ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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カオスのお茶会とは別物です。


ホグワーツのお茶会

・・どこだよ・・呼んでるのに・・なんでいないんだよ!-あいつ-は!!!

 

 

 

ここ最近のホグワーツの朝の大広間は、何しかしらの理由で静かな朝なぞあったためしがない。

理由はロナルド・ウィーズリーが起点で、ハリエット・ポッターとシリウスの朝の挨拶だったり、ハリエット・ポッターを甘やかすお母さん達の賑やかさだったり、ハリエット・ポッターを貶した奴が地獄に落ちる阿鼻叫喚だったりと、騒がしい。

 

ちなみにハリエットを貶した奴を地獄に落とすのは、物理的な意味ではロンとセオドールで、精神的にはスリザリンの女子達とハーマイオニーによる悪魔のコラボ。味わった奴は以後、ハリエットを見かけただけで逃げ出す目にあった。

 

それはともかく今朝の大広間を騒がせた、というよりは沸かせたのはハリエット・ポッターをお姫様抱っこして登場とした、白馬の王子さまもかくやなセドリック・ディゴリーだった。

 

セドリックの腕の中にいるハリエットは、何故か大きめのローブにくるまれていて絶えずきょろきょろとしている。

 

近頃のハリエットは少しばかりふっくらとしてきて、年頃の女の子らしく可愛くなってきた。

少し癖ッ毛の黒髪はフワフワしてきて、エメラルドグリーンの釣り目気味の瞳も相まって、仔猫のようだ。

 

懐いた者にはとことん懐き、そうで無い者にはつんと冷たくする所が尚更仔猫で、近頃では

-スリザリンの仔猫-というあだ名がついたりする。

 

その仔猫がロン以外の男、それも-ハッフルパフの王子-と名高いセドリックの腕に居るので、恋愛大好きの女子や、密かにハリエットを愛でていた野郎一同が湧きたったのは無理もない。

 

 

そんな外野の騒ぎをハリエットは丸無視しているが、セドリックとしては少々心地悪く感じる。

 

周りが考えているような色恋には、発展させる気は全くない。どちらかと言うと迷子の猫を保護したのだ。

一刻も早くハリエットを保護者達に会わせて、ハリエットを安心させてあげたいだけだ。

 

 

セドリックの朝は早い。早朝からの自主的なクィディッチの練習を終えた後、寮に戻って着替えて大広間に行く途中に、廊下の隅の柱の側に蹲っていた黒髪の女の子を見つけた。

 

体は小さいようで、一年生の迷子の子だとすぐに分かった。この学校は動く階段やら、おかしな廊下や扉が多すぎると常に考えている。

 

毎年迷子になって疲れ切る子も多い。「君、大丈夫かい。」

 

とりあえず近くによって、かがんで目線を合わせてみれば、柱で衣服が見えなかったが女の子の服は寝間着のままだった。

 

 

「えっと・・君は・・」

「・・ロン・・どこ・・いんだよ・・なんで・・どうして・・」

 

話しかけたが女の子は自分の事を全く見ておらず、それどころか目の焦点があっていない。

 

ロン、ロナルド・ウィーズリーを探しているのかこの子は。

 

セドリックは女の子が誰だか顔を一目見て分かったので、ロンの居そうなところに連れて行くことにした。

寝間着のままでは寒いだろうと、自分のローブをさりげなくかけ、自然体にハリエット・ポッターをお姫様抱っこをして大広間へと歩き始めた。

途中でもいろんな意味できゃあきゃあ言われた気もするのだが、気にせず行った。

 

 

 

あいつは・・「あれ?ハリエット、ダフネたちが捜してた・・」

「ロン!!!」いた!居やがった!!

 

「どこにいたんだよバカロン!!!!!」

 

ロンも今日は早めの大広間入りをした。ハリエットの同室であるダフネとアミルに、ハリエットが朝から姿が見えないと泣きつかれて。

ハリエットはいつも寝起きが悪く、早朝散歩なぞとは無縁の子!そもそもホグワーツの中を一人で歩いたことも無い子がどこかに行ってしまったと二人とも取り乱し、スリザリン生の大半もハリエットを探してホグワーツ中に散っているとも。

 

「・・そろそろ大広間に一人でいけるようにはなっているだろう。心配し過ぎだろう。」

 

この城にはゴーストも屋敷しもべも大勢いる。ハリエットが本当に危なくなったら助けるだろうと、ロンは算段している。

可愛がっても過保護にはしない、という方針もある。

ハリエットがきちんと独り立ちできるようにと。

 

女子二人に冷血人間扱いされて、少々ショックを受けたが目も覚めたので大広間に行くことにした。

その際スキャバーズにハリエット探しを命じて。なんだかんだで自分も甘いな~と思いながら大広間に来たらセドリックに抱きかかえられたハリエットを発見。

 

そしたらハリエットが俺めがけてまっしぐらしてきて、俺が怒られた。なんで?

 

 

セドリックの腕から飛び出し、黒いローブが落ちて白い寝間着姿でロンに抱き着いたハリエットは本当に仔猫のようで、本当に可愛いと大広間一同が和むも、ハリエット自身の心は大荒れだった。

 

「俺・・何度もお前の事を呼んだんだぞ!!暗くて、・・誰もいなくて・・呼んでも叫んでも返事なくて!!!」

 

ロンを押し倒すように抱き着いて、尻もちをついたロンの上から降りずにハリエットは怒っている。

 

「どうして来てくれなかったんだよ!!!俺の事・・いらなくなったのかよ・・」

ひぐひぐと泣きながらしがみつき、ロンに文句を言い続ける。

 

 

あの子、ハリエットは何を言っているのか運んできたセドリックと大広間一同は?だが、

 

「そうか、俺はそんなに酷い事したのか。お前が呼んでくれたのに悪い事をしたな。」

 

訳の分からない文句を言われているロン自身はゆったりと笑ってハリエットを包み込む。

 

「ダメだよな~、今度はきちんとお前の側に行く。どんなに遠くてもだ、約束だ。」

「・・ホントか・・」

「ああ、本当だ。」

「・・破ったら・・」

「また叱ってくれ、嘘つきはいけないって。」

「うん・・怒る・・呼んだら・・きてくれ・・よ・・ロ・・・ン・・・」スゥ~スゥ~

 

「・・寝たか、ありがとうセドリック・ディゴリー。こいつをここに連れて来てくれて。」

「・・彼女は・・」

「ああ、きっと悪い夢を見ちまって、寝ぼけてウロウロしたんだろう。」

「そうか、夢の話か。」

 

おかしいと思った。ハリエットの側には授業以外は常にロナルド・ウィーズリーがいる。

それこそスリザリンの寮にも出入りしている事は有名だ。

そのロンが、ハリエットの呼びかけを無視するなぞあり得ないとは思ったが、夢の事ならば合点がいく。

 

「君は優しいな、ロナルド・ウィーズリー。」

夢でのことを怒られても、文句を言うことなく、優しく受け止めるナイスガイだロンは。

 

「ハッフルパフの王子に言われるなんて光栄だ。ああ血みどろ男爵、いいところに。」

 

スリザリンのゴーストが来たので、「今スリザリンの生徒たちが、血眼になってハリエットを探しに城のあちこちに行ったんだ。他のゴースト達にも声を掛けて、ハリエットが大広間で見つかったって伝えてほしい。」

 

「承知した、若き炎の獅子の子よ。」

・・最近ゴースト達から変なあだ名で呼ばれてる・・俺はそれで喜ぶ趣味ねえぞ。

 

まあいいや、「肖像画の人達や・・屋敷しもべにも頼めるかな?」

「可能だ、ハリエット・ポッターとそなたの頼みを断る不届き者はこの城にはおらん。

そなたが間違えない限り、我等は常にそなたたちの味方ぞ。では行ってこよう。」

 

えっと、ハリエットはともかくなんで俺も込み?

はぁ~・・今のやり取りでなんか腹黒狸の視線ビンビンに感じんぞ・・朝からうっとおしい。

 

 

          「「「「ハリエット――!!!!!」」」

 

 

・・王蟲の群れ・・じゃなくてスリザリンの生徒の大暴走ってすげえな・・・。

 

本当に必死になってこいつ捜してくれてたんだな。

ダフネとアミル、ドラコ達が先頭きって大広間に雪崩れ込んできた様は圧巻だ。

 

「お前は愛されてんぞ、ハリエット。」

 

愛すべき天使達の、愛おしい光景に、ロンはほっこりと笑うのだった。

 

 

「なあ~・・俺にもハリエット触らせ・・」

「五月蠅いですわよシリウス小父さん!!ハリエット、今度嫌な夢見たら私達のお布団に入るのよ?」

「もう勝手にいなくならないでね?はい、糖蜜ヌガーどうぞ。」

 

「・・甘やかしすぎてねお母さんたち・・」

「仕方ないでしょロン、ハリエットが心配なのは私も一緒よ。悪夢を見て可哀そうに・・」

「また僕のポプリを贈ろうかな?」

「それはいいねネビル。僕らは温度によって色が変わる毛糸を作る事に成功をした!!」

「ジョージの言う通り!それで黄色い猫のぬいぐるみを贈って、次の日見てみれば。」

「「あら不思議!オレンジの仔猫がいたよ作戦だ。」」

 

スリザリンの生徒のみならず、グリフィンドールもハリエット馬鹿では負けてはいなかったりする。

 

大広間は今日も騒がしく始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ、あの子供ばかりが・・ああも注目をされている!!校長である儂をさしおいて!なぜゴースト達のみならず屋敷しもべがあの子供の言う事を聞くのだ!!!

 

ダンブルドアは苛立っていた。理由はもちろんロナルド・ウィーズリーの事でだ。

 

折角ハリエット・ポッターを英雄にする道筋を作るべく用意をした全ての事が、偶然にも石を手に入れてしまったロンの手によって全てが壊された!文字通りに!!

石も舞台も全てが一瞬に・・自分が綿密に立てた計画を、よりにもよって子供の手によって!闇の魔法使いでも、まして大人でもない小僧にだ!!

 

あの小僧は何も分かってはいない!このままではいずれ復活をするヴォルデモートを倒す者がいなくなり、闇の勢力が魔法界を覆いつくすのが!!

 

今ならまだ間に合う。ハリエットを早く己の陣営で-保護-せねば・・「ハリエット・・」

 

 

 

なんと思索に耽るために来た湖の畔に、ハリエットが一人で居た!!これぞ神のご加護か!!!

 

「おっほん!!」早速声掛けじゃ!!!

 

ん・・なんか大きな咳が・・「あ~・・こんにちは・・校長・・」

初めて一人で散歩してみた。皆が俺の事を心配してくれるのは嬉しいけど、俺も大体は道順を覚えた。

 

「少しだけいいか?」

朝の一件があるからダフネたちの許可は得た。あの二人に心配かけたくない。

朝なんで俺が部屋出たのか話したら泣いちまった。

 

「でも・・俺はロン以外も呼んだんだ。ドラコやダフネ、アミル、セオ、ビンセント、グレゴリー、ハーマイオニーにネビルも。」

 

それを言ったら泣きながら笑ってくれた。呼んでくれて嬉しいって、皆が。

 

 

 

「それにさ・・セブ先生も呼んだんだよ・・クィレル先生だって・・」-ブホッ!!!-

-ブゥウー!!-

 

・・覚えてる事言ったら・・あっちこっちから咳や噴き出す音がして・・「クィレル先生!!しっかり!!!!」

「大変だ!!喉に食べ物がひっかかっちまった!!」

 

・・先生達も騒がしくなった・・何でだろ?

 

 

実はダンブルドアの今日の苛立ちはそこにもあった。

 

セブルスが呼ばれた理由は分かる!寮監であり、ハリエットを陰日向と守っている保護者だから、シリウス同様であろうと。

 

だが・・何故にヴォルデモート付きのクィレルなのだ!!!!両親を殺した張本人とは知らずとも、どもりで臆病なクィレルが呼ばれて何故自分は呼ばれる中に入っていないのか!!!

 

 

 

ロンが聞いたら完璧逆恨みだと言いそうな理不尽な苛立ちだが、一旦わきに置いておいて「ハリエット・ポッター、珍しく一人じゃのう。良ければこの爺の話し相手をしてくれんかの?」

友好関係構築じゃ!!

 

 

-あいつが猫撫で声で名前を呼んできた時は碌な事がない!!油断するなよ!!!-

 

って、クィレル先生言ってた・・「いい、一人で居たい。」

 

「そのような寂しい事を、何か悩んでおるならば言ってみんかな?

 -何を思い悩む、ハリエット-」

 

ダンブルドアは青い瞳を煌めかせながら、ハリエットに問い質す。心の中を知れば、対策がしやすかろうと。

 

「・・俺・・俺は・・」

 

 

             「ハリエット!!!!」

 

 

・・あれ?俺・・あの声は・・「こ・・ここに・・いましたか・・ハ・ハリエット・・」

 

「・・クィレル先生、俺の事捜してたのか?」

「き・・君の・好きそうな紅茶が手に・・入った・・」

「そっか!!そしたらお茶のみに行っていいか⁉・・朝はなんか驚かせてご免・・」

 

いきなり名前を出されて先生驚かせてと、ハリエットはダンブルドアの事はそっちのけで、クィレルと話し込みだした。

 

 

 

ああ驚いたぞ・驚きましたとも!!何で仲のいい友人知人の中に、俺様・私が入ってた!!!

 

ヴォル付きクィレルは、双方ともにハリエットの発言に本気でびっくりして食べ物をのどに引っ掛けて、あわや昇天をしかけた。ハグリットの馬鹿力がなければ今頃は冥途に言っていたと断言できよう!!!

 

度々お茶する仲にはなっても、復活時にはアバダで両親の元に送ってやるつもりの少女に、

なんであんなに懐かれた⁉

 

もうわけ分らん、くさくさ主従が気晴らし散歩してたら、腹黒狸がハリエットに開心術を使っているところを発見!!

 

 

 

 

・・クィレル!!!

イエス!マイロード!!!

 

 

二人は何も考えず、しかし息ぴったりに同じ事を瞬時に考え実行をした。ハリエット・ポッターを腹黒狸から守るべく!!!

 

 

お・・のれ―――!!!!!ヴォル付きクィレルの分際で!!

 

 

「いかんの~、クィレル。教師が一生徒をお茶に誘っては、ハリエットが贔屓をしているように見られてしまうと、儂は思うのじゃが?」

 

内心を押し殺し、ダンブルドアは建前をスラスラと口にする。

 

 

 

・・子供に開心術を平然と使う貴様のどの口が言っている!!!

 

ヴォルデモートは完全に臨戦態勢に入った。

 

だからこの爺は嫌いなんだ!!正義の皮を被った悪党だこいつは!生徒時代から、ここへの就職も、全て横やりを入れてきた因業爺が!!

・・ハリエットをどうするつもりだ!!こいつは俺様の獲物だ!!!

 

「・・クィレル先生・・」はっ!!

「どうしたんだよ・・おっかない顔して・・」

 

しまった!腹黒狸に気を取られてハリエットがいるのを忘れていた・・どうすれば・・

 

「いたいたハリエット!!クィレル先生も丁度いい。俺ん家からクッキーが届いた。お茶会しようぜ。」

 

 

 

緊張を孕んだ空気は、ロンのまったり声で霧散をした。

 

 

・・ぶねぇ~・・俺が止めなかったらヴォル付きクィレルがくそ爺に消されかけたわ。

 

またもやスキャバーズにハリエットの動向を見張らせていたロンは、あわやハリエットの取り合いで、殺し合いに発展しかけた二人を見つけて、近くにいた屋敷しもべに、湖まで姿現しをしてもらって間一髪で間に合った。

 

屋敷しもべの魔法は人のそれとは違い、ホグワーツの結界には干渉をされないために、姿現しは可能なのを、シリウスから教わっておいてよかったと心底思った。

 

「チュチュ~(役目果たしたぜ!)」

「・・後で肉たっぷりとやる・・」

「チュウ!!(マジか!やったぜ!!!)」

スキャバーズにも大感謝だ。

 

クィレル先生が今目の前で爺に倒されてたら、ハリエットの心が傷つく。防げてよかったよ。

 

爺が教師と生徒の茶会は贔屓云々とうざったいので「いや~、この紅茶美味いっすね教授。」

「・・・・・・・・」

「・・ロン、先生怒ってるぞ。」

「私・・こんなに怒ってる先生初めてかも・・」

「あら、グリフィンドールにはこんな感じだってジョージ・フレッドが。」

「そうなの?以外ね。」

「菓子美味い。」

「茶も美味い、お代わり。」

「ここってマジ落ち着くな~。」

 

クィレル先生の部屋には教授とドラコ、ダフネ、アミル、ビンセント、グレゴリーとハリエットのスリザリン生と、ハーマイオニーと俺が一緒に大所帯で!!!!お邪魔してる。

 

 

 

ご主人様!!菓子皿はいいとして茶器が!!!!

屋敷しもべにもってこさせればいい!それよりもクィレル、あの爺に一泡吹かせるべく!お茶会を成功させるのだ!!!

 

裏切り者のセブルス・スネイプはこの際放っておいて、ロンがくれたこのチャンスを逃すか!!

いつも収まりかえっているあのアルバス・ダンブルドアが、ロンの提案を聞いた時の唖然茫然の顔は実に愉快だった。

成功させてもっと心を乱すがいい!!くたばれくそ爺!!!!

 

 

ああ~、ご主人様が喜ばれている・・何としても成功させねば!!

「み・・皆さん・・お代わりは?」

「いる!けど、一緒に食べようぜクィレル先生。」

「そ・・そうですね・・では・・おいしい・・」

「だろ!!母さんの作るものはなんだって美味い!!」

「今度は僕の母が送ってくださるもので、お茶会を・・」

 

 

 

・・何を考えているヴォルデモートとクィレルは?

 

とんでもお茶会に巻き込まれたセブルスは、頭痛を感じながらも「・・本当に美味だ・・」

紅茶に舌鼓をうっている。

 

実は紅茶に目がなく、ルシウスから息子よろしくと、最高級の茶葉を贈ってもらう程に紅茶好きで、クィレルが淹れた紅茶は、毒の事を疑ったが本当に美味しかった。

 

 

いい時間だ・・生徒と教師のまったり時間。相手がヴォル付きクィレルなのは少々不味いが・・そうだ!!!いい事思いついた!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             「お茶会しようぜ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴォル付きクィレルのお茶会から半月後の日曜日、朝の大広間はいつもと全く違った!

長テーブルが無く、代わりに大小さまざまな丸テーブルがあり、お茶会の準備がされていた。

 

「マクゴナガル先生―――!!!!」

 

ヴォル付きクィレルとのお茶会後、ロンはマクゴナガル先生の部屋に押し掛けた。

 

教師と生徒がもっと親密になり、生徒の学ぶ意欲と教師の教える意欲を上げるためにも、何かイベントをしないかと。

 

話を聞いたマクゴナガルは初めは話を聞く気はなかったが、クィレルと生徒たちのやり取りを聞いて興味がわいた。

 

あの少々臆病なクィレルが、きちんと生徒と話が出来て、ハーマイオニーの闇の防衛呪文の質問にごく普通に答えていたという事に。

 

それが本当ならば、ロナルド・ウィーズリーの言う事をしてみてもいいのかもしれない。

副校長の職務は、ホグワーツの未来をより良くするためのもの。それは生徒も教師も須らく。

 

マクゴナガルはセブルスと違い、クィレルがヴォル付きクィレルとは知らず、クィレルがうっかりと素を出したことを知らずに良い方にばかり考えた。

 

結果、子供の面白そうだからという考えと、大人の崇高なる考えが混ざり合って化学変化を起こして、前代未聞のホグワーツ上げてのお茶会の開催となった。

 

ダンブルドアとしては発案者がロンなのを知って反対したかったが、マクゴナガルの手前好々爺の笑みで許可を出し、懐の広い校長を演出をした。

 

 

テーブルにはそれぞれの教師のブースがあり、それぞれ特色がある。

 

薬草学のスプラウトは体にいいハーブティーと、美味しい健康クッキーを。

 

呪文学のフリットウィクは生徒たちに「音楽の」とか?出る茶器が踊りながら紅茶が淹れられる。

 

セブルスも来る者達の大半がスリザリンの生徒なので、笑顔ではないが優しく自慢の紅茶と、胃や内臓に優しい薬草入りのケーキなどを振る舞っている。

 

 

 

「・・き・君は向こうに行かないのかね、ハリエット・・」

「ん~、俺はクィレル先生の茶が好きだよ。」

「本当だ~優しい味がする。」

「そ・・そうかね・・」

 

生徒たちはそれぞれの好きな教師の下に自由に行き、クィレルのブースは客の入りが悪いが、おかげでハリエットとネビルはのんびりとお茶を楽しめている。

 

 

「本当・・ホグワーツっていいな~。」

 

ハリエットとは満ち足りた顔でぽつりと漏らし、聞いたクィレルとヴォルデモートの胸の中に、言いしれない-ナニカ-が生まれた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの子は本当にうまくやってくれている。」

「そうだなゴドリック。見てみろ、生徒達の楽しそうな顔が。」

「サラザールの言う通りです。我等の学び舎が理想に近づいています。」

「ヘルガ、あの子供達は誠に希望ですね。我等が目指した魔法界の。」

 

 

 

 

ホグワーツの四大創設者達は、お茶会を喜んで見ていた。

 

ロナルド・ウィーズリーの発案で、素晴らしき大人たちの手によってよきものが生まれる。

 

ロン一人では無しえないが、ロンがいなければなしえない・・不思議な少年だ彼は。

 

これからもその道を違えることなく歩いてほしいと願う程に。




久々の化学反応が出た回でした。
四大創設者達の言う通り、ロナルド・ウィーズリーだけでは決してできない事だらけです。
知識・経験・実行できる資本と権力があって初めて可能になるのです。
これからもロンにはいろいろ呟いてもらい、化学反応を起こしてもらいます。

ゴースト達と屋敷しもべの事は二年生へのフラグです。
上手く回収できるように頑張ります。

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