた才能。まるで俺が積み上げてきた全ての物など存在しないかのようにも聞こえる。
だが、俺はその思いをぐっとこらえる。同時に『そんなに強くなりたいんだったらナルトの修行を受けてみやがれ』と言う言葉も飲み込む。本当に来られたら俺に向けられる時間が減ってしまう。ナルト修行塾の先輩でもあるヒナタだけならともかく、後輩はいらない。
確かに毎回修業は厳しい。チャクラ量を伸ばすために体力作りと精神修行。全身の筋肉をぶっちぶちに引きちぎりながら持久力を鍛えるために全身に重力を掛けながらゆっくりと身体を動かす。初めのうちはそもそも筋力が足りずに十秒も持たなかったが、今では水面歩行をしながら三十分は維持していられる。それも体中に重りを付けてだ。
倒れる度に怪我や疲れを治す豆を食わされ、豆だけで腹いっぱいになりそうなら月の光に似た懐中電灯のようなものの光を向けられると疲れも痛みもあっという間に癒され、身体が強くなっていく。拷問染みた鍛錬は精神的な修練も兼ねていて、更に水面歩行によってチャクラのコントロールまで学ぶことができる。しかも身体にかかる重力は不定期で強弱をつけられていて、完全に一定量を流しているだけだと水面を弾いて溺れてしまったり沈んでしまったりする。そうなると身体にかかった重力が邪魔をして水面にたどり着くこともできなくなり、死を経験することになる。
しかしそれは大抵の場合終わりではない。そんな経験を一億以上の影分身がそれこそ何千億や何兆何十兆といった回数繰り返すことで刻みつけられる精神的負担もまた修行の一環。自身の身体にかかる負荷と精神にかかる負荷をひたすら身体に馴染ませることで、俺はどんどんと強くなっている自覚がある。
唯一不満があるとするならナルトは俺に新たな術を教えてくれることはほぼ無いと言う事だが、現在俺が覚えている術をより強くする方法や使い勝手が良くなるように改造する方法などは教えてくれるので大した事ではない。そもそもこうして凄まじい数の影分身を出せているのもナルトのおかげだ。今の俺のチャクラだけではいいとこ数百出せるかどうか。出したとしてもまともに戦闘には使えそうにない。
それもこれも俺の万華鏡写輪眼に宿った術がどれもこれもチャクラを馬鹿みたいに消費するせいだ。須佐能乎と言い天照と言い、どれだけチャクラを馬鹿食いするのか。幸い右目の加具土命はそこまで多くのチャクラを消費する事は無いから大分マシだが、他のはどれもこれも相当やばい。そして何より俺がどれだけ強くなってもナルトには一瞬でひっくり返される可能性があるのが一番やばい。なにしろナルトは最近チャクラを練ろうとして練ると周囲に突風と言う言葉が可愛らしく思えるほどのチャクラの圧力が吹き荒れるせいで一切チャクラを練ろうとしない。いや、練っている分をどこかに送って溜め込んでいる。あんな気違いすぎる量のチャクラを一体どこに送り、何に使おうとしているのか……ナルトの事だから恐らく自分の身を守ることに使っているのだろうが、もしかすると大量破壊兵器でも……作る必要無いな。普通に全力でチャクラを練るだけでかなり大きくて強い台風ができるくらいだし、そのまま適当な広範囲系の術を使えば問答無用で大陸も島も海もこの星も全て纏めて消し飛ぶだろう。そしてそれを止めることは恐らくできない。チャクラを練るだけでそれとかちょっと理解できませんね……。
そして疲れたらリフレッシュのために飯を食う。
おいしさ やばげ 緋色の鳥よ あぶらみあかみ てをのばせ
頂きます!
毎度のことながら食事中には意識が消し飛んでしまう。あまりにもスカーレット・フライドチキンが美味いせいだ。俺は悪くない。
さてリフレッシュは済んだので食休み。身体を動かさずにできる修行と言えば? そう、幻術だ。ちなみに相変わらずナルトに幻術は効かないので相手は大抵ヒナタになるんだが、ヒナタもヒナタで相当だ。前に自分が幻術にかかっていると気付いた瞬間躊躇なく自分の脳内にチャクラ糸を突っ込んで経絡系の流れをかき乱しやがった。あれは本当にどうやってるんだろうな? 自分のチャクラでも自分の身体は傷つく物のはずだが……。
聞いたところによるとあのチャクラ糸はチャクラの糸ではなくチャクラを凄まじく細かい粒子状にしたものを繋げて見えるようにしてあるだけで糸ではなく、細胞の隙間などに傷一つつけずに入り込ませることができるんだとか。人間じゃねえのがここにもいたか……。
そして食休みも兼ねた幻術修業が終わるとまた何億回も死ぬような目にあうことになる。影分身ならもう数えきれないほど死んだ。それでもこうして修業について行っているのは、やはりナルトの修行では強くなれることを実感しているからだろう。術の数は増えなくとも、基礎力が大きく上がったことを実感できる。イタチと話をしてから、俺はまた新しく目標を持った。
俺は、火影になる。
Q.ここにもスカーレット・フライドチキンの感染者が……。
A.美味しいらしいので。
Q.拷問と何が違うんですか?
A.死んでもやり直しがきくところかな?
Q.ところで月の光っぽい懐中電灯ってなんぞ? なんで回復すんの?
A.金色のガッシュに出てた『月の石』の光です。怪我を治し、体力と心の力を回復させます。類似品にファウードの回復液と言うのもあります。