私事ではありますが、忙しくて見れずに溜まっていたSAOのアニメ(3話分)を親に消されてました。悲しい。
ところでOPがまた新しくなりましたよね。あれ見て思ったんですよ。「アドミニストレータは変態だ」って。だってあいつ全裸でキリトと斬り合いしてたじゃないですか。
突如扉が現れ、そこから出てきたのは貫禄のある一人の少女。だけど、その方がただの少女ではないことは明白。私達が手も足も出なかった騎士人形に雷撃を浴びせていたのだから。
その方はすぐにジークの下へと来てくださって、初めて見るような術式で瞬く間にジークの傷を癒やしてくださった。高位すぎる術式。私が知らない高位術式の一つ。今度改めて覚えようかしら。ジークは目を離したら怪我するから。
「キリト。この方は?」
「カーディナル。もう一人の最高司祭ってとこだな。大丈夫。俺達の味方だよ。俺とユージオに《武装完全支配術》を教えてくれた」
「そうですか。……ジークの傷を治してくださった方を疑いはしませんが」
抱きかかえているジークの傷を見ながらそう言葉を零す。ジークの傷はすでに塞がっていて、表情も穏やかなものになっている。こんな短時間でこれほどのことをできる方が味方をしてくださる。これほど頼もしいことはないでしょうね。
最高司祭とも面識があるようで、二人は違う呼び名でしばらく話していた。最高司祭の目的は、元からカーディナル様を呼び出すためことだったみたい。心から喜んでいることが分かる。それは再会した喜びなんてものじゃない。正反対。
「これでようやく邪魔なあなたを消せるわねぇ」
殺せるという喜びだ。
カーディナル様がいた場所は最高司祭でも手を出せないところだったようで、いつ出てきて殺しに来るか分からない天敵に杞憂してたとか。カーディナル様はカーディナル様で、私達整合騎士の存在があるから出てくることができなかった。その均衡を壊したのがキリトとユージオだ。二人が次々と騎士を打破し、この場所にたどり着いたから。ジークは完全に偶然というか、あれよね……。
最高司祭はカーディナル様がここに入った時点で、ある術式を発動させていた。それによりこの部屋は、どこの空間とも繋がらなくなったのだとか。外に出ることも、外からここに来ることもできない。完全に隔離された。それもカーディナル様を殺したいという一心で。
先程の雷撃を浴びたことで動けなくなっていた騎士人形が再度動き出す。あれに天命は無いのかと強い恐怖を抱いてしまう。だけど、カーディナル様は毅然とした態度でもう一度雷撃を浴びせ、騎士人形が近づけないようにしている。
「ふふっ、
「……なんじゃと?」
「一人気絶したけど、あなたが来たから人数差は変わらないわね。ソードゴーレム対あなた達、30対4のままよ。いえ、正確には300人ね。動かしてるのが30人というだけで」
「っ! 貴様……まさか……! 統治者であるというのに!」
「あっははははは! さすがに気づけたようねぇ!」
私はその数字がいったいなんの話なのか分からなかった。だけど、カーディナル様の話で理解できた。キリトからも聞いていた通り、私達整合騎士は最も大切な記憶を抜かれている。そしてその記憶が天井にある結晶にそれぞれ封じ込められているのだとか。つまり、この場には私達と最高司祭だけでなく、整合騎士になる前の31人もいるということになる。
そして姿のない人たちの力を最高司祭が利用して、神器を一本ずつ動かさせることで、あの騎士人形が動いているらしい。一人一本という原則を超えていたわけではなかった。あくまで原則に従っているままこれだけのことを可能とする。そして、そもそもあの剣がそれぞれなんだったのかも分かってしまった。30本の剣が元々は300人の人間だったと。
最高司祭アドミニストレータは、人界のことを憂いてはいなかった。やはり大切なのは己自身。人界に住む人々をまず人間として捉えていない。だから四万人もの人間を犠牲にし、戦争への備えを間に合わせるなどと言えてしまうのだ。
「どこまで人の命を愚弄するというのだ!」
「あら、さすがのおチビさんはもう全部わかったみたいね。一応合ってるか答え合わせといきましょうか?」
「シンセサイズによって抜き取った記憶は本来人間ユニットにはなり得ない。しかし体の代替となるものがあれば別じゃ。元のようには到底なれぬが、人間ユニットとはなれる。しかしそれは限りなく制限されたもの。本能的行動しかできん。武装完全支配術などの高度なコマンドはこうしできない。……しかしそれにも抜け道がある。記憶ピースと、リンクする武器の構成情報が限りなく共通するパターン持ってる場合じゃ。──具体的には整合騎士たちから奪った記憶に刻まれた、最愛の人間自身をリソースとして剣を作った。そういうことじゃな、アドミニストレータよ!!」
まず最初にキリトがその話を理解し、驚愕していた。私とユージオがそれに遅れてから理解することができた。あの剣は無作為に選ばれた300人を犠牲にしたものではなく、騎士たちのそれぞれ最愛だった人とその肉親といった近しい人が犠牲になった。
キリトからセルカのことは聞いているから、私の肉親は犠牲になっていない。だけどそれは安心できるものじゃない。記憶はすでに抜かれているのだから、いつセルカたちが犠牲になるのかも分からないのだから。
腕の中にいるジークを見やる。もし、私がまたシンセサイズされて記憶を抜かれてしまったら、間違いなくジークが犠牲になってしまう。小父様は一度再調整をされたみたいだけど、新たに記憶を抜かれたわけじゃない。だからその心配はないのだけど、可能性はゼロじゃない。
──ジーク……!
思わずジークを抱く力が強くなってしまう。ちょっと苦しかったかなって心配したけど、それでもジークは変わらず眠っているままだった。早く目が覚めてほしいという願いと、起きないでほしいという相反する願いを同時にしちゃってる。起きてくれたら、またあの目を見れて声を聞けたら、私はきっとまた立ち上がれる。だけど、そうしたらまたジークは戦おうとする。
私がそのことで苦悩してる間に、話が進んでしまっていた。カーディナル様は制約のせいで人を殺せない。それはつまり騎士人形を倒せないということ。
「わしの命をくれてやる。その代わり、彼らを見逃してくれ」
「そんな交換条件を私がのむ必要ある?」
カーディナル様が抵抗せずに殺される代わりに、今私達を見逃せという交換条件。最高司祭が受け入れる必要なんてない。だけど、最高司祭はその交換条件を受け入れた。カーディナル様が抵抗して戦闘になれば、騎士人形を従えている最高司祭といえど天命を削られるし、手間がかかる。そのことを嫌がった最高司祭は条件を飲んだ。
「神に誓うわ。あなたを殺したあと、その子達を一旦見逃すって」
「いいや貴様のフラクトライトに誓え。神をも敬わない貴様が神に誓ったところで意味などないのじゃから」
「……はいはい。フラクトライトに誓うわよ」
フラクトライトに誓った最高司祭は、すぐに愉しそうに表情を歪ませた。スラッと抜き取られた細剣。あれも神器だ。その先から迸る雷撃がカーディナル様の体を貫く。二撃立て続けに注がれ、カーディナル様は体をぐらつかせながらも、杖を支えになんとか立ち続けた。
「なん、じゃ……この程度か……?」
「あっさり殺すわけないじゃない。200年間この瞬間を楽しみにしていたのだから!」
そしてまた放たれる雷撃。カーディナル様は抵抗することなくそれに体を貫かれる。キリトの静止がなければ私もユージオもすでに飛び出している。私達が動かないのは、最も歯を食いしばってこの状況を堪えているキリトに止められているからだ。
とうとう倒れたカーディナル様にキリトとユージオが駆け寄る。私も駆け寄りたいけど、ジークのことがあるからここからあまり動きたくない。カーディナル様のことを気にしながらも最高司祭を睨みつけるしかできない。
「まだまだ愉しませてほしいわね〜」
抵抗しない相手をいたぶる。到底許せない行為だけど、私が動いちゃいけない。私達が一命を取り留めるためにカーディナル様はこうなることを選んだのだから。
だけど、ユージオは違った。ユージオはカーディナル様に何か話しかけ、覚悟を決めた表情で頷いていた。何かが起きる。あの目はあまり好きじゃない。騎士人形に挑んだジークと同じ目をしてるから。
静止させることもできず、ユージオはカーディナル様が発動させた術式で一本の剣へと変わった。正確には青薔薇の剣との融合。それに呼応するように、天井にあった一つの水晶も飛び出して融合されていた。そうして生まれた一本の剣は、飛翔して真っ直ぐに騎士人形の水晶へと向かっていった。
「小賢しいことを……!」
最高司祭の攻撃も躱し、騎士人形の攻撃も躱したユージオは、狙い通り騎士人形の水晶へと突き刺さった。それが砕かれたことでやはり騎士人形が崩壊した。これで厄介な脅威が消えた。あとは最高司祭だけ。協力すればきっと勝てる。
それなのにユージオは一人で向かってしまった。キリトの静止も無視して、最高司祭が放つ神聖術とぶつかる。激しい閃光が部屋中に広がる。目を凝らして見ると、少しずつユージオが押し込んでいってるのがわかった。やがて壮大な音が響き渡った。
「ユー……ジオ……?」
「チッ。やってくれたわね……」
最高司祭の細剣が折られていた。ユージオが神器を破壊したのだ。そして最高司祭は右腕をも肩から切られていた。でもその代償も大きかった。ユージオは剣となっていたけど、その剣も二つに折れていた。その折れた剣が人の姿へと戻るも、そこには胴と足に別れたユージオがいた。キリトはその光景に膝をついてしまった。後ろからはその表情は見えない。だけど、あれだけ誇らしげに語っていた親友があの姿なのだ。私にだってそれがどれほどの絶望なのか察することはできる。
「まさかメタリック属性じゃなかったなんてね。見抜けなかった私の落ち度だけど、まぁいいわ。結果は変わらないのだから」
左手を突き出した最高司祭は、飛ばされた右腕を回収した。治療するのかと思ったけど、自分の腕に息を吹きかけた最高司祭は、一つの剣を作り出した。それでキリトを斬るために。
最高司祭が近づいてもピクリとも動かないキリトを助けるため、一旦ジークを寝かせて駆けつけようと思った。でも、私がそれを行動に移すよりも先に、私の視界に一人の男性の背が映った。
──なんで何回も戦ってしまうの? バカジーク……
☆☆☆
「さようなら坊や」
「それはちょっと待ってほしいね」
膝をついて項垂れているキリトの首を斬るために振り下ろされるレイピア。それを俺は握って止めた。当然手からは出血するんだが、心意のおかげもあって傷はそこまでって感じだな。
「寝ていればよかったものを……」
「どのみち殺されてたんだろ? なら抵抗するね。それとキリト。お前はそれでいいのか? カーディナルがなんの為に動いたのか、ユージオがなんの為にそんな姿になるまで挑んだのか、分からないお前じゃないよな? お前は二人を裏切るのか?」
アドミニストレータから視線を外す余裕もない。俺はキリトに見向きもせずに言葉を投げかける。分かりきってるんだよ。キリトがこれで動かないわけがないって。こいつは人の想いを背負ってしまうと頑張っちゃう奴なんだって。
「悪い、ジーク。あとは任せてくれ」
「次勝手に諦めたら金的な」
「ピンポイントにダメージでかいのはやめろ!?」
アドミニストレータのレイピアから手を離すと同時に蹴りを入れる。寝てばっかって話のくせに動きもいいらしく、それは回避されたけどな。てかこいつ、服を着ないまま戦う気なのか? 露出癖強いのな。
「……アリス。目を塞ぐのやめてくれない? 戦いを見守れないじゃん」
「あなたが他の女の裸体を見るなんて許せませんので。戦いなら私が代わりに見守ります」
「それってつまりアリスの裸体は見ていいってこと?」
「なっ!? そ、そういうことではありません! 目を潰しますよ!?」
「アリスを見れなくなるのは嫌だからやめて」
キリトとスイッチしてアドミニストレータを任せ、アリスの下へと戻った途端これだ。まさか目を覆われるとは思ってなかった。説教されるって思ってたんだけどな。どっちもキリトの戦闘中にすることじゃないんだけども。
それにしても寝すぎた。状況を見てなんとなくは把握したけど、分からないところは分からない。特にカーディナルとユージオの状態について、その経緯がさっぱりだ。なんでユージオが真っ二つになってんだよ。
それをアリスに聞くのも酷な話だし、キリトに聞くのはもっと酷だ。そんなわけで経緯は知ることができたらいいな程度に考えるとしよう。さっきからキリトとアドミニストレータの戦闘音しか聞こえない。しかもそれが止んだと思ったらユージオとキリトの会話が聞こえてくる。マジでどういう状況なんだよ。アリスも俺の目を塞いで代わりに見るなら実況してくれ。
「戦って……僕の親友……僕の……英雄……」
「ああ。何度だって戦うさ。お前の為なら」
お前ら実はデキてんの!?
親友にしては関係が親密な感じしたけども、まさかそこまでだったとは……。これは修羅場を作ってゲラゲラ笑う俺でもアスナに報告できねぇわ。ごめんよアスナ。全部キリトがいけないんだ。まさか男まで落とすなんて俺は想定してなかったよ。
「アリス。そろそろ俺の目を自由にさせて?」
「駄目です。まだ終わってません」
「ならせめて実況」
「キリトが二刀流で戦ってます。ユージオが託した青薔薇の剣もとい赤薔薇の剣を左手に持って」
「ならキリトの勝ちだな」
なんで赤薔薇の剣が誕生してるのかは分からないけど、キリトが二刀流で戦ってるのなら勝ちだ。あれに勝てるのはヒースクリフみたいな化物か、一年に一回ぐらい超絶調子いい時の俺ぐらいだからな。基本的には勝てん。まず手数で負けるし。
剣での勝負のはずだよな。キリトが二刀流で、隻腕のアドミニストレータがレイピアを使ってるはずだよな。なんで爆発音と爆風が巻き起こってるのさ。おかげでアリスの手が俺から離れたけども。
「……キリトが吹っ飛んでると。ふむふむ、で、アドミニストレータは……それで生きてるのか」
「ふ、ふふっ、私の……逃げ勝ちね……。また、向こう側で会いましょう」
両腕が吹き飛び、胸にも穴が空いてるくせにアドミニストレータはまだ生きてた。そして勝利宣言をしたと思ったら少しずつ体が浮き始めてる。『向こう側』ということは、リアルの方でってことになるんだろうな。ま、逃さないけども。
「お前はここで死ね」
「なっ!?」
地面を全力で蹴って加速してからのハイジャンプ。そして勢いに任せてアドミニストレータの腹部を右腕で穿く。自分でやっててなんだが、ぶっちゃけ気持ち悪い。だが、
「お、まえ……!」
「十分生きたろ? おばはん」
こいつを逃がすことなくここで仕留められたのだから良しとしよう。
腕を引き抜いて着地。返り血をそれなりに浴びたが、拭うのも後回しだな。今はそれよりもユージオだ。未だに会話できる余裕があるのが奇跡だが、それならさらなる奇跡が起きるかもしれない。そう思って駆け寄ったが、キリトとアリスの二人がかりの治療でも回復が追いつかない。血が変わらず流れ続けてる。
「死ぬなユージオ! お前は絶対に助けるから!」
「それ……だと、また君と……戦わないと、ね。僕はアリスの……記憶を戻すために……、キリトは……今のアリスを……守るために」
「っ! 分かってるなら戦えよ! 生き残って戦え! ジークだって既に宣言してんだ! 終わった後にユージオと戦うって!」
「そう……なんだ……。でも……もういいんだ……、僕はキリトに……剣を向けた。これは……その報いで、僕と君は……ここで道が分かれる……もので……」
「ふざけるなよ! 運命なんて……そんなの俺は言わせねぇぞ!」
キリトとユージオの会話に混ざることなんてできるわけがない。俺とアリスは二人のやり取りをただ押し黙って聞くしかない。もう分かってしまってる。ユージオを助けることができないってことは。
──フレニーカに謝りに行かないとな……
「そうだ……キリトの黒い剣……『夜空の剣』って名前が……いいな。どうだい……」
「ああ……いい名前だ。ありがとう、ユージオ」
「夜空みたいに……この世界を……優しく包んで……」
ユージオの腕が力なく重力に従って落ちる。キリトに初めてできた同年代の友人にして親友。ある意味アスナ以上かもしれない戦友にして最高の相棒ユージオ。気弱そうな雰囲気をしておきながらその芯は強く、熱いものだった。余りにも短い時間しか共にいられなかったが、こんな剣士に出会えてよかったと心から思う。
俺はその場を立ち上がって先程アドミニストレータを殺した場所へと戻る。この部屋は床に物を収納できるように術式が仕込まれていたらしく、行使していたアドミニストレータが死んだことでいくつかの家具が出てきていた。その中に一つ、明らかに異質なものがある。それが外とのコンタクトを取れるコンソールだと直感的に理解し、俺はそれを操作して外へと通信を飛ばす。外にいる菊岡たちに繋がる間に、キリトとアリスも俺の近くに来ていた。
外との通信が繋がったが、それは全く穏やかなものじゃなかった。まず誰もこっちに気づいてないし、明らかに騒々しい。
『あー! 菊さん! 中から通信っす!』
『中から!? キリトくん、ジークくん、そこにいるのかい!?』
「ああいるよ。いいか菊岡さん! あんた達がやろうとしてることは……!」
『誹りなら後でいくらでも聞く! 今は緊急事態なんだ! もうじきここも陥る!』
陥る? さてはこいつらヘマしやがったな。こんな極秘研究に首を突っ込めるとしたらアッコしかないが、それでもここまで気合い入れてるプロジェクトがバレるのもおかしい。つまり内通者がいるわけだ。だがそれを炙り出してる余裕もない。あれだけ慌ててるということは、五分もないだろう。二分もないかもしれない。
「この後どう動けばいい?」
『まずはアリスという少女を見つけてくれ!』
「それはもう見つけた。次は?」
『早いね!? さてはジークくんダイブする前からそれなりに察していたね!? ってそれはもういいんだった! アリスを連れて"ワールドエンド・オールター"まで行ってくれ! そっちで回収するから! ダークテリトリーに出てずっとずっと南下した先にある! 言葉通り世界の端だ!』
「了解」
『ぎゃあぁー! これはやばいっす菊さん! あいつら主電源ライン切る気っすよ! これじゃ桐ヶ谷くんが!』
主電源切るって、敵さんはなかなか思いっきって行動するね。いや、効率的な行動を最優先でしてるだけか。このアンダーワールドにまで影響が出ないか心配だが、そこは大丈夫らしい。さすがに気合い入れてるプロジェクトの要をそう簡単に壊されるようなことはしないか。
『何言ってるんだ! STLには何重にもプロテクトが……!』
『今全部機能してないんですって! 彼は今治療中なんすよ!?』
『なっ!? ……クッ、そっちは私の方で対処する!』
「治療? 何の話だ……」
ふむふむ。俺の方はひとまず大丈夫らしいが、キリトの方はヤバそうだな。って軽く言ってられる場合じゃないな。キリトも自分が治療中ってことすら知らないみたいだし。それもそうか、こいつ一回心臓止まったんだし。
主電源ラインを切られたせいなのか、外との通信が終わる。それと同時に脳に衝撃が加わった。脳を揺さぶられるというのが優しく思えるような衝撃だ。揺れるとも衝撃とも言えないかもな。ダメージが入ったという言い方がおそらく一番近い。
「ジーク!」
「だい……じょうぶ…………収まったみたいだ。っ! やっぱキリトの方が影響が……!」
倒れそうになった体をなんとか立たせ、アリスにも支えてもらいながらある程度の回復を待った。プロテクトをかけてある状態でもこのダメージだ。完全にノーガードだったキリトのダメージは計り知れない。それを表すかのようにキリトは目を虚ろにして倒れており、よく分からないがさっきまで繋がってた右腕も失くなってる。
「……クソッタレめ」
状況を整理したいし、アドミニストレータが死んだことで騎士団も揺らぐだろう。それへの説明はアリス経由と騎士長頼みになるか。……やることは多そうだが、ひとまずはここから出ないとな。