ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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主人公と子供達は出てきません。


番外編 意志ある悪意

「なんで今日はホグワーツに行っちゃ駄目なんだよ!!!!ロンのバカ―――!!!」

 

はぁ~・・世間的にも実質的にも-大人-であるべき男が、今この場にいないとはいえ子供に対してあの発言はどうなのであろう・・・。

 

「シリウス、今日一日だと言われただけでしょう。明日行けばよろしいでしょう。」

「そうですよシリウス、私だとて愛しのドラコに会いたいのを、毎日届くフクロウ便と、クリスマス休暇の帰省まで待っているのに、貴方達は毎日日参しているですよ?一日くらい我慢なさい。」

 

「う~ルシウス、シシー・・分かった、今日だけ我慢する。そしたら例の件の報告くれ。

・・つうか!!俺何でもかんでもハブられ過ぎてね⁉蚊帳の外過ぎてねえか!!!」

「・・貴方があらゆる意味できちんとした大人でしたら、蚊帳の外には出しませんよ。」

 

ルシウスはシリウスの抗議を聞いても紅茶を飲みながらしれっと応える。

激おこのロンで慣れている・・黒歴史ではあるが、ヴォルデモートの癇癪にもだ・・。

 

 

今日シリウスの日参を止めたのはロンだ。

 

「賢者の石をホグワーツで見つけました。教授にも確認をしてもらい、本物の石です。

  持ち主のニコラス・フラメル氏より壊してほしいと言われたので、明日の朝に大広間の

  大勢の前で壊します。

  明日はシリウスに来ないように言っておいて下さい。理由はルシウスさんにお任せします。」

 

ロンとしては、シリウス・ブラックとルシウス・マルフォイの力を借りて好き勝手していると、ダンブルドアとその周りに邪推されるのを疎ましく思っていた。

近頃はダンブルドアを崇拝している者達から似たような事を言われて喧嘩を売られ、あわや杖での戦いに発展をしかけた。

 

賢者の石を壊すと決め、壊しても二人の権力者に守られるからやったのだと思われるのは嫌だ!

自分の守りたい者は自分の力で守っていきたい。大人にしかできない事は確かにあるが、己の気持ちだけは曲げたくない、天使を守るのが自分の使命だと。

 

 

 

ロンからのフクロウ便が届いたときは内容に驚愕をした。

何故伝説の石がホグワーツにあったのか。

何故そのような物が、子供・・と言っていいのか微妙なところなロンではあるが、簡単に手に入るような措置で保管されているのか。

 

ダンブルドアは何を考えている?あの石の効力を、ヴォルデモートが見逃すはずがないのは分かっているだろうに。

どうにも気になる事ばかりだ。ダンブルドアの動向には目を光らせる必要有りと、ロンからの警告だと受け取った。

そしてもう一つのメッセージも。今回は己の力で成し遂げると、子供らしい考えを邪魔しないでおこう。

 

 

 

シリウスが言ったもう一つの報告の方は、ルシウス・マルフォイ自らがハリエット・ポッターの現在の-保護者の家-に出向き、ある取り決めをするために。

 

 

それは、ハリエット・ポッターの親権について。血の守りの結界を守る為に、一日だけダーズリー家に滞在をし、次の日には別の場所に行く。

その一日だけの食事も持たせるので、ハリエット・ポッターをいない者として放っておいて欲しいという取り決めは・・拍子抜けするほど成立をした。

 

 

「もう・・・・あの子を・・傷つけなくて済む・・」

 

 

帰り際に言った、バーノン・ダーズリーの言葉も気になる。

 

マグルの事情に合わせて予め-郵便-による手紙を送り、都合を聞いて菓子折りをもって訪れた。

 

夫妻は貴族ぜんとし、まともな常識で自分達に接触をしてきたルシウスには反感を持たずにすんなりと通した。

 

夫妻はどこか疲れ切っているというのがルシウスの第一印象だった。ハリエット・ポッターの事を穏やかな声で話、虐待理由はあえて問わずに、これまでの養育に掛かった費用の全額と、感謝の気持ちを込めるためにその倍の金額を提示し、その上で取り決めの件を切り出した。

 

 

「・・分かった、金の事はいい。もうあの子には関わり合いたくはない。好きにしてくれ・・」

「分かりました、今後はそのように。」

 

関わり合いたくない・・それ程までに魔法族を嫌っているようには見えなかった。

 

ダンブルドアといい、この夫婦の一致しない言動といい・・いったい何がおころうとしている。

 

「そうかよ・・-お礼-しに行ったら・・」

「シリウス。」

「・・分かった、我慢するよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あったったじゃな~、もう少しは混沌とすると思ったのだがの~。」

「・・先輩の目論見は潰えました。諦めてください。」

 

 

ハリエット・ポッターの不幸はロンが邪神と呼んでいる神の仕業だった。

夫妻の魔法族嫌いを増幅させて、とことんハリエット・ポッターを追い詰めた。

彼女の心を黒く染め、ロナルド・ウィーズリーを困らせるという一つの目的のために。

 

邪神はロナルド・ウィーズリーに言ってある、退屈は嫌だと。

 

原作をなぞる様なものは予想の範囲内、それをひっくり返すようなことが起きるようにと。

 

だが失敗をした、ハリエット・ポッターの心はロナルド・ウィーズリーとその周りの者達の優しさによって救われてしまった・・だがそれもいい、自分の予測をひっくり返してくれたのだから。

 

そして楽しい、自分を楽しませてくれた誤算がもう一つ、ダーズリー夫妻だ。

本当は列車に乗る日に、ハリエット・ポッターの顔に硫酸を浴びせるように暗示をかけた。

 

ハリエット・ポッターの心をぐちゃぐちゃに踏みつぶし、決定的な闇の心を持つにいたるようにと目論んで。

世を呪い、他者を敵としか認識しない孤独で不幸な子供の誕生を見るために。

 

だがバーノン・ダーズリーはそれを己の意思で堪えた。ポケットの硫酸を出さない様に、勝手に動こうとする手を必死に止めて。

 

ハリエット・ポッターが、送り時のバーノンには悪意があったと言っていたが、本当はハリエットを守る為の顔だったのだ。

 

夫妻はどこまでいっても-まとも-だった・・・見物に値するほどに!!

 

「さて、次は何をしようかの~。」

久し振りのお愉しみ、わくわくとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人を止める力は残念ながら自分にはない・・この世界は誕生をしてまだ日が浅い。

他世界の力ある神々の干渉を防ぐ力が・・

 

「頑張ってください、ロナルド・ウィーズリー・・」

たった一人の子供に託さねばならない程に・・




以上、邪神の目論見話でした。


そしてお人好しの神様の苦悩と、ロン達の苦労は続きます。

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